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第四章:転移先で
4-22:マシンドール
しおりを挟むぴこぴこぴこぉ~
マシンドールのエルピーにものすごく警戒されている。
私たちはユーベルトのシーナ商会にやっかいになっている。
「はいはい、もう大丈夫よ。あの子も悪気があってエルピーの胸とお尻を触ったんじゃないのよ」
ぴこぴこピコッ!
エルさんになだめられているマシンドールのエルピー。
いや、なんか私を見る視線が攻撃的なんですけど……
でもすごいと思う。
全身ピンク色のメタリックのボディー。
機巧少女と言われるだけあって、関節とかものすごくメカメカしい。
この世界では内燃焼機関はおろか、井戸水のくみ上げポンプすら存在しない。
なのにSFチックなこんなマシンドールが存在するなんて!
私はつい興味に負けてエルさんに聞く。
「あの、もう少しそのマシンドールを見たいんですが……できれば中身とか」
ビコビコビコぉっ!!!!
私がそう言うとエルピーはあわてて胸を手で隠しながら完全にエルさんの陰に隠れてこちらをさらに警戒した感じで睨んでくる。
女の子の顔なんだけど、瞳の無い目が完全に私を睨んでいるようにしか感じない。
「アルム君、いくらエルピーがマシンドールだからって脱がせてその中を見たいだなんて、そういう趣味なの?」
「アルム様! 見るなら生身の私を見てください! もう全部どころか恥ずかしいところまでしっかりとお見せしますから!!」
エルさんが少し引いて、マリーが興奮して私とエルさんの間に入ってくる。
ちょと待とうか君たち。
私が見たいのはその機構とか仕組みなんだけど。
それに私は女体には興味ないっての!
興奮するマリーを押しのけ私はエルさんに言う。
「誤解しないでください。僕は純粋にマシンドールの仕組みについて興味があるんです。こんな小さな体にこれだけの機構を持たせるだなんて、いったいどうやっているんです? しかも感情があるみたいな行動までさせるだなんて、いったいどうんな制御系なんですか?」
そう、なんかこのマシンドールってまるで感情でもあるような自然な動きをしている。
いったいどんなプログラムで制御をおこなっているのだろうか?
「エルピーは感情を持っているわよ?」
「はい??」
エルさんは当たり前のようにそう言う。
私は思わずエルピーを凝視してしまうと、まるで猫が威嚇するかのように耳を逆立てて威嚇している。
ビコビコビコぉっ!!
「え、えっと。今感情があるって言いましたよね?」
「うん、言ったわよ?」
……な、何だってぇっ!?
ちょっとマテ、それっていったいどういう事?
どんなプログラム?
まさかこの世界ってAI技術があるの?
感情があるってことはAIかなんかで自我を持たせているってことだよね??
「い、いったいどうやって!?」
「うーん、正確に言うとエルピーたちマシンドールは双備型魔晶石核に封じ込めた精霊がその人格を形成しているの。精霊の自我に基礎知識の魔晶石記憶媒体を上乗せして人格形成してるのよね。私も詳しくは分からないけど、この子からは風の精霊力を感じる。多分魔晶石核には風の精霊が封じ込まれていると思うわ。だからどちらかと言うと天真爛漫な性格なんだけど、流石にいきなり同じくらいの男の子にセクハラされたら警戒するわよ?」
エルさんはそう言いながらエルピーを前に引っ張り出して小さな胸を指さし「この胸の中に双備型魔晶石核が入ってるの」とか言っている。
私はそれを聞いて唖然とする。
精霊がその人格形成に関与しているとは!
「じゃ、じゃあマシンドールって自分で考えて自分で行動するって言うのですか?」
「基本はそうね。でも主従関係とかはゴーレムのそれに近いから身請けした時に主人との契約をするの。そうでないと暴走する子も出てしまうからね。今のマシンドールは戦闘用に作られてはいないけど、制限なしに動かせばその力は人のそれをはるかに超えるからね」
エルさんはそう言いながらエルピーの頭をなでる。
するとこのマシンドールは嬉しそうに耳をぴこぴこさせる。
「私は精霊使いだからこの子が何を言ってるか何となくわかるんだけど、普通はこの耳を見て判断しなければならないから慣れない人はちょっと戸惑うのよね」
ぴこぴこ?
エルピーはエルさんに向かって耳をぴこぴこさせる。
エルさんはその様子を見て困った顔をする。
「だからアルム君は悪気があってエルピーにそんなこと言ってるのじゃないのよ。私からもよく言っておくから、ほらあいさつしなさい」
エルさんがそう言うと何となく私だけにらんだよな感じでエルピーはみんなの前でお辞儀して耳をぴこぴこする。
それはまるで自分がエルピーですと言っているような感じだった。
ただ、私と目が合うとぷいっッと明後日の方向を見るけど……
「私もマシンドールは初めて見ますが、本当によくできてますね」
「あたしは前に見たことあるニャ。でもあれは戦闘型って言ってたニャ!」
「くーっくっくっくっくっ、戦闘型のマシンドールはやっかいでしたねぇ。こ奴らは双備型魔晶石核のおかげで相乗効果の魔力発生を行いますからね。下手なアークデーモンより魔力総量が高いのでやっかいな相手でした」
挨拶をされたマリーやカルミナさん、そしてアビスも各自マシンドールに対して感想を述べる。
しかし、感情まで持っているとは。
「でも、なんでこれだけすごいのに一般的に普及が低いんですか?」
「うーん、この子たちは大体五十年で寿命が来るのよね。正確には魔晶石核の中の精霊たちがそのくらいすると消えてしまうのだけどね」
これだけすごいマシンドールならもっと普及していてもいいはずなのにと思いながら聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
「マシンドールに寿命がある?」
「正確には精霊たちがこの世界で具現化できる限界を迎えてしまうってことね。本来精霊たちは精霊界の住人よ。こちらの世界には媒介である四大元素をもとに具現化しているけど、それがなければ精霊たちはこちらの世界に介入できないの。だから水がない場所では水の精霊は使えないし、風のない場所では風の精霊は使えないの」
私は精霊魔法について詳しくは知らないけど、何となくその知識はあった。
確かに精霊はその昔女神様たちによって世界が分けられて精霊界と言う場所にいると言われている。
エルさんの母親であるエルフは本来妖精界の住人で、人間いる人間界とは別の世界に住んでいると言われている。
しかし妖精たちであるエルフやドワーフ、草原の民たちは「女神戦争」の折りにこちらの世界に女神様たちの先兵として呼び出された。
結果、こちらとの世界がつながってしまって今でもその往来があると言われている。
南のサージム大陸のエルフの村があると言われる「迷いの森」や東の大陸イージム大陸の南方、「岩山の大洞窟」にはドワーフの国があると言われているが、その洞窟は山の大きさより広いと言われていて、そこがドワーフの妖精界だとも言われている。
「マシンドールはそれ自体が高価なモノだけど、寿命があることによって普及率は低いのよ。ただ、マシンドールの発祥の地ともいわれているここユーベルトではマシンドール工房が多いから価格的にもおさえられているのでこうして屋敷なんかでマシンドールは使われているわ。主従関係を結んでいればこの子たちは裏切ることはないからね」
そう言うエルさんはちょっと寂しそうな顔をする。
何となくそんなエルさんの表情が気になった時だった。
「すみません、エル様。緊急のお話があります」
「どうしたのイプシル?」
「先ほど神殿から通達ではぐれマシンドールが現れたそうです」
「なんですって!? あの子がまた出たの!?」
エルさんはそう言って思わず立ち上がるのだった。
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