死を視る俺と異能力者達

青薔薇

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正義と復讐の狭間で 前編

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僕の名前は東導 銀路。
僕には昔から夢があった。それは警察官だ。
元々父親に似て正義感が強かった僕は、正義の象徴でもある警察官に人一倍憧れを抱いていた。
警察学校を首席で卒業し、ある程度若くして警察官という夢にたどり着いた。仕事にも積極的に取り組み、犯罪検挙率も一にを争うほどまでになった。
しかし、というかやはり僕みたいなのを良くは思わない人はいるわけで…それなりに職場でのいじめや陰口は受けたり聞いてきた。
でも僕はめげずに職務をまっとうした。そしたらいつしか皆の方から僕の方に歩み寄ってきてくれた。中には、「陰口はすまなかった」「これからは仲間として共に頑張ろう」そんな言葉を掛けてくれた人もいた。
だがそんなとき、あの事件が起きた。

休日の夜のコンビニの買い物帰りにそれはあった。
ゴオゴオと燃え盛る真っ赤な炎に家が包まれている。そう、火事だ。
すると現場の傍らからある声が聞こえた。
「息子がまだ中にいるんですっ!!」
女性の声。この家の住人だろうか。
いや、そんなことはどうだっていい。
「僕に任せてください」
「き、危険です!」
一人の消防士に止められるが僕は止まらない。
「救えるかもしれない命を見過ごして、何が正義だっ!!」
僕はそう言うと持っていたタオルと自身をコンビニで買ったミネラルウォーターで濡らした。
「さぁて、行くかっ!」
「あ、ちょっと!?」
僕は燃え盛る炎の中へと駆け出した。

「おーいっ!いるなら返事しろーっ!」
さすがに体内に煙が充満してきた。正直苦しい…だが僕は救うと決めたんだ。
すると…。
「うわぁーん」
子供の泣き声が聞こえた。
「見つけた…もう大丈夫だよ?ほら、このタオルを口に当てるんだ、少しでも楽になる。さぁもう少しの辛抱だ。男だったらもう泣くな、な?」
「うんっ!」
さぁて、もう少し頑張るか。
空気が抜けていくのを感じる、あともう少しだ。
だが大分建物が炎にやられて今にも崩れそうになっている。
あった、出口だ。
ガラガラ…
あともう少しと言うところでもう建物が限界だ。
俺が崩れ始めた瓦礫を支える。
「君、僕がここを支えているうちに行くんだ」
「で、でも…」
「早くっ!!」
僕の言葉を聞いた少年は渋々駆けていった。
「よぉし、出たな…」
僕も早く行くか。
途端、
ガラガラガラッ!!
建物はついに悲鳴を上げさらに崩れてきた。
「ぐっ、ぐあぁぁぁっ!!」
僕の記憶はそこで途絶えた。



僕はその後何とか一命を取り留めたが、右腕は無惨にも切断され、半身に大火傷を負っていた。
僕は病院を退院した後、恐れていた現実にぶつかった。
「君はもう無理だ、すまないがやめてもらう」
僕は絶望の淵に立たされた。正義のために正義を辞する。そんな矛盾した現実、だが僕はあながち後悔はしていなかった。小さな命を守れた、それだけで僕の心は満たされていたのだ。

しかし僕は、再び冷たい現実を突き付けられることになる。
それは僕の退院祝い兼退職祝い会でのこと。僕がお手洗いに行った帰り、とある部屋の前である会話を聞いてしまったのだ。
「いやー、ついに東導のやつも退職か」
「まったく清々するなぁ」
そこまではまだ良かったのだ。僕を良く思わない人がいたのは事実だ。だが、
「わざわざ火を放った甲斐があったぞ。これで出世も間違いなしだ」
それを聞いた瞬間僕は体が動いていた。
僕は部屋に乗り込みその男を殴り倒していた。
「ふざけるなっ!!正義の象徴たる警察が、正義そのものの警察が!同僚を陥れ、あまつさえ罪の無い人の家に火をつけるなど、言語道断だっ!!」
この声を聞き付けた元同僚達が僕を抑え込んだ。
「利益に飢えた亡者どもっ!!今の貴様らに、正義など無いっ!!」
その後僕は刑務所行きにはならなかったが、慰謝料を払う羽目となった。

僕はこの組織を辞めたことを後悔していない。
何故ならばそこにはもう、僕の求めた正義はなかったからだ。
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