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第三章:イザンカ王国
3-35:アルムの力
しおりを挟む「【裁きの剣】ホーリーソード!!」
これは天秤の女神アガシタ様の従者が使ったという神代魔法。いや、女神様たちからすると自分の力の一端で、魔力を単に剣の姿にして振るっていただけらしい。
しかし人である私達にはその理がわからず、気まぐれでアガシタ様が人に伝えた呪文がこれだったらしい。
当然今までの歴史上、これを使えた人族はいなかったらしい。
私は手を天高く掲げてその先に光る刃を発生させる。
『バカな! それはこの世界の女神が使う技、小さき存在に扱えるはずがない!!』
「でもできちゃうんだなぁ~。終わりだよ、消えてなくなれ!!」
私はそう言って光る剣を悪魔の王にたたきつける。
が、すぐさま目の前にあの扉が現れる。
「無駄なことを」
だが、扉が開く前にその扉ごと私が作り出した光る剣はそれを切り裂き、後ろに隠れた悪魔の王をも切り裂く。
斬っ!
『ぐぅおおおおぉぉぉぉっ!!!!』
扉ごと袈裟切りにされた悪魔の王は、それでも残った右手でその光の刃をつかむ。
『おのれおのれおのれぇっ!! この私が低次元の貴様らにッ!!』
「消えてなくなれ!! はあっ!!」
掴まれた刃は悪魔の王を分断できず体の半ばで止まってしまったが、私はそれにさらに魔力を注ぎ込む。
すると光の刃はそこから膨らみさらに大きな剣へと変わってゆく。
『ぐぅああぁぁぁぁぁっ!!』
これにはさすがに悪魔の王も対応できず、膨らんだ光の刃に焼かれてゆく。
『おのれぇッ! こうなったら貴様だけでも巻き添えにしてやるッ!!』
そう悪魔の王が叫んだ時だった。
私の周りにまたまた七つの扉が現れる。
が、それは扉を開かず私と悪魔の王を囲むかのように配置される。
『この我が低次元の者にやられることは許されん! ならば全てが無かった事にする!! われと共に次元のはざまで消えよ!!』
「うーんさすがにそれは困るな。僕はこっちの世界でまだまだやりたいことがあるんだから」
そう、まだまだイケメンたちのくんずほつれずの濃厚なイケナイ関係を見ていない。
私はそのためにこの世界に転生してきたのだから!!
なので私は空いているもう片方の手で現れた扉に向かってまたまた転移魔法を魔力を惜しまずに投入して行う。
多分、またあのさらに大きな扉が現れてこいつらをその中に引きずり込んでくれるだろう。
しかし
『ははははっ! かかったな! 貴様のその膨大な魔力により上位次元の世界を呼び寄せた! 我とともに消えるがいい!!』
悪魔の王はそう言って体に切り付けられたままの【裁きの剣】ホーリーソードを手と体を使ってさらにしっかりと固定して、私がこいつと離れられないようにする。
『上位世界よ、我と共にこ奴を取りこめぇ! 我とこ奴の全てをくれてやるっ!!!!』
そう悪魔の王が叫んだ瞬間だった。
私が呼び寄せたさらに大きな扉が回転を始め、七つの扉と私、悪魔の王を取り囲んで円筒のフィールドを作り上げる。
「おおおぉぉ??」
結構魔力が吸い取られる?
いや違う、これって私自体を吸い込もうとしている??
『はーっはははははっ、悔しいが認めてやる。貴様はこの世界の女神に匹敵する力を持っている。流石に我とてこの世界の女神にはかなわん。が、貴様を道連れに更なる上位世界に引きずり込む事くらいはできる。我と共に消えるがいい!』
「いやそれは遠慮させて……」
そう言っていい加減こいつを切り裂いてこの場から逃げ出そうとした時だった。
「アルム様!」
「我が主よ!!」
「ちょ、なんなんニャっ!? 体が引っ張られるニャ!!」
私を心配して近づいていたマリーやアビス、そしてカルミナさんがこちらへと引っ張られていた!?
「ちょ、何やってるんだよみんな!?」
『はーっはっはっはははははははははっ!!!!』
まずい、このままじゃマリーたちがどこかへ吸い飛ばされてしまう。
慌ててマリーたちの体の周りに防壁を展開させ、体がバラバラになるのを防ぐ。
だがその刹那に、悪魔の王がやってくれた。
『我と共に消えよ!!』
そう叫んだ瞬間こいつがはじけてキラキラした粒子になった。
それと同時に七つの扉も同じく光の粒子になって粉々になってしまった。
それを周りをぐるぐる回っていた扉が開き、吸い込んでいく。
いや、この空間自体をすべて吸い取ってしまう。
「アルム様!!」
「我が主よ!!」
「ふにゃぁーっ! アマディアス様助けてニャーっ!!」
「しまった、みんなが!! くぅっ!!!!」
私だけなら何とかなりそうだけど、ほかのみんなが悪魔の王同様に光の粒子にされては助けられない。
私は【絶対防壁】を何重にもみんなにかけながらこちらへ引き寄せる。
そして、見てしまった。
竜とも怪獣とも見れる大きな顔が空の空間からこちらをのぞき込んでいる。
そいつはとてもでかい。
頭だけでも五十メートル以上はあるか?
