17 / 76
魔法騎士団試験
修行と仕事
しおりを挟む
森の中にぽつんとある家に僕達は居候さしてもらっている。
ちゃんと三食の食事があり、温かい布団で屋根のあるところで寝れる。
これだけのことだが、今までの日々と比べると十分すぎるほどの贅沢だ。
おばあちゃん達と居候してから数日が経ち、今日から仕事をすることになっている。
朝起きていつものように朝ごはんを食べた。
「今日からわしの仕事を若い少年と可愛いお嬢ちゃんに手伝ってもらうのじゃがいいかの? もう少しゆっくりなさってもいいんじゃが」
「いえいえ。こんなに助けてもらったんですからどんなことでもこき使ってください。あっ! すいません自己紹介をまだしていませんでしたね。僕はトモヤ・フローレスです。今後ともよろしくお願いします」
「私はセクアナと申します。迷惑をおかけするかもしれませんがよろしくお願いします」
自己紹介をしながらも朝ごはんを食べ終わった。
一応、おじいちゃんはアルバス、おばあちゃんはミネルバっていう名前だけど、
おばあちゃんやおじいちゃんの方が呼びやすくてそう呼んでいる。
おじいちゃんは仕事をするためか、家を出て小屋の方へ道具を撮りに行っている。僕も荷物を持つためについて行った。
「えーーと、これから農業をするからのう。ここら辺のスコップを持って行ってくれんか」
「はい、喜んで!」
一番掘りやすそうなスコップを持って外へ出た。するとおじいさんは足早に田んぼが近くにあるのか森の中へ入って行った。
そしておばあちゃんが後ろから優しく見送ってくれている。
ああ、なんか昔話みたいでほのぼのするな・・・
そんなことを思いながらおじいちゃんの後ろを迷わないようについていった。
約十分くらい歩いた先には縦三十メートル、横ニ十メートルくらいの田んぼが二つあった。
思っていたよりもこじんまりとしていた。
一つは野菜や作物の花が出ていてもう少しで収穫できそうだ。そしてもう一つは米を作るためか、まだ田んぼがしっかりと耕されていなかった。
「さあ、やるぞ。じゃあ二人ともわしがやっているようにここを耕してくれ!」
おじいちゃんは力強くスコップを振り下ろして土を耕している。
僕達も見よう見まねで同じようにやった。
こういうのは初めての経験だったが意外に疲れる。筋トレとは違う筋肉を使うせいかだんだん腰や腕が痛いくなってきた。足腰が鍛えられて、いい修行かもしれないな。仕事は違う解釈をすれば修行になるかもね!
修行のことを考えているとゲンブとの決闘を思い出した。あれは自分の体を犠牲にしていたから危なかったな。
まだまだ弱いことを思い知らされた。
あれから強くなりたいと思っていたが色々あって最近、修行ができていなかったからちょうどいい機会かもな。
そう考えながら、せっせと土を耕した。
昼になり昼ごはんを食べてしばらく休憩があるけど、その時は魔法の修行をした。
セイラ姉さんも言っていた。
「強化魔法」
雷を制御して身体能力を上げる・・・
イメージをしながらやっているが難しい。もうあんな思いはしたくない。セクアナを守るためや魔法騎士団試験に合格するために頑張った。
だけど難しい。
今までで一度だけできたことがあった。確かでっかい猪を倒そうとした時にセクアナを助けるために超スピードを出せたな・・・・
その時のイメージを考えてやってもできなかった。
セクアナも僕を見て、修行をやり始めた。
あの決闘でお互いにまだまだ足りないことを見つけて強くなろうとしている。
夕暮れ頃になって、おばあちゃんが待っている家に帰った。
僕達が仕事をしている間に川へ洗濯や料理を作ってくれていた。
本当、昔話みたいだな。
こんな暮らしを何日も繰り返している時、街へ収穫した野菜を売りに行く日がきた。
「うっ・・・」
野菜を売りに行くとは聞いていたけどとんでもない量が並んでいた。
じゃがいも、にんじん、それ以外にもたくさんの野菜を運び出した。
「えっと、こっこれを全部一回で出荷しに行くんですか?」
「そうじゃぞ! さあ、みんな持てる分だけ持ってくれんか」
明るくそんなことを言っているのですこし僕たちはひいた。
「でっ、でもどうやってこの量を持っていくのですか?」
出荷するものは全て大きな木箱に詰められて、10個くらいある。
さすがの僕達が協力しても僕が三つセクアナの筋力だと二つくらいしか運べないと思うな・・・・
そんなことを考えていると・・・
ムキっ、ムキムキ!
おじいちゃんの体がみるみると筋肉によって満たされる。
「はあああぁぁぁぁ!!」
その掛け声とともに来ていた上半身の服がちぎれさった。
「さぁ、街へ行くぞ」
口調がすこし怖くなり、身長も僕と同じくらいになり、なによりも筋肉が半端ない。ボディビルダーくらいの量をしている。
「えっと・・・」
僕は驚きですんだが、セクアナは目を丸くして立ったまま意識がほとんどない。
目の前に手で、おーいと合図を送ってもほとんど反応しない。
これはどうすることもできないと諦めてなぜこんな姿になれるのか聞いた。
「あの、これはどういうことですか? なぜそんなマッチョになれるのでしょうか・・・・」
しおしおとしていつも優しかったおじいちゃんがこんな姿になってすこし怖くなった。
「そうじゃな。まだわしの魔法のことを何も言っていなかったな。簡単にいえばわしの魔法は筋肉なんだ!」
「へっ、へぇぇぇ」
話を一応聞いていたが、この姿が気になりすぎてほとんど頭に入ってこなかった。
「えっと、それじゃあ、おばあちゃんはどんな魔法なの?」
そんなことを話しているとおばあちゃんが皿洗いを終わらして出てきた。
「私の魔法は花じゃよ。こうやってすこしの花ならすぐに出せますよ」
そう言って手のひらから数本の花を生成して落ちてきた。
「昔は何百本とすぐに出せたんけど歳をとってだんだん魔力も弱くなるからのう」
そう言ってすこし落ち込んだ。
へぇ、魔法は歳をとりすぎると自然に弱くなるのか。確かに体力や筋力とかも弱くなるからな。
「そうじゃな。わしも昔はずっとこの姿になれたんじゃが、今は何日も魔法を貯めないとこんな力持ちになれないからな・・・・」
えっ! 昔この姿でずっとなれたの!
そんなことを考えていると絶対、昔は強かったと思う。
その予想は当たっていた。
「昔、おじいさんは魔法騎士だったのよ」
やっぱりそうなんだ。
この姿を見ると納得できる。もしそうなら、何か魔法について教えてくれるかも!
さぁ、早く街へ持っていくぞ
そう言いながら軽々しく残りの五つの木箱を持ち上げた。
すごいパワーだ。
僕は固まっているセクアナの肩を大きく揺らして起こし、街へ向かった。
マッチョの姿だといつもより何倍も歩くスピードが速くてついていくのが大変だった。
なによりも年配の方に力負けしているのが悔しい。
必死についていきながら、正午が過ぎた頃に街へ着いた。
一応、深くフードを被って変装しているから僕のことは誰も気づかなかったが、たまに僕の悪い噂が耳に入ってくる。
しばらく歩き、やっと出荷の市場についた。
おじいちゃんが野菜売り場の人と話して給料をもらった。
やっと今日の仕事も終わり僕達は安心して椅子に座っていた。
「はああぁー」
僕は深いため息をついた。ここまでくるのにこんなに疲れるとは思わず、あらゆる体の部分が痛い。
「疲れたね。まさかおじいちゃんがあんなに力持ちだったなんて思わなかったよ」
「マッチョになった姿を見て固まっていた君がよく言えるよ」
「うっ・・・・ 確かにあの時は衝撃でほとんど意識がなかったな」
たわいもない話をしながらおじいちゃんが戻ってくるのを待っていた。
「あっ、おじいちゃんが戻ってきた」
誰と比べてもあんなにマッチョな人がいなくて悪い意味で目立っている。
「さぁ! 今日はお疲れ」
「疲れた」
「疲れました」
「ハァッハァッ、そうか。今日はゆっくり休むんじゃぞ」
マッチョではあるが優しい感じがあるのでなんだか安心する。
「じゃあ、早く家に帰りましょう!」
僕はそう言って張り切って歩き出した。
もう家に帰れる。今日はしんどい仕事だったな。
仕事が終わり、達成感があってとてもいい気分だった。でもおじいちゃんに止められてこの気分が一気に崩れた。
「トモヤ、何を言っとるんじゃ。今から家で食べるための一ヶ月分の食料を買い占めるんじゃぞ」
「・・・・・・・」
鬼か!
セクアナは絶望して不敵な笑いを浮かべて、僕は唖然とした。
僕達はたくさんの食料を買い、朝と同じように自分が持てる限界の荷物を持ち、また長い道のりに沿って帰った。
もう帰った時には僕とセクアナは汗だくで、立つ体力もなくその場に寝転んだ。
「はぁはぁはぁはぁ」
「もう・・・限界。しんどくて何もできないよ~~~」
おじいちゃんが僕達を家の中まで運んでくれた。
今日は何も食べずそのまま寝込んでしまった。
やっぱり力強いな。
「フフフ、この子達今日は災難だったようだね」
「ああ、そうじゃな。でもこの子達のおかげでたくさん儲けて食料も買えた。毎月二回これをやらないといけないから一回で済んでとっても助かったな。しばらく、仕事は休みにするか」
寝込んでいる状態だったが、かすかに二人の会話が聞こえた。
優しさを感じながらも疲れに負けて僕は寝入った。
一ヶ月に一度街に行って野菜を売り、他の日は休みがありながらも、重労働の農業を続けた。
そんな生活をしていたが、一年はあっという間に経ち、別れの日が近づいてくる。
魔法騎士団試験があとすこしの時、やっとの思いで強化魔法を習得できた。まだまだ弱い力だが、この一年かけて出来た。
セクアナも頑張っていたけど、全身の強化はできなかった。それでも足や腕など一部のところにはできるようになっていていた。
正直この一年でやっとセクアナを抜かせた気がした。でもまだセクアナの方が攻撃魔法の応用技のレパートリーは多く、強さは半分半分くらいだと思う。
最近、セクアナを傷つけることができなくてお互いに組み手をすることはなかったけど強くなれた気がする。
そして、今日はおばあちゃん、おじいちゃんとのお別れ。
荷物を簡単にまとめて鞄にいれた。準備ができると家のいつも食事をする大きい部屋で感謝を伝えようとした。
「おばあちゃん、おじいちゃん、この一年間私達を育ててくれてありがとうございます。これからもお体に気をつけて暮らしてください」
「おじいちゃん、おばあちゃん、今までありがとう!」
この一年で家族のように育ててくれていつのまにか、僕はタメ口で話すようになっていた。
「いえいえ、こちらこそ楽しい時間をありがとね。あなた達のことを本当の孫のように思っていたわ」
「そうか、一年は早いな。これからもわしらと一緒に暮らしてほしんじゃがな・・・・」
「すいません。私達はたくさんの人を助けるために魔法騎士になります」
「そうかそうか。立派なもんじゃな。セクアナ、いつもわしやばあさんを手伝ってくれてありがとうな。お前は器用だからこれからも頑張れよ!」
「セクアナ、あなたの家事の手伝いのおかげで私も助かったよ。ありがとう」
久しぶりに褒められて頬をかきながら照れている。
「トモヤ・・・」
僕の番だ。何を褒めてくれるのかな!
「お前は・・あれだ。そうじゃ・・・!
まぁ、頑張れよ!」
あれ・・・ 僕のこと褒めてくれないの。セクアナはあんなに褒めていたのに。
「えっと・・・ それだけ?」
「ばあさん! 何か言ってやれ」
おいおい、ばあさんにまる投げするなよ。
「トモヤはいつも優しかったよ。私が風邪をひいた時は誰よりも心配してくれたし。魔法騎士になってもたくさんの人を助けなさい」
おばあちゃんにちゃんと褒められてすこし照れた。
「トモヤは修行に関してはなんでもできていたから、その力でたくさんの人を守ってやってくれ」
おじいちゃんが褒めてくれて嬉しくなり、大きな返事をした。
すこしだけだったが僕達の修行に手伝ってくれた。教え方がうまくてとてもいい先生みたいだった。
そして僕達が家を出ようとした時、渡したいものがあると言って、奥におばあちゃんがいってしまった。
すこし何か漁った後、何かを持ってきた。
「これはお守り、いつかあなた谷を助けてくれると思うわ!」
そう言って、花のバッチをくれた。緑と赤色できれいだ。
「ありがとう!」
お礼を言って腕の袖につけた。
玄関で靴を履いた。二人が立って見送ってくれる。
「必ず立派な魔法騎士になって戻ってきます」
「そうか。また帰ってくることを楽しみにしているよ」
「いつでもご飯、食べにきなさい」
そして僕は玄関のドアを開けた。光が差し込んで二人が輝いて見えた。
もう一度おばあちゃんとおじいちゃんに会いたい。
そう思っていたので、僕はさよならとは言わずこう言って出発した。
「行ってきます!!!」
ちゃんと三食の食事があり、温かい布団で屋根のあるところで寝れる。
これだけのことだが、今までの日々と比べると十分すぎるほどの贅沢だ。
おばあちゃん達と居候してから数日が経ち、今日から仕事をすることになっている。
朝起きていつものように朝ごはんを食べた。
「今日からわしの仕事を若い少年と可愛いお嬢ちゃんに手伝ってもらうのじゃがいいかの? もう少しゆっくりなさってもいいんじゃが」
「いえいえ。こんなに助けてもらったんですからどんなことでもこき使ってください。あっ! すいません自己紹介をまだしていませんでしたね。僕はトモヤ・フローレスです。今後ともよろしくお願いします」
「私はセクアナと申します。迷惑をおかけするかもしれませんがよろしくお願いします」
自己紹介をしながらも朝ごはんを食べ終わった。
一応、おじいちゃんはアルバス、おばあちゃんはミネルバっていう名前だけど、
おばあちゃんやおじいちゃんの方が呼びやすくてそう呼んでいる。
おじいちゃんは仕事をするためか、家を出て小屋の方へ道具を撮りに行っている。僕も荷物を持つためについて行った。
「えーーと、これから農業をするからのう。ここら辺のスコップを持って行ってくれんか」
「はい、喜んで!」
一番掘りやすそうなスコップを持って外へ出た。するとおじいさんは足早に田んぼが近くにあるのか森の中へ入って行った。
そしておばあちゃんが後ろから優しく見送ってくれている。
ああ、なんか昔話みたいでほのぼのするな・・・
そんなことを思いながらおじいちゃんの後ろを迷わないようについていった。
約十分くらい歩いた先には縦三十メートル、横ニ十メートルくらいの田んぼが二つあった。
思っていたよりもこじんまりとしていた。
一つは野菜や作物の花が出ていてもう少しで収穫できそうだ。そしてもう一つは米を作るためか、まだ田んぼがしっかりと耕されていなかった。
「さあ、やるぞ。じゃあ二人ともわしがやっているようにここを耕してくれ!」
おじいちゃんは力強くスコップを振り下ろして土を耕している。
僕達も見よう見まねで同じようにやった。
こういうのは初めての経験だったが意外に疲れる。筋トレとは違う筋肉を使うせいかだんだん腰や腕が痛いくなってきた。足腰が鍛えられて、いい修行かもしれないな。仕事は違う解釈をすれば修行になるかもね!
修行のことを考えているとゲンブとの決闘を思い出した。あれは自分の体を犠牲にしていたから危なかったな。
まだまだ弱いことを思い知らされた。
あれから強くなりたいと思っていたが色々あって最近、修行ができていなかったからちょうどいい機会かもな。
そう考えながら、せっせと土を耕した。
昼になり昼ごはんを食べてしばらく休憩があるけど、その時は魔法の修行をした。
セイラ姉さんも言っていた。
「強化魔法」
雷を制御して身体能力を上げる・・・
イメージをしながらやっているが難しい。もうあんな思いはしたくない。セクアナを守るためや魔法騎士団試験に合格するために頑張った。
だけど難しい。
今までで一度だけできたことがあった。確かでっかい猪を倒そうとした時にセクアナを助けるために超スピードを出せたな・・・・
その時のイメージを考えてやってもできなかった。
セクアナも僕を見て、修行をやり始めた。
あの決闘でお互いにまだまだ足りないことを見つけて強くなろうとしている。
夕暮れ頃になって、おばあちゃんが待っている家に帰った。
僕達が仕事をしている間に川へ洗濯や料理を作ってくれていた。
本当、昔話みたいだな。
こんな暮らしを何日も繰り返している時、街へ収穫した野菜を売りに行く日がきた。
「うっ・・・」
野菜を売りに行くとは聞いていたけどとんでもない量が並んでいた。
じゃがいも、にんじん、それ以外にもたくさんの野菜を運び出した。
「えっと、こっこれを全部一回で出荷しに行くんですか?」
「そうじゃぞ! さあ、みんな持てる分だけ持ってくれんか」
明るくそんなことを言っているのですこし僕たちはひいた。
「でっ、でもどうやってこの量を持っていくのですか?」
出荷するものは全て大きな木箱に詰められて、10個くらいある。
さすがの僕達が協力しても僕が三つセクアナの筋力だと二つくらいしか運べないと思うな・・・・
そんなことを考えていると・・・
ムキっ、ムキムキ!
