140 / 155
他人の恋路よりも
しおりを挟む
「おうおう! いい飲みっぷりだな! 兄ちゃん!」
「何だ何だ! ドワーフの酒はこんなものか! まだまだ行けるぜ! もっともってこい!」
ドワーフの宴に戻ると、ものすごい騒ぎになっていた。
ガルンは縛られ、酒を絶たされている。
そしてサナンは……。
「よっしゃあ! 体が死んでるおかげかいくらでも飲めるぜ!」
「どういう意味か全く分からんがすげえ! もっと強い酒を用意しろ! あとなんでこいつ脱いでんだ!?」
全裸である。
もう一度言う。
サナンは全裸であった。
隠すものを全く隠していない。
「うぅ……」
「……」
フィアナは恥ずかしさから顔を隠し、レナは表情が消えていた。
そして、ふとレナがつぶやく。
「……粗◯ンが」
「「レナ!?」」
まさかのレナの言葉に俺とフィアナは驚きを隠せなかった。
「そ、そんな事言っちゃだめ!」
「というか……粗◯ンかどうか何でわかるんだ……」
「佐切様まで! ……でも確かに、なんで?」
「あはははは! あんたら、本当に面白いね!」
謎のやりとりを、カルラに笑われてしまう。
まぁ、このやり取りをしていて、実際俺も楽しかった。
「ん? なんだ? 聞き覚えのある声が……」
すると、カルラの笑い声を聞いたサナンがこちらに振り向く。
「……え」
「あ、気付いた」
カルラは臆することなく真っすぐサナンをみている。
カルラからすれば、子供の裸同然。
それに、かなりの年月を生きていたエルフにとっては見慣れたものなのかもしれない。
「……あぁ、飲み過ぎか……幻覚まで見えるとは……」
「サナン。諦めろ、現実だ」
現実逃避しようとしたサナンの肩を掴む。
すると、サナンは一気に酔いが覚めたのか、隠す所を隠し、急いで物陰に隠れた。
「おい佐切! お前どういうつもりだ! 親友の裸を想い人に見せるなんて!」
「いや裸になってたのはお前だろ。そもそもお前が裸だったかどうかなんて知らん」
「くそぅ……服を持ってきてくれ」
「……仕方無いな」
振り向くと、ドワーフ達は笑顔で布の切れ端を俺に見せてくる。
ポケットのようなものが確認出来ることから、服だった物だろう。
……成る程。
「残念だったな。お前の服はもう無い」
「何!?」
「というか、お前が破ったんじゃ無いのか?」
「……そんな記憶もあるような無いような……」
やはり、そういう事か。
酔っ払って服を脱いだ……破り捨てたのだ。
そして視界の端に映る毛布に気がつく。
「まぁ、これでも羽織っておけ」
「お、おう……助かる……」
「……サナン。復活したようで何よりだよ」
「カ、カルラさん!?」
すると、カルラが近づいてくる。
「あんたは佐切やフィアナ達にとっても大事な存在……家族みたいなものなんだろう? 自分の事も大事にしなよ」
「は、はい……」
「それと……」
カルラはサナンに顔を近付ける。
「頑張り次第じゃ、そういうこともないことはない、かな?」
「え……」
「……フフ、じゃあね」
そうして、カルラはその場を去った。
一人残されたサナンは、ポカンとしていた。
「……」
「よかったな。エルフの族長に認められたんだな」
「……」
「サナン?」
目の前で手を降ってみる。
が、ポカンとしていて反応はない。
「……駄目だこりゃ」
この様子じゃあ、この後の話も出来そうにない。
ひどまず、ゆっくりさせてやるか。
「何だ何だ! ドワーフの酒はこんなものか! まだまだ行けるぜ! もっともってこい!」
ドワーフの宴に戻ると、ものすごい騒ぎになっていた。
ガルンは縛られ、酒を絶たされている。
そしてサナンは……。
「よっしゃあ! 体が死んでるおかげかいくらでも飲めるぜ!」
「どういう意味か全く分からんがすげえ! もっと強い酒を用意しろ! あとなんでこいつ脱いでんだ!?」
全裸である。
もう一度言う。
サナンは全裸であった。
隠すものを全く隠していない。
「うぅ……」
「……」
フィアナは恥ずかしさから顔を隠し、レナは表情が消えていた。
そして、ふとレナがつぶやく。
「……粗◯ンが」
「「レナ!?」」
まさかのレナの言葉に俺とフィアナは驚きを隠せなかった。
「そ、そんな事言っちゃだめ!」
「というか……粗◯ンかどうか何でわかるんだ……」
「佐切様まで! ……でも確かに、なんで?」
「あはははは! あんたら、本当に面白いね!」
謎のやりとりを、カルラに笑われてしまう。
まぁ、このやり取りをしていて、実際俺も楽しかった。
「ん? なんだ? 聞き覚えのある声が……」
すると、カルラの笑い声を聞いたサナンがこちらに振り向く。
「……え」
「あ、気付いた」
カルラは臆することなく真っすぐサナンをみている。
カルラからすれば、子供の裸同然。
それに、かなりの年月を生きていたエルフにとっては見慣れたものなのかもしれない。
「……あぁ、飲み過ぎか……幻覚まで見えるとは……」
「サナン。諦めろ、現実だ」
現実逃避しようとしたサナンの肩を掴む。
すると、サナンは一気に酔いが覚めたのか、隠す所を隠し、急いで物陰に隠れた。
「おい佐切! お前どういうつもりだ! 親友の裸を想い人に見せるなんて!」
「いや裸になってたのはお前だろ。そもそもお前が裸だったかどうかなんて知らん」
「くそぅ……服を持ってきてくれ」
「……仕方無いな」
振り向くと、ドワーフ達は笑顔で布の切れ端を俺に見せてくる。
ポケットのようなものが確認出来ることから、服だった物だろう。
……成る程。
「残念だったな。お前の服はもう無い」
「何!?」
「というか、お前が破ったんじゃ無いのか?」
「……そんな記憶もあるような無いような……」
やはり、そういう事か。
酔っ払って服を脱いだ……破り捨てたのだ。
そして視界の端に映る毛布に気がつく。
「まぁ、これでも羽織っておけ」
「お、おう……助かる……」
「……サナン。復活したようで何よりだよ」
「カ、カルラさん!?」
すると、カルラが近づいてくる。
「あんたは佐切やフィアナ達にとっても大事な存在……家族みたいなものなんだろう? 自分の事も大事にしなよ」
「は、はい……」
「それと……」
カルラはサナンに顔を近付ける。
「頑張り次第じゃ、そういうこともないことはない、かな?」
「え……」
「……フフ、じゃあね」
そうして、カルラはその場を去った。
一人残されたサナンは、ポカンとしていた。
「……」
「よかったな。エルフの族長に認められたんだな」
「……」
「サナン?」
目の前で手を降ってみる。
が、ポカンとしていて反応はない。
「……駄目だこりゃ」
この様子じゃあ、この後の話も出来そうにない。
ひどまず、ゆっくりさせてやるか。
0
あなたにおすすめの小説
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。
シトラス=ライス
ファンタジー
万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。
十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。
そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。
おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。
夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。
彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、
「獲物、来ましたね……?」
下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】
アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。
*前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。
また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる