CHANGE syndrome

ハイブリッジ万生

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何がしかのアレ

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瀬戸友也は現在置かれている状況を忘れて目の前に現れた美少女にみとれていた。

大きな目とくっきりとした鼻、しかし綺麗なストレートヘアは無造作と言って良いほど、自然に任せているようだ...。

そして思った!

(そうだ!これは神様みたいなものが、俺の為に用意してくれたなにがしかのアレにちがいない!)

このような窮地に陥った時にあまりにもタイミングよく現れた彼女は天使を通り越してなにがしかのアレだと思わせるには十分であった。

(そうだよ!よく考えたら昔から入れ替わりといったら男女のアレだろ!なんで俺は男とばっかりなんだ!)

友也は心の中で毒づいた

(しかし、ここに来てこんな運命の出会いが待ってるとしたら...全部この為にあったと考えてもおかしくない!)

友也は心の中でなにがしかに感謝した。

(ありがとう運命!そして今までの俺!)

友也は意を決した...ここで、この子と入れ替わるしかない!

それが運命なのだ!...と

「あの...大丈夫ですか?」

友也のただならぬ様子に女の子の方から声をかけてきた

「はい!大丈夫です!てゆか、怒らないでくださいね!」

「え?何をですか?」

「全ては運命なのですから!」

「へ?」

それだけ言うと友也は猛然とタックルした

「ちょ...なに?きゃあ!」

ドシンって感じで女の子は尻餅をついた。

「わるい!少し身体借りるから!いつか返すから!それまで待っていてくれ!」

そういうと友也は立ち上がろうとしたが

驚きで硬直しているはずの女の子の顔(今は山里医師の顔だが)をチラッとみて一瞬固まった

微笑していたのだ

そして言った

「残念ねもう少しイケメンだったら、このまま逃がしても良かったのに...。」

友也は相手の言っている事を理解しようとした。

しかし無理であった、彼が取るべき最善の手はすぐに起き上がって逃げることであったが...。

なぜか微笑する顔から目をそらすことができなかった...。









友也は考えた。

とにかく、今までの彼女の反応からして、入れ替わりに関して何らかの知識を持っているにちがいない...。

だとしてもだ

もう1度タックルされなければ大丈夫だ。

そして、タックルというのは相手が止まっている状態でなければほとんど成功しない

それはサトシとなんども実験したので間違いないはずだ

友也はそこまで考えると背の高い山里医師を見上げるようにして言った。

「わ、わるいが元に戻る気は無い...そいつも本当の俺じゃない、俺の本体はこの奥の特別病棟ってところで麻酔銃で打たれて寝ている...悪いことは言わない...奥には行かない方がいい。」

そして、申し訳なさそうに

「わるいな...また会えたら本気で謝るから...。」

そう付け加えると、くるっと後ろを向いて走り出した。

すると彼女の入った山里医師も同時に走り出した。

友也は心の中で自分を落ち着かせるように言った。

(大丈夫、どんなに追いつかれても走ってる限りまともにタックルされることはない)

山里医師は友也の隣まできて並走した。

そしてニコッと笑うと言った。

「約束は守ってね?」

友也はその言葉を聞き終わるか終わらないかのタイミングで首に衝撃を受けて倒れた

気がついた友也の目の前には先ほどの美少女が顔をのぞきこんでいた

「おはよう!また会えたわね?」

「...お...おぉ...ぉはよぅ...」

何があったかわからずに友也は返答した

「あれ?約束忘れたの?」

「...やく...そく?」

やはりピンと来ずに友也は言った。

「また会えたら謝るんでしょ?」

少女はイタズラっぽく微笑んでいた。










友也は頭を何度か振ると今の状況を思い出した

(そうか、この子もチェンジできるのか)

(しかも、俺より数段うまいようだ)

事実数段うまかった。

もしここに、山村みすずが間に合って一部始終を見ていたらその違いを把握出来ていただろう。

なぜならお互いに走りながらチェンジしたにも関わらず、友也の方は盛大に転がったのに、対して、その女の子は即座に体制を立て直して、蹌踉(よろ)けることすらなかったからだ。

天性の運動神経に加えて超人的な予測イメージ能力がなければ不可能である。

友也はそこまでは理解できなかったが、かなり部が悪いことは薄々感づいていた。

(どうする?気絶してからどのくらい経ったのかわからないが、今なら彼女しかいないようだ...。)

友也は選択を迫られた

①このまま逃げる

②念の為もう1度タックルしてみる

③とりあえず告白する


......③はないな

(たしかに...そりゃねーな)

いきなり、男の声が聴こえた

「だっ誰だ!」

友也は叫んだが目の前の女の子はポカンとしている。

友也はまだ、起き上がろうとせず首だけを回して周りを見回したが男の姿は見えなかった。

だが、まったく声の主とはかけ離れた容姿の人物を視界の端に捉えた。

1人の少女が忽然と現れ、二人の様子を訝(いぶか)しげに見つめていたのである

(誰だあの子は...俺より歳下っぽいな...)

(ていうか...かわいい...いや、かわいいというより可憐だな...うん)

友也はまたもや自分の置かれている状況を忘れて少女に見蕩れていた。






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