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202 癒されましょう
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先ぶれをしていたこともあり、フランソワ様とジェファーソン様が待っていた。かなりびっくりしていたが、少人数でお出迎えはありがたい。
「お母様、メルシー、会いたかったわ。ごめんなさい、弱い姉様で。転移してくるなんてビックリしたわ。一体どうやって転移してきたの?」
「そうですよ、義母上様。そして久しぶり、会えてうれしいよ、メルシー、元気だったか」
あのー、俺は置き去りになっていますが。小さすぎて見えない可能性がある。みんなの目線が下に来ないので、見えていない。
「そうだわ、お姉様、うちの三男のケビンとカーバンクルのクルちゃんを紹介します。カーバンクルのクルちゃんが転移をしてお姉様のところに来ることが出来たのです」
「「カーバンクルさま??」」
ピンクルを抱いた俺をみんなが一斉に見てきた。一斉にだよ。
「あ、あのケビンです。これがクルです」
「はぁーい、クルよ。よろしくね」
やはりクルさん、アメリカナイズしていませんか。はぁーいって気安い挨拶だね。
ザザッってここでも最高礼。
「もうそれやめて、普通に接してほしいわ」
俺は母様にやめさせるようにお願いした。それからソファに促され、お茶とお菓子をもらった。クルはすぐ飛びついた。あっちでも食べていたよね。太るよって、ごめん、睨まないで、シャーしないこと!
「お姉様、ここへ来たのは王宮に一緒に来て欲しいの。みんな待っているわ」
「そうよ、フランソワ。みんながあなたを待っているわ。それに噂を聞いたのよ。あなた方が離縁するかもしれないって」
母様とお祖母様が説得にあたっていた。フランソワ様はうつむいて涙を流し始めた。
「子供が出来ないの。あの時の難産で出来にくくなってしまったの。ジェフに申し訳なくて。私と離縁すれば新たな奥様を娶り子供が出来るわ。この人の幸せを奪ってはいけないのよ」
ジェファーソン様はフランソワ様の手を取りイケメンボイスで語った。
「私は他の女性を娶ることはしない。私の妻はフラン、君だけなんだ。愛しているのは君なんだ。お願いだ、離縁するということ自体考えないでほしい。私と二人で乗り越えよう。子供はできるよ。夢を見たんだ。双子の男の子とそして君に似た女の子が二人、腕に赤ちゃんを抱いた君が優しく私に微笑んでいるんだ。女神のようだったよ。大丈夫、もう一人で悩まないでほしい」
ジェファーソン様は予知夢でも見られるのか?特殊能力の持ち主なのかもしれない。
「ねぇ、お姉様、王宮のみんなのところへ行きましょう。そして、その後フォーゲリアの領地で準備が出来たら、遊びに来てください。心も体も癒しに来てください。お義兄様も一緒ですよ。その時は仕事はしてはダメです。二人の時間を過ごしてほしいのです」
「メルシーの領地へ?フォーゲリア伯爵領?」
そうだよね、貧乏伯爵家の知名度の方が大きい。まだ払拭できていない。じわじわと来ているはずなんだ。ここは俺が説明しないといけないな。
「僕から説明いたします。うちには温泉があります。そこで体を癒し、のんびりしてください。こちらのクルさんとあとレオンハルトの従魔フェンリルのリルさんと生活してください。抱っこしたり、撫でたり、ブラッシング、散歩など触れ合うことでストレスの軽減になるかもしれません。かもと言ったのはこの猫ちゃんや犬がわがままを言って困らせることがあるかもしれないのです。たぶん」
「ひどいわね、私はわがまま言わないわよ。リルはわからないけど」
説明になっていなかったかもしれないが、犬猫セラピーでストレス軽減させ、温泉に入り体を癒して欲しいことを伝えた。そして夫婦二人の時間を大事にしてほしかった。ずっと子供が出来ないことによる周りからのプレッシャーと嫌味に晒されてきた心を2人で一緒に癒してほしいのだ。たぶん、その間、二人でゆっくり過ごすことを躊躇していたかもしれない。離縁を考えるほどだから。
「ありがとう。そうね、人生まだまだ長いわね。そうね、メルシーのところに行ってみたいわ。ジェフ、一緒に行けるかしら?」
「ああ、一緒に行こう。仕事は時々戻って仕事してもいいかい?」
「ええ、その時はメルシーがいてくれるのでしょう。そういえばメルシーあなた赤ちゃん、どうしたの?王宮に置いてきてしまったの?メルシーの領地に行った時に私が赤ちゃんのお世話をしていいかしら?」
「もちろんよ、お姉様。うちのルーナはお母様に似ているのよ。お父様が離さないのよ」
今もお祖父様に抱かれているのだ。ルーナは嫌がりもせず、ニコニコキャッキャしていたり、お祖父様の腕で眠ったりしている。お祖父様はご機嫌なんだ。ルーナ世渡りがうまいぞ。将来有望だ。
「私もメルシーのところに行っても良いわよね?オスカーも行きたいと言いそうだけど、仕事をしていてもらいましょう。でもジェラルディンは絶対一緒にくるわよ」
「うふふ、お母様と過ごせるなんて嬉しいわ。ゴリ押ししてきそうなのはお姉様らしいわ。女性だけでも過ごしたいわね」
女性陣の話は尽きない。あちらに戻らないといけないよね。話の腰を折るのは気が引ける。どうしよう。
「お母様、メルシー、会いたかったわ。ごめんなさい、弱い姉様で。転移してくるなんてビックリしたわ。一体どうやって転移してきたの?」
「そうですよ、義母上様。そして久しぶり、会えてうれしいよ、メルシー、元気だったか」
あのー、俺は置き去りになっていますが。小さすぎて見えない可能性がある。みんなの目線が下に来ないので、見えていない。
「そうだわ、お姉様、うちの三男のケビンとカーバンクルのクルちゃんを紹介します。カーバンクルのクルちゃんが転移をしてお姉様のところに来ることが出来たのです」
「「カーバンクルさま??」」
ピンクルを抱いた俺をみんなが一斉に見てきた。一斉にだよ。
「あ、あのケビンです。これがクルです」
「はぁーい、クルよ。よろしくね」
やはりクルさん、アメリカナイズしていませんか。はぁーいって気安い挨拶だね。
ザザッってここでも最高礼。
「もうそれやめて、普通に接してほしいわ」
俺は母様にやめさせるようにお願いした。それからソファに促され、お茶とお菓子をもらった。クルはすぐ飛びついた。あっちでも食べていたよね。太るよって、ごめん、睨まないで、シャーしないこと!
