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陛下のからかい
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「ご苦労であった。しかし...パーティー衣装でないのは減点対象で良いかな?」
陛下は王子のことを放置して、ミランダのことをニヤニヤしながらからかう。
「陛下、ご容赦ください。卒業パーティーに出るようにと、日数もないのに命じたのは陛下でしょう。寝る間も惜しまなければ間に合わなかったのですよ。」
まだ陛下はニヤニヤしているので、思わずミランダは顔をしかめる。
「あと、旅は危険だからと男装するのはいいが...男性の仕草が身につきすぎではないか?もう一度、妃教育をするか?」
ミランダは顔をしかめていた顔からニッコリ笑顔に変えて、
「陛下、お言葉ですが、格好に合った仕草をすることも大切です。いまの私は男装姿なので、男性の仕草をするものです。令嬢姿になれば、仕草も口調も変えましょう。」
「なるほど...だが、髪が短いのは減点だな。」
苦々しく私の髪を見つめる陛下。
「おや、陛下は他国の事情をお訊きしていませんか?他国では短髪の女性も良いという事で短髪の女性が最近増えているのですよ。
私も髪を短くしたので、頭は軽い・手入れも楽・短髪なりの髪型が出来る・結ぶ必要がない・髪が早く乾く等の利点があるのでオススメしたいぐらいですね。
短髪なら短髪なりの楽しみ方もありますよ。髪型も短髪の方が似合う結びかたも、長髪よりも短髪の方が似合う令嬢もいるでしょう。
私はその先駆けとなりましょう。」
大きく手を広げながら振り返り、会場にいる令嬢達に向けて笑顔で言う。
「陛下、もっと令嬢達も自由にファッションも生き方も楽しむべきだ。私みたいにズボンを履いて、馬に乗るのもいいし、走り回っても良いだろう。
髪型だって、男性も女性も好きな髪型にすればいい。
ちなみに私は肩まで切りたかったが、メイドに泣かれたので妥協してこの長さだ。
ああ、仕事したいって令嬢はぜひ私に声かけてほしいな。いままでは限られた一握りの職業しかつけないし出来なかったからな。
ただでさえあっちこっち人手不足なんだ。男性と同じく勉強しているから下地は充分、さらに男性とは違った価値観や感じ方によって更に改善されて良いものになるだろう。
こんな良い人材がいるのに、家に居ろだなんて...無駄遣いすぎる。なんだったら私だって、家に居てのんびりしたって良いだろう?王子妃だからって、強制労働させられているんだ。
今回だって陛下からの指示で色んな国を長期間、旅して回っていたんだ。私だけなんてズルいだろ?」
飄々と演説する私を見て、陛下は降参したようだった。
「わかったわかった。今後のことはあとで話し合おう。とりあえず、いまは卒業パーティーだ。皆は楽しんでくれ。」
ミランダは陛下へお辞儀をしたあと、
「では陛下。私どもはこれで。この格好ではパーティーに相応しくありませんからな。
また後日お伺い致しましょう。」
と声を掛けたが、それを邪魔する声が響く。
「貴様がミランダだと!よくもそんな格好で目の前に表れたな!ヒロインを虐めたお前はっ...むぐぅ!」
近衛が慌てて更に王子の拘束をきつくする。
「あー...近衛、その者達はとりあえず幽閉しておけ。逃げられたりしないように監視も宜しく頼む。いっそ、牢屋を使ってくれ。」
ミランダは近衛と拘束された王子を見送って、ではと下がろうとした。
「ミランダ、王宮の部屋を使うが良い。明日朝食を一緒にとろう。」
「承知しました。では、今度こそ失礼致します。」
そのままミランダはメイドと護衛を引き連れ、王宮に向かった。
------
後日、ミランダは第四王子との婚約を解消され、両片想いであった第二王子と婚姻をし幸せに過ごした。
さらにミランダはファッション界や立場が弱かった女性の改善等でも名を馳せた。
また二人で王太子である第一王子を生涯に渡ってサポートし国を豊かに繁栄させ、王になった第一王子の子供の教育にも関わり、その子供は賢王と名を馳せた。
おわり
陛下は王子のことを放置して、ミランダのことをニヤニヤしながらからかう。
「陛下、ご容赦ください。卒業パーティーに出るようにと、日数もないのに命じたのは陛下でしょう。寝る間も惜しまなければ間に合わなかったのですよ。」
まだ陛下はニヤニヤしているので、思わずミランダは顔をしかめる。
「あと、旅は危険だからと男装するのはいいが...男性の仕草が身につきすぎではないか?もう一度、妃教育をするか?」
ミランダは顔をしかめていた顔からニッコリ笑顔に変えて、
「陛下、お言葉ですが、格好に合った仕草をすることも大切です。いまの私は男装姿なので、男性の仕草をするものです。令嬢姿になれば、仕草も口調も変えましょう。」
「なるほど...だが、髪が短いのは減点だな。」
苦々しく私の髪を見つめる陛下。
「おや、陛下は他国の事情をお訊きしていませんか?他国では短髪の女性も良いという事で短髪の女性が最近増えているのですよ。
私も髪を短くしたので、頭は軽い・手入れも楽・短髪なりの髪型が出来る・結ぶ必要がない・髪が早く乾く等の利点があるのでオススメしたいぐらいですね。
短髪なら短髪なりの楽しみ方もありますよ。髪型も短髪の方が似合う結びかたも、長髪よりも短髪の方が似合う令嬢もいるでしょう。
私はその先駆けとなりましょう。」
大きく手を広げながら振り返り、会場にいる令嬢達に向けて笑顔で言う。
「陛下、もっと令嬢達も自由にファッションも生き方も楽しむべきだ。私みたいにズボンを履いて、馬に乗るのもいいし、走り回っても良いだろう。
髪型だって、男性も女性も好きな髪型にすればいい。
ちなみに私は肩まで切りたかったが、メイドに泣かれたので妥協してこの長さだ。
ああ、仕事したいって令嬢はぜひ私に声かけてほしいな。いままでは限られた一握りの職業しかつけないし出来なかったからな。
ただでさえあっちこっち人手不足なんだ。男性と同じく勉強しているから下地は充分、さらに男性とは違った価値観や感じ方によって更に改善されて良いものになるだろう。
こんな良い人材がいるのに、家に居ろだなんて...無駄遣いすぎる。なんだったら私だって、家に居てのんびりしたって良いだろう?王子妃だからって、強制労働させられているんだ。
今回だって陛下からの指示で色んな国を長期間、旅して回っていたんだ。私だけなんてズルいだろ?」
飄々と演説する私を見て、陛下は降参したようだった。
「わかったわかった。今後のことはあとで話し合おう。とりあえず、いまは卒業パーティーだ。皆は楽しんでくれ。」
ミランダは陛下へお辞儀をしたあと、
「では陛下。私どもはこれで。この格好ではパーティーに相応しくありませんからな。
また後日お伺い致しましょう。」
と声を掛けたが、それを邪魔する声が響く。
「貴様がミランダだと!よくもそんな格好で目の前に表れたな!ヒロインを虐めたお前はっ...むぐぅ!」
近衛が慌てて更に王子の拘束をきつくする。
「あー...近衛、その者達はとりあえず幽閉しておけ。逃げられたりしないように監視も宜しく頼む。いっそ、牢屋を使ってくれ。」
ミランダは近衛と拘束された王子を見送って、ではと下がろうとした。
「ミランダ、王宮の部屋を使うが良い。明日朝食を一緒にとろう。」
「承知しました。では、今度こそ失礼致します。」
そのままミランダはメイドと護衛を引き連れ、王宮に向かった。
------
後日、ミランダは第四王子との婚約を解消され、両片想いであった第二王子と婚姻をし幸せに過ごした。
さらにミランダはファッション界や立場が弱かった女性の改善等でも名を馳せた。
また二人で王太子である第一王子を生涯に渡ってサポートし国を豊かに繁栄させ、王になった第一王子の子供の教育にも関わり、その子供は賢王と名を馳せた。
おわり
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