歴史オタクの軍略無双〜外れスキルと国を追放された俺はスキルと歴史知識を駆使して復讐する〜

中村幸男

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復帰戦

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「はぁっ!」
「く……『防御強化』!」

 サナンの刀は敵の木の盾で弾かれる。
 敵兵の盾が頑丈になったのだ。

「それが『防御強化』? 俺は勇者の『シールド』を知ってるが、あれはそんなものじゃなかったな」
「だ、だからどうした! 破れるものなら……かはっ……」
「盾が破れ無いならそこ以外を攻めるだけだ。スキル使い相手なら馬鹿正直にぶつかってくれただろうけど、残念ながら俺はスキルがつかえない者達、魔王派のリーダーのサナンなんでね。友のためにも、こんな所で情けない失敗はしてられないしな」
 
 サナンは敵の脇腹に、視界の外から刀を刺す。
 
「背中が隙だらけだぞ! 『急所突き』!」
「わざとだよ」
 
 サナンは難なく、返す刀で背後から迫る槍を持った敵を斬り伏せる。
 
「あ、あいつ……強い!」
「あれが精鋭、魔王派のリーダー、サナンか。流石だ……」
「そらそら! なにをボケっとしている!? とっとと俺を押し返してみろ! 貴様らはスキル持ちだろう! スキルを持たない俺に後れを取ってるんじゃない!」
 
 サナンの怒声で諸王国軍は気合を入れなおす。
 そして、サナンは大きな声で敵を挑発する。
 しかし、それでも敵は攻め込んでこない。
 
「いやぁ、これくらい弱いと肩慣らしにもならないな。もっと強いやつ来てくれよ」
「くそっ! なら俺が相手だ! これは防げないだろ! 『ファイアー』!」
「お、俺も! 『サンダー』!」
「お? 今度は魔法系か。良いな。どんと来い」
 
 サナンは刀を空に投げる。
 すると、雷がサナンにでは無く刀に当たった。
 
「な……」
「よそ見は厳禁だ」
 
 そして、『サンダー』を放った敵の目の前に火の玉が現れる。
 もう一人の仲間が放った『ファイアー』だ。
 
「……え?」
 
 悲鳴を上げる間もなく男は火だるまになる。
 最初に『ファイアー』を放った男はわけが分からず混乱していた。
 
「お、俺は確かに奴に向けて……い、意味が分からない……」
「あぁそうか。お前は刀に『サンダー』が当たったのに気を取られて見ていなかったのか。経験で俺は理由も知らずにそうなる事を知っていたが、佐切が言うには電気は金属に引き寄せられやすいらしい。……電気というのが何かよく分からなかったがな。『サンダー』みたいなものらしい」
「く、くそ……なら何故俺の『ファイアー』が……」
「あぁ、それは単純に弾いた」
「弾いた!?」
「それくらい出来ないと魔王派のリーダーはやれないさ……まぁ、決して簡単じゃないがな」
 
 サナンの規格外の強さに、敵は恐れをなす。
 
「か、かなわない……こんな奴に、勝てるわけが無い!」
 
 男は慌てて逃げ出す。

「ひ、『必中』!」
「お?」

 逃げ出した敵は射殺される。

「良いな! ここにはいい兵が揃ってる!」
「ど、どうも……」

 あの時、ひたすらに矢を放っていた味方の兵が仕留めたのだ。
 その機転の効いた行動に、サナンは称賛する。
 そしてその機をサナンは見過ごさない。
 
「今だ! 全軍追撃をかけろ! 敵の勢いを崩せ! 頃合いを見て下がれよ!」
 
 サナンは先陣を切り、逃げる敵の背中を斬っていく。
 たまには振り返り、抵抗する者もいたが、サナンは難なく倒していった。
 そして、頃合いを見て横を進む味方に声をかけた。

「さて……後は任せた」
「え? サナン殿は一体……」

 サナンは勇者と対峙するキサラの方を見る。
 
「この戦局の要を倒しに行く。さ、ここからが本番だ」
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