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奇跡
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「……ん?」
目が覚める。
そこには、フィアナの顔があった。
この感触と姿勢……どうやら、膝枕をされていたらしい。
「……お、俺は……」
体があまり自由に動かない。
自分を心配していたのか、レナが抱きついて寝ていたというのもあるが、それとは関係なしに体は動きにくい。
手で剣が突き刺さった後を手探りで確認する。
「……?……」
しかし、何も傷は無い。
「……そうか……助かったのか……」
そこで、何があったかは分からないが、とにかく自分が助かったのだと言う事だけは理解した。
ここは異世界。
理解の及ばぬこともあるのだろう。
「……懐かしい夢を見た」
「……はい」
フィアナは静かに話を聞いてくれていた。
「……今まで、心の何処かに……もやがかかっていたようだった……死にかけて、夢を見て、それが晴れたよ」
「……」
「さて、そろそろ落ち着かれましたかな?」
すると、聞き覚えのある声が聞こえ、声の方へ視線をやる。
そこには、敵であるはずのジョバンニが座っていた。
「ジョバンニさん!? これは一体……」
「……説明してもよろしいですかな?」
ジョバンニはフィアナを見ていた。
……成る程、さすがにこの体勢は恥ずかしい。
「……失礼しまし……」
「駄目です」
起き上がろうとすると、フィアナに押さえつけられる。
「傷は塞がったとはいえ、失った血までは戻ってないんですから。もう少しゆっくりしてください」
「で、でも……」
「ゆっくりしてください」
少し圧が強めだったので、仕方なく頷く。
「はい……」
大人しく、膝枕に預かるのであった。
「そんな事が……」
「はい。まさに奇跡です。まさかレナにスキルが……」
そう、話によれば、レナがスキルを使ったというのだ。
「でも、レナはスキルを持っていない筈だろ?」
「はい。そこが良くわから無くて……」
「まぁ、なにはともあれ、我々は休戦したのです。今は敵同士では無いと言うことです」
ジョバンニは膝枕されながら状況説明を受ける俺を見ながら続ける。
「ゴルドー殿が武器を失い、魔王軍によって拘束された後、動揺し、隙を見せたソフィア殿も同じように拘束されました。それによって戦う理由を失った我々は即座に休戦を申し出たのです」
「その間にレナがスキルを使って治してくれていたんです」
「……いろいろと気になることはあるが……その前にジョバンニさん。聞きたいことがあります」
流石に今度は起き上がり、新たに判明した事実を問いただす。
「ジョバンニさん。勇者がこの世界に渡る時、感情等を制御する暗示……催眠や洗脳のような物を仕掛けてますね?」
「……」
ジョバンニはしばしの沈黙の後、頷いた。
「ええ。王国はスキル授与の儀式の際、神官のスキル『感情制御』によって、意識を操作されております」
目が覚める。
そこには、フィアナの顔があった。
この感触と姿勢……どうやら、膝枕をされていたらしい。
「……お、俺は……」
体があまり自由に動かない。
自分を心配していたのか、レナが抱きついて寝ていたというのもあるが、それとは関係なしに体は動きにくい。
手で剣が突き刺さった後を手探りで確認する。
「……?……」
しかし、何も傷は無い。
「……そうか……助かったのか……」
そこで、何があったかは分からないが、とにかく自分が助かったのだと言う事だけは理解した。
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理解の及ばぬこともあるのだろう。
「……懐かしい夢を見た」
「……はい」
フィアナは静かに話を聞いてくれていた。
「……今まで、心の何処かに……もやがかかっていたようだった……死にかけて、夢を見て、それが晴れたよ」
「……」
「さて、そろそろ落ち着かれましたかな?」
すると、聞き覚えのある声が聞こえ、声の方へ視線をやる。
そこには、敵であるはずのジョバンニが座っていた。
「ジョバンニさん!? これは一体……」
「……説明してもよろしいですかな?」
ジョバンニはフィアナを見ていた。
……成る程、さすがにこの体勢は恥ずかしい。
「……失礼しまし……」
「駄目です」
起き上がろうとすると、フィアナに押さえつけられる。
「傷は塞がったとはいえ、失った血までは戻ってないんですから。もう少しゆっくりしてください」
「で、でも……」
「ゆっくりしてください」
少し圧が強めだったので、仕方なく頷く。
「はい……」
大人しく、膝枕に預かるのであった。
「そんな事が……」
「はい。まさに奇跡です。まさかレナにスキルが……」
そう、話によれば、レナがスキルを使ったというのだ。
「でも、レナはスキルを持っていない筈だろ?」
「はい。そこが良くわから無くて……」
「まぁ、なにはともあれ、我々は休戦したのです。今は敵同士では無いと言うことです」
ジョバンニは膝枕されながら状況説明を受ける俺を見ながら続ける。
「ゴルドー殿が武器を失い、魔王軍によって拘束された後、動揺し、隙を見せたソフィア殿も同じように拘束されました。それによって戦う理由を失った我々は即座に休戦を申し出たのです」
「その間にレナがスキルを使って治してくれていたんです」
「……いろいろと気になることはあるが……その前にジョバンニさん。聞きたいことがあります」
流石に今度は起き上がり、新たに判明した事実を問いただす。
「ジョバンニさん。勇者がこの世界に渡る時、感情等を制御する暗示……催眠や洗脳のような物を仕掛けてますね?」
「……」
ジョバンニはしばしの沈黙の後、頷いた。
「ええ。王国はスキル授与の儀式の際、神官のスキル『感情制御』によって、意識を操作されております」
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