おじいちゃんの体がみるみると筋肉によって満たされる。
「はあああぁぁぁぁ!!」
その掛け声とともに来ていた上半身の服がちぎれさった。
「さぁ、街へ行くぞ」
口調がすこし怖くなり、身長も僕と同じくらいになり、なによりも筋肉が半端ない。ボディビルダーくらいの量をしている。
「えっと・・・」
僕は驚きですんだが、セクアナは目を丸くして立ったまま意識がほとんどない。
目の前に手で、おーいと合図を送ってもほとんど反応しない。
これはどうすることもできないと諦めてなぜこんな姿になれるのか聞いた。
「あの、これはどういうことですか? なぜそんなマッチョになれるのでしょうか・・・・」
しおしおとしていつも優しかったおじいちゃんがこんな姿になってすこし怖くなった。
「そうじゃな。まだわしの魔法のことを何も言っていなかったな。簡単にいえばわしの魔法は筋肉なんだ!」
「へっ、へぇぇぇ」
話を一応聞いていたが、この姿が気になりすぎてほとんど頭に入ってこなかった。
「えっと、それじゃあ、おばあちゃんはどんな魔法なの?」
そんなことを話しているとおばあちゃんが皿洗いを終わらして出てきた。
「私の魔法は花じゃよ。こうやってすこしの花ならすぐに出せますよ」
そう言って手のひらから数本の花を生成して落ちてきた。
「昔は何百本とすぐに出せたんけど歳をとってだんだん魔力も弱くなるからのう」
そう言ってすこし落ち込んだ。
へぇ、魔法は歳をとりすぎると自然に弱くなるのか。確かに体力や筋力とかも弱くなるからな。
「そうじゃな。わしも昔はずっとこの姿になれたんじゃが、今は何日も魔法を貯めないとこんな力持ちになれないからな・・・・」
えっ! 昔この姿でずっとなれたの!
そんなことを考えていると絶対、昔は強かったと思う。
その予想は当たっていた。
「昔、おじいさんは魔法騎士だったのよ」
やっぱりそうなんだ。
この姿を見ると納得できる。もしそうなら、何か魔法について教えてくれるかも!
さぁ、早く街へ持っていくぞ
そう言いながら軽々しく残りの五つの木箱を持ち上げた。
すごいパワーだ。
僕は固まっているセクアナの肩を大きく揺らして起こし、街へ向かった。
マッチョの姿だといつもより何倍も歩くスピードが速くてついていくのが大変だった。
なによりも年配の方に力負けしているのが悔しい。
必死についていきながら、正午が過ぎた頃に街へ着いた。
一応、深くフードを被って変装しているから僕のことは誰も気づかなかったが、たまに僕の悪い噂が耳に入ってくる。
しばらく歩き、やっと出荷の市場についた。
おじいちゃんが野菜売り場の人と話して給料をもらった。
やっと今日の仕事も終わり僕達は安心して椅子に座っていた。
「はああぁー」
僕は深いため息をついた。ここまでくるのにこんなに疲れるとは思わず、あらゆる体の部分が痛い。
「疲れたね。まさかおじいちゃんがあんなに力持ちだったなんて思わなかったよ」
「マッチョになった姿を見て固まっていた君がよく言えるよ」
「うっ・・・・ 確かにあの時は衝撃でほとんど意識がなかったな」
たわいもない話をしながらおじいちゃんが戻ってくるのを待っていた。
「あっ、おじいちゃんが戻ってきた」
誰と比べてもあんなにマッチョな人がいなくて悪い意味で目立っている。
「さぁ! 今日はお疲れ」
「疲れた」
「疲れました」
「ハァッハァッ、そうか。今日はゆっくり休むんじゃぞ」
マッチョではあるが優しい感じがあるのでなんだか安心する。
「じゃあ、早く家に帰りましょう!」
僕はそう言って張り切って歩き出した。
もう家に帰れる。今日はしんどい仕事だったな。
仕事が終わり、達成感があってとてもいい気分だった。でもおじいちゃんに止められてこの気分が一気に崩れた。
「トモヤ、何を言っとるんじゃ。今から家で食べるための一ヶ月分の食料を買い占めるんじゃぞ」
「・・・・・・・」
鬼か!
