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魔法騎士団試験
修行と仕事
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森の中にぽつんとある家に僕達は居候さしてもらっている。
ちゃんと三食の食事があり、温かい布団で屋根のあるところで寝れる。
これだけのことだが、今までの日々と比べると十分すぎるほどの贅沢だ。
おばあちゃん達と居候してから数日が経ち、今日から仕事をすることになっている。
朝起きていつものように朝ごはんを食べた。
「今日からわしの仕事を若い少年と可愛いお嬢ちゃんに手伝ってもらうのじゃがいいかの? もう少しゆっくりなさってもいいんじゃが」
「いえいえ。こんなに助けてもらったんですからどんなことでもこき使ってください。あっ! すいません自己紹介をまだしていませんでしたね。僕はトモヤ・フローレスです。今後ともよろしくお願いします」
「私はセクアナと申します。迷惑をおかけするかもしれませんがよろしくお願いします」
自己紹介をしながらも朝ごはんを食べ終わった。
一応、おじいちゃんはアルバス、おばあちゃんはミネルバっていう名前だけど、
おばあちゃんやおじいちゃんの方が呼びやすくてそう呼んでいる。
おじいちゃんは仕事をするためか、家を出て小屋の方へ道具を撮りに行っている。僕も荷物を持つためについて行った。
「えーーと、これから農業をするからのう。ここら辺のスコップを持って行ってくれんか」
「はい、喜んで!」
一番掘りやすそうなスコップを持って外へ出た。するとおじいさんは足早に田んぼが近くにあるのか森の中へ入って行った。
そしておばあちゃんが後ろから優しく見送ってくれている。
ああ、なんか昔話みたいでほのぼのするな・・・
そんなことを思いながらおじいちゃんの後ろを迷わないようについていった。
約十分くらい歩いた先には縦三十メートル、横ニ十メートルくらいの田んぼが二つあった。
思っていたよりもこじんまりとしていた。
一つは野菜や作物の花が出ていてもう少しで収穫できそうだ。そしてもう一つは米を作るためか、まだ田んぼがしっかりと耕されていなかった。
「さあ、やるぞ。じゃあ二人ともわしがやっているようにここを耕してくれ!」
おじいちゃんは力強くスコップを振り下ろして土を耕している。
僕達も見よう見まねで同じようにやった。
こういうのは初めての経験だったが意外に疲れる。筋トレとは違う筋肉を使うせいかだんだん腰や腕が痛いくなってきた。足腰が鍛えられて、いい修行かもしれないな。仕事は違う解釈をすれば修行になるかもね!
修行のことを考えているとゲンブとの決闘を思い出した。あれは自分の体を犠牲にしていたから危なかったな。
まだまだ弱いことを思い知らされた。
あれから強くなりたいと思っていたが色々あって最近、修行ができていなかったからちょうどいい機会かもな。
そう考えながら、せっせと土を耕した。
昼になり昼ごはんを食べてしばらく休憩があるけど、その時は魔法の修行をした。
セイラ姉さんも言っていた。
「強化魔法」
雷を制御して身体能力を上げる・・・
イメージをしながらやっているが難しい。もうあんな思いはしたくない。セクアナを守るためや魔法騎士団試験に合格するために頑張った。
だけど難しい。
今までで一度だけできたことがあった。確かでっかい猪を倒そうとした時にセクアナを助けるために超スピードを出せたな・・・・
その時のイメージを考えてやってもできなかった。
セクアナも僕を見て、修行をやり始めた。
あの決闘でお互いにまだまだ足りないことを見つけて強くなろうとしている。
夕暮れ頃になって、おばあちゃんが待っている家に帰った。
僕達が仕事をしている間に川へ洗濯や料理を作ってくれていた。
本当、昔話みたいだな。
こんな暮らしを何日も繰り返している時、街へ収穫した野菜を売りに行く日がきた。
「うっ・・・」
野菜を売りに行くとは聞いていたけどとんでもない量が並んでいた。
じゃがいも、にんじん、それ以外にもたくさんの野菜を運び出した。
「えっと、こっこれを全部一回で出荷しに行くんですか?」
「そうじゃぞ! さあ、みんな持てる分だけ持ってくれんか」
明るくそんなことを言っているのですこし僕たちはひいた。
「でっ、でもどうやってこの量を持っていくのですか?」
出荷するものは全て大きな木箱に詰められて、10個くらいある。
さすがの僕達が協力しても僕が三つセクアナの筋力だと二つくらいしか運べないと思うな・・・・
そんなことを考えていると・・・
ムキっ、ムキムキ!
