歴史オタクの軍略無双〜外れスキルと国を追放された俺はスキルと歴史知識を駆使して復讐する〜

中村幸男

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捜索開始

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「よし、ここまで集まった情報を纏めようか」
 
 あれから暫く情報収集に勤しんだ。
 こちらからの質問に対して正確に答えてくれた者は少なかったが、ドワーフは少しお喋りらしく、勝手に情報を喋ってくれた。
 
「東の旧市街区画で未だに王家の親衛隊を中心とした反対勢力が武装して占拠しているらしい。それなりの戦力で都市の構造をうまく生かした戦術で、軍部も制圧に手間取っているらしい」
「それ以外は特に無し、ね。強いて言うなら西側商業区画で混乱に乗じて裏取引……闇市が繰り広げられて金の動きが激しいようだね」
「……やっぱり東側の旧市街区画が怪しいわね。王家の生き残りが旧親衛隊に保護されている可能性が高いと思うわね」
「……でも、そんなに単純じゃない気がする」
 
 皆が口々に意見を口にする。
 最後にレナが口にした意見が、俺の考えと一致した。
 
「そうだな……集中的に叩かれれば潰れてしまう、旧市街にいる反乱軍に匿われているとは思えない。それを囮に何処か別の所に潜伏してると見るべきだな」
「と言うことは……西側商業区画で金の動きが活発になってるとこかしら」
「成る程な。ということは軍資金でも溜め込んでいるのか……」
 
 ロームの洞察力には助けられる。
 そして、カルラの理解力にも。
 偶然にも今回の作戦メンバーは良い組み合わせなのかもしれない。
 
「じゃあ、西側を集中的に見て回りますか。しかし、勇者がここに出入りしている情報もあります。それも一つや二つじゃない。そろそろ入り口に放置してきた見張りが見つかる可能性もありますし、ここより先は軍部との接触は避けましょう」
「そうだね。その方が良さそうだ」
 
 カルラの一言に皆が頷く。
 皆の意見を一致させ、西の商業区画へと向かうのであった。
 
 
 
「……賑わってるわね」
「そうですね……クーデターが起こった直後とは思えません……」
 
 商業区画に着くやいなや、喧騒が響き渡っていた。
 真反対の東側の旧市街で起こっている反乱とその鎮圧の為の戦闘を避けてのことか、多くの人が集っていた。
 
「さて……何処から手を付けるかな……」
 
 商業区画はかなり広い。
 立ち並んている店も多く、行き交う人も多い。
 すると、服の裾をグイグイと引っ張られる。
 
「勘助、あれ欲しい」
「レナ……ん? あれって……」
 
 レナが指差した先にあったのは、ネックレスや宝飾品を売っている露店だった。
 その中の一つ、少し豪華な意匠のネックレスをレナは指差していた。
 
「フィアナにお土産」
「あぁ……成る程」
 
 そこで、ふと思い至る。
 
「……よし、皆。別れて情報収集と行きましょう。休息も兼ねて、好きに行動してください。幸いにも通貨は同じですし、好きに買い物してください」
「……成る程ね、分かったよ」
「……え? どういう事? 捜索は? ……まぁ、良いか。ジョバンニに何かプレゼント買う良い機会ね……」
 
 カルラとロームも各々行動を開始する。
 カルラは何となく察してくれたようだったが、ロームは微妙だな。
 まぁ良い、上手く金を使ってくれればそれで良い。
 レナと共に宝飾品が売ってある店に行く。
 
「よし……すいません、これ下さい」
「あとこれとこれも」
 
 ここで金を使うことで見えてくるものがある筈。
 ……まぁ、無駄遣いはしないようにしないとな。
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