頭だけしかないそれはこちらを向いて大きくその咢を開く。
『ごるぼばぁああああああぁぁぁぁぁっ!!!!』
「くうっ!!」
その叫びは私の魂まで震わすくらいのモノだった。
そして直感する。
こいつはこの世界のモノではない。
そして、この世界の女神に匹敵する存在だと。
「まさかこいつも異界の王? いや、この迫力まさか異界の神!?」
私がそう感じた瞬間に七つの大きな扉が閉まって形成された円筒のフィールドの中の私たちもろともその大きな咢に吸い込まれるのだった。
* * * * *
「ここは……」
何が起こったかよくわからないけど、私は真っ暗な空間に浮いていた。
周りを見渡すけど、静寂な場所で息はできていた。
「はっ! そうだ、みんなは!?」
マリーたちも一緒に私とあの化け物に吸い込まれたはずだった。
なので慌てて周りを探してみると少し離れたところにみんなが【絶対防壁】に包まれて気を失って浮いていた。
「みんなっ!」
『困りますわねぇ~、いくら力を与えても他の世界にまで影響を与えられては、各世界の管理している神々から文句がきますわ』
その声はいきなり聞こえてきた。
そして声をした方を見ればあの女神、タルメシアナさんや黒龍にそっくりな、それよりやや若い金髪碧眼でこめかみの上に三つずつとげのような癖毛のある美少女の姿のあの女神がいた。
「これはいったいどういう事よ!? って、あ、あれ? 私元の姿に戻っている??」
『それはあなたの魂の姿ですわ。いまだに元の世界の姿のままなので、意識も何もまだ元の世界に準じていますわね? さて、#$%&世界の神よ、この者をここへ連れてきたのはなぜですの?』
女神がそう言うと、いきなり真っ暗な世界にあの怪獣の顔だけぬっと出てきた。
「おわっ!?」
『グロろろろろろぉぉおおおぉぉぉぉ』
『ふむふむ、下位世界の悪魔の王が自分を譲渡するのはいいとしても、この者は危なすぎていらないと言うのですわね? まぁ確かにこの者にはわたくしの力の一端を分け与えていますものね…… うーん、わかりましたわ、この件はこちらで処理しますわ。ご苦労様ですわ、帰っていいですわよ』
女神がそう言うとあの大きな顔はすっと消え去った。
『さて、大宮珠寿さんやらかしてくれましたわね?』
「いや私のせいじゃないわよ? 不可抗力よ!!」
ジト目で見ている女神に私はすぐにそう答える。
だが。
『自覚はありましたわよね? あなたのその力を際限なく使えばあの世界では下手をすると女神を超える場合もありますわよ? うーん、面白そうだかラぁ…… ではなく、あなたを幸せにする為とは言え、力を与え過ぎましたかしら? とはいえ、すでにあなたの魂と私の力は同化してしまって、あなたがあの世界で余生を終わるまでその連結は消せないですしですわね……』
「わ、私の力って、あんたとつながっていたんだ。あの膨大な魔力や暴走もあんたのせいじゃないの!!」
『ですから、不自由無いようにしようと思ってですわ。しかし、やはりあなたたちの世界はさじ加減が難しいですわね? あなたの今いる世界の女神も私の髪の毛一本ほどの力をつなげていますが、それでもあの世界を崩壊させるには十分すぎる力だったみたいですし…… うーんどうしたものか。そうですわ、とりあえずあなたをまたあの世界に戻しますわね。それで、力の封印はできないので記憶を一部封印しますわね! 余計なことに力を使わぬようにしてもらわなくてですわ』
「へっ?」
なんかまた一方的にそう言い放ってニコリとほほ笑む。
その笑顔にタルメシアナさんや黒龍なんかを思い出しながら私が口を開こうとしたら、いきなり下に落ちる感覚がして奈落の底へ落ちて行く。
「またこれかぁあああぁぁぁぃぃいいいいいいぃぃぃっ!!!!」
言いたいことはたくさんあったけど、私はそれだけ叫んで奈落の底へと落ちて行くのだった。
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