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禁忌の子
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仄暗い部屋の中に1人の女の人が立っていた。
僅かな間接照明に照らされて、白衣が浮かび上がっている女性、白衣のポケットに手を突っ込んだまま、無数の試験管の中の一つを睨んでいた。
その無数の試験管の中に漂っている命は未だに不安定な状態にあったが、少しづつ人の形を取ろうとしていた。
これは、人間ではないんだ。
もうなんども、自分に言い聞かせてきた言葉を心の中で繰り返す。
器の中で培養された命、それも研究用に作られたものだ、だから、人間ではない。
もちろん、現在の法律では許されるわけがない、子供のクローンを無数に作って実験に使うなんて...たぶん、今後何10年先でも許されないだろう。
が...あくまで、公には許されないという話だが。
しかも、この一つ一つの試験管に入っているのは一つの命ではない、全部双子から六つ子になるようになっている。
なぜ双子以上が必要なのか?それは、ここがテレパシーの研究を極秘理に行う機関だからである。
ここ日本でも先進国に負けじとテレパシーの研究が極秘理に行われる様になったが、更にクローン技術も応用して、大規模な実験を行っているのはここだけだろう。
まさに禁忌を犯す実験ではあったが、もともと倫理などというものは、人間が人間の為に作ったものだと考えていた彼女はさほどこの実験に抵抗はなかった。
しかし、そのなかの一つから目が離せなかった。
「・・・・・・」
(やっぱり光ってるようにみえる)
僅かではあるけど内側から光っているようにみえた。
「なにこれ?」
彼女は何枚か写真を撮ったが、写真の中のそれは光っていなかった。
(どうなってるの?)
肉眼で見る時だけわかるような光ってなんだろ?もしくは私の目がおかしくなったのかしら?
更に凝視していると突然誰かに話し掛けられた気がした。
(.....テ)
「えっ?」
今の誰?
(.....・・・ケテ)
え?なんて?
(・・・タスケテ!)
「ひっ!」
思わず声が出てしまった
何今の?テレパシーなの?
だとしたら実験成功に近づいた?
いやいや、だとしてもここにいるのはまだ胎児なのよ!どうして、言語が・・・。
だんだんと怖くなって、ゆっくりとその試験管から後ずさりながらも、目を離せないでいた。
(マッテ!!オカアサン!)
「ひいっ!」
彼女は走ってその場から逃げた!
もう後ろを振り返る余裕などなかった。
研究室からでて自分の部屋に戻ると、しゃがみ込んで暫く動けなくなった。
「そんな・・・ばかな・・・」
ありえない...胎児の状態でテレパシーが使えるなんてありえない、言語野も発達してないのよ!
そして、さっきの言葉を思い出して震えた。
彼女は研究の為とはいえ、自らの遺伝子を提供したことを今更のように後悔した...。
僅かな間接照明に照らされて、白衣が浮かび上がっている女性、白衣のポケットに手を突っ込んだまま、無数の試験管の中の一つを睨んでいた。
その無数の試験管の中に漂っている命は未だに不安定な状態にあったが、少しづつ人の形を取ろうとしていた。
これは、人間ではないんだ。
もうなんども、自分に言い聞かせてきた言葉を心の中で繰り返す。
器の中で培養された命、それも研究用に作られたものだ、だから、人間ではない。
もちろん、現在の法律では許されるわけがない、子供のクローンを無数に作って実験に使うなんて...たぶん、今後何10年先でも許されないだろう。
が...あくまで、公には許されないという話だが。
しかも、この一つ一つの試験管に入っているのは一つの命ではない、全部双子から六つ子になるようになっている。
なぜ双子以上が必要なのか?それは、ここがテレパシーの研究を極秘理に行う機関だからである。
ここ日本でも先進国に負けじとテレパシーの研究が極秘理に行われる様になったが、更にクローン技術も応用して、大規模な実験を行っているのはここだけだろう。
まさに禁忌を犯す実験ではあったが、もともと倫理などというものは、人間が人間の為に作ったものだと考えていた彼女はさほどこの実験に抵抗はなかった。
しかし、そのなかの一つから目が離せなかった。
「・・・・・・」
(やっぱり光ってるようにみえる)
僅かではあるけど内側から光っているようにみえた。
「なにこれ?」
彼女は何枚か写真を撮ったが、写真の中のそれは光っていなかった。
(どうなってるの?)
肉眼で見る時だけわかるような光ってなんだろ?もしくは私の目がおかしくなったのかしら?
更に凝視していると突然誰かに話し掛けられた気がした。
(.....テ)
「えっ?」
今の誰?
(.....・・・ケテ)
え?なんて?
(・・・タスケテ!)
「ひっ!」
思わず声が出てしまった
何今の?テレパシーなの?
だとしたら実験成功に近づいた?
いやいや、だとしてもここにいるのはまだ胎児なのよ!どうして、言語が・・・。
だんだんと怖くなって、ゆっくりとその試験管から後ずさりながらも、目を離せないでいた。
(マッテ!!オカアサン!)
「ひいっ!」
彼女は走ってその場から逃げた!
もう後ろを振り返る余裕などなかった。
研究室からでて自分の部屋に戻ると、しゃがみ込んで暫く動けなくなった。
「そんな・・・ばかな・・・」
ありえない...胎児の状態でテレパシーが使えるなんてありえない、言語野も発達してないのよ!
そして、さっきの言葉を思い出して震えた。
彼女は研究の為とはいえ、自らの遺伝子を提供したことを今更のように後悔した...。
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