異端の召喚者

苺魏

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第四話

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「師匠、何言ってるの?」
「だから、召喚できないんだったらそこら辺の獣と契約して従魔にすればいいんじゃないって」
「一日で出来ると思う?」
「頑張ったらできるんじゃない?」
「どう考えても無理。最速でも、1ヶ月かかるわよ 」
「そう?まぁ、頑張って!獣使いケモナーの杖貸してあげるから」

獣使いの杖とは獣と契約する時に使う杖で、プロの獣使いは使わず、見習いくらいしか使わない。なくても契約できるからだ。

師匠は森まで私を連れて行くと、縛りの術かけて去っていった。
「大丈夫、ここそんな強いヤツ出ないから~。あと、1時間は森から出られないよ~」

と言い残して。
「もう、師匠~」

縛りの術は人や動物、物を特定の場所に縛り付ける術である。
罪人などを牢にとどめておく時にも使う。
私の場合は森に縛り付けらた感じ。

ただし術を使う側がかける側より格上じゃないと失敗するけど。

師匠強引すぎる。
どうしよう。

師匠に師事した時に獣使いとか魔物使いビーストテイマーとかの本は一通り読んだけど、そんなやり方知ってるだけじゃ実戦は出来ないって。言葉で説明されただけでなんでも出来るようになってら人はなんにでも慣れるわ!
狩りの仕方 息を殺し、獲物を待つ。そして獲物が来たら矢を放つ。コツは獲物を動くものとして捉えること。
とか!そんなんでできるか!化け物か!

てか、こんな無駄なことしてる暇ないんだった。
召喚士兼獣使いになるのも悪くはないかも!
うん!頑張ってみよう!

確かこのコルスタの森には低位から中位の獣が住んでいて、その中でも一番弱いのがチトというネズミの一種、黒い毛に赤色の目をしていて大きさ手に乗るくらいなんだけど、認めてもらえるわけないからこれは却下で。

なんでか知らないけどコルスタの森には虫が存在しない。だから一番低位なのがネズミなのだ。それでも生態系が成り立っているんだから凄いんだけど。

家に認めて貰うためにはせめて中位の獣がいる。
中位となると私には難しい。

普通の獣使いは見習いの頃に、数匹の低位の獣と契約する。
低位の獣でも育てれば強くなるし、霊獣へと昇華することもある。
その獣達を修行しながら強く育てることで、獣使いになった時点でどんなに弱くても中位の獣くらいなら御することが可能になるのだ。
ただ獣を育てることをサボったり真面目に修行しなければ、獣使い自体なれない。全ての職業には試験があるからだ。
もちろん召喚士の試験もある。
私はそれに合格したから召喚士になれたのだ。魔力の測定とぺーパーテストしかなかったけど。

霊獣は獣があるきっかけで強くなり、昇華することで誕生する。生まれた時から霊獣ということではないため、霊獣を召喚することは出来ないのだ。
もし、霊獣を使役したいなら獣を召喚して育てることが一番だ。
稀に普通の獣の中でも霊獣に昇華するという先天的な力を持つ個体も生まれるらしい。
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