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第十二章:留学
12-27 大魔導士杯第一戦目その1
しおりを挟む「今日はリルとルラも大魔導士杯の一回戦ね。頑張ってね」
「マーヤ、お弁当にとんかつはちゃんと入れましたか? リル、ルラ今までの鍛錬の成果を見せる時です」
朝学園長の家を出る時に二人とも玄関まで見送りに来てくれた。
マーヤさんは朝早くから起きてお重のお弁当を作って風呂敷に包んで手渡してきた。
学園長も朝から何となくそわそわしている。
うん、過保護ですよ二人とも。
「それじゃ、行ってきますね」
「行ってきま~す」
私とルラはそう言って玄関を出ようとするとマーヤさんが火打石をカチカチしている。
苦笑をしながら私とルラはヤリスたちに合流する為に会場へと向かうのだった。
* * *
「あー来た来た。おーい、リル、ルラぁ~!!」
会場へ行くと既にヤリスとアニシス様が来ていた。
ヤリスたちの元へ行って話をする。
「すみません、出かけにちょっとありまして遅れました」
「でもマーヤ母さんのお弁当もあるんだよ~」
ルラはマーヤさんから渡されたあのお重のお弁当を大事に抱えている。
「なんかすごいお弁当ね。ま、いいか。そろそろ控室に行って準備よ」
ヤリスはそう言いながら控室に行く。
意外な話、控室は各チーム個室だった。
私たちのチームも個室にと行くと、入り口の横にチーム名が書かれていた。
「なんですかこの『エルフは私の嫁チーム』って!?」
「え? だってチーム名どうするか聞いたらリルたち忙しくて何も言わないからアニシス様と一緒に決めた名前だけど??」
「いい名前ですわよね、これでリルさんたちにちょっかい出す者はいなくなりましたわ」
いやいやいや、なんで私たちがヤリスやアニシス様の嫁なのよ!?
「あの、せめて名前を変えてもらえないでしょうか?」
「それは無理ね、もう登録しちゃったから諦めてリルもルラも私のモノになりなさい」
「まあ、ヤリスそれは強引過ぎますわ。ちゃんとリルさんとルラさんの合意を得ないと犯罪になってしまいますわよ? リルさんルラさん私はちゃんとあなたたちの意思を尊重いたしますわ。その代わり私の所へ来ていただけるなら後悔はさせませんわよ? きっと愛でて可愛がって愛してあげますわよ!」
すみません、私たちにその気はないので全力でお断りいたします!!
「お姉ちゃん、お弁当ここに置いておくね~。ああ、お昼が楽しみ~♪」
「あんたは……」
ルラにとって今一番大事なのはマーヤさんのお弁当であるようだ。
私は大きなため息を吐いてから気合を入れる。
「そろそろですね、行きましょうか!!」
私のその言葉にみんなも頷くのだった。
* * * * *
『さぁさぁ、お待たせしました! 始まりました【大魔導士杯】いよいよ一回戦だぁ!!』
わぁああああぁぁぁぁぁ!
マイクを持って司会をしているのはメリヤ=アインシュさんで生徒会の人だった。
軽快なトークでその場を盛り上げる。
なんでも貿易都市サフェリナ共和国から来た大商人の娘さんで、可愛らしいそのルックスは結構と人気があるらしい。
アイドル紛いの彼女が司会を進めるおかげでいつも以上に場が盛り上がっている。
『それでは早速チーム紹介だぁ! まずは水上都市から来た美人軍団、スィーフチームだぁ!!』
うぉおおおおおおぉぉぉぉっ!
スィーフチームのミリンディアさんが手を挙げながらその後ろに彼女のチームの面々が続く。
みんな薄手のボディーラインが分かる服を着ているのでやたらとセクシーである。
確かアニシス様の情報ではみんなアニシス様と同じ歳の十八歳のお姉さん方。
「いいですわぁ、あの方々が私のお部屋に来ていただければ、それはそれは同時に四人まとめて可愛がりますのに!」
「ヤリス様はストライクゾーンが広いわね。私はやっぱり可愛い系が良いなぁ~、特にリルとルラが良いのにぃ~」
ピンク色成分を遺憾なく発揮しているアニシス様にヤリスも不穏な事を言う。
まったくこの人たちはブレないなぁ……
『それでは各チームの紹介も終わったのでいよいよ第一試合のお題発表だぁ! さあ第一試合は『知識』の勝負になるぞ!』
「いやちょっと待て、いつの間に私たちのチームも紹介終わったぁ!?」
あの恥ずかしい名前のチーム名がいつの間にか紹介が終わっているだとぉ!?
やめてよして、やめてよしてぇ!!
しかしそんな私の悲鳴は無視して司会は進む。
『お題はズバリ【たこ焼き】です! 皆さんご存じボヘーミャ名物たこ焼きをいかに美味しく完成させるかが今回のお題です!!』
「はいっ!?」
私はその第一回戦となる「知識」のお題が「たこ焼き」と言う事に唖然するのだった。
応援ありがとうございます!
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