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魔法騎士団試験
前夜
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宿を探している。
希望は安くて試験会場の近く。
十個くらいの宿を周ったがどこも一泊、銀貨一枚で変わらなかった。それでも食事がついていることはとても嬉しいことだった。
最悪、試験中にお金がなくなったらレストランの近くで野宿すると決めた。
ゴミに出されている食事が美味しい!
誰かに見られないようにしないといけないけど・・・・
どこも同じ値段ということから、周った中で一番食事が美味しそうな宿を選んだ。
ドアを開けて受付に入った。
「いらっしゃいませ!」
大きな声で出迎えをしてくれた。
おっ! また獣人族。
今度は犬耳をした可愛らしい子が受付をしていた。僕達よりも少し身長が小さいし、まだ子供かな・・・・
まぁ種族が違うから見た目と年齢が違うこともあるよね。
それにしてもやっぱり王都はいろんな人たちがいるな。
「お客様達はお二人ですか?」
「はい、二人です。部屋を二つ用意してもらえますか?」
いろいろ常識を知っている、セクアナが受付の人に宿の要請をしてくれている。
こういう時すごく頼りになると思った。僕はすこし後ろに立って終わるのを待った。
待っているのも暇なので、外の街ゆく人を眺めたり、トイレや食堂はどんなものかと探検している。
少し経って戻ってみるとまだ終わっていなかった。セクアナがもう少し値引きできないかと粘っているらしい。
「うーん、そうですね・・・・」
受付の店員が困っている。
「もう、値引きできなくても良くない? 早く休もうよ」
子供のように拗ねた口調で言うといつかのように睨まれた。
「あっ、そうだ!」
僕達が険悪な雰囲気になっている時に、店員さんが大きな声を出した。
「二人が同じ部屋でお泊まりされるのであれば、半額にできます! 確か今日はお泊まりされる方が多いと聞いていますので、お泊まりされる部屋が減るのはこちらとしても嬉しいです。ただ、ベッドが一つしかなくて・・・・」
「ぜひ!」
セクアナが目を輝かしてその提案に賛成している。
二人で同じ部屋か・・・・
「ん? いや、ちょっと待て!」
僕はその意見に反対していた。
確かに値段が安くなるのはいい、とてもいい話だ。でも、一緒の部屋ってことは一緒に寝るってことだ。小さい頃は一緒に寝ていたけど母が間に入っていた。
今まで横で寝たことがなかった。
野宿でも結構離れて寝ていた。
「どうしたの? 安くなるのになんで反対しているの?」
セクアナは僕が何言っているの、というふうに首を傾げている。
「どうしたのって自分の言っていることわかってる? 」
「ん? 値段が安くなるっこと?」
ああ、わかってなかった。
「いやいや、そうじゃなくて寝るのが一緒になってしまうじゃん!」
「ん?」
始めは平常心でいたようだが、自分のやろうとしていることがやっとわかったようで顔がだんだん赤くなった。
「えっと・・・・・でも・・・その、安くなるし・・・ほらって私達って兄弟でしょ。だから、大丈夫でしょ」
うん、確かに兄弟、兄弟っていう設定だけど、本当は血が繋がってないじゃん。
本当に大丈夫なの・・・・
少し不安になってきた。
「あの・・・そろそろ他のお客様もいるので・・・」
後ろを向くと、次のお客さんが待っていた。
「お、お願いします!」
「そうですか。ありがとうございます!」
動揺しているのか、大きな音を立ててお金をテーブルに置いた。
「303号室でございます。ごゆっくり疲れを癒されてください」
少し色が曇っている、味のある鍵を渡されて部屋へ行った。
宿の二階に部屋があり、廊下も少し古い印象があったがそれでもきれいに掃除されていた。
「301、302、303っと、ここか!」
順番に部屋を辿って行き宿の奥の方にある部屋へたどり着いた。
「さーーて、どんな部屋かな・・・」
セクアナは結構楽しんでいたが、僕は男ということもあり、ずっと緊張していた。
一緒の部屋か・・・
もう僕達は成長して体も大きくなった。身長が伸びて筋肉もたくさんついた。セクアナも身長は伸び、胸やお尻も大きくなって女の子らしいきれいなくびれもある。
しかも僕はちょうど思春期。ちゃんと理性が保てるかどうかが心配になってくる。
部屋へ入ると正面に窓があり、光が差し込んでいた。軽いテーブルや椅子もあって休めそうだ。
床は、まぁ世界が違うから畳などは敷いてあらなくて木の板だった。土足で入れるようになっていた。
正直、どこかで靴を脱げるところがあったら嬉しかったな。靴を履いたままなのは慣れていない。
そして1番の問題。
それはベッドだ。
元は一人部屋として用意してあったのかシングルベットのようで二人で寝ると結構ひっつかないと寝られないと思う。
「うわ・・・・・」
この部屋に入ってから、もっと緊張してきた。
でも思ってた以上にセクアナは普通だった。
「その・・・結構、普通にいられるんだね・・・・」
「そりゃ、義理だけど兄弟ってことになってるからね!」
いつものようにテキパキと荷物を整理したり、お金のことを計算してこれからのことを考えてくれている。
この姿を見ていると少し安心した。
「ねぇ、早めだけどご飯食べておかない?
そして早く寝て明日に備えよ!」
「うん、そうだね」
僕達は食堂のある下へ降りた。
たくさんのテーブルが並んでいて、まるでカフェのように見えた。
厨房からジューーっと何かを炒めている音や食べ物の匂いがしてくる。
そんな食事のいい音がすると食欲も増してくる。
僕達は早めにご飯を食べるので人は誰もいなく、二人だけだった。
まぁ、夜に酒を飲んでベロべロになった人達に絡まれないことを考えればいいことだと思う。
大体こういうところって柄の悪い人達が酒に酔っ払うイメージがあるけど本当はどうなんだろう・・・・
少しそれを見たいなという好奇心が芽生えた。
そんなことを考えていると料理が次々と運び込まれた。
スープにパンにサラダ、メインの焼き物など、食事を優先的に選んだおかげでたくさん出てきて美味しそうだった。
ここまで出てくるとは思わず、僕は自然とよだれを垂らしていた。セクアナも開いた口が塞がっていない。
「いっ、いただきます!!」
食べようとしたがレベルの高い料理にどれから食べるか迷っていた。
こんなに料理が出てくると思わなかった。見た目もきれいだし、カメラがあったら撮りたいくらいだ。
しばらく目で楽しんから、メインにある肉から食べた。
「明日はとうとう魔法騎士団試験だね!」
「今まで頑張ったもんね。明日から勝たないと」
この世界での目的の第一歩か・・・
ここにきた目的を思い出しながら、明日のことを考えた。
いろいろなことがあった。魔法が努力してやっと使えたり、差別されたり。それでも最後にはセクアナが、助けてくれたり・・・・
美味しかった食事も、いつの間にか食べきてっており、最後に果物ジュースを飲んだ。
まるで赤ワインのように真っ赤に染まっていて綺麗だった。
味もブドウやブルーベリーなどの酸味のあるものが入っているようでさっぱりしていた。
食事を終える頃には客もたくさん来ていてあたりは賑わっていた。
楽しそうに飲んでるなと思いながらも、部屋へ戻った。
ふぅっと一息ついているとセクアナが入ってきた。
あっ・・・・ 忘れてた。同じ部屋だった。
美味しい食事で完全に忘れていた。
ヤバイ、一気に緊張してきた。
「あっ、そうだ。僕は床で寝るから一人でベッドに寝てくれる・・・?」
緊張のせいでほぼ棒読みで言っていた。
恥ずかしい・・・なんでこんな口調になってるの・・・・
「いや、ダメだよ。ちゃんとベットで寝ないと風邪ひいちゃう。まだ夜は寒い季節なんだから」
「いや、でも流石に年頃の男女がこんな狭いベッドで寝たら・・・」
「何、どうしたの。もしかして気にしてるの?」
僕をからかうようにセクアナが言ってくる。
「べ、べべべ、別に気にしてなんかいないよ・・・・」
嘘だ。気にしすぎるせいでうまく話せていない。
ああ、どうしよう。今夜何も起きないよな・・・・・
私は値引きができてとても喜んでいた。
半額にできるなんて意外に節約のセンスがあるかも。
トモヤと同じ部屋なのは恥ずかしくて顔が赤くなったがまあ大丈夫かな・・・・
布団だって離して寝ればたぶん・・・
そう、自分の中で安心していた。
しかし、部屋へ入るとシングルベッド一つしかない。
どっ、どどどどどうしよう!!
顔はいつものように落ち着いていたが、心の中でとても動揺していた。
なぜベッドが一つしかないの!?
あっ・・・・
そういえば受付の人、言ってたな。
値引きできたことを喜んで全然話を聞いていなかった。
自分がやってしまったことを今とても後悔している。
うわぁぁぁぁ!?
どうしよう、どうしよう。
今日この部屋に二人で泊まるから、あのベッドで寝ないといけないの!?
この時、心の中でトモヤ以上にセクアナは動揺していた。
私、すごく緊張してきたな・・・・
それでもこの部屋を選んだのは私だ。平常心でいないと。
このようにセクアナは覚悟を決めていたが、心の中ではすごく動揺して、頑張って顔には出さなかったのだ。
「その・・・」
「っ!?」
「結構、普通にいられるんだね・・・」
「そりゃ、義理だけど兄弟ってことになってるからね!」
普通にいられる・・・・そんなわけないじゃん!!
今、私はめちゃくちゃ動揺しているんですけど!
動揺しすぎて、まるでいつものキャラが変わるような感覚になっているんですけど!
うう、ダメだ。トモヤの顔を見ていると
平常心が保てない!
私は顔を見ないためにもテキパキと荷物の整理をした。
軽く休憩したらお腹が空いてきて食堂へ行った。
この宿の食事をとても楽しみにしていた。
そして出された料理はとても凄いものだった。
しかし今夜のことを考えると、まだ緊張していて、楽しみにしていた食事の味を感じなかった。
宿代が半額になったのはいいけど、こんなことが起きるとは想像していなかった。これなら別々の部屋にする方が良かったかな・・・・・
そしてご飯が食べ終わり、とうとう寝る時間になってきた。
うう、うわぁぁぁ、どどどどどうしよう!!!
寝る準備が近づくにつれて緊張でだんだん体が熱くなってくる気がする。ドクンドクン、という心臓の音も大きくなる。
そうだよね、トモヤも思春期だもんね・・・・
いやそんな理由で落ち着けるか!!
本当、一人で何考えているんだろう。
もし襲われたらどうしよう。
そんなことを考えながら、時間が過ぎていく。
そして今、二人は部屋に置かれていた小さなテーブルに向かい合うように座っている。
二人ともかしこまって、両手を膝につきとてもきれいな姿勢で、気まづい空気を味わっていた。
「うう…」
「ううん…」
顔がお互いに赤い。
「あの!」
「そろそろ!」
声が揃った。そして会話が途切れる。
また地獄の沈黙が訪れた。
こういう時に会話が合わさるのは不運だ。
余計に気まづくなる。
「えっと、お先にどうぞ」
どうにか勇気を振り絞り、次は僕から会話を始めれた。
「あ、これはどうも・・・・」
しばらくセクアナは押し黙っていたが、少し間を置くと目を合わせずに話した。
「明日も早いので、そろそろ寝ましょうか」
「はっ、はい! そうですね」
緊張で声が裏返って高い声がでた。
本当、どうしてこんな時に恥ずかしいことばかり起きるかやら…
「やっ、やっぱり僕、床で寝るよ」
「いいよ。そんな心配しなくても。トモヤはその・・・思春期だし、何かするかも知れないけど・・・」
「しないよ! 何もしない」
「ああ、うん・・・ そうだよね。何もしないよね・・・・」
会話がなくなった。
二人ともこう思う。
気まず!!
それでもセクアナが先に立ち、ベッドの方へ行ってくれたから、僕もそれについていくことができた。
そしてお互いに背中を向けて寝転んだ。
うう・・・・わぁぁぁ!
やっぱり、実際に隣で寝てみるといつも通りにならないよう!
なぜだか知らないけどセクアナからいい匂いがする。
ずっと同じ旅してたよね。
なんでこんなにいい匂いなの?
平常心!平常心!平常心・・・!
ってできるか!?
こんな状態でできるわけないでしょ!
横に年頃の男の子がいるんだよ。
いつも通りの関係なんてできないよ。
これも私のせいだ。
どんなことがあっても、耐えないと・・・
そんなことを考えている時、トモヤが布団から起き出した。
そして手が私の方に手が伸びてきている気がする。
うう、これやっぱり何かされるのかな。平常心でいないと。
少し怖くなって目を強く瞑る。
でも襲われることはなく、軽く肩を叩かれた。
「セクアナ、起きてる?」
呼ばれたのでトモヤの方を見ると、体を起こしている。なんか顔が赤い。
耳をかきながら何か話し出した。
「今まで、ありがとね」
照れながらも、可愛らしい笑顔を向けてくる。
「僕が差別されている時に助けてくれたり、いつも美味しいご飯を作ってくれたり。セクアナのおかげで今日まで生きてこれた。本当に感謝してる。ありがとう!」
いきなり褒められて困惑したが、嬉しかった。ちゃんと私はトモヤの役に立てていることを純粋な目で言ってくれて心に響いた。
頑張ってきてよかったと私は思った。
私もトモヤへお礼を言った。
「私こそトモヤがこの世界に来てくれて嬉しかった。たくさん命も救われたし、優しくしてくれた。こちらこそありがとね!」
お互いに褒めあって顔が赤くなる。
気がつくとさっきまで緊張していた気持ちはなくなっていた。
トモヤも恥ずかしくなったのか、布団にくるまった。
あら可愛い。
最初と同じように背中を向けて寝た。
心が温まった。
いい気持ちだ。
いい雰囲気だった。しかし、たまたま二人が顔を見合わせると、また恥ずかしくなった。
お互い、男女が横で寝ていることを自覚して気まずくなる。
このせいでお互いに夜は眠れず、最悪のコンディションで試験を迎えてしまった・・・・
希望は安くて試験会場の近く。
十個くらいの宿を周ったがどこも一泊、銀貨一枚で変わらなかった。それでも食事がついていることはとても嬉しいことだった。
最悪、試験中にお金がなくなったらレストランの近くで野宿すると決めた。
ゴミに出されている食事が美味しい!
誰かに見られないようにしないといけないけど・・・・
どこも同じ値段ということから、周った中で一番食事が美味しそうな宿を選んだ。
ドアを開けて受付に入った。
「いらっしゃいませ!」
大きな声で出迎えをしてくれた。
おっ! また獣人族。
今度は犬耳をした可愛らしい子が受付をしていた。僕達よりも少し身長が小さいし、まだ子供かな・・・・
まぁ種族が違うから見た目と年齢が違うこともあるよね。
それにしてもやっぱり王都はいろんな人たちがいるな。
「お客様達はお二人ですか?」
「はい、二人です。部屋を二つ用意してもらえますか?」
いろいろ常識を知っている、セクアナが受付の人に宿の要請をしてくれている。
こういう時すごく頼りになると思った。僕はすこし後ろに立って終わるのを待った。
待っているのも暇なので、外の街ゆく人を眺めたり、トイレや食堂はどんなものかと探検している。
少し経って戻ってみるとまだ終わっていなかった。セクアナがもう少し値引きできないかと粘っているらしい。
「うーん、そうですね・・・・」
受付の店員が困っている。
「もう、値引きできなくても良くない? 早く休もうよ」
子供のように拗ねた口調で言うといつかのように睨まれた。
「あっ、そうだ!」
僕達が険悪な雰囲気になっている時に、店員さんが大きな声を出した。
「二人が同じ部屋でお泊まりされるのであれば、半額にできます! 確か今日はお泊まりされる方が多いと聞いていますので、お泊まりされる部屋が減るのはこちらとしても嬉しいです。ただ、ベッドが一つしかなくて・・・・」
「ぜひ!」
セクアナが目を輝かしてその提案に賛成している。
二人で同じ部屋か・・・・
「ん? いや、ちょっと待て!」
僕はその意見に反対していた。
確かに値段が安くなるのはいい、とてもいい話だ。でも、一緒の部屋ってことは一緒に寝るってことだ。小さい頃は一緒に寝ていたけど母が間に入っていた。
今まで横で寝たことがなかった。
野宿でも結構離れて寝ていた。
「どうしたの? 安くなるのになんで反対しているの?」
セクアナは僕が何言っているの、というふうに首を傾げている。
「どうしたのって自分の言っていることわかってる? 」
「ん? 値段が安くなるっこと?」
ああ、わかってなかった。
「いやいや、そうじゃなくて寝るのが一緒になってしまうじゃん!」
「ん?」
始めは平常心でいたようだが、自分のやろうとしていることがやっとわかったようで顔がだんだん赤くなった。
「えっと・・・・・でも・・・その、安くなるし・・・ほらって私達って兄弟でしょ。だから、大丈夫でしょ」
うん、確かに兄弟、兄弟っていう設定だけど、本当は血が繋がってないじゃん。
本当に大丈夫なの・・・・
少し不安になってきた。
「あの・・・そろそろ他のお客様もいるので・・・」
後ろを向くと、次のお客さんが待っていた。
「お、お願いします!」
「そうですか。ありがとうございます!」
動揺しているのか、大きな音を立ててお金をテーブルに置いた。
「303号室でございます。ごゆっくり疲れを癒されてください」
少し色が曇っている、味のある鍵を渡されて部屋へ行った。
宿の二階に部屋があり、廊下も少し古い印象があったがそれでもきれいに掃除されていた。
「301、302、303っと、ここか!」
順番に部屋を辿って行き宿の奥の方にある部屋へたどり着いた。
「さーーて、どんな部屋かな・・・」
セクアナは結構楽しんでいたが、僕は男ということもあり、ずっと緊張していた。
一緒の部屋か・・・
もう僕達は成長して体も大きくなった。身長が伸びて筋肉もたくさんついた。セクアナも身長は伸び、胸やお尻も大きくなって女の子らしいきれいなくびれもある。
しかも僕はちょうど思春期。ちゃんと理性が保てるかどうかが心配になってくる。
部屋へ入ると正面に窓があり、光が差し込んでいた。軽いテーブルや椅子もあって休めそうだ。
床は、まぁ世界が違うから畳などは敷いてあらなくて木の板だった。土足で入れるようになっていた。
正直、どこかで靴を脱げるところがあったら嬉しかったな。靴を履いたままなのは慣れていない。
そして1番の問題。
それはベッドだ。
元は一人部屋として用意してあったのかシングルベットのようで二人で寝ると結構ひっつかないと寝られないと思う。
「うわ・・・・・」
この部屋に入ってから、もっと緊張してきた。
でも思ってた以上にセクアナは普通だった。
「その・・・結構、普通にいられるんだね・・・・」
「そりゃ、義理だけど兄弟ってことになってるからね!」
いつものようにテキパキと荷物を整理したり、お金のことを計算してこれからのことを考えてくれている。
この姿を見ていると少し安心した。
「ねぇ、早めだけどご飯食べておかない?
そして早く寝て明日に備えよ!」
「うん、そうだね」
僕達は食堂のある下へ降りた。
たくさんのテーブルが並んでいて、まるでカフェのように見えた。
厨房からジューーっと何かを炒めている音や食べ物の匂いがしてくる。
そんな食事のいい音がすると食欲も増してくる。
僕達は早めにご飯を食べるので人は誰もいなく、二人だけだった。
まぁ、夜に酒を飲んでベロべロになった人達に絡まれないことを考えればいいことだと思う。
大体こういうところって柄の悪い人達が酒に酔っ払うイメージがあるけど本当はどうなんだろう・・・・
少しそれを見たいなという好奇心が芽生えた。
そんなことを考えていると料理が次々と運び込まれた。
スープにパンにサラダ、メインの焼き物など、食事を優先的に選んだおかげでたくさん出てきて美味しそうだった。
ここまで出てくるとは思わず、僕は自然とよだれを垂らしていた。セクアナも開いた口が塞がっていない。
「いっ、いただきます!!」
食べようとしたがレベルの高い料理にどれから食べるか迷っていた。
こんなに料理が出てくると思わなかった。見た目もきれいだし、カメラがあったら撮りたいくらいだ。
しばらく目で楽しんから、メインにある肉から食べた。
「明日はとうとう魔法騎士団試験だね!」
「今まで頑張ったもんね。明日から勝たないと」
この世界での目的の第一歩か・・・
ここにきた目的を思い出しながら、明日のことを考えた。
いろいろなことがあった。魔法が努力してやっと使えたり、差別されたり。それでも最後にはセクアナが、助けてくれたり・・・・
美味しかった食事も、いつの間にか食べきてっており、最後に果物ジュースを飲んだ。
まるで赤ワインのように真っ赤に染まっていて綺麗だった。
味もブドウやブルーベリーなどの酸味のあるものが入っているようでさっぱりしていた。
食事を終える頃には客もたくさん来ていてあたりは賑わっていた。
楽しそうに飲んでるなと思いながらも、部屋へ戻った。
ふぅっと一息ついているとセクアナが入ってきた。
あっ・・・・ 忘れてた。同じ部屋だった。
美味しい食事で完全に忘れていた。
ヤバイ、一気に緊張してきた。
「あっ、そうだ。僕は床で寝るから一人でベッドに寝てくれる・・・?」
緊張のせいでほぼ棒読みで言っていた。
恥ずかしい・・・なんでこんな口調になってるの・・・・
「いや、ダメだよ。ちゃんとベットで寝ないと風邪ひいちゃう。まだ夜は寒い季節なんだから」
「いや、でも流石に年頃の男女がこんな狭いベッドで寝たら・・・」
「何、どうしたの。もしかして気にしてるの?」
僕をからかうようにセクアナが言ってくる。
「べ、べべべ、別に気にしてなんかいないよ・・・・」
嘘だ。気にしすぎるせいでうまく話せていない。
ああ、どうしよう。今夜何も起きないよな・・・・・
私は値引きができてとても喜んでいた。
半額にできるなんて意外に節約のセンスがあるかも。
トモヤと同じ部屋なのは恥ずかしくて顔が赤くなったがまあ大丈夫かな・・・・
布団だって離して寝ればたぶん・・・
そう、自分の中で安心していた。
しかし、部屋へ入るとシングルベッド一つしかない。
どっ、どどどどどうしよう!!
顔はいつものように落ち着いていたが、心の中でとても動揺していた。
なぜベッドが一つしかないの!?
あっ・・・・
そういえば受付の人、言ってたな。
値引きできたことを喜んで全然話を聞いていなかった。
自分がやってしまったことを今とても後悔している。
うわぁぁぁぁ!?
どうしよう、どうしよう。
今日この部屋に二人で泊まるから、あのベッドで寝ないといけないの!?
この時、心の中でトモヤ以上にセクアナは動揺していた。
私、すごく緊張してきたな・・・・
それでもこの部屋を選んだのは私だ。平常心でいないと。
このようにセクアナは覚悟を決めていたが、心の中ではすごく動揺して、頑張って顔には出さなかったのだ。
「その・・・」
「っ!?」
「結構、普通にいられるんだね・・・」
「そりゃ、義理だけど兄弟ってことになってるからね!」
普通にいられる・・・・そんなわけないじゃん!!
今、私はめちゃくちゃ動揺しているんですけど!
動揺しすぎて、まるでいつものキャラが変わるような感覚になっているんですけど!
うう、ダメだ。トモヤの顔を見ていると
平常心が保てない!
私は顔を見ないためにもテキパキと荷物の整理をした。
軽く休憩したらお腹が空いてきて食堂へ行った。
この宿の食事をとても楽しみにしていた。
そして出された料理はとても凄いものだった。
しかし今夜のことを考えると、まだ緊張していて、楽しみにしていた食事の味を感じなかった。
宿代が半額になったのはいいけど、こんなことが起きるとは想像していなかった。これなら別々の部屋にする方が良かったかな・・・・・
そしてご飯が食べ終わり、とうとう寝る時間になってきた。
うう、うわぁぁぁ、どどどどどうしよう!!!
寝る準備が近づくにつれて緊張でだんだん体が熱くなってくる気がする。ドクンドクン、という心臓の音も大きくなる。
そうだよね、トモヤも思春期だもんね・・・・
いやそんな理由で落ち着けるか!!
本当、一人で何考えているんだろう。
もし襲われたらどうしよう。
そんなことを考えながら、時間が過ぎていく。
そして今、二人は部屋に置かれていた小さなテーブルに向かい合うように座っている。
二人ともかしこまって、両手を膝につきとてもきれいな姿勢で、気まづい空気を味わっていた。
「うう…」
「ううん…」
顔がお互いに赤い。
「あの!」
「そろそろ!」
声が揃った。そして会話が途切れる。
また地獄の沈黙が訪れた。
こういう時に会話が合わさるのは不運だ。
余計に気まづくなる。
「えっと、お先にどうぞ」
どうにか勇気を振り絞り、次は僕から会話を始めれた。
「あ、これはどうも・・・・」
しばらくセクアナは押し黙っていたが、少し間を置くと目を合わせずに話した。
「明日も早いので、そろそろ寝ましょうか」
「はっ、はい! そうですね」
緊張で声が裏返って高い声がでた。
本当、どうしてこんな時に恥ずかしいことばかり起きるかやら…
「やっ、やっぱり僕、床で寝るよ」
「いいよ。そんな心配しなくても。トモヤはその・・・思春期だし、何かするかも知れないけど・・・」
「しないよ! 何もしない」
「ああ、うん・・・ そうだよね。何もしないよね・・・・」
会話がなくなった。
二人ともこう思う。
気まず!!
それでもセクアナが先に立ち、ベッドの方へ行ってくれたから、僕もそれについていくことができた。
そしてお互いに背中を向けて寝転んだ。
うう・・・・わぁぁぁ!
やっぱり、実際に隣で寝てみるといつも通りにならないよう!
なぜだか知らないけどセクアナからいい匂いがする。
ずっと同じ旅してたよね。
なんでこんなにいい匂いなの?
平常心!平常心!平常心・・・!
ってできるか!?
こんな状態でできるわけないでしょ!
横に年頃の男の子がいるんだよ。
いつも通りの関係なんてできないよ。
これも私のせいだ。
どんなことがあっても、耐えないと・・・
そんなことを考えている時、トモヤが布団から起き出した。
そして手が私の方に手が伸びてきている気がする。
うう、これやっぱり何かされるのかな。平常心でいないと。
少し怖くなって目を強く瞑る。
でも襲われることはなく、軽く肩を叩かれた。
「セクアナ、起きてる?」
呼ばれたのでトモヤの方を見ると、体を起こしている。なんか顔が赤い。
耳をかきながら何か話し出した。
「今まで、ありがとね」
照れながらも、可愛らしい笑顔を向けてくる。
「僕が差別されている時に助けてくれたり、いつも美味しいご飯を作ってくれたり。セクアナのおかげで今日まで生きてこれた。本当に感謝してる。ありがとう!」
いきなり褒められて困惑したが、嬉しかった。ちゃんと私はトモヤの役に立てていることを純粋な目で言ってくれて心に響いた。
頑張ってきてよかったと私は思った。
私もトモヤへお礼を言った。
「私こそトモヤがこの世界に来てくれて嬉しかった。たくさん命も救われたし、優しくしてくれた。こちらこそありがとね!」
お互いに褒めあって顔が赤くなる。
気がつくとさっきまで緊張していた気持ちはなくなっていた。
トモヤも恥ずかしくなったのか、布団にくるまった。
あら可愛い。
最初と同じように背中を向けて寝た。
心が温まった。
いい気持ちだ。
いい雰囲気だった。しかし、たまたま二人が顔を見合わせると、また恥ずかしくなった。
お互い、男女が横で寝ていることを自覚して気まずくなる。
このせいでお互いに夜は眠れず、最悪のコンディションで試験を迎えてしまった・・・・
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代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
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