おじいちゃんの体がみるみると筋肉によって満たされる。
「はあああぁぁぁぁ!!」
その掛け声とともに来ていた上半身の服がちぎれさった。
「さぁ、街へ行くぞ」
口調がすこし怖くなり、身長も僕と同じくらいになり、なによりも筋肉が半端ない。ボディビルダーくらいの量をしている。
「えっと・・・」
僕は驚きですんだが、セクアナは目を丸くして立ったまま意識がほとんどない。
目の前に手で、おーいと合図を送ってもほとんど反応しない。
これはどうすることもできないと諦めてなぜこんな姿になれるのか聞いた。
「あの、これはどういうことですか? なぜそんなマッチョになれるのでしょうか・・・・」
しおしおとしていつも優しかったおじいちゃんがこんな姿になってすこし怖くなった。
「そうじゃな。まだわしの魔法のことを何も言っていなかったな。簡単にいえばわしの魔法は筋肉なんだ!」
「へっ、へぇぇぇ」
話を一応聞いていたが、この姿が気になりすぎてほとんど頭に入ってこなかった。
「えっと、それじゃあ、おばあちゃんはどんな魔法なの?」
そんなことを話しているとおばあちゃんが皿洗いを終わらして出てきた。
「私の魔法は花じゃよ。こうやってすこしの花ならすぐに出せますよ」
そう言って手のひらから数本の花を生成して落ちてきた。
「昔は何百本とすぐに出せたんけど歳をとってだんだん魔力も弱くなるからのう」
そう言ってすこし落ち込んだ。
へぇ、魔法は歳をとりすぎると自然に弱くなるのか。確かに体力や筋力とかも弱くなるからな。
「そうじゃな。わしも昔はずっとこの姿になれたんじゃが、今は何日も魔法を貯めないとこんな力持ちになれないからな・・・・」
えっ! 昔この姿でずっとなれたの!
そんなことを考えていると絶対、昔は強かったと思う。
その予想は当たっていた。
「昔、おじいさんは魔法騎士だったのよ」
やっぱりそうなんだ。
この姿を見ると納得できる。もしそうなら、何か魔法について教えてくれるかも!
さぁ、早く街へ持っていくぞ
そう言いながら軽々しく残りの五つの木箱を持ち上げた。
すごいパワーだ。
僕は固まっているセクアナの肩を大きく揺らして起こし、街へ向かった。
マッチョの姿だといつもより何倍も歩くスピードが速くてついていくのが大変だった。
なによりも年配の方に力負けしているのが悔しい。
必死についていきながら、正午が過ぎた頃に街へ着いた。
一応、深くフードを被って変装しているから僕のことは誰も気づかなかったが、たまに僕の悪い噂が耳に入ってくる。
しばらく歩き、やっと出荷の市場についた。
おじいちゃんが野菜売り場の人と話して給料をもらった。
やっと今日の仕事も終わり僕達は安心して椅子に座っていた。
「はああぁー」
僕は深いため息をついた。ここまでくるのにこんなに疲れるとは思わず、あらゆる体の部分が痛い。
「疲れたね。まさかおじいちゃんがあんなに力持ちだったなんて思わなかったよ」
「マッチョになった姿を見て固まっていた君がよく言えるよ」
「うっ・・・・ 確かにあの時は衝撃でほとんど意識がなかったな」
たわいもない話をしながらおじいちゃんが戻ってくるのを待っていた。
「あっ、おじいちゃんが戻ってきた」
誰と比べてもあんなにマッチョな人がいなくて悪い意味で目立っている。
「さぁ! 今日はお疲れ」
「疲れた」
「疲れました」
「ハァッハァッ、そうか。今日はゆっくり休むんじゃぞ」
マッチョではあるが優しい感じがあるのでなんだか安心する。
「じゃあ、早く家に帰りましょう!」
僕はそう言って張り切って歩き出した。
もう家に帰れる。今日はしんどい仕事だったな。
仕事が終わり、達成感があってとてもいい気分だった。でもおじいちゃんに止められてこの気分が一気に崩れた。
「トモヤ、何を言っとるんじゃ。今から家で食べるための一ヶ月分の食料を買い占めるんじゃぞ」
「・・・・・・・」
鬼か!
セクアナは絶望して不敵な笑いを浮かべて、僕は唖然とした。
僕達はたくさんの食料を買い、朝と同じように自分が持てる限界の荷物を持ち、また長い道のりに沿って帰った。
もう帰った時には僕とセクアナは汗だくで、立つ体力もなくその場に寝転んだ。
「はぁはぁはぁはぁ」
「もう・・・限界。しんどくて何もできないよ~~~」
おじいちゃんが僕達を家の中まで運んでくれた。
今日は何も食べずそのまま寝込んでしまった。
やっぱり力強いな。
「フフフ、この子達今日は災難だったようだね」
「ああ、そうじゃな。でもこの子達のおかげでたくさん儲けて食料も買えた。毎月二回これをやらないといけないから一回で済んでとっても助かったな。しばらく、仕事は休みにするか」
寝込んでいる状態だったが、かすかに二人の会話が聞こえた。
優しさを感じながらも疲れに負けて僕は寝入った。
一ヶ月に一度街に行って野菜を売り、他の日は休みがありながらも、重労働の農業を続けた。
そんな生活をしていたが、一年はあっという間に経ち、別れの日が近づいてくる。
魔法騎士団試験があとすこしの時、やっとの思いで強化魔法を習得できた。まだまだ弱い力だが、この一年かけて出来た。
セクアナも頑張っていたけど、全身の強化はできなかった。それでも足や腕など一部のところにはできるようになっていていた。
正直この一年でやっとセクアナを抜かせた気がした。でもまだセクアナの方が攻撃魔法の応用技のレパートリーは多く、強さは半分半分くらいだと思う。
最近、セクアナを傷つけることができなくてお互いに組み手をすることはなかったけど強くなれた気がする。
そして、今日はおばあちゃん、おじいちゃんとのお別れ。
荷物を簡単にまとめて鞄にいれた。準備ができると家のいつも食事をする大きい部屋で感謝を伝えようとした。
「おばあちゃん、おじいちゃん、この一年間私達を育ててくれてありがとうございます。これからもお体に気をつけて暮らしてください」
「おじいちゃん、おばあちゃん、今までありがとう!」
この一年で家族のように育ててくれていつのまにか、僕はタメ口で話すようになっていた。
「いえいえ、こちらこそ楽しい時間をありがとね。あなた達のことを本当の孫のように思っていたわ」
「そうか、一年は早いな。これからもわしらと一緒に暮らしてほしんじゃがな・・・・」
「すいません。私達はたくさんの人を助けるために魔法騎士になります」
「そうかそうか。立派なもんじゃな。セクアナ、いつもわしやばあさんを手伝ってくれてありがとうな。お前は器用だからこれからも頑張れよ!」
「セクアナ、あなたの家事の手伝いのおかげで私も助かったよ。ありがとう」
久しぶりに褒められて頬をかきながら照れている。
「トモヤ・・・」
僕の番だ。何を褒めてくれるのかな!
「お前は・・あれだ。そうじゃ・・・!
まぁ、頑張れよ!」
あれ・・・ 僕のこと褒めてくれないの。セクアナはあんなに褒めていたのに。
「えっと・・・ それだけ?」
「ばあさん! 何か言ってやれ」
おいおい、ばあさんにまる投げするなよ。
「トモヤはいつも優しかったよ。私が風邪をひいた時は誰よりも心配してくれたし。魔法騎士になってもたくさんの人を助けなさい」
おばあちゃんにちゃんと褒められてすこし照れた。
「トモヤは修行に関してはなんでもできていたから、その力でたくさんの人を守ってやってくれ」
おじいちゃんが褒めてくれて嬉しくなり、大きな返事をした。
すこしだけだったが僕達の修行に手伝ってくれた。教え方がうまくてとてもいい先生みたいだった。
そして僕達が家を出ようとした時、渡したいものがあると言って、奥におばあちゃんがいってしまった。
すこし何か漁った後、何かを持ってきた。
「これはお守り、いつかあなた谷を助けてくれると思うわ!」
そう言って、花のバッチをくれた。緑と赤色できれいだ。
「ありがとう!」
お礼を言って腕の袖につけた。
玄関で靴を履いた。二人が立って見送ってくれる。
「必ず立派な魔法騎士になって戻ってきます」
「そうか。また帰ってくることを楽しみにしているよ」
「いつでもご飯、食べにきなさい」
そして僕は玄関のドアを開けた。光が差し込んで二人が輝いて見えた。
もう一度おばあちゃんとおじいちゃんに会いたい。
そう思っていたので、僕はさよならとは言わずこう言って出発した。
「行ってきます!!!」
ちゃんと三食の食事があり、温かい布団で屋根のあるところで寝れる。
これだけのことだが、今までの日々と比べると十分すぎるほどの贅沢だ。
おばあちゃん達と居候してから数日が経ち、今日から仕事をすることになっている。
朝起きていつものように朝ごはんを食べた。
「今日からわしの仕事を若い少年と可愛いお嬢ちゃんに手伝ってもらうのじゃがいいかの? もう少しゆっくりなさってもいいんじゃが」
「いえいえ。こんなに助けてもらったんですからどんなことでもこき使ってください。あっ! すいません自己紹介をまだしていませんでしたね。僕はトモヤ・フローレスです。今後ともよろしくお願いします」
「私はセクアナと申します。迷惑をおかけするかもしれませんがよろしくお願いします」
自己紹介をしながらも朝ごはんを食べ終わった。
一応、おじいちゃんはアルバス、おばあちゃんはミネルバっていう名前だけど、
おばあちゃんやおじいちゃんの方が呼びやすくてそう呼んでいる。
おじいちゃんは仕事をするためか、家を出て小屋の方へ道具を撮りに行っている。僕も荷物を持つためについて行った。
「えーーと、これから農業をするからのう。ここら辺のスコップを持って行ってくれんか」
「はい、喜んで!」
一番掘りやすそうなスコップを持って外へ出た。するとおじいさんは足早に田んぼが近くにあるのか森の中へ入って行った。
そしておばあちゃんが後ろから優しく見送ってくれている。
ああ、なんか昔話みたいでほのぼのするな・・・
そんなことを思いながらおじいちゃんの後ろを迷わないようについていった。
約十分くらい歩いた先には縦三十メートル、横ニ十メートルくらいの田んぼが二つあった。
思っていたよりもこじんまりとしていた。
一つは野菜や作物の花が出ていてもう少しで収穫できそうだ。そしてもう一つは米を作るためか、まだ田んぼがしっかりと耕されていなかった。
「さあ、やるぞ。じゃあ二人ともわしがやっているようにここを耕してくれ!」
おじいちゃんは力強くスコップを振り下ろして土を耕している。
僕達も見よう見まねで同じようにやった。
こういうのは初めての経験だったが意外に疲れる。筋トレとは違う筋肉を使うせいかだんだん腰や腕が痛いくなってきた。足腰が鍛えられて、いい修行かもしれないな。仕事は違う解釈をすれば修行になるかもね!
修行のことを考えているとゲンブとの決闘を思い出した。あれは自分の体を犠牲にしていたから危なかったな。
まだまだ弱いことを思い知らされた。
あれから強くなりたいと思っていたが色々あって最近、修行ができていなかったからちょうどいい機会かもな。
そう考えながら、せっせと土を耕した。
昼になり昼ごはんを食べてしばらく休憩があるけど、その時は魔法の修行をした。
セイラ姉さんも言っていた。
「強化魔法」
雷を制御して身体能力を上げる・・・
イメージをしながらやっているが難しい。もうあんな思いはしたくない。セクアナを守るためや魔法騎士団試験に合格するために頑張った。
だけど難しい。
今までで一度だけできたことがあった。確かでっかい猪を倒そうとした時にセクアナを助けるために超スピードを出せたな・・・・
その時のイメージを考えてやってもできなかった。
セクアナも僕を見て、修行をやり始めた。
あの決闘でお互いにまだまだ足りないことを見つけて強くなろうとしている。
夕暮れ頃になって、おばあちゃんが待っている家に帰った。
僕達が仕事をしている間に川へ洗濯や料理を作ってくれていた。
本当、昔話みたいだな。
こんな暮らしを何日も繰り返している時、街へ収穫した野菜を売りに行く日がきた。
「うっ・・・」
野菜を売りに行くとは聞いていたけどとんでもない量が並んでいた。
じゃがいも、にんじん、それ以外にもたくさんの野菜を運び出した。
「えっと、こっこれを全部一回で出荷しに行くんですか?」
「そうじゃぞ! さあ、みんな持てる分だけ持ってくれんか」
明るくそんなことを言っているのですこし僕たちはひいた。
「でっ、でもどうやってこの量を持っていくのですか?」
出荷するものは全て大きな木箱に詰められて、10個くらいある。
さすがの僕達が協力しても僕が三つセクアナの筋力だと二つくらいしか運べないと思うな・・・・
そんなことを考えていると・・・
ムキっ、ムキムキ!
