僕のこと、ぼくの事を話そうか

はらひろ

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〈第六章 ぼくのこと⑨プラテーロ編 最終話〉

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 お空のたかいとこから、ふうわり、ふうわり、白いものがやってきた。これ、しってる。つめたいものだ。白くてふわふわだけど、つめたいんだ。ぼく、しってるよ。
 ぼくのはなに、白いものがくっついて、とけた。つめたい。ぼくが、びっくりして「きゅん」とこえをあげたら、トーニがおうちから、でてきた。
 「雪だ!プラテーロ。雪が降ってきたよ」
 ゆき?白のふわふわは、ゆきっていうのかな?トーニがうれしそうだったから、ぼくもなんだか、たのしくなって、あっちこっち、とびはねた。
 わーいわーい、ゆきだ、ゆきだ。白くてふわふわのゆきだ。これってゆきっていうんだって。お空からふってきたよ。わーいわーい。
 ぼくとトーニが、めちゃくちゃなうたをうたって、はしゃいでいると、ソーケさんも、おうちからでてきた。そして「寒いから、お入り」とぼくたちをつかまえた。うん、ちょっとつかれちゃった。ゼイゼイしちゃったよ。
 白いゆきは、あとからあとから、ふってきてた。ぼくは、あったかいおうちのなかで、ずっとみてたんだ。お空のたかいところから、ずっとずっと、ふってた。

 つぎのあさ、めがさめてびっくりした!びっくりしたんだよ。だって、おそとが、まっしろだったんだもん。ぼくたちのおにわも、さくのむこうの、おとなりのおにわも、、もっともっと、とおくまで、みーんな、まっしろなんだもの。まっしろ。きれいなまっしろ。
 ぼくはうれしくなって、ほうこくしに、おうちにもどった。
 「ゆきだ、ゆきだよ。トーニ、ソーケさん。おきておきて。まっしろなんだよ」
 ぼくがはしゃいでいると、パンツだけの、はだかのトーニが、ふとんからでてきた。まどから、おそとをみて「すごいや。一面銀世界だ!」と、さけんで、ぼくにだきついてきた。
 「すごく綺麗だよ。壮介さんもおいでよ」とさけんでから、「うう寒い、プラテーロはあったかいね」とぼくを、ぎゅうぎゅうにした。
 なつから、ちょっとぶりにあったトーニは、またおおきくなってた。ソーケさんより、ずっとおおきくなっていた。ぼくがちいさくなったのかな?どうなんだろ?でも、おっきくなったトーニに、だっこされるの、きもちいいんだよ。きもちよくて、うとうとしちゃうんだ。
 ガウンをきたソーケさんも、やってきて、もうふをトーニにかけた。
 「ああ、ほんとに綺麗だね。キラキラ光って宝石みたいだ。こんなに広々とした雪原は初めて見るなあ」
 せつげん?ぎんせかい?トーニとソーケさんは、ときどき、むずかしいことをいうから、ぼくは、くびをかしげてしまう。
 ソーケさんは、ぼくについた、白いふうわりを、パタパタとはらってくれた。「風邪をひいたら大変だ」といって。
 ソーケさんは、とってもとっても、しんぱいやさんだ。いつも、ぼくとトーニのしんぱいばっかり、しているんだ。たまには、ぼくもソーケさんの、しんぱいを、してみたいんだけど。
 
 「ああああ、トォニィ、そんな格好のままじゃ風邪をひくよ」
 あれ?ソーケさん、おかおがあかいよ。どうしたの?
 ぼくをはなしたトーニが、ねわらのうえに、ソーケさんを、ころがした。ころんってね。トーニは、ソーケさんを、ころがすのがうまいんだ。
 それから、トーニは、こんどはソーケさんを、ぎゅうぎゅうにしていた。
 ぼくも、ふたりのそばで、ねわらにねそべった。はしゃいだからかな、ふあ、あくびがでてきちゃった。
 「駄目だよ、さっきもしたばかりだし、プラテーロも、、見てるし、」
 ソーケさんは、トーニから、にげようとしたけど、トーニははなさなかった。トーニはほそいけど、ちからもちなんだよ。ぼくが、うっかり、おそとでねむっても、おうちまで、だっこして、はこんでくれるんだ。
 トーニはソーケさんに、かぶさって、「僕らが仲良しだとプラテーロは安心なんだよ」とわらった。うん、そうだよ。ケンカはだめ。しちゃイヤだよ。ぼくたちは、なかよしなんだから。ケンカなんか、したことないけど。これ、ほんとだよ。
 そうだ。このまえ、おきゃくさまがきたんだよ。ここに。おきゃくさまがくるの、はじめてだから、ぼくは、あっちこっち、あんないしてあげたんだ。トーニとふたりで。トーニもたのしそうだった。でもソーケさんは、ムッとしてた。なんでかな?おきゃくさまも、なんでかソーケさんに、あやまってたし。きっとケンカしてたんだね。ケンカはだめだよ。なかよくしなくちゃ。ソーケさんが、いつもいってることだぞ。
 なかなおりできて、よかったね。
 おきゃくさまのかお、ぼく、ちゃんとおぼえてた。なつにあったひとだ。くるまにのって、おでかけしたときに。なまえは、うーん、おもいだせないけど、おかおは、おぼえてる。
 あのときは、もっとひとがいたけど、ここにきたのは、ふたりだけだった。ぼくはよっつまで、かぞえられるんだよ。すごいでしょ。えへ。
 「こっち方面に用があったから、寄ってみたんだ」っていって、すぐ、かえっちゃったんだけど、、
 ぼくにおみやげって、おやさいと、くだものを、いっぱいくれたんだ。とっても、うれしかったよ。トーニが「良かったね」って、ぼくをなでてくれた。トーニも、なにかもらったみたいだった。よかったね。でも、ソーケさんは、やっぱりムッとしてた。
 「彼等はボクの弱点をついてくる」って、むくれてたんだ。



 ご拝読ありがとうございます。

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