歴史オタクの軍略無双〜外れスキルと国を追放された俺はスキルと歴史知識を駆使して復讐する〜

中村幸男

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休息も兼ねて

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「勘助、あれ気になる」
「お。食べ物か……地下世界でドワーフは何を食ってるんだ?」
 
 その後、レナと共にドワーフの露店を見て回る。
 レナの見たいものを可能な限り叶えてやるため、レナの要望には全て従っている。
 今は目の前の肉屋に夢中だ。
 
「これおいしそう……」
「食べるか?」
「うん!」
「じゃ、これ一つお願いします」
「あいよ!」
 
 ドワーフは笑顔で骨付き肉を差し出してくる。
 それを受け取り、楽しみにしているレナに渡す。
 こうしてみるとフィアナと双子だとは思えないな……。
 フィアナと比べると……いや、比べずともかなり幼く感じる。
 が、そこがまたフィアナと違う可愛げがある。
 フィアナは綺麗、しっかり者、といった感じだがレナは甘えん坊、可愛い、といった印象がしっくりくる。
 見た目こそ似ているが、内面はかなり違いが出ている。
 
「……美味しい」
 
 幸せそうに先ほど買った骨付き肉を幸せそうに頬張りながら、レナを見るこちらの視線に気づく。
 
「……食べたい?」
「いいや、美味しそうに食べるなと思ってただけさ」
「……」
 
 そう言うと、少し恥ずかしかったのか顔を背ける。
 そんな様子が可愛くてつい頭を撫でてしまった。
 
「……にしても、肉、か」
「……何か問題?」
「いや、ドワーフは地下世界で動物を飼育しているんだなと思ってな」
 
 ここまでドヴェルグを探索して気づいた事がある。
 所々に水路が流れており、地下水脈を上手く活用しているらしい。
 蛍石の明かりを利用してなのか、緑も多く、野菜の栽培なども行っている。
 また、空気の循環等もしっかりしており、ここよりもさらに低い位置に通気口が外に伸びているらしい。
 本当によく考えられている王国だ。
 
「……さて、結構金使ったな」
「……勘助は何も買わないの?」
「ん? そうだな……特に欲しいものは無いし、レナが欲しいものが買えなくなったら困るから、今は良いかな」
「そう? ……ありがとう」
 
 それに、軍資金をすべて使うわけにも行かない。
 まさかこんな事態になるとは想定しておらず、潤沢には持ってきていないのだ。
 と、こんな話をすればレナが遠慮してしまうのでこの話はやめておこう。
 
「よし、これだけ使えば良い頃合いかもな……他の二人も良い感じに使ってくれてるだろうし」
「何でお金を使いたかったの? 何も理由無しに買い物させたとは思えない」
「それはな……」
「おう兄ちゃん! ちょっといいか?」
 
 レナに説明しようとドワーフに声をかけられる。
 
「そこの嬢ちゃんの食いっぷりが良くてね、声かけさせてもらったよ。さっきから色々と買い物してるけど……ドヴェルグにはどういう要件で来たんだ? 人間は簡単には入ってこれねぇと思うが……」
「あぁ、ちょっと国の用事でね。ただ、想定外にいろんなことが起きているようでどうしようか途方にくれていた所で……とにかく、せっかく来たんだし少し遊ぼうかなとね」
「へぇ……国の用事……」
 
 ドワーフはこちらを品定めするかのように見る。
 
「それは……一体何処の国だい?」
「魔王国さ」
「ま、魔王!? ……そうか……ついに……」
 
 そう答えるとドワーフは明らかに動揺する。
 作戦が功を奏したかな。
 
「……ちょっと、ここで待っていてくれや! すぐに戻るからよ!」
 
 ドワーフはそう言うと走り去っていく。
 
「な? 上手く行っただろ?」
「……よく分かんない」
 
 やはりレナには少し難しいか。
 だが、進展はあったし、結果オーライだな。
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