おじいちゃんの体がみるみると筋肉によって満たされる。
「はあああぁぁぁぁ!!」
その掛け声とともに来ていた上半身の服がちぎれさった。
「さぁ、街へ行くぞ」
口調がすこし怖くなり、身長も僕と同じくらいになり、なによりも筋肉が半端ない。ボディビルダーくらいの量をしている。
「えっと・・・」
僕は驚きですんだが、セクアナは目を丸くして立ったまま意識がほとんどない。
目の前に手で、おーいと合図を送ってもほとんど反応しない。
これはどうすることもできないと諦めてなぜこんな姿になれるのか聞いた。
「あの、これはどういうことですか? なぜそんなマッチョになれるのでしょうか・・・・」
しおしおとしていつも優しかったおじいちゃんがこんな姿になってすこし怖くなった。
「そうじゃな。まだわしの魔法のことを何も言っていなかったな。簡単にいえばわしの魔法は筋肉なんだ!」
「へっ、へぇぇぇ」
話を一応聞いていたが、この姿が気になりすぎてほとんど頭に入ってこなかった。
「えっと、それじゃあ、おばあちゃんはどんな魔法なの?」
そんなことを話しているとおばあちゃんが皿洗いを終わらして出てきた。
「私の魔法は花じゃよ。こうやってすこしの花ならすぐに出せますよ」
そう言って手のひらから数本の花を生成して落ちてきた。
「昔は何百本とすぐに出せたんけど歳をとってだんだん魔力も弱くなるからのう」
そう言ってすこし落ち込んだ。
へぇ、魔法は歳をとりすぎると自然に弱くなるのか。確かに体力や筋力とかも弱くなるからな。
「そうじゃな。わしも昔はずっとこの姿になれたんじゃが、今は何日も魔法を貯めないとこんな力持ちになれないからな・・・・」
えっ! 昔この姿でずっとなれたの!
そんなことを考えていると絶対、昔は強かったと思う。
その予想は当たっていた。
「昔、おじいさんは魔法騎士だったのよ」
やっぱりそうなんだ。
この姿を見ると納得できる。もしそうなら、何か魔法について教えてくれるかも!
さぁ、早く街へ持っていくぞ
そう言いながら軽々しく残りの五つの木箱を持ち上げた。
すごいパワーだ。
僕は固まっているセクアナの肩を大きく揺らして起こし、街へ向かった。
マッチョの姿だといつもより何倍も歩くスピードが速くてついていくのが大変だった。
なによりも年配の方に力負けしているのが悔しい。
必死についていきながら、正午が過ぎた頃に街へ着いた。
一応、深くフードを被って変装しているから僕のことは誰も気づかなかったが、たまに僕の悪い噂が耳に入ってくる。
しばらく歩き、やっと出荷の市場についた。
おじいちゃんが野菜売り場の人と話して給料をもらった。
やっと今日の仕事も終わり僕達は安心して椅子に座っていた。
「はああぁー」
僕は深いため息をついた。ここまでくるのにこんなに疲れるとは思わず、あらゆる体の部分が痛い。
「疲れたね。まさかおじいちゃんがあんなに力持ちだったなんて思わなかったよ」
「マッチョになった姿を見て固まっていた君がよく言えるよ」
「うっ・・・・ 確かにあの時は衝撃でほとんど意識がなかったな」
たわいもない話をしながらおじいちゃんが戻ってくるのを待っていた。
「あっ、おじいちゃんが戻ってきた」
誰と比べてもあんなにマッチョな人がいなくて悪い意味で目立っている。
「さぁ! 今日はお疲れ」
「疲れた」
「疲れました」
「ハァッハァッ、そうか。今日はゆっくり休むんじゃぞ」
マッチョではあるが優しい感じがあるのでなんだか安心する。
「じゃあ、早く家に帰りましょう!」
僕はそう言って張り切って歩き出した。
もう家に帰れる。今日はしんどい仕事だったな。
仕事が終わり、達成感があってとてもいい気分だった。でもおじいちゃんに止められてこの気分が一気に崩れた。
「トモヤ、何を言っとるんじゃ。今から家で食べるための一ヶ月分の食料を買い占めるんじゃぞ」
「・・・・・・・」
鬼か!
セクアナは絶望して不敵な笑いを浮かべて、僕は唖然とした。
僕達はたくさんの食料を買い、朝と同じように自分が持てる限界の荷物を持ち、また長い道のりに沿って帰った。
もう帰った時には僕とセクアナは汗だくで、立つ体力もなくその場に寝転んだ。
「はぁはぁはぁはぁ」
「もう・・・限界。しんどくて何もできないよ~~~」
おじいちゃんが僕達を家の中まで運んでくれた。
今日は何も食べずそのまま寝込んでしまった。
やっぱり力強いな。
「フフフ、この子達今日は災難だったようだね」
「ああ、そうじゃな。でもこの子達のおかげでたくさん儲けて食料も買えた。毎月二回これをやらないといけないから一回で済んでとっても助かったな。しばらく、仕事は休みにするか」
寝込んでいる状態だったが、かすかに二人の会話が聞こえた。
優しさを感じながらも疲れに負けて僕は寝入った。
一ヶ月に一度街に行って野菜を売り、他の日は休みがありながらも、重労働の農業を続けた。
そんな生活をしていたが、一年はあっという間に経ち、別れの日が近づいてくる。
魔法騎士団試験があとすこしの時、やっとの思いで強化魔法を習得できた。まだまだ弱い力だが、この一年かけて出来た。
セクアナも頑張っていたけど、全身の強化はできなかった。それでも足や腕など一部のところにはできるようになっていていた。
正直この一年でやっとセクアナを抜かせた気がした。でもまだセクアナの方が攻撃魔法の応用技のレパートリーは多く、強さは半分半分くらいだと思う。
最近、セクアナを傷つけることができなくてお互いに組み手をすることはなかったけど強くなれた気がする。
そして、今日はおばあちゃん、おじいちゃんとのお別れ。
荷物を簡単にまとめて鞄にいれた。準備ができると家のいつも食事をする大きい部屋で感謝を伝えようとした。
「おばあちゃん、おじいちゃん、この一年間私達を育ててくれてありがとうございます。これからもお体に気をつけて暮らしてください」
「おじいちゃん、おばあちゃん、今までありがとう!」
この一年で家族のように育ててくれていつのまにか、僕はタメ口で話すようになっていた。
「いえいえ、こちらこそ楽しい時間をありがとね。あなた達のことを本当の孫のように思っていたわ」
「そうか、一年は早いな。これからもわしらと一緒に暮らしてほしんじゃがな・・・・」
「すいません。私達はたくさんの人を助けるために魔法騎士になります」
「そうかそうか。立派なもんじゃな。セクアナ、いつもわしやばあさんを手伝ってくれてありがとうな。お前は器用だからこれからも頑張れよ!」
「セクアナ、あなたの家事の手伝いのおかげで私も助かったよ。ありがとう」
久しぶりに褒められて頬をかきながら照れている。
「トモヤ・・・」
僕の番だ。何を褒めてくれるのかな!
「お前は・・あれだ。そうじゃ・・・!
まぁ、頑張れよ!」
あれ・・・ 僕のこと褒めてくれないの。セクアナはあんなに褒めていたのに。
「えっと・・・ それだけ?」
「ばあさん! 何か言ってやれ」
おいおい、ばあさんにまる投げするなよ。
「トモヤはいつも優しかったよ。私が風邪をひいた時は誰よりも心配してくれたし。魔法騎士になってもたくさんの人を助けなさい」
おばあちゃんにちゃんと褒められてすこし照れた。
「トモヤは修行に関してはなんでもできていたから、その力でたくさんの人を守ってやってくれ」
おじいちゃんが褒めてくれて嬉しくなり、大きな返事をした。
すこしだけだったが僕達の修行に手伝ってくれた。教え方がうまくてとてもいい先生みたいだった。
そして僕達が家を出ようとした時、渡したいものがあると言って、奥におばあちゃんがいってしまった。
すこし何か漁った後、何かを持ってきた。
「これはお守り、いつかあなた谷を助けてくれると思うわ!」
そう言って、花のバッチをくれた。緑と赤色できれいだ。
「ありがとう!」
お礼を言って腕の袖につけた。
玄関で靴を履いた。二人が立って見送ってくれる。
「必ず立派な魔法騎士になって戻ってきます」
「そうか。また帰ってくることを楽しみにしているよ」
「いつでもご飯、食べにきなさい」
そして僕は玄関のドアを開けた。光が差し込んで二人が輝いて見えた。
もう一度おばあちゃんとおじいちゃんに会いたい。
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