「お姉様、ここへ来たのは王宮に一緒に来て欲しいの。みんな待っているわ」
「そうよ、フランソワ。みんながあなたを待っているわ。それに噂を聞いたのよ。あなた方が離縁するかもしれないって」
母様とお祖母様が説得にあたっていた。フランソワ様はうつむいて涙を流し始めた。
「子供が出来ないの。あの時の難産で出来にくくなってしまったの。ジェフに申し訳なくて。私と離縁すれば新たな奥様を娶り子供が出来るわ。この人の幸せを奪ってはいけないのよ」
ジェファーソン様はフランソワ様の手を取りイケメンボイスで語った。
「私は他の女性を娶ることはしない。私の妻はフラン、君だけなんだ。愛しているのは君なんだ。お願いだ、離縁するということ自体考えないでほしい。私と二人で乗り越えよう。子供はできるよ。夢を見たんだ。双子の男の子とそして君に似た女の子が二人、腕に赤ちゃんを抱いた君が優しく私に微笑んでいるんだ。女神のようだったよ。大丈夫、もう一人で悩まないでほしい」
ジェファーソン様は予知夢でも見られるのか?特殊能力の持ち主なのかもしれない。
「ねぇ、お姉様、王宮のみんなのところへ行きましょう。そして、その後フォーゲリアの領地で準備が出来たら、遊びに来てください。心も体も癒しに来てください。お義兄様も一緒ですよ。その時は仕事はしてはダメです。二人の時間を過ごしてほしいのです」
「メルシーの領地へ?フォーゲリア伯爵領?」
そうだよね、貧乏伯爵家の知名度の方が大きい。まだ払拭できていない。じわじわと来ているはずなんだ。ここは俺が説明しないといけないな。
「僕から説明いたします。うちには温泉があります。そこで体を癒し、のんびりしてください。こちらのクルさんとあとレオンハルトの従魔フェンリルのリルさんと生活してください。抱っこしたり、撫でたり、ブラッシング、散歩など触れ合うことでストレスの軽減になるかもしれません。かもと言ったのはこの猫ちゃんや犬がわがままを言って困らせることがあるかもしれないのです。たぶん」
「ひどいわね、私はわがまま言わないわよ。リルはわからないけど」
説明になっていなかったかもしれないが、犬猫セラピーでストレス軽減させ、温泉に入り体を癒して欲しいことを伝えた。そして夫婦二人の時間を大事にしてほしかった。ずっと子供が出来ないことによる周りからのプレッシャーと嫌味に晒されてきた心を2人で一緒に癒してほしいのだ。たぶん、その間、二人でゆっくり過ごすことを躊躇していたかもしれない。離縁を考えるほどだから。
「ありがとう。そうね、人生まだまだ長いわね。そうね、メルシーのところに行ってみたいわ。ジェフ、一緒に行けるかしら?」
「ああ、一緒に行こう。仕事は時々戻って仕事してもいいかい?」
「ええ、その時はメルシーがいてくれるのでしょう。そういえばメルシーあなた赤ちゃん、どうしたの?王宮に置いてきてしまったの?メルシーの領地に行った時に私が赤ちゃんのお世話をしていいかしら?」
「もちろんよ、お姉様。うちのルーナはお母様に似ているのよ。お父様が離さないのよ」
今もお祖父様に抱かれているのだ。ルーナは嫌がりもせず、ニコニコキャッキャしていたり、お祖父様の腕で眠ったりしている。お祖父様はご機嫌なんだ。ルーナ世渡りがうまいぞ。将来有望だ。
「私もメルシーのところに行っても良いわよね?オスカーも行きたいと言いそうだけど、仕事をしていてもらいましょう。でもジェラルディンは絶対一緒にくるわよ」
「うふふ、お母様と過ごせるなんて嬉しいわ。ゴリ押ししてきそうなのはお姉様らしいわ。女性だけでも過ごしたいわね」
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