歴史オタクの軍略無双〜外れスキルと国を追放された俺はスキルと歴史知識を駆使して復讐する〜

中村幸男

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自由奔放な族長

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「おぉ、佐切殿。どうなされた? 采配を認めたのかどうか心配になって聞きに来たのか? ま、もうとっくに認めているがな」
 
 俺達はエルフの宴の場へ乗り込んだ。
 
「スランディアさん。それも気になりますけど、要件は別です。カルラさんいますか?」
「……族長、か……」
 
 スランディアの動きが止まり、表情が淀む。
 
「……やっと戻ってきて、私の負担が減ると思っていたのにな……今も何処にいるのか……」
「あはは……成る程……」
 
 スランディアの苦労も分かる。
 何せ、情報収集の為とはいえ、族長自らファレスに赴く必要はない。
 それどころか、娼館である必要も然程無い。
 恐らく、カルラの暴走なのだろう。
 すると、エルフとも関係の深い二人と遭遇する。
 
「おぉ、佐切殿。久しぶりだな! わざわざエルフの宴に来るとは。儂もエルフの血が入っているのでな。飲みたくなってきてしまったわ!」
「ザイル。程々にね。それで? 何か用があるのでしょ? ノージリアの女王自ら手助けしてあげる」
「あぁ。二人ともお久しぶりです。 実は……」
 
 二人に事情を説明する。
 
「カルラ? それならさっき見かけたわよ」
「うむ。カルラならば先程魔族の宴の方へ行ったぞ……いや、あの方向は諸王国連合の宴もあるな……まぁ、どちらかに行ったんだろう」
「私達は諸王国連合の宴の方から来たから、魔族の方に行ったんじゃないかしら?」
「そうか……ありがとう!」
 
 俺はそのまま走り出す。
 すると、フィアナに話しかけられる。
 
「知らない間にいろんな人と知り合ってるんですね……ドワーフにエルフに……」
「まぁな……ドワーフはそれが目的だったからだけど、エルフは想定外だったな」
「色々あった。私も頑張った」
 
 レナは誇らしげにVサインをする。
 俺はレナの頭を撫でる。
 
「そうだな。レナは頑張ってたな。本当に助けられたよ」
「えへへ……」
「……」
 
 すると、レナは嬉しそうだったが、フィアナはどこか不満そうであった。
 ……成る程。
 
「……にしても、フィアナの采配も見事だったな。隠し通路を奇襲に使うなんて思いもしなかったぞ」
「え!? え、えぇと……そうですか? えへへ……」
「もう俺を超えたかもな」
「そ、そんな……あ! そ、それよりも! カルラさんは魔族になんの用が……私もカルラさんに再会出来てませんし、佐切様もキサラさんに会えてませんよね?」
「あぁ……そうだな……」
 
 少し誤魔化された気がするが……カルラさんのことだ。
 何かしら考えがあってのことだろう。
 
「お? 佐切達じゃないか。こんな所でどうしたんだい? ……そしてフィアナ、久しぶりだね」
「カルラさん!」
 
 歩いていると、カルラに後ろから声をかけられる。
 意外とあっさり出会えたな。
 久々に会えたフィアナは喜びの声を上げる。
 
「……ちょっと、ドワーフの宴の方へ来てくれませんか? サナンが飲み過ぎてて、止めてほしいんですよ」
「……そうかい。じゃ、行こうかね」
 
 カルラは歩き出す。
 フィアナとレナもついていき、話し込んでいた。
 しかし、疑問残る。
 
(……何故後ろから? ……敵意は感じられないし、怪しい動きをしている訳じゃないけど……)
「佐切様? どうしました?」
「……いや、何でもないよ」
 
 気にしすぎだろう。
 カルラはカルラで考えがある筈。
 信頼して任せよう。
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