CHANGE syndrome

ハイブリッジ万生

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博士の疑問と青年の疑問

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トゥルルル

百樹博士と如月青年の話し合いが一段落した頃に内線の電話がなった。

「はい、百樹だが」

「先生、平和病院に至急向かって欲しいとの要請がありました」

「至急?なにかあったのかね?」

「それが、予想以上に患者が集まってるようで、すこし、暴徒化しつつあるらしいとのことで...。」

「それは不味い。...すぐに行くと伝えてくれ!」

「わかりました。」

百樹は受話器を置くと、青年に言った

「不味いことになった...早くも暴徒化するとは...とりあえず考えうる範囲で保安を支持したんだが...如月君、君も一緒に来てくれないか?」

「わ、わかりました...しかし」

「しかし、なんだね?」

「そのまえに博士の知ってる範囲でこの現象を教えてもらえませんか?」

「いいだろう、だが急いでるので車の中で話していいかね?」

「わかりました」

2人が部屋を出ると周りの目が一斉に向いた。

しかし、今は説明している時間が無い。

2人は周りの目を振り切って地下のガレージに急いだ。




ガレージには、博士の自家用の軽自動車が止まっていた。

「え?これで行くんですか?」

「そうだよ?おかしいかね?結構小回りがきくし、便利だよ?」

いや、それはそうだろうけど...大柄な博士がわざわざ軽自動車で...。
というより、普通運転手付きのベンツかなにかで移動していると思っていたので青年は驚いた。

「いや、これの方が私だとバレにくいし、秘密保持とあと…。」

「あと?」

「ボケ予防にもなるからね。」

博士は胸を張ってそう言った。

「はぁ...。」

気のない返事をした青年が助手席に乗り込むと、博士が言った。

「あ、悪いが運転してくれないか?ちょっと資料をまとめたいんでね、免許は持ってるんだろ?」

青年は肩をすくめて軽く頷いた。

「ありがとう」

博士はそう言うと、青年がよけた助手席座ってノートパソコンを開いた。














車内ではノートパソコンを睨みながら何やら資料の整理らしきことをしつつ、博士は青年の質問に答えていた。

「そうだね、どこから、話せばいいかわからないが、とりあえず私があれを見た時から話そうか?」

「あれとは?」

「アレだよ、紫の夜空、君も見たんだろ?」

「え?ええ...見ました...けど、なんで知ってるんです?」

「そうか、君は知らないのか...君がみた紫の空とこの現象...チェンジと強い関係があるんだよ。」

「え?そうだったんですか?」

「そうだ...実は私も見たのだ、あの夜、そう...その後私の研究仲間から様々な連絡や憶測などがきてね...まぁ最終的には政府から事態の収拾にむけて要請があった。」

「あの...失礼ですが、なぜ百樹先生に?もっと、他にも適任者がいるような気がしますけど...。」

「さぁ...それは私にもわからん、しかし、なんとなく察しはつくよ。」

「というと?」

「たぶん、この現象をしらない識者は頭から信じないだろう。」

「...はい」

「そして、知ってしまった識者は事態の収拾が如何に困難な事かを即座に理解したろう。」

「ま...まぁ、たしかに」

「そんな厄介な事の責任者に選ばれたいと思うかね?もし失敗したら、大変なバッシングを受けかねない」

「...なるほど。」

「つまり、めぐりめぐって私にお鉢が回ってきたってわけさ」

「そんな...。」

「まあ、他の識者を攻めなさんな、こんな厄介な事案、私も出来ることなら手を引きたいんだから」

博士は笑って肩をすくめた。

「あぁ、そうそう、それでこの件の責任者になってから、方々から情報が集まってきて...いまそれを整理してるんだが...。」
博士はパソコンの画面に目を落とした

「チェンジの起こりうる条件の一つ目が、あの夜あの空を見ているという事...。」

「二つ目が何らかの身体的ショックを受けているという事...。」

「そして、特筆すべき事はそのショックの受け方は伝染するらしいという事。」

「伝染ですか?」

「さよう...君が手刀でチェンジできるのは、君が誰かから手刀をうけたか...もしくは君が誰かに手刀を打ち込んだんだろ?」

「あ...たしかにそうです...。」

「でも、なぜ手刀なんだね?」
博士は訝しげに青年を見つめて言った

「スパイ映画でもないかぎり、手刀なんてしないだろ普通」

「え...いゃ...それは...。」

青年は口ごもった

「実は妹が......バカなんです。」













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