セクアナは絶望して不敵な笑いを浮かべて、僕は唖然とした。
僕達はたくさんの食料を買い、朝と同じように自分が持てる限界の荷物を持ち、また長い道のりに沿って帰った。
もう帰った時には僕とセクアナは汗だくで、立つ体力もなくその場に寝転んだ。
「はぁはぁはぁはぁ」
「もう・・・限界。しんどくて何もできないよ~~~」
おじいちゃんが僕達を家の中まで運んでくれた。
今日は何も食べずそのまま寝込んでしまった。
やっぱり力強いな。
「フフフ、この子達今日は災難だったようだね」
「ああ、そうじゃな。でもこの子達のおかげでたくさん儲けて食料も買えた。毎月二回これをやらないといけないから一回で済んでとっても助かったな。しばらく、仕事は休みにするか」
寝込んでいる状態だったが、かすかに二人の会話が聞こえた。
優しさを感じながらも疲れに負けて僕は寝入った。
一ヶ月に一度街に行って野菜を売り、他の日は休みがありながらも、重労働の農業を続けた。
そんな生活をしていたが、一年はあっという間に経ち、別れの日が近づいてくる。
魔法騎士団試験があとすこしの時、やっとの思いで強化魔法を習得できた。まだまだ弱い力だが、この一年かけて出来た。
セクアナも頑張っていたけど、全身の強化はできなかった。それでも足や腕など一部のところにはできるようになっていていた。
正直この一年でやっとセクアナを抜かせた気がした。でもまだセクアナの方が攻撃魔法の応用技のレパートリーは多く、強さは半分半分くらいだと思う。
最近、セクアナを傷つけることができなくてお互いに組み手をすることはなかったけど強くなれた気がする。
そして、今日はおばあちゃん、おじいちゃんとのお別れ。
荷物を簡単にまとめて鞄にいれた。準備ができると家のいつも食事をする大きい部屋で感謝を伝えようとした。
「おばあちゃん、おじいちゃん、この一年間私達を育ててくれてありがとうございます。これからもお体に気をつけて暮らしてください」
「おじいちゃん、おばあちゃん、今までありがとう!」
この一年で家族のように育ててくれていつのまにか、僕はタメ口で話すようになっていた。
「いえいえ、こちらこそ楽しい時間をありがとね。あなた達のことを本当の孫のように思っていたわ」
「そうか、一年は早いな。これからもわしらと一緒に暮らしてほしんじゃがな・・・・」
「すいません。私達はたくさんの人を助けるために魔法騎士になります」
「そうかそうか。立派なもんじゃな。セクアナ、いつもわしやばあさんを手伝ってくれてありがとうな。お前は器用だからこれからも頑張れよ!」
「セクアナ、あなたの家事の手伝いのおかげで私も助かったよ。ありがとう」
久しぶりに褒められて頬をかきながら照れている。
「トモヤ・・・」
僕の番だ。何を褒めてくれるのかな!
「お前は・・あれだ。そうじゃ・・・!
まぁ、頑張れよ!」
あれ・・・ 僕のこと褒めてくれないの。セクアナはあんなに褒めていたのに。
「えっと・・・ それだけ?」
「ばあさん! 何か言ってやれ」
おいおい、ばあさんにまる投げするなよ。
「トモヤはいつも優しかったよ。私が風邪をひいた時は誰よりも心配してくれたし。魔法騎士になってもたくさんの人を助けなさい」
おばあちゃんにちゃんと褒められてすこし照れた。
「トモヤは修行に関してはなんでもできていたから、その力でたくさんの人を守ってやってくれ」
おじいちゃんが褒めてくれて嬉しくなり、大きな返事をした。
すこしだけだったが僕達の修行に手伝ってくれた。教え方がうまくてとてもいい先生みたいだった。
そして僕達が家を出ようとした時、渡したいものがあると言って、奥におばあちゃんがいってしまった。
すこし何か漁った後、何かを持ってきた。
「これはお守り、いつかあなた谷を助けてくれると思うわ!」
そう言って、花のバッチをくれた。緑と赤色できれいだ。
「ありがとう!」
お礼を言って腕の袖につけた。
玄関で靴を履いた。二人が立って見送ってくれる。
「必ず立派な魔法騎士になって戻ってきます」
「そうか。また帰ってくることを楽しみにしているよ」
「いつでもご飯、食べにきなさい」
そして僕は玄関のドアを開けた。光が差し込んで二人が輝いて見えた。
もう一度おばあちゃんとおじいちゃんに会いたい。
そう思っていたので、僕はさよならとは言わずこう言って出発した。
「行ってきます!!!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる