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魔法騎士団試験
ピアノ少年
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朝になり目が覚める。
っていってもお互いに緊張して一睡もできなかった。
だから目の下に黒いクマができている。
「おっ、おはよう・・・・・」
「おはよう・・・ 僕がカーテンを開けるよ」
魔法騎士団試験当日というのに寝れなかったせいで体力も回復せず、最悪のコンディションだ。
バサっとカーテンを開け眩しい光が入ってきた。しばらく目を開けれなかったが、街はとても賑わっていた。昨日よりも何倍も大きな声が聞こえる。また装飾もすこし増えてどこから落ちてきているのか紙吹雪が飛んでいる。
いつの間にかセクアナも窓のそばへ来てその光景を見ている。
「昨日よりも賑わっているね・・・」
「あっ、う、うんそうだね・・・」
まだ一緒に寝ていた時のことを思い出して気まずくなる。
「あっ、ああ! そうだ、私先にご飯食べてくるね」
「うん、わかった。じゃあ先に準備して荷物とか持って降りとくよ」
「あ、ありがとう・・・ じゃあ・・」
軽く手を振って下へ降りていった。
動きやすい服に着替えて昨日買った日本刀を腰に刺す。
うん、かっこいい。
軽く準備を済ませて朝食をとって宿を出る。すぐにセクアナも出てきて会場へ向かう。
やっぱり、当日は人がたくさんいて前に進むのが大変だった。屋台も多く並んで混雑している。
「うう、あっ、すいません・・・」
よく人にぶつかった。
しばらく歩いているとやっと広い場所に出れて人混みから抜け出した。
そして大きな建造物が立っている。コロッセオのようなアーチ型の建物だ。コンクリートや石で丈夫に作られている。
「さぁ、着いたよ。ここがルーディニア・コロシアムだよ!」
「はあー、やっと人混みから抜けれた」
目の前の光景より人が少ないことにひとまず安心した。
「まさかここまで多いとは思わなかったね」
「ねぇ、早くあの中に入ろう!」
ここにくるまで、たくさんの人に酔った。だから一刻も早く静かなところに行きたい・・・
足早に入ろうとした時、近くの建物から何かメロディーが聞こえた。
なんか懐かしいなこの音・・・・・
僕は魔法で洗脳されたかのようにその音に吸い寄せられた。
「あっ、ちょっとトモヤ。こっちだよこっち」
セクアナの言葉など耳に入らない。
近づいていくとなんの音かわかった。
それはピアノだった。
この世界に来て初めての音楽に感動を覚え、しばらく見ていた。しかも弾いているのは男の子だ。前世でもあまり見なかったからよけいに興味を持った。
ああ、心が落ち着く。
曲はとても素晴らしいかった。
しかし僕以外、周りを歩く人達は見向きもしない。
なんでだろう・・・・
しばらくすると演奏も終わり、大きく拍手をした。
これにはピアノを弾いていた子も驚いてこちらを見てくる。
「すごいね、うまいね、本当にすごいよ!」
僕はとても彼を褒め称えた。
木で少し古いピアノであったが、素晴らしい音を彼は奏でる。
「あっ・・・どうも」
彼も照れて顔を赤くしていた。少し経つと口調が変わってグイグイと話しだした。
「お兄さん! ピアノに興味あるの? ねぇねぇねぇ。どうなのどうなの?」
「あっ・・・ うん、少しだけなら知ってるかな」
ここまで積極的にくるとは思わず少し動揺した。
「本当! これは魔法騎士になる人を応援する曲なんだ。これから僕達を命がけで守ってくれるからせめてと思って」
いい心がけだな。こんな純粋な子どもが難しいピアノを弾いて応援ってなんか尊いな。
心の中で彼を尊敬しているとまた積極的に話してくる。
「ねぇ、お兄さんも弾いてみなよ」
「あはは。僕そんなにうまく弾けないよ」
「全然大丈夫だよ。ただピアノを知っている人がいて嬉しんだ。ほとんどの人が素通りしていくから・・・・」
本当に嬉しそうだ。
「ずっと一人で弾き続けているの?」
「祭りの時は毎日弾いてるよ。応援のために」
「すごいな」
語彙力がなくてすごいと言う言葉しか出てこない。
「でもなんで、みんな見向きもしないのかな・・・」
軽くそんなことを聞いたら暗い表情を彼はした。
「ああ・・・・たぶんそれは僕が身分が低いから聞きたがらずに無視するんだと思う・・・・」
「あっ、ごめんね。なんか暗い話になって・・・」
いきなり空気が重くなった。
「まぁ、そんなこといいから弾いてみなよ」
「うん、そうだね。君みたいにうまくないから期待しないでね」
うん!
