11 / 46
初診
しおりを挟む「だから言ったのよ!気が進まないって!」
山村みすずは大声をあげた、周りの人間が驚いてこちらを一斉にみた。
いや、その半数くらいは本当に驚いているかどうかは厚いガスマスクの様なものをしているのでわからない白衣を来た人達が遠巻きにみている。
なんなんだここは?
みすずは心の中で舌打ちした。
山村みすずと、山村ゆり子は結局最寄りの大学病院に行くことを決めたのだった。
来てみると、なぜか無駄に広いけれど窓のない大きな部屋に通されて、知らない人達と一緒に居なければならない羽目になっている。
よく見ると入口という入口にはガスマスクをして銃のような物をもった警備員らしき人が立っている。
そして体にはカップ焼きそばの器をひっくり返したようなものを何個もつけている服をきている...防弾チョッキにしては分厚い感じだ。
見るからにイカツイ格好だが、唯一の救いは病院という事もあって全員が給食当番が被るようなキャップ帽を被っているのがコミカルに見えなくもない。
彼らの言い分によると、危険な状態から守っているらしいが、どう考えても、守られてるという気がしない...むしろ・・・拘束?
「みすず、あんまり騒ぐと...。」
「騒ぐとなんだっていうの?まさか、撃たれるとでも?」
「そ、そうは言わないけど...病院だし。」
母が心配そうに周りをみわたすと銃をもっている自称警備の者のリーダーのような人が言った。
(なぜリーダーのような気がしたかというと、その人のキャップだけ赤かったからだ、いまも昔も赤はリーダーっぽくみえる。)
「大丈夫ですよ、我々は万が一に備えてここに居るだけですから...見た目が多少...物騒ですけどね。」
多少じゃないだろ!
みすずは心の中で毒づいた
そしてつい、2,3時間まえの自分の考えが甘すぎたことに腹を立てていた。
あの時もっと強く止めていれば...。
2,3時間前のことをみすずは思い返した。
テレビを消したあと母娘は結局、もう1度同じシチュエーションを作るという方法でもとに戻るかどうか試すことにした。
最初はみすずがビビりすぎて、頭を軽く叩いたので、チョットだけ母の顔が浮いてすぐにもとに戻った。
その様子がコミカルだったので、何回もやっているうちに、ゆり子の堪忍袋の緒が切れる音がした。
プチッ
「あんた、ふざけてる場合じゃないでしょ!」
バチーーン!
いい音がして、みすずは頭を押さえて叫んだ。
「なにすんのよ!」
と、言ったとおもったが、声になってない!
あれ?やった!これだ!
ゆり子がまた驚いた顔でこちらをみてる。
そうか、肉体から離れてるから、声が出なかったのか!
でも・・・これからどうしたんだっけ?
そうだ!近づいたんだ!
みすずはゆり子をつかもうとしたが、すっとすり抜けた。
あ...そうか!あのときは母が幽霊みたいに掴めないと思ったけど逆だったんだ!
今更気がついて、みすずはしきりに納得してスッキリした...たしかこれって?アハ効果って言うんだっけ?
そんな事を考えていると、みすずが抜けかけているせいか、ゆり子の身体はかなり不安定になっている
母はその不安定な体を抑えようとしてお互いがハグするような形になった。
グン!
そんな音が聞こえたような気がした次の瞬間
2人はお互いの顔をみた。
「みすず?」
「母さん?」
やった!もどったよおおお!
母娘はしばらく嬉しくてハグしあって泣いたが、念のためまた入れ替わらないように身体を離すことにした。
「それにしても」
母はいった
「どうしようかしらね、これから...。」
そうだ、戻ったので万々歳という事にはならないことをみすずは思い出した。
たぶん政府の発令した緊急なんちゃらが、本当だとしたら、今の状態も安心という事にはなってないらしい...。
しかし、あのテレビ中継をみた後では、おいそれと全てを任せようという気にもなれず...。
母娘は、とりあえずどうしたらよいのか悩んでいる所だった。
「一応、行くだけ行ってみましょう。気に入らなければ帰って来ればいいわ。」
母はそう言った。
「う...ん、そうだけど...気が進まないな...。」
娘は渋った。
何か明確な反論がある訳では無い、医療費や交通費は全額、国が負担してくれるらしいし、それで、なにか少しでも今の置かれてる状況がわかるなら良いのだけど...。
一つだけ気になるのは、優遇すぎるというのが引っかかるのだ。
タダより高いものは無い。
お父さんの口癖だ
お母さんは合理主義なので
「何言ってるの?タダより安いものはないでしょ?」
と言うのだが...。
うーん
決め手となる反論がなんとなくでは、弱すぎるので、結局母ゆり子の言う事を聞くことにした。
「みすず支度できた?」
「...はーい。」
なんとなく気が進まなかった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる