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曖昧な博士と純粋な少年
しおりを挟む母娘は悩んでいた。
病院に出頭しろといわれている。
普通なら出頭すべきだろう。
何もしらない、自分たちよりも、出頭して専門家に頼んだ方が安心だ。
しかし、問題は専門家などと言うものが居るのかどうかだ。
「いやぁ、ほんとうに困るよ、ワガハイの大相撲はこれからどうなるのかね?」
なんとなく情報を得ようとしてつけたテレビからは派手なメイクをした相撲評論家が一連の異変をうけて話をしていた。
「強い衝撃を避けるように、などといわれても相撲に限らず、ほとんどのスポーツは強い衝撃を避けられないですからねぇ」
メインの司会者らしき人がまともな意見をのべる。
「いやいや他のスポーツはなんとか接触を避けることも可能じゃないかね?それに、相撲は国技であるからして・・・」
化粧の濃い評論家はしきりに国技の行く末を心配していた。
テレビをつけてわかった事は、思ったほどの混乱を生んでるわけではないという事くらいだった。
いや、もしくは、嵐の前の静けさなのかもしれないが...。
暫くして司会者がなにかを見て驚いたように喋り出した。
「えーここで、政府のほうからLIVE中継が繋がりそうですね、なにか、専門家から重大な発表があるのでしょうか、しばらくお待ちください。」
しばらくして、LIVE中継らしい映像が繋がって、脳科学の権威といわれている百樹健二郎博士が映った。
親子は固唾を呑んで聞いた
「ど...どうも、百樹(ももき)です。えー今回の一連の騒動はですね...わたしの見解によると、一時的意識の混濁...そして混乱による自我の不安定の連鎖現象とおもわれ...。」
なにを言ってるかわからない!
「とにかく、精密な検査が必要ですので最寄りの国立病院に急いで下さい」
結局、新しい事は全く聞かされなかった。
ふたりが失望してると誰かが博士の後ろに立ったのがわかった。
若い青年だ
青年は言った。
「意識の混濁?これが混濁かどうか自分で味わって下さい!」
そう言うがはやいか、博士のうなじのあたりに手刀のようなものを食らわせた
次の瞬間
博士はフッとわらって、ゆっくりと青年をふりかえって言った
「どんな気分ですか?」
やった!
画面に食らいついていた2人は青年がなにをやったのかわかった
いや、入れ替わりを体験した人間なら誰しもわかったはずだ。
わからず屋の博士に入れ替わりを体験させたのだ!
2人は青年が(博士が)なにを言うか、固唾を呑んで待った。
青年の言葉は予想外だった。
「いやぁ、なんか、突然すみません・・・冗談なんです。」
博士はぎょっとした顔になった。
「な、なに?」
「一旦終了しましょう!みなさんすみません!」
青年は深々と頭を下げた。
え?なにがどうなって?
母娘は唖然として見守ってると突然ブラックアウトして、画面が切り替わった。
しばらくお待ちください
テロップと同時にカワイイぬいぐるみが画面に映って、しばらくすると、前のスタジオに切り替わった。
司会者は一瞬気を抜いていたと見えてポカンとした顔で黙っていたが、映ってることがわかると慌ててスイッチが入った様に喋りだした。
「え...えー只今ご覧いただけたように、なにかしら病状に該当する方は、お早めに最寄りの国立病院に...行かれた方が良さそうですね...。」
なんとも、歯切れの悪いコメントだが、致し方ないだろう。
母娘は決めた。
先ほどの母の思いつきを試してから
もう一度考えよう...と。
国も国民も脳科学の権威も未だに何が起こってるかワカラナイノダという事がわかったので。
しかし、気になるのは先ほどの博士と青年のやりとりである。
母娘は納得のいくような様々な仮説を立ててみたが、腑に落ちそうな答えにはならなかった。
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