サブキャラへのゲーム転生は、思ったより大人しくしていられない

こなひー

文字の大きさ
15 / 32

第15話 まだまだハルトは疑われる

しおりを挟む
 雑用を頼まれた。僕は何も考えずにただ引き受けた。それを見た周囲から、あれもこれもと面倒事を押し付けるようになってきた。僕が引き受けると、皆ありがとうと言ってくれた。僕はもっと役立ちたいと思い続けた。

 (もっと、感謝されたい……頑張らなきゃ)
 
 人から頼まれる前に、自分から引き受けていくようになった。自分にできることなら、なんでもしてあげたくなった。時々煙たがられることはあったけど、僕は満足していた。

 ――
 
「それ、良かったら手伝うよ」
「え!? は、はい……」

「先生、この問題がわからなかったんですが……」
「ハルト、貴方はまたちゃんと聞いてな……いわけではなさそう、ですね」
 
「あいつはどうせ掃除当番サボって……ない!?」
「それどころかいつもより綺麗になってるんだけど!?」

 教室ではハルトが真面目になったという話題ばかりになっていた。いかに去年まで悪目立ちしていたかが身に染みてわかる。僕としては前と同じことをしているだけなのだけれど、こうも驚かれるとどうにもむず痒い。

「ハルトのやつ、まさか本気で改心したってのか?」
「人格が誰かと入れ替わったと言われても信じてしまいそうだ……」
(ほぼ正解! って言ってあげたい)

 ハルトであってハルトでない、というややこしい状態を説明するのは難しすぎるし理解されにくそうだ。少なくとも皆の知るハルトでは無くなったけれど、そんな宣言をしても胡散臭いだけだろう。

 まだ僕を見て怖がったり嫌悪感を向けられる状況は変わっていない。信用というのは一度落ちると戻すのが大変なことは経験済みだ。

「……こないだ、図書室でリリア先輩とお話してたそうだけど」
「何か関係あるのかしらね?」
「気に入られるために猫被ってるとか? いやいや無駄でしょ」

(やっぱり、リリアの評判にも影響が及んじゃうよね……)

 ゲームの時も、明確には表示されないものの周囲からの評判は一定以上を保つ必要があった。評判が悪いとヒーローからの好感度は上がりにくくなるため、ヒーローと会っていない時でも行いを気を付けなくてはならない。

(……ゲームじゃそもそもハルトに会いに行くって選択肢が無かったよね)

 リリアの邪魔をしないように大人しく生きると僕は決めている。そのために、この学園生活を普通に大人しく生きていく必要がある。

 そんな矢先、僕の予定を一気に狂わせる出来事が起こった。

「ハルト君はこのクラスだったのですね」
「リリアさん!? 何でここに?」

 僕の席の前に、リリアさんが立っていた。わざわざ中等部の棟まで来て僕を探していたらしい。噂の編入生があのハルトを訪ねてきたために、クラスの全員がリリアさんを見て驚愕することとなった。
 
「その、相談したいことがありまして……お時間を頂きたいのですが」
「わ、わかりました! とりあえずここじゃアレだから移動しましょう!」
「アレ……? わ、わかりました」

 足早にリリアの背中を押して教室を出る。僕の穏便な生活がいきなり崩れ去ってしまったな、という喪失感を抱えながら、空気がどよめき始めた教室を後にして、二人で落ち着いて相談が出来そうな場所を探し始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

処理中です...