死を視る俺と異能力者達

青薔薇

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お兄ちゃんの恋敵(仮)

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「珍しいこともあるもんだ」
今日は何故か早く目覚めてしまった。
いつも通り悪夢にうなされて起きたは良いものの、いつもより一時間も早い目覚めだ。
「よし、久しぶりに朝食でも作るか」
そう言うと俺はキッチンへと向かった。



ダッダッダッ…
朝日の優しく暖かい光が指すダイニングにはテレビのニュースキャスターの声が響くほどの静けさがあった。そんな中で朝食のトーストをお預けになっていると、物凄い勢いで階段を下る音が聞こえてきた。
「お、おはよう兄さん!」
「おう、おはよう…ってどうしたそうなに慌てて」
「今日日直なの忘れてた…」
息を切らしそう言うとまた走り出してしまった。
「飯は~?」
「トーストだけもらってく!」
バタンッ!!
「今日は五箇条を守れないのはしょうがないか~モグモグ…ん?」
慌ただしい妹が嵐のように去った家に再び静寂が訪れた途端、俺はあるものに気がついた。
「あいつ、弁当忘れてるよ…」
まったく、手にかかるお姫様だ。



キーンコーンカーンコーン
四時限目の終わりを告げる鐘が鳴り教室にまったりとした空気が流れる。
「はぁ~やっとお昼だよぉ~」
授業中ひたすらおなかの音が周りに聞こえているんじゃないのか?というくらい鳴っていた。
「月子ちゃーん一緒に食べよー」
その気の抜けたセリフと共にふわふわ(?)と現れたのは私の親友の南雲 ややちゃん。
「今日は彼氏の手作り~」
そういうとややちゃんは少し自慢気に弁当箱を開けた。
「わぁ~美味しそうなお弁当~。…あれ?ていうかさ、ややちゃんって彼氏いたの?」
するとややちゃんはどこか遠い目をして言った。
「愛しの人はいつと頭の中から出てきてくれない…」
「・・・あー、そう…」
我が親友ながら少し悲しくなりました。
「そんな月子ちゃんの方はどうなの?好きな人とか」
「えっ?私!?えぇと…その…」
困ったな…私の好きな人?いるって言ったらなんか違うし、いないって言ったら嘘になるのかも…。
「い、いるよ?」
「おぉーそれはそれは」
そんな会話をしていると周りの娘たちが集まってきた。
『え?なになに?何の話?』
「月子ちゃんの恋バナ」
『紗那さんの!?それは必見!』
「月子ちゃん好きな人いるんだって」
『キャァァ!!』『同じ学校!?』
「同じ、学校だね…」
『キャァァ!!』『年上!?年下!?それとも同級生!?』
「と、年上です…」
『キャァァ!!』
つい勢いに押され言ってしまった…。その一言を言った途端周りがざわつき初めた、主に男子…。男子の前でこういう話しはするもんじゃないような…。
「あ、てかご飯!!」
今が何の時間かを思い出し私はカバンを探る。
しかしいくらカバンの中を探ろうがお目当てのものがない。カバンを覗き込んだりひっくり返してみたがやはりない…。
「どうしよう、お弁当忘れた…」
顔面蒼白とはこういう事をいうのだろう。後々聞いた話だと私は舞子さんの白塗りのごとく顔になっていたらしい。
「あぁ~ただでさえ朝ごはんもトーストだけなのにぃ~~、もうおなかペコペコだよぉ」
今思えば朝は少し急ぎすぎだったな、朝ごはん無駄にしたことで兄さんにも悪いことしちゃったし。また謝っておこう…。



ガタッ
「あれ?月刄どうしたの?」
「悪い、少しウチのお姫様にこれを届けなくちゃならんから、一は先に食べといてくれ」
そう言うと俺は手に持った月子の弁当袋を見せた。すると一は少し笑い俺に手を振った。
「わかった、じゃあ先に食べさせてもらうよ、騎士ナイト君」
「うるせ。俺は王子様だ」
「いや怒るところそこかよ」
俺は教室を出ると少し急ぎ足になった。というのも月子の昼飯と俺の昼飯の両方の時間がなくなってしまうからだ。
「っとと、たしかここだよなぁ~っと」
2-B…うん、あってる。確証を持ったところで俺は扉に手をかけた。
ガラガラガラ…



私が絶望に暮れているとガラガラガラ、と木の扉が開く音がした。
その扉の方を見てみると一人の男の人が立っていた。
『え?誰?』『あれって高等部の制服だよね?』
するとその男の人は口を開き呼び掛けた。
「月子~いるか~」
そう、兄さんである。
「な、なにしに来たの?」
「あぁそこにいたのか、ほいこれ」
兄さんはそういうと私に弁当袋を渡してくれた。
「もう忘れんなよ」
そういうと兄さんは私の頭をポンと軽く叩いた。
「えと、その…あ、ありが…」
『ねぇねぇ紗那さん!その人誰!?』『もしかして好きな人って…』
私と兄さんの周りが一気ににぎやかなった。
『あの、先輩は月子ちゃんとは一体どんなご関係で?』
一人の娘がそう尋ねると皆が一斉に静まった。
「え?俺!?あぁ、俺は月子の兄の月刄といいます。いつも妹がお世話になっております」
静寂が教室を染めた。そして数秒後に…。
『お兄さんなんだぁ~』『てかかっこよくない?』『たしかに私も思った~』
そしてとある女子生徒が兄さんにとっての問題発言をしてしまった。
『月子ちゃんって、好きな人いるらしいですよ?』
「・・・え?好きな、人?ダメだ!男なんてどうせろくでなしか甲斐性なししかいないんだからっ!」
兄さんは数秒間フリーズした後再び口を開いた。
「管田はいるかぁっ!!」
すると教室の奥から管田君が出てきた。
「あ、お義兄さん!」
「どぅあぁれがお義兄さんだぁっ!?あと月子が好きなのってまさか?」
「ち、違いますっ!そうだったら嬉しいなとは思いますが…」
「そうか…っともうこんな時間だ…月子、家に帰ったらじっくり話を聞くからな?」
そう言い残すと兄さんは教室を後にした。
はぁ…どうしよう…。
家に帰りづらい…。
キーンコーンカーンコーン
「私のお昼ご飯がぁぁっ!!」
ちなみにややちゃんはちゃっかり弁当を平らげていました。

どう説明したものか…。
でもこれだけは言える。
兄さん、私の気持ちはあの時から変わってないよ…。




…………………………………………………………………………………………………

あとがき(仮)

《死を視る俺と異能力者達》を分割して読んでいただいているありがたい方はお久しぶりです。一気にまとめて読んでいただいたありがたい方は初めまして。
電車で席に座っているとき目の前にカップルがいて席が一席しか空いていなく、自分が退けば二人とも座れるというときに意地でも席を譲らない青薔薇というものです。

ではまず謝辞から、前々回のあとがき(仮)で宣言した異能力成分アップの件ですが、早速果たせなくて申し訳ありませんでした…。こればかりは言い訳が出来ませんね…。
しかし、前回で話した文章量が少ないくせに更新が遅い、という話ですがなんとか改善に向けて努力しております。具体的には文章量を増やしました。

これからも至らぬ点はあるとは思いますが、何卒よろしくお願い致します。
そして最後に、この作品を読んでいただいた方々、お気に入り登録していただいた方々、に最大最高の感謝を申し上げたいと思っております。
もちろん、作品に対する感想もお待ちしております。
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