ああ、めっちゃ期待してる。なんか恥ずかしいな・・・・
「いくよ、せーの。き~ら き~ら ひかる~~ お~そ~ら~の~ほ~し~よ・・・」
簡単にキラキラ星を弾いてみた。
「どうかな?」
弾き終わり、彼を見ると涙を流していた。
「何!? 今の曲! すごいね。君、本当にすごいよ。こんな綺麗な音色のきよまく聞いたことない」
「えっ、ええ!?」
誰でも知ってそうな曲を引いただけでこんな反応をするとは思わず戸惑う。
「本当すごいよ。師匠って呼んでもいいですか?」
「えっ、いやそんなやめて」
「はぁー。そうですか・・・」
「君の方がすごいよ。だって両手で弾いているんだよ! そんなの誰でも簡単にできないよ」
師匠と呼べなくて落ち込んでいる彼をどうにか慰めた。
「ちょっと、トモヤ! 早くしないと試験が始まるよ」
セクアナが僕を見つけて近くまで来ていた。
「ごめんね。もう行かなくちゃいけないんだ」
「はぁー・・・ そうですか・・・」
さっき慰めようとしたがこれによってまた深く落ち込んでしまった。
「また、会いにくるよ!」
「・・・・絶対会いに来てくださいね!! その時までにまた新しい曲を作っておきます!
「絶対会いにくるよ。次来たときの曲楽しみにしてる。またベタ褒めするよ。その時にピアノのことを語り合おう!」
「はい! ではまた」
「またね」
軽く手を振りながら別れた。
新しい出会いをした。フードを被っているから正体を知らないとは思うけど、もし僕のことをわかったら態度が変わりそうで怖い。
仲のいい人に裏切られるのが一番辛いからな・・・・
「あっ、ピアノだ。あの子の曲を聞いていたの?」
「うん、とってもうまかったよ」
「へぇー。次に出会う時に連れて行ってくれない? 私も聞きたいから!」
「フフフ。たぶんあの子、大歓迎すると思うよ」
「まぁ、今は試験に集中しよ!」
「そうだね・・・・」
このピアノ少年と意外なところで会うことになるが、それはまた別の話である。
っていってもお互いに緊張して一睡もできなかった。
だから目の下に黒いクマができている。
「おっ、おはよう・・・・・」
「おはよう・・・ 僕がカーテンを開けるよ」
魔法騎士団試験当日というのに寝れなかったせいで体力も回復せず、最悪のコンディションだ。
バサっとカーテンを開け眩しい光が入ってきた。しばらく目を開けれなかったが、街はとても賑わっていた。昨日よりも何倍も大きな声が聞こえる。また装飾もすこし増えてどこから落ちてきているのか紙吹雪が飛んでいる。
いつの間にかセクアナも窓のそばへ来てその光景を見ている。
「昨日よりも賑わっているね・・・」
「あっ、う、うんそうだね・・・」
まだ一緒に寝ていた時のことを思い出して気まずくなる。
「あっ、ああ! そうだ、私先にご飯食べてくるね」
「うん、わかった。じゃあ先に準備して荷物とか持って降りとくよ」
「あ、ありがとう・・・ じゃあ・・」
軽く手を振って下へ降りていった。
動きやすい服に着替えて昨日買った日本刀を腰に刺す。
うん、かっこいい。
軽く準備を済ませて朝食をとって宿を出る。すぐにセクアナも出てきて会場へ向かう。
やっぱり、当日は人がたくさんいて前に進むのが大変だった。屋台も多く並んで混雑している。
「うう、あっ、すいません・・・」
よく人にぶつかった。
しばらく歩いているとやっと広い場所に出れて人混みから抜け出した。
そして大きな建造物が立っている。コロッセオのようなアーチ型の建物だ。コンクリートや石で丈夫に作られている。
「さぁ、着いたよ。ここがルーディニア・コロシアムだよ!」
「はあー、やっと人混みから抜けれた」
目の前の光景より人が少ないことにひとまず安心した。
「まさかここまで多いとは思わなかったね」
「ねぇ、早くあの中に入ろう!」
ここにくるまで、たくさんの人に酔った。だから一刻も早く静かなところに行きたい・・・
足早に入ろうとした時、近くの建物から何かメロディーが聞こえた。
なんか懐かしいなこの音・・・・・
僕は魔法で洗脳されたかのようにその音に吸い寄せられた。
「あっ、ちょっとトモヤ。こっちだよこっち」
セクアナの言葉など耳に入らない。
近づいていくとなんの音かわかった。
それはピアノだった。
この世界に来て初めての音楽に感動を覚え、しばらく見ていた。しかも弾いているのは男の子だ。前世でもあまり見なかったからよけいに興味を持った。
ああ、心が落ち着く。
曲はとても素晴らしいかった。
しかし僕以外、周りを歩く人達は見向きもしない。
なんでだろう・・・・
しばらくすると演奏も終わり、大きく拍手をした。
これにはピアノを弾いていた子も驚いてこちらを見てくる。
「すごいね、うまいね、本当にすごいよ!」
僕はとても彼を褒め称えた。
木で少し古いピアノであったが、素晴らしい音を彼は奏でる。
「あっ・・・どうも」
彼も照れて顔を赤くしていた。少し経つと口調が変わってグイグイと話しだした。
「お兄さん! ピアノに興味あるの? ねぇねぇねぇ。どうなのどうなの?」
「あっ・・・ うん、少しだけなら知ってるかな」
ここまで積極的にくるとは思わず少し動揺した。
「本当! これは魔法騎士になる人を応援する曲なんだ。これから僕達を命がけで守ってくれるからせめてと思って」
いい心がけだな。こんな純粋な子どもが難しいピアノを弾いて応援ってなんか尊いな。
心の中で彼を尊敬しているとまた積極的に話してくる。
「ねぇ、お兄さんも弾いてみなよ」
「あはは。僕そんなにうまく弾けないよ」
「全然大丈夫だよ。ただピアノを知っている人がいて嬉しんだ。ほとんどの人が素通りしていくから・・・・」
本当に嬉しそうだ。
「ずっと一人で弾き続けているの?」
「祭りの時は毎日弾いてるよ。応援のために」
「すごいな」
語彙力がなくてすごいと言う言葉しか出てこない。
「でもなんで、みんな見向きもしないのかな・・・」
軽くそんなことを聞いたら暗い表情を彼はした。
「ああ・・・・たぶんそれは僕が身分が低いから聞きたがらずに無視するんだと思う・・・・」
「あっ、ごめんね。なんか暗い話になって・・・」
いきなり空気が重くなった。
「まぁ、そんなこといいから弾いてみなよ」
「うん、そうだね。君みたいにうまくないから期待しないでね」
うん!
ああ、めっちゃ期待してる。なんか恥ずかしいな・・・・
「いくよ、せーの。き~ら き~ら ひかる~~ お~そ~ら~の~ほ~し~よ・・・」
簡単にキラキラ星を弾いてみた。
「どうかな?」
弾き終わり、彼を見ると涙を流していた。
「何!? 今の曲! すごいね。君、本当にすごいよ。こんな綺麗な音色のきよまく聞いたことない」
「えっ、ええ!?」
誰でも知ってそうな曲を引いただけでこんな反応をするとは思わず戸惑う。
「本当すごいよ。師匠って呼んでもいいですか?」
「えっ、いやそんなやめて」
「はぁー。そうですか・・・」
「君の方がすごいよ。だって両手で弾いているんだよ! そんなの誰でも簡単にできないよ」
師匠と呼べなくて落ち込んでいる彼をどうにか慰めた。
「ちょっと、トモヤ! 早くしないと試験が始まるよ」
セクアナが僕を見つけて近くまで来ていた。
「ごめんね。もう行かなくちゃいけないんだ」
「はぁー・・・ そうですか・・・」
さっき慰めようとしたがこれによってまた深く落ち込んでしまった。
「また、会いにくるよ!」
「・・・・絶対会いに来てくださいね!! その時までにまた新しい曲を作っておきます!
「絶対会いにくるよ。次来たときの曲楽しみにしてる。またベタ褒めするよ。その時にピアノのことを語り合おう!」
「はい! ではまた」
「またね」
軽く手を振りながら別れた。
新しい出会いをした。フードを被っているから正体を知らないとは思うけど、もし僕のことをわかったら態度が変わりそうで怖い。
仲のいい人に裏切られるのが一番辛いからな・・・・
「あっ、ピアノだ。あの子の曲を聞いていたの?」
「うん、とってもうまかったよ」
「へぇー。次に出会う時に連れて行ってくれない? 私も聞きたいから!」
「フフフ。たぶんあの子、大歓迎すると思うよ」
「まぁ、今は試験に集中しよ!」
「そうだね・・・・」
このピアノ少年と意外なところで会うことになるが、それはまた別の話である。
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