雷魔法が最弱の世界

ともとも

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魔法騎士団試験

王都

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日差しが強く照る中、僕達は森を歩いている。

スタートは順調に進んでいてとても楽しかった。
野宿に慣れたからだ。
おじいちゃんから魚や動物の捌き方、他にもサバイバルで使えるたくさんのことを学んだ。
それによって食料の問題がほとんどなくなりとても素晴らしいものだった。
昔は木の実しか食べれなかったからそれと比べると大きな成長だ。
お腹が満たされるというのは本当にいいことだ。
寝るところは草や地面で変わらないが、ご飯の問題が解決して、よく眠れるようになった。

そして今、緑で覆われた木、そこから差し込む太陽の光、天気や景色はとても素晴らしい中歩いている。

だが、僕達の気分は最悪だ。村から王都までとてつもない距離があるせいで、ずっと同じ景色を見ながら、先が見えずに歩いている。

馬車に乗っての移動となると楽でいいが、徒歩だ。
車や自転車というものがあったらという願望が頭に浮かぶ。
あの技術は素晴らしいものだと改めて思った。

セクアナから最近聞いた。徒歩なら一ヶ月くらいかかるということを。

そして同じ景色を見ながら三週間が過ぎた。

「あっ・・・・ あぁぁぁぁ」

二人とも目の下にクマができている。
どんだけ歩いても同じ景色しか写らない。
まるでシジフォスの労働みたいだな。

「セクアナ・・・・     あとどれくらいで王都に着くの?」
「あと一週間くらいかな・・・」
「はあぁぁーー」
深いため息をついた。

暇つぶしに魔法で何か具現化したりしていても三週間も同じことをしていると飽きた。
始めの頃の輝いていたあの気持ちが欲しい・・・・

肩を下げ、下を向きながらもゆっくりと前へ前進する。

そんな時、ゴブリンが数匹、僕達の前に現れた。

「きやっ!」
セクアナがすぐに僕の後ろへ隠れた。

「ギャギャギャギャ」
「ギャギャギャギャギャギャ」

「・・・・・・」

「ギャギャギャギ」
「・・・・・」

「ギャ?」

僕はもう戦う意欲を失うくらい精神的に疲れていて、顔色を一切変えず、無視して前に進もうとした。

そしてセクアナが僕の後ろの服をつかみながら慎重についてきている。

しばらくゴブリンも固まっていた。
僕達が怯えると思っていたようだが無視して先に進もうとしているからだ。
普通は逃げたり、戦闘の準備をするからな。

そんなに僕の行動は変だったかな?

それでも簡単に通してくれるわけでもなく、すぐに襲いにかかってきた。

「ギャギャ!」

爪を尖らして飛びかかってくる。
恐怖でセクアナが「わっ」、と声をあげて遠くに逃げていった。

数匹の弱いモンスターにだが、今まで溜まっていたストレスをゴブリンに向けて吐き出した。

「ギャギャうるせんだよ! イライラしてんだから静かにしろ!!」

体全体から雷を放出した。

結構強力な攻撃だったようでゴブリンは灰になり叫ぶ声も聞こえなかった。そして、その被害が周りの森にもすこし及んでいた。

その大きな音にセクアナが安心した顔で戻ってきた。

「トモヤーー、もう終わった?」
トモヤの方へ行くと強力な魔法を放出したようですこし無残な光景だった。

「ふぅーーーー、すっきりした!」
僕は両手を上に伸ばして大きく背伸びをした。
今さっきの一撃ですこし気分が良くなった。

「セクアナ怖がりすぎ。あんなちっちゃいモンスターに」
「うん、私も恐怖症をすこしでも治そうとしているんだけどね・・・・」
頬をかきながら悲しげにそう言った。

なんやかんや言っていると、目の前がいつもと違う大きな光が差し込んだ。

この光を見てわかった。やっと森を抜けれる!
この思いで足が軽くなり気付くと走っていった。

森を出ると大きな丘の上に立っていた。

周りの大自然や大空など辺りを一望できた。

そしてその全てを囲む中央には王都が広がっている。人がアリのように小さくて
たくさんの人が荷馬車や、徒歩、馬に乗って行き来していた。

「セクアナ! あれが僕たちの行く王都?」
「そうだよ。もう少しであの大きなところで最大のイベント、魔法騎士団試験があるんだよ!」
「おーー、いいね。すごいね」
僕は口が開いたままで感動していた。

王都、どんなところかな。街の人たちがいっぱい、いるのかな
田舎を出て初めての都会。

修学旅行に行く生徒のように好奇心いっぱいで期待している。

「そりゃ王都だからね。王様が住んでいてこの国の首都だからね。たくさんの人がいると思うよ」
「たくさんの人か・・・    そう思えば、歴史で学んだ授業で先生が言っていたよね。この国はいろんな種族がいるって」

今更だけど、まだ他の種族を見たことがない。まぁ、住んでいたところが田舎だからしょうがないのかな。髪の色はさまざまでも人間しか見てこなかった。

「うん、そのさまざま種族が見れるよ。だって首都だよ首都。この国のプロフェッショナルの人材が、ここには集まっているからね」
すこし楽しみになってきた。
獣人族に海人族か。猫耳とかうさ耳ってアニメ好きなら、1番のロマンでもあるからな。
さすがに海人族は陸上だからいないかな。でもいつか会ってみたい。


「じゃあ、もう少しだね。この距離だと明日には着くかな!」
 
早く王都に行きたいという強い欲望がでてきた。

「王都が目の前で楽しみになるのはわかるけど、こうしないとね」
そう言って服についていたフードを深く被せた。
「あはは! 忘てたよ」
 
最近長旅で忘れていたけど、僕はみんなから嫌われる雷魔法を操る奴だったな。
頭をかきながら、微笑する。

少し前、セクアナと約束した。
王都で問題が起きたら、試験も受けられないかもしれないから、試験会場まで深くフードを被ってバレないようにするということを。

そのため、僕はフードを被った。

気を取り直して、出発しようとしたら。
「さぁ! 早く行こうよ首都へ」
「ちょっと待って!!」
大きな声で僕を呼び止めた。

「ああ、えっと、それが・・・・・」
「ん?」
何かを隠しているように目をキョロキョロとして挙動不審になっていた。

「何を隠しているのかわからないけど正直に言って」
「うっ、うん。その・・・   王都の正門の近くは強いモンスターがいるの。しかも魔法騎士でも上級魔術師じゃないと倒せないくらいの。だから私達はそっちじゃなくて、こっちを・・・・・」

セクアナが指を刺した。
小さな山が繋がっている。高低差も激しく、何個も山が繋がっていて距離がとても長い。
また正門が危ないので西門から入らないといけない。縦幅が大きいからこれでも遠くなる。

以下の理由から王都に着くのは予定していた日と同じくらいになるらしい。

魔法騎士団試験、前日にやっと王都に着く。

「うわぁ・・・・」
そのガタガタで急な山。しかも下り坂に登り坂。見るだけでさっきまでの明るい気持ちは無くなって、絶望する。

こっ、これも修行だ。
そう意識しても今までの苦労を思い出してしんどくなる。

それでも達成感がなかった今までと比べると、すこし気持ちは楽になっていた。

まだまだしんどい思いをしなくちゃいけないが、楽しみにしていることや、あと少しで着くことを間近で感じることでやる気が出た。

「遠いけど、まぁ頑張りますか」
「そうだね。ちょっと気分が落ちるけどあとすこしだからね!」
「それじゃあ改めて、王都まで出発!」

そう言って大きく一歩を踏み出した。

「あの・・・・    張り切っているところ悪いんだけど・・・王都へ行くのはこっちだよ・・・」

セクアナが白い目でこちらを見つめてくる。たぶん呆れているんだろうな。

「・・・・・あっ、すいません・・・」

恥ずかしい!

顔を赤く染めながら、遠回りして王都へ向かった。


やっと明日王都に着く距離まで進んだ。
そして今は川の近くで野宿の準備をしている。

セクアナは森から簡単に木の実を集めて、僕は川で魚を捕獲しようとしている。

捕獲って言っても魔法を使うと釣りなんかせず、すぐに取れるんだけど・・・
この方法、釣り好きの人が見たら怒るだろうな・・・

水は大体電気を通すので、手を川の中に入れて魔法を放出した。
「電撃波!」
それと同時に川がビリビリと細かい静電気が出てきて、麻痺した魚が浮いてくる。
弱目の電気を流したから、流石に死んでいないだろう。

新鮮な魚を持って帰り、焚き火しているところへ帰るとセクアナがもう帰っていた。

僕は小さな奴もいたが、6匹くらい取って持ち帰った。丸ごと焼いたり、セクアナに捌いてもらって刺身として食べた。
新鮮だったから、刺身は美味しかった。

寝る前に鞄の中を整理しようとした。ずっと旅してきたけど、まだ鞄の中をしっかり見ていなかった。大抵はナイフと水筒だけで生活できたからだ。

奥まで手を入れてみるとジャリっと金属がぶつかったような音がした。
何かと思い取り出すと茶色の袋が入っていた。中を見ると銀貨や銅貨、その中に金貨も入っていた。

「えっ・・・・・」

いきなりこんな宝物のようなものを見せられて驚きを隠せなかった。

「ねっ、ね・・・・ねぇ、セクアナ・・・これって何?」

手を震わせながら袋を持ち、見せた。

「わっ、なんでこんなにあるの?」
「わわ・・  わからないよ。鞄の奥に手を見れてみるとこんな菌かとかが入っていたんだよ。なんなのこれ。とっても高価なお宝とか?」
「フフフ。トモヤ動揺しすぎ。これはお金だよ。確かに今まで触ったことなかったからびっくりするかもしれないけど」

そのことを聞いてすこしほっとした。
始めは、金とか銀を触ったことがなかったから何かのお宝かと思ったけどお金でよかった。

「へぇ、これがこの国のお金なんだ」
金属でできているからすこし重い。それでも紙のお金よりずっしりしていてたくさんお金を持っている気持ちでなんだか嬉しい。

茶色の袋の近くには木で作った板があり、文字が書いてあった。たぶんおばあちゃん達からだ。


トモヤ、セクアナへ
これは今まで仕事をしてくれた給料です。あなた達にはお金では買えない大切なものをもらいました。
おじいさんもあなた達のことを孫のように接していてとても楽しそうでした。
今までありがとう。
これは給料と感謝の気持ちです。宿代や防具を揃えるためにも使ってください。そしていつかまた私達に会いにきてくれると嬉しいです。
おばあちゃんより

いつまでも僕達のことを考えてくれるお人好しのおばあちゃんだった。
ペンダントだけでなく、こんなものまでもらって心があったまった。

セクアナは大事そうにお金と木の板を抱きしめている。

必ず魔法騎士になって立派になり、会いに行こうと決意した。


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