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84 それぞれの視点
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~何回か場面や視点が変わります~
>>>>>ケビン視点>>>>>>
何故か父様が早馬で帰ってきた。あれ?これは辺境伯領にいた時の父様に似ているなあ。
「父様、お帰りが早いですね?どうしたのですか?」
「ケビン、どうしたもこうしたもない。トリニティからの報告で早急に戻ってきた。工房の周りに家が立ち並んでいるのだが。あれは何だ?」
「あれはですね、単身寮と家族寮です。働く従業員たちの住まいがなかったので作ってみました。僕は今、お布団を作ってます。快適に仕事をしてもらいたいので考えました。もちろん兄様達には報告しましたよ。父様には事後報告ですみません。ですが、住む家がなかったにはびっくりしました。みんな工房に雑魚寝をしていたり、街の方の宿を借りていたのです。体を壊してしまいそうだったので、家を作りました。辺境での経験が生かされました。良い出来だと自負してます」
「そ、そうか。確かにいい家だ。うちの屋敷よりもきれいだな。イーサンが工房に友人や先輩を誘ったと言っていたな。父様が考えつかずにすまなかったな」
「そんなことないです。初めてのことなのでしょうがないです。お酒は領民が働いているので気づかなかっただけです、父様。でもみんなすごいです。魔道具を作る熱量が違います。だからいっぱい作ってほしい魔道具などを言ってきました。作ってくれるかな」
父様は俺の頭を撫でまわし、工房の方へ行ってしまった。さてお布団をいっぱい作らないと。そうだ、エアコン作ってもらわないと。また言わなくちゃ。
>>>>工房(イーサン視点と父様視点>>>>>
「父様、お帰りなさい。早かったですね。母様達もお帰りですか?」
「違う、私だけ急いで帰ってきた」
3人は辺境に急いできた父様のことを思い出した。またかと。
「すみません、父様に相談もなく我々で考え行動を起こしてしまいました。従業員となる者たちの衣食住が決まっていなかったため、至急考え行動しました。雇用契約書はこちらです。そして、見ていただいたかもしれませんが、ケビンが単身寮と家族寮を建築しました。皆喜んでいます。特に単身寮。食堂、温泉完備です。一部屋一部屋に小さい調理台、トイレ、お風呂があります。付属品はベッドと収納タンス。ケビンはよく考えますよ。ところで、ケビンに付ける従者は決まったと聞いているのですが、まだ付けないのですか?」
「私も後で単身寮や家族寮を見学したいものだな。ケビンの従者は私が公爵領から帰ってきてから紹介しようと考えていたのだ」
「そうですか、実はですね、今、私の学園時代の友人一人を呼んでいるのです。来るかどうかはわかりません。優秀なのですが、自分が尊敬できるものにしか就かない性格でして、以前は寄り親の侯爵家の文官をしていたのですが、合わずに退職し、今は自身の父と兄の手伝いをしている友人をケビンに付けたら面白いのではないかと思い呼んでみました」
「大丈夫なのか?逆にケビンを助長することはないか?」
「そうなのです、二人で仲良くやってしまえと思うタイプだと思います。その従者になる人はストッパーになる強い意志がありますか?」
「たぶん、大丈夫だと思う。トリニティの一族の者だ。イーサンの従者のディーンの従兄弟だ。あの一族は特殊な訓練をしている。ケビンの手綱をしっかり握れる従者ということだ」
「ケビンの手綱を上手捌けるかが鍵ですね」
「ケビンだからなぁ」
「そうですねぇ」
〉〉〉ブラッド視点〉〉〉
王都学園時代の友人イーサンとランドルフから魔鳥での手紙がきた。急ぎの用か?イーサンはたしか王宮で宰相の事務官補佐をしていたはずだ。ランドルフも王都の街の小さな工房に勤めたはずだ。イーサン達は学園時代、魔道具を研究していたが魔道研究所に配属されるのは親のコネかよほど優秀な成績ではないと入れない狭き門なのだ。だから半ば諦め事務官補佐になったな。あの時は母親が王女殿下だから事務官補佐はコネだろうなどと嫌味を言われていたが、あいつは優秀だから実力で事務官補佐になったやつだ。偏屈な俺に対しても分け隔てなく接して、いつのまにかあいつのグループでつるむようになった。あのグループはみんな優秀なんだよ。そしてそれぞれが独特な性格。それをまとめているイーサンはすごいやつだよ。貧乏伯爵家の嫡男の地位を放棄したと言っていたが本当だろうか?あいつからの手紙なんてどうしたのだろう。
ブラッドへ
久しぶりだな、ブラッド。元気にしているか?俺の方は宰相事務官補佐を辞めることにした。今、引き継ぎをしている最中だがなかなか進んでいない。
事務官補佐を辞めて、自身の伯爵領で魔道具開発をすることにしたんだ。ことの発端はうちの弟、ケビンがさまざまな作って欲しい魔道具を言ってくるんだ。本当にあいつの頭の中身が知りたい。そのケビンは、なんと言うか報連相ができない弟で、思い立ったらやらかしてしまうやつなんだ。ブラッドにケビンの事務官をお願いしたい。お前ならケビンの行動に付いていけると思っている。どうだろうか?
魔道具開発にランドルフ、ルーティー、セドリックや先輩達がうちの領地にすでに生活を始めている。もし興味があるなら一度うちの領地に来ないか?
連絡待っている。 イーサンより
なんだ、この手紙は。弟の面倒を見ろと言っているのか?イーサン、あいつ宰相の事務官補佐を辞めて魔道具開発をするだって!
ランドルフからの手紙は、こっちに来い、楽しいぞ。イーサンの弟ケビン様はおかしい。お前の上をいくと思う。お前でも大変と思うような子だと思うぞ。こっちに来いよ。待っている。 ランドルフ
ランドルフ、ルーティー、セドリックまで居るなんて。ここにいても、父上や兄上の補佐するだけの生活か。せっかく寄親の侯爵の事務補佐を与えられたのに、環境が合わず、今は実家の世話になっている。俺はここにいてもいなくてもいい状況だ。イーサンの弟のやらかしって。あははは、楽しそうだな。でも貧乏伯爵家とイーサン自身が言っていたが大丈夫なのか?魔道具開発ができる環境になったと言うことか?よし、行ってみよう。善は急げだ。
「父上、兄上、今までお世話になりました。これから友人のイーサンの所、フォーゲリア伯爵領に行ってきます。多分そちらで働きます。落ち着いたら連絡します。では」
そして、馬にまたがり、フォーゲリア領へ急いだ。明日の昼前あたりには着くだろう。
>>>>>ケビン視点>>>>>>
何故か父様が早馬で帰ってきた。あれ?これは辺境伯領にいた時の父様に似ているなあ。
「父様、お帰りが早いですね?どうしたのですか?」
「ケビン、どうしたもこうしたもない。トリニティからの報告で早急に戻ってきた。工房の周りに家が立ち並んでいるのだが。あれは何だ?」
「あれはですね、単身寮と家族寮です。働く従業員たちの住まいがなかったので作ってみました。僕は今、お布団を作ってます。快適に仕事をしてもらいたいので考えました。もちろん兄様達には報告しましたよ。父様には事後報告ですみません。ですが、住む家がなかったにはびっくりしました。みんな工房に雑魚寝をしていたり、街の方の宿を借りていたのです。体を壊してしまいそうだったので、家を作りました。辺境での経験が生かされました。良い出来だと自負してます」
「そ、そうか。確かにいい家だ。うちの屋敷よりもきれいだな。イーサンが工房に友人や先輩を誘ったと言っていたな。父様が考えつかずにすまなかったな」
「そんなことないです。初めてのことなのでしょうがないです。お酒は領民が働いているので気づかなかっただけです、父様。でもみんなすごいです。魔道具を作る熱量が違います。だからいっぱい作ってほしい魔道具などを言ってきました。作ってくれるかな」
父様は俺の頭を撫でまわし、工房の方へ行ってしまった。さてお布団をいっぱい作らないと。そうだ、エアコン作ってもらわないと。また言わなくちゃ。
>>>>工房(イーサン視点と父様視点>>>>>
「父様、お帰りなさい。早かったですね。母様達もお帰りですか?」
「違う、私だけ急いで帰ってきた」
3人は辺境に急いできた父様のことを思い出した。またかと。
「すみません、父様に相談もなく我々で考え行動を起こしてしまいました。従業員となる者たちの衣食住が決まっていなかったため、至急考え行動しました。雇用契約書はこちらです。そして、見ていただいたかもしれませんが、ケビンが単身寮と家族寮を建築しました。皆喜んでいます。特に単身寮。食堂、温泉完備です。一部屋一部屋に小さい調理台、トイレ、お風呂があります。付属品はベッドと収納タンス。ケビンはよく考えますよ。ところで、ケビンに付ける従者は決まったと聞いているのですが、まだ付けないのですか?」
「私も後で単身寮や家族寮を見学したいものだな。ケビンの従者は私が公爵領から帰ってきてから紹介しようと考えていたのだ」
「そうですか、実はですね、今、私の学園時代の友人一人を呼んでいるのです。来るかどうかはわかりません。優秀なのですが、自分が尊敬できるものにしか就かない性格でして、以前は寄り親の侯爵家の文官をしていたのですが、合わずに退職し、今は自身の父と兄の手伝いをしている友人をケビンに付けたら面白いのではないかと思い呼んでみました」
「大丈夫なのか?逆にケビンを助長することはないか?」
「そうなのです、二人で仲良くやってしまえと思うタイプだと思います。その従者になる人はストッパーになる強い意志がありますか?」
「たぶん、大丈夫だと思う。トリニティの一族の者だ。イーサンの従者のディーンの従兄弟だ。あの一族は特殊な訓練をしている。ケビンの手綱をしっかり握れる従者ということだ」
「ケビンの手綱を上手捌けるかが鍵ですね」
「ケビンだからなぁ」
「そうですねぇ」
〉〉〉ブラッド視点〉〉〉
王都学園時代の友人イーサンとランドルフから魔鳥での手紙がきた。急ぎの用か?イーサンはたしか王宮で宰相の事務官補佐をしていたはずだ。ランドルフも王都の街の小さな工房に勤めたはずだ。イーサン達は学園時代、魔道具を研究していたが魔道研究所に配属されるのは親のコネかよほど優秀な成績ではないと入れない狭き門なのだ。だから半ば諦め事務官補佐になったな。あの時は母親が王女殿下だから事務官補佐はコネだろうなどと嫌味を言われていたが、あいつは優秀だから実力で事務官補佐になったやつだ。偏屈な俺に対しても分け隔てなく接して、いつのまにかあいつのグループでつるむようになった。あのグループはみんな優秀なんだよ。そしてそれぞれが独特な性格。それをまとめているイーサンはすごいやつだよ。貧乏伯爵家の嫡男の地位を放棄したと言っていたが本当だろうか?あいつからの手紙なんてどうしたのだろう。
ブラッドへ
久しぶりだな、ブラッド。元気にしているか?俺の方は宰相事務官補佐を辞めることにした。今、引き継ぎをしている最中だがなかなか進んでいない。
事務官補佐を辞めて、自身の伯爵領で魔道具開発をすることにしたんだ。ことの発端はうちの弟、ケビンがさまざまな作って欲しい魔道具を言ってくるんだ。本当にあいつの頭の中身が知りたい。そのケビンは、なんと言うか報連相ができない弟で、思い立ったらやらかしてしまうやつなんだ。ブラッドにケビンの事務官をお願いしたい。お前ならケビンの行動に付いていけると思っている。どうだろうか?
魔道具開発にランドルフ、ルーティー、セドリックや先輩達がうちの領地にすでに生活を始めている。もし興味があるなら一度うちの領地に来ないか?
連絡待っている。 イーサンより
なんだ、この手紙は。弟の面倒を見ろと言っているのか?イーサン、あいつ宰相の事務官補佐を辞めて魔道具開発をするだって!
ランドルフからの手紙は、こっちに来い、楽しいぞ。イーサンの弟ケビン様はおかしい。お前の上をいくと思う。お前でも大変と思うような子だと思うぞ。こっちに来いよ。待っている。 ランドルフ
ランドルフ、ルーティー、セドリックまで居るなんて。ここにいても、父上や兄上の補佐するだけの生活か。せっかく寄親の侯爵の事務補佐を与えられたのに、環境が合わず、今は実家の世話になっている。俺はここにいてもいなくてもいい状況だ。イーサンの弟のやらかしって。あははは、楽しそうだな。でも貧乏伯爵家とイーサン自身が言っていたが大丈夫なのか?魔道具開発ができる環境になったと言うことか?よし、行ってみよう。善は急げだ。
「父上、兄上、今までお世話になりました。これから友人のイーサンの所、フォーゲリア伯爵領に行ってきます。多分そちらで働きます。落ち着いたら連絡します。では」
そして、馬にまたがり、フォーゲリア領へ急いだ。明日の昼前あたりには着くだろう。
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