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スキルの秘密
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「俺達が調べたスキルの事実は一般には全く広まっていない物だった。この事実を知った時、あまりにも受け入れられなくて何度も何度も文献を読み直して確認したよ」
大図書館へ戻り、会議室のような場所で席に着くとアランは説明を始めた。
「端的に言おう。スキルとは、魔法だ」
「魔法? おとぎ話の?」
アランの言葉にカレンが反応する。
カレンが知っていると言うことは魔法という言葉自体はこの世界にもあるらしい。
「俺たちの世界にも魔法という概念はあったな。しかしそれは非現実的なもので存在しないというのが常識だ」
「そうだろうな。この世界でも基本的にはその認識で問題無い。だが、過去の実話を元にしたと思われるおとぎ話の中に多くの魔法が出て来る。元々は、何かの話が後の時代になるにつれて大きくなっていったものだと思ってたんだが、古代エルフ語を解読していく内にそうではないと分かった」
アランは一つの本を棚から取り出すと、こちらに開いて渡して来る。
中には魔法陣が描かれており、魔法についての文も書かれていた。
「遥かな過去、魔法は今のスキルのように一般にも広まっていたとされている。習得こそ難しいが、誰でも努力すれば習得することが出来たそうだ。魔法陣を描き、特定の呪文を唱えることで使う事が出来たらしい」
「……流石に驚きだわ」
「……それで? スキルとの関連は?」
アランはページを開く。
「魔法は習得に時間がかかる。それをどうにかするために、魔法によってスキルが作られた。その魔法は極大魔法と呼べるものらしく、多くの時間と人員を要したらしい。それによって、全ての人間がスキルを使えるようになったと書いてある」
「まるで世界の法則そのものを変えたような物ね……でも、そうまでして何で……」
「それも分かっている。戦争の為だそうだ」
アランは少し考えてから続けた。
心なしかカレンの方を見ていた気がする。
それは、カレンを気にかけての事なのだろう。
「魔法は非常に優秀な戦争の道具だった。しかし習得に時間がかかるが故に魔法使いの数は非常に少なかった。その数を補う為に、魔法でスキルという仕組みを作ったらしい」
「成る程……俺達の世界で言う魔法のようなスキルがあるのはその名残りか。だとしても……世界の仕組みを変える魔法か……考えもつかないな」
ソフィアのスキルは魔法のようなものだと始めてみた時から感じていた。
つまり、大きく見ればスキルは魔法なのか。
「……今、魔法は残ってないのか?」
「公式記録では全くな。だが、俺の見解ではあるが、魔法を使ってもそれをスキルだと言い張れば気づかれることは無いだろう。複数の優秀なスキルを持つ奴等は特に怪しい……まぁ、異世界人のお前は違うだろうが」
「……複数のスキル使いか……思い当たる節はあるな。それに……」
ふとロームさんの顔が浮かんだが、彼女が魔法を使用しているのならば教えてくれただろう。
ならば違う筈。
……勇者の召喚。
それ程の物は個人が所有するスキルとは考えにくい。
大人数で行う、世界の仕組みを変えたという極大魔法のようなものだと考えると納得が出来る。
やはり、魔法は存在するのか。
……そう言えば王女は複数優秀なスキルを持っていたし、あれが魔法である可能性はあるな。
思いも寄らない収穫だな。
だが、これをどう反攻に活かすか……考えものだな。
「……ありがとう。今の情報、持ち帰って共有させてもらう。魔王の方でもスキル使いを調べて何か分かってるかもしれない。何か分かれば知らせるよ」
「ええ、よろしくお願いするわ」
ひとまず、ファレスへ戻ろう。
さて……この情報、勝ちの目につながるかな?
大図書館へ戻り、会議室のような場所で席に着くとアランは説明を始めた。
「端的に言おう。スキルとは、魔法だ」
「魔法? おとぎ話の?」
アランの言葉にカレンが反応する。
カレンが知っていると言うことは魔法という言葉自体はこの世界にもあるらしい。
「俺たちの世界にも魔法という概念はあったな。しかしそれは非現実的なもので存在しないというのが常識だ」
「そうだろうな。この世界でも基本的にはその認識で問題無い。だが、過去の実話を元にしたと思われるおとぎ話の中に多くの魔法が出て来る。元々は、何かの話が後の時代になるにつれて大きくなっていったものだと思ってたんだが、古代エルフ語を解読していく内にそうではないと分かった」
アランは一つの本を棚から取り出すと、こちらに開いて渡して来る。
中には魔法陣が描かれており、魔法についての文も書かれていた。
「遥かな過去、魔法は今のスキルのように一般にも広まっていたとされている。習得こそ難しいが、誰でも努力すれば習得することが出来たそうだ。魔法陣を描き、特定の呪文を唱えることで使う事が出来たらしい」
「……流石に驚きだわ」
「……それで? スキルとの関連は?」
アランはページを開く。
「魔法は習得に時間がかかる。それをどうにかするために、魔法によってスキルが作られた。その魔法は極大魔法と呼べるものらしく、多くの時間と人員を要したらしい。それによって、全ての人間がスキルを使えるようになったと書いてある」
「まるで世界の法則そのものを変えたような物ね……でも、そうまでして何で……」
「それも分かっている。戦争の為だそうだ」
アランは少し考えてから続けた。
心なしかカレンの方を見ていた気がする。
それは、カレンを気にかけての事なのだろう。
「魔法は非常に優秀な戦争の道具だった。しかし習得に時間がかかるが故に魔法使いの数は非常に少なかった。その数を補う為に、魔法でスキルという仕組みを作ったらしい」
「成る程……俺達の世界で言う魔法のようなスキルがあるのはその名残りか。だとしても……世界の仕組みを変える魔法か……考えもつかないな」
ソフィアのスキルは魔法のようなものだと始めてみた時から感じていた。
つまり、大きく見ればスキルは魔法なのか。
「……今、魔法は残ってないのか?」
「公式記録では全くな。だが、俺の見解ではあるが、魔法を使ってもそれをスキルだと言い張れば気づかれることは無いだろう。複数の優秀なスキルを持つ奴等は特に怪しい……まぁ、異世界人のお前は違うだろうが」
「……複数のスキル使いか……思い当たる節はあるな。それに……」
ふとロームさんの顔が浮かんだが、彼女が魔法を使用しているのならば教えてくれただろう。
ならば違う筈。
……勇者の召喚。
それ程の物は個人が所有するスキルとは考えにくい。
大人数で行う、世界の仕組みを変えたという極大魔法のようなものだと考えると納得が出来る。
やはり、魔法は存在するのか。
……そう言えば王女は複数優秀なスキルを持っていたし、あれが魔法である可能性はあるな。
思いも寄らない収穫だな。
だが、これをどう反攻に活かすか……考えものだな。
「……ありがとう。今の情報、持ち帰って共有させてもらう。魔王の方でもスキル使いを調べて何か分かってるかもしれない。何か分かれば知らせるよ」
「ええ、よろしくお願いするわ」
ひとまず、ファレスへ戻ろう。
さて……この情報、勝ちの目につながるかな?
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