297 / 437
第十二章:留学
12-50祭りの後
しおりを挟むあの後大騒ぎになったけど、ホリゾンチームが負けを認め私たち「エルフは私の嫁」チームが優勝という事となった。
しかし問題もあって色々と事情説明の為その後が大変だった。
「つまり、あの現象は精霊力を使った共感現象だったと言うのですな?」
「はい、そうですわ。この技術は遠い過去、ガレント王国のとある魔術師が開発されたとされていますわ」
私たちは試合後にここ大魔導士杯実行委員会に呼び出しをされていた。
生徒会長たちがあの緑の光の現象からホリゾンチームのゴーレム消失、公では伏せられたホリゾンチームのハイリスさん発狂等について説明をしていた。
「バーサーカーとはな…… しかし今は元に戻っているらしいが、よく元に戻れたものだ」
アスラス生徒会長はそう言ってホリゾンチームの面々を見ている。
「で、殿下申し訳ございません。このような無様をさらすとは……」
「殿下! ミラーナを責めないでください!! 全てはこの私、ハイリスが起こした問題。全ての責はこの私に有ります」
すぐさまその場にひれ伏す四人。
そしてひときわ大きく頭をこすりつけるほど下げているのがハイリスさんだ。
「やめないか。ここでは私も一介の生徒。祖国を思うお前たちの気持ちは十分だ。今の私には生徒会長としての立場もある」
そう言ってラザリヤさんがひれ伏すミラーナさんたちを起き上がらせる。
「皆さんの戦い、十分に我が祖国への忠義としてとらえられました。殿下もそれはよくご理解してます」
「しかし……」
「私は、私は……」
リーダーのミラーナさんと獣人のハイリスさんはラザリヤさん涙目で言う。
「とにかく問題はその後ですな、アニシス様、ヤリス様、あのゴーレムは何処へ行ったのですか?」
アスラス生徒会長は一番聞きたい事を聞いて来た。
多分異世界に飛ばされていると思うけど、あの駄女神が出て来た。
もしかすると駄女神の所へ行っているのかもしれない。
「正直、異界への門を開いたので何処へ行ったかは分かりませんわ。あの時はあのゴーレムの暴走を止めることが最優先でしたわ。結果ハイリスさんを支配していた怒りの精霊もゴーレム共々異界に飛ばされたと言う事になりますわよね、リルさん」
「えっ? あ、はい、多分そうです…… ハイリスさんにはもう怒りの精霊は感じませんから……」
いきなり話を振られてちょっと驚いたけど、多分間違いない。
同期していたあのゴーレムからは怒りの精霊をはっきりと感じた。
だからあのゴーレムが異世界に飛ばされてハイリスさんと離れたからハイリスさんのバーサークは無くなった。
本来なら命尽きるまで暴れまわるのがバーサーカーらしいけど。
「なるほど、結果あなたたちに助けられたと言う事ですな。もしハリスがバーサーカーとしてあのまま暴れまわっていたら被害がもっと大きくなっていたでしょう。下手をすると観客にまで害が出てしまう所だった」
アスラス生徒会長はそう言ってハイリスさんを見る。
ハイリスさんはびくっとなって下を向く。
「責めているのではない。よくぞ無事戻って来てくれた。お前たち獣人族の忠義は知っている。引き続き祖国の為に尽くしてくれ」
「え、あ、あの、よろしいのですか?」
「当り前だろう? ミラーナもハイリスもラッシュもロティも引き続きこの学園で学び優秀な魔導士となり祖国へ戻るのだ。それがお前たちに課せられた使命なのだからな」
アスラス生徒会長はそう言ってニコッと笑う。
その自然な微笑みは女の子なら誰でも、どきっ! とさせられるだろう。
「さてそうするとあのゴーレムがここへ戻ってくることはもうないと言う事ですね?」
「ええ、多分そうだと思いますわ」
アスラス生徒会長はアニシス様に向かって確認するように聞く。
アニシス様も平然と済ましてそう返すけど、何だろうこの二人に漂う緊迫感は?
「時に今回の大魔導士杯でのゴーレム貸出しの件ですが」
「私たちの分のゴーレムは返却が終わっていますわよ?」
「ホリゾンチームの分のゴーレムがまだなのですよ」
「まあ、それは大変ですわね」
「……」
「……」
何なのだろう?
「ミスリル合金使用のゴーレムの価格はこの様になっております」
ラザリヤさんがアスラス生徒に書類を手渡す。
それをアスラス生徒会長はアニシス様に見せながら言う。
「騒ぎを止めたと言う事で半分、持ってもらえませんか?」
「三割ですわ」
「……」
「……」
しばしにらみ合う二人。
「はぁ~、分かったわよ足らない分はうちから出すわよ、優勝したからお姉さまも文句は言わないと思うわ」
にらみ合っている二人にヤリスは大きなため息を吐きながら言う。
つまり、ホリゾンチームの消失してしまったゴーレムの損害賠償であの二人はにらみ合っていたのか!!
「お姉ちゃん、どう言う事?」
「う~ん、誰がお金払うかって話みたい……」
「ふーん、それならあの女神様にお願いすればいいのに、エルハイミさんそっくりな」
「いや、あの駄女神にお願いしたら後が怖いわよ…… って、ルラもしかして何があったか覚えてるの?」
私は驚きルラを見る。
あの後ルラは完全に気を失っていた。
もっともしばらくして気がついたら司会のメリヤさんの私たちの優勝でその場が大盛り上がりになってうやむやになっていた。
「うん、覚えてる。お姉ちゃんの力、気を付けないといけないね」
「う、うん……」
私のチートスキル「消し去る」はその気になればこの世界自体を消し去る引き金になるらしい。
そんな事私は勿論望まない。
そしてそんな事はしない。
「では、ガレント王国からの支援もあると言う事で今回はこれで」
「そうですわね、学校の備品ですから致し方ありませんわね」
向こうではアスラス生徒会長とアニシス様がにこやかにそんな話をしている。
但し目は笑っていないけど。
「とにかく、これにて今次の大魔導士杯は終了ですな。優勝おめでとう」
しかしそこは流石に生徒会長、最後にそう言ってアニシス様に手を差し出し握手を求める。
アニシス様はその手を握り返し言う。
「ありがとうございますわ。ティナの国としても大変名誉な事ですもの」
そう言ってから私たちの所へ戻って来る。
「さあ、お祝いですわ! 今日は私のおごりでお祝いしましょうですわ!」
「ホント!? あたしお肉が良い!」
「ふうぅ~終わったか。ま、私もこれでお姉さまに折檻されなくて済むし大手を振って私の後宮を作れるわね!!」
とりあえず今は優勝したことを喜ぼう。
ちょっと駄女神の言っていたことは気になるけど。
私たちはそんな事を思いながらお祝いで街へ向かうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる