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閃き

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「……。」
「さっきからどうした?」
 
 柏木が先程から何か考え込んでいる。
 一通り戦闘の流れは見たのだ。
 実験を開始しても良い筈だ。
 
「これ、もう決着つきますよね?」
「……まぁな。味方の前線が崩壊してきている。俺達が出来るのは撤退を支援することくらいだな。勝利に持っていくのは酷しいだろ。」
 
 それを聞き、柏木は少し考える。
 
「これじゃあ実験なんて……。」
「まぁ、今からでも遅くは無いんじゃないか?やってみよう。」
 
 スミスの言葉を聞き、そそくさと柏木は動き始める。
 パソコンを開くと、何やら入力し始めた。
 すると、モニターには様々な情報が映りだされる。
 
「これは……。」
「この戦場のデータを入力しました。後はAIが最適な行動を示してくれるはずです。」
 
 すると、モニターに映し出された地図上に砲撃するように赤いマークで指示が出た。
 
「この通りにお願いします。」
「分かった。」
 
 これが最適かどうかは知らんが、こっちからも金を分捕らなければならない。
 従うとしよう。
 俺とスミスは指示を出していく。
 
「弾着。」
 
 スミスがドローンの映像を見ながら口を開く。
 
「今!」
 
 それと同時に弾着する。

「次はここです。」

 パソコンのモニターに再度別の座標が表示される。
 今度は敵の前線だ。

「カイル。別の依頼者からだ。」

 スミスから無線を受け取る。

『おい!早く支援砲撃を!このままじゃ全滅するぞ!』
「まぁ待て。」

 俺は気にせず実験を続けるように指示を出す。
 無線の向こうからは激しい銃撃の音が聞こえる。
 前線は崩壊寸前なのだ。
 当たり前だろう。

『ふざけるな!こっちは高い金払ってるんだぞ!』
「まぁ落ち着けって。」 
 
 スミスが指揮を取り準備を進める。
 
「準備完了だ!撃つぞ!」
「あぁ、やれ。」
 
 そして、砲撃が始まる。
 指定された弾数を撃ち終わり、モニターには再度別の座標が表示される。
 
『よ、良くやった!』
「……褒美は期待しておく。」
 
 実際既に契約金はもらっている。
 勝てれば更にもらう手筈だ。
 
「陣地変換は?」
「それも指示されます。でも、やりたいことがあるんですよね……。」
 
 すると、柏木が近付いてくる。
 その手にはパソコンが。
 
「私を砲班のところへ連れて行って下さい。」
「……正気か?」
 
 柏木は頷く。
 
「今はドローンが見た情報を元に最適な射撃場所、目標を判断してここに表示されてます。」
「それを俺達が砲班に伝えてるな。」
 
 スミスの言う通りだ。
 そして、柏木が何をしようとしてるのか分かった。
 
「成る程、砲班に直接指示が表示されるようにするのか?」
「カイルさんの言う通りです。つまり、指揮所の機能をこのAIに一任させます。」
 
 突拍子も無い事を言う。
 しかし、敵の砲撃が来ないところをみると、敵の砲兵も最初のAIの指示の砲撃で仕留めたのだろう。
 
「面白い。連れて行ってやる。スミス!俺が連れて行く間、指揮を任せる!」
「AIの指示はこちらに表示されるようにしておきます。」
「分かった!任せてくれ!」
 
 柏木と護衛を連れ、車に乗る。
 さて、面白くなってきたな。
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