きょうのご飯はなぁ〜に?

赤花雪夜

文字の大きさ
上 下
5 / 13

フレンチトーストと珈琲

しおりを挟む
今日は土曜日。娘達は学校と仕事がお休みで家でゆっくりとくつろいでいる。そんな二人を庭にある野菜達に水やりしながら見るのは私にとって祝福の時間だった。
水やりが終わり家の中に入るとクーラーの冷たい風が体を冷やしてくれてとても気持ちよかった。
「お母さん、私お腹空いちゃった」
次女がそう言い時計を見ると昼過ぎも回っていた。
「ねぇ、この前商店街で買ったパン屋さんの食パン。あれでフレンチトースト作って食べましょう」
フレンチトースト。それを聞くと口がフレンチトーストの口になってしまう。
次女も久々にフレンチトーストが食べたいと言い、私達三人はフレンチトーストを作ることにした。
次女はフルーツを切り、私は食パンを別々の大きさに切る。長女は卵を割ってボウルに入れて混ぜる作業。お互い役割が決まったらそれらに取り掛かる。
長女は沢山の卵をボウルに割り入れ菜箸でかき混ぜ牛乳と砂糖を入れてまたかき混ぜる。冷蔵庫に入ってた卵が見事に無くなり明日は2パック買おうと思いながら冷蔵庫を眺めていた。
次女はバナナや林檎、キウイなどの果物の皮を包丁で切って一口サイズに切っていく。
私は食パンをそれぞれ別々のサイズに切っていく。大きめに切った食パン二枚は次女、小さめに切った食パン二枚は長女の。そして私のは普通サイズの食パン二枚に切る。そして私は切った食パンをじっと見た。普通のフレンチトーストは少し飽きたなと思いなにかアレンジを加えたかった。
私は冷蔵庫を開けてなにかないかと探すとあるものを見つけて手に取った。私はそれを見てはっと思いつき包丁で食パンの横に切れ込みを入れてそれを食パンの中に入れる。
自分の作業が終わり長女もちょうど卵液を作り終えた。大きめのタッパ三つを出して切った食パンを別々に入れていき卵液を流し入れる。
流し終えると蓋を閉めて冷蔵庫に入れて少し待つ。食パンが卵液に染み込むまで私達はソファーに座りながら次女が切ったフルーツを食べて小腹を満たす。
壁に掛けてある時計を見て三十分経ったのを確認してタッパに入ってる食パンをひっくり返し反対側も卵液を染み込ませる為三十分待つ。
三十分経つと冷蔵庫からタッパを取り出し先ずは、先程から腹をぐぅ~と鳴らしている次女のから焼く。フルーツを食べても腹は「まだ足りない!」と言っているかのようによく鳴っていた。
次女も恥ずかしがらず好物の林檎を食べながら私がフレンチトーストを焼いているのを見ていた。
中火で熱したフライパンにバターを入れて軽く溶かし、その中にパンを入れる。パンをひっくり返し片面がこんがりと焼き色が付いたら火を弱火にし蓋をして焼く。中火と違って弱火で焼くと時間は掛かるが中がふわふわに焼ける。
蓋を開ければ湯気とフレンチトーストの甘い香りがふわぁっと広がり次女の腹がより大きく鳴る。
平たい皿にフレンチトーストを乗せてカットした残りのフルーツを盛り付ければ完成。
「うわぁ~!」
次女は頬をうっすらと赤く染めて「食べて良い? 食べて良い!?」と私に勢い良く聞いてくる。
チョコソースとシロップを冷蔵庫から出して私は「召し上がれ」と言った。
次に長女のを焼く。
長女のは小さいからすぐに焼けるが一歩遅れるとすぐに焦げてしまう。だから慎重に焼かねばならぬ。
熱くなったフライパンに濡らした台拭きで冷ましまた火にかける。フライパンにバターを入れて溶かし、パンを入れて軽く焼く。
ひっくり返すとパンが薄いから表面がこんがりと綺麗に焼き色がついた。ひっくり返したら素早く蓋をしてものの一分で出来上がった。
長女は出来上がったフレンチトーストをなにもかけずに食べ始める。
そして最後に私。私のは次女と同じように焼きその焼き待ちの間にホイップクリームを作る。シロップやチョコソースも良いが甘さ控えめのホイップもお店に出てきそうで中々いいのではと思いボウルに生クリームと砂糖を少し入れて泡だて器で素早く掻き混ぜる。掻き混ぜて数分程良くクリームの角が立ったらフレンチトーストを見てひっくり返し蓋をする。娘達とクリームは使うと思い少し多めに作ったクリームを娘達に見せると大喜びになってくれた。
私のフレンチトーストも出来上がり、皿に移して娘達の所に座りホイップクリームを少し付ける。
娘達が美味しそうにフレンチトーストを食べる姿を見ながら私もフレンチトーストを一口食べる。パンは柔らかくくどくない甘さで口の中で溶けてくかのようにとても美味しい。
次女は二枚目のフレンチトーストに私がさっき作ったホイップクリームを付けて大口開けて食べると、なにかに気づいた次女は噛じったフレンチトーストを見て次に私を見た。
「ママ、これ。中にクリームチーズが入ってる!」
「私のところにも入ってるわ。意外な組み合わせだけど美味しい」
そう。実は私達のパンに一枚ずつクリームチーズを入れていた。フレンチトーストとクリームチーズは合うとスマホのレシピに乗っていたのを思い出し二人が気に入るかなと思い試しにやってみると、結果は大絶賛。次女は「美味しい! 美味しい!」と喜び長女も「これなら何枚でも食べられそう」と言ってくれた。私もクリームチーズが入っている方を食べると確かに美味しかった。フレンチトーストとクリームチーズはあまり合うイメージが無かったがこれは確かに美味しかった。
「ママ、クリームチーズ入りもっと食べたい!」
「だ~め。これ以上食べると夜ご飯食べられなくなっちゃうから今日はそれだけ。クリームチーズ入りはまた今度ね」
これはクリームチーズ多めに買っておかないと。次女がもっと食べたいと言い出すと明日明後日と強請ってくる。
長女も口では言わないがなんだか食べたそうな顔をしていた。
「今度商店街のパン屋さんで食パン沢山買おうか」
「グラタンパン食べたい! 後、あんパンも!」
「あそこのパン屋さんはパスタも美味しいからまた食べたいわ」
「はいはい。じゃあパスタも食べに行こう」
長女は顔が満面の笑みで次女は大喜び。二人の分かり易い反応を見ながらフレンチトーストを食べて温かい珈琲を一口飲む。砂糖も何も入れてないから苦味が口に広がりまた食べたいという食欲を掻き立たせる。
今日の晩御飯は何が良いが二人に聞くと「カレー!」「煮魚」と見事に意見が分かれた。
美味しい料理に、家族と囲みながら食べる。
こんな休日が幸せで私は最後のフレンチトーストを食べ幸せと共に噛み締めた。
これだから料理は止められない。
今日のご飯は何しようかな。
しおりを挟む

処理中です...