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第五章:魔法学園
5-6:戒めの腕輪
しおりを挟む「ご、合格です……」
「知ってはいたけど、すごいなアルムは」
私とタフトは無事合格をもらう。
出来レースだけど、せめてまじめにやろうとしただけだよ?
ローザスさんは驚きにまだ目を見開いている。
まぁ、私も驚いている、自分でしたことだけど。
何があったかって?
順に話をすると、まず試験会場と言うか別の部屋でローザスさんの説明を受ける。
私やタフトが年齢的に低いのと、私が魔術知識が乏しいという事で留学するのは初等科になるという建前、試験は光の魔法が使えるかどうかというものだった。
この辺はアイゼンさんの言う通りで、タフトは難なく光も魔法を発動させる。
発動した光の魔法を宙に浮かせて固定すると言う所は、魔術師として一定の技術があるんだとか。
なるほどと思い、私も魔力をなるべくたくさん注ぎ込んで同じく呪文を唱えたのだけど……
「上級魔法、『聖なる光』ホーリーカーテンを引き起こすとはね」
タフトは私が発生した光の柱を見ながらそう言う。
いったいどんなものかと言えば、たとえ迷宮の奥底でも神の加護を受けた聖なる光を照らしてもらえると言うもので、邪悪ものを退ける力があるそうな。
上級の司祭様でもそうそう使える者はなく、しかもこれほどの規模となると前代未聞だそうだ。
普通は人一人が入れるかどうか位の光の柱らしい。
「『聖なる光』が部屋のほとんどを占めるだなんて…… アンデットモンスターがいたらその場で消滅してます。なんという膨大な魔力量なのでしょう……」
ローザスさんは思わずそうこぼす。
えーと、単に光の魔法を詠唱して使っただけなのに?
私は思わずタフトを見てしまう。
「流石は我が親友だ。僕も早く上級魔法が使えるくらいに精進しなければだね」
「ははははぁ……」
うーん、やらかしたってことか、これは?
私は目の前の光の柱をどうやって消すのか途方に暮れるのだった。
* * *
「それでは、先ほど話した通り、まずはこれをつけてもらいます」
ローザス先生はそう言って金色の細い輪っかを取り出す。
私とタフトに左手を出すように言ってそれぞれはめると、輪っかが少し小さくなって取り外しができなくなる。
「えっと、これが『戒めの腕輪』なんですね?」
「そうです。これをつけていると呪文詠唱の障害が起こり、結果魔法が使えない状態になります。先ほど説明もした通りこれは安全確保の為ですので理解してください」
そう言われて私はまじまじとその腕輪を見る。
なんか女性がつけていそうなブレスレットみたいな感じ。
シンプルな金色の腕輪なので、男女ともに付けていても違和感がない。
「どれ、『ひゃかりょ』! はははは、生活魔法さえちゃんと唱えられない。なるほど、これなら魔法は使えないな」
タフトはさっそく試してみるけど、「明かりよ」って魔法を唱えるつもりだったらしい。
変な言葉に思わず吹き出しそうになっていると、タフトはにやにやしながら私に言う。
「アルムも試すといい。うまく詠唱が出来ないよ」
「あ、うん。それじゃぁ……」
とは言え、短い詠唱だったし意識を集中しすぎるとまた私の魔力のせいでとんでもないことになりそうだ。
軽く深呼吸をして右手を差し出し、呪文を思い浮かべる。
一応意識してなるべく絞った魔力を手先に集中していざ呪文を唱えようとしたらタフトが驚きの声をあげる。
「アルム! それはどういう事なんだい!?」
「えッ?」
言われて自分の手先を見たら明かりの魔法がともっていた。
「え? ええぇっ!?」
自分でも何が起こったかわからない。
しかし私の差し出した手のひらには光の玉が出来上がっていて、まばゆい光を放っている。
「ここれは! アルムエイド君、まさかあなたは無詠唱魔法ができるのですか??」
それを見たローザス先生も当然驚きの声をあげながら私に聞いてくる。
しかし、呪文を唱えて使える魔法なんて生活魔法くらいしか知らない。
今までも危ないとかそう思った瞬間に魔法が発動するのがほとんどだった。
「そういえばアルムは無詠唱で魔法が使えるんだったね。そうすると、呪文を阻害するこの『戒めの腕輪』は通用しないことになるのかな?」
「まさしくその通りです。十万に一人ともいわれる無詠唱魔法の使い手が現れるなんて、これはアルガス副学園長や学園長にも報告しないと!!」
うーん、無詠唱ってそんなにすごいの?
まぁ、面倒な呪文とかいちいち唱えたりしなくていいのは便利だけど。
「ローザス先生、報告に来る必要はありません。なるほど、無詠唱の使い手は久しぶりですね」
女性の、まるで鈴の音のような声が聞こえた。
凛とした声の持ち主を探し周りを見ると、エルさんとアルガス副学園長と一緒に目元をマスクで覆った黒髪の女性がいた。
そう、まるで日本人の大和なでしこのような雰囲気の女性が。
「私は、ユカ・コバヤシ。この学園の学園長です」
そう言って彼女、学園長ユカ・コバヤシは私の前にまでやってくるのだった。
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