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第一章:幼女と異世界と歩数制限と...

第三話

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彼女...いや彼は嘆いた。
自分が20歩しか歩けないことに。

「とりあえず歩かなくてもいい移動手段を考えねば...」

歩けないならば歩かなくてもいい方法を探せばいい。
だが、そんな方法が簡単に見つかるわけでもなく...

三時間後...

あれから何度死んだだろうか...
自分でもわからない。

「いや、マジでどうすりゃいいのこの状況?」
 
正直、どうすればいいか本当にわからない。

「こんなん詰みゲーじゃん...」

異世界生活早々人生ツムツムしてる。

「だれか人来ねえかなぁ...」

「ていうかこの大草原の中動物すらいないのもどうなのよ?」

不自然なほどに動物がどこにもいない。

「草原なのに動物いねえとか草生えるわ...」

(草原だけに...)

心の中でそう思ってみるが、ただむなしくなるだけだった。

「そういや、服着てねえわ」

今さっきから自分で言ってるのにまだ着ていなかった

「羽織るものでもねえかな...」

だが、探せるところは探しつくした。
羽織れそうなものはどこにもなかった。

「さみぃ...」

そんなことを言っていると、

「え?」

「え?」

草むらから人が出てきた、
しかも男である。

「ちょっ君...」

「ぎゃあああああああああああああああああ!!!!」

(パァン!)

「グハッ...」

(バタッ...)


咄嗟に手が出た
しかももともと攻撃力が高いせいかビンタ一発で気絶させてしまった。

(やっべ、どうしよう)

「とりあえず、この服はもらっておこうかな...?」

男の下着以外を全部脱がして着た。

「こいつが目覚める前にここから離れねえとな...」

だがどうしよう、

「歩かなくてもいい方法.....」

「とりあえず周りにあるものを見直してみよう」

(山...死体...森...死体...死体...)

(ほとんど死体しかねえな...)

(後は川ぐらいしかないし...)


「ん?川?」

「そうだ!」

なぜ今まで気づかなかったのか。
川があるなら泳げばいい

「だが...」

そんな体力が自分にあるだろうか。

「でもそれ以外ないからなぁ...」

「木でもあれば船が作れるだろうが...」

「そうだ!木だ!」

森に行けば木がある。ならばそれで簡易的な船を造ればいい

「そうときまればやるしかねえ!」

森までは少し距離がある、なるべく大股で歩いて慎重に森へと進んだ

「よし着いたぞ...」

「あとは木を切る方法だが...」

(ものを切れそうなスキルがあったような...)

(たしか...)

目の前にある木に手を掲げてこう言った。

「ウインド・カッター(風断)!」

(スパンッ!)

例えるならそんな音だろう。
目の前の木だけでなく、周りにあった殆どの木がいともたやすく切れた。

「すげぇ...」

思わず口に出てしまう程だった

「とりあえずあとはこいつらをまとめて縛るためにツルが必要だな」

ツルぐらいならそのへんにあったので回収した

問題はここからである

「これをどうやって運ぶか...」

「誰か代わりに運んでくれねえかな...」

「気絶してるあの人とか手伝ってくれないかな...」

いまさっき自ら気絶させた男のことである

(そういえば、チャームっていうスキルあったな...)

「これであの人に命令できねえかな」

チャームと言えば精神操作の類のスキルである。
これを使えば歩かずとも材料を運べるだろう。

「とりあえず一回死んでもどるか」

死に過ぎてこんなことも当たり前に言えるようになった自分が怖い。
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みんなの感想(1件)

グリーンフレッシュ

歩数制限から逃げないで

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