22 / 76
魔法騎士団試験
歩ちゃん
しおりを挟む
ピアノ少年と別れてなんちゃらコロシアムに向かっていく。
あっ! そう思えば彼の名前を聞くのを忘れたな・・・・・
また会うといいながら大事なことを聞き忘れていた。
「ああ、やってしまった。あの子、とっても喜んでいたのに・・・・」
僕と出会ったときのあの輝いていた顔を思い出すと、頭を抱えてしまう。
まぁ、もう一度どこかで会えるだろう・・・
服についているフードをもう一度深くかぶる。
「ここのコロシアムの反対側に入り口があるからもうちょっと歩かないといけないよ!」
「う、うん・・・ そうだな。頑張らないと!」
僕は気合いを入れるために顔の前に拳を上げて力強く握りしめる。
「・・・? 何やってるの・・・」
いきなり変なことをしたからセクアナが首を傾げている。
しばらく歩いていると装飾がしてある看板があり、その下には試験を受ける人だけが通れる道が作ってあった。道の横からは街の人達が頑張れよなどと声援を送っている。
そしてその奥には受験申請するための役員の人達がいて、そこへ受ける人は自己紹介をしている。
周りにもこの魔法騎士になるための若き少年少女達が集まっている。
この光景を見ると、本当に試験が始まるんだと自覚する。
「よし、合格するぞ!」
そう決意して僕も道を渡ろうとする。
するとある噂が聞こえた。
「ねぇ知ってる? 今年は実力者揃いらしいね。特に貴族様が例年と比べると多く参加しているらしいよ」
「あっ、知ってる。その貴族様の中に最強の人がいるらしいね」
「ああ、そうだぞ。性格は最悪だけど、子どもの頃からずっとモンスター狩りをしている貴族様だ。実践に慣れているから余裕で勝つと思うぞ。ハッハハハ!」
ふーん。貴族か・・・・
差別されていた記憶が蘇る。
「ふん、貴族を倒した時の他の奴らの顔を見てみたいぜ。どんな顔をするんだろな、ハッハハハ!」
不気味な笑みを浮かべて、すこし黒い感情が出てきた。プライドの高い貴族が僕みたいな最弱魔法にやられる。その顔を想像するだけでなんだかスカッとして笑みが溢れてしまう。
セクアナが僕の笑みに引いている。
「あ、あのあのトモヤさん。なんか怖いこと言っているけど早くいきましょう・・・」
「ああ、ごめんごめん。つい復讐したいと思いまして」
「いや本当怖いよ、今の発言!? まぁ勝てればいんだけど」
「そうだよね・・・」
また他の人の噂が聞こえた。
「いや、その貴族様もすごいけどやっぱあの猛獣みたいなエルフの少女だろ」
なに!? エルフ!
まだ見たこともないファンタジーの種族に期待が高まった。どんな人だろう。
「あぁ、確かにあの子もすごいよな。どこの森から来たのか知らないけど、なんたって王都の正門を通ってきたんだろ。何十メートルもあるモンスターを何十体も倒してきたんだろ」
「そうよね。いやもしかしたら百体くらい倒しているかもしれないよ」
「うわっ、まじか。それはヤバいな・・・」
「野獣じゃないそれ・・・・」
「あはは・・・・」
話している会話が途切れた。
女剣士かな、なんかかっこいい。でも話を聞いていると怖いな・・・・
まだ噂に耳を傾けて一歩も進んでなかった。
「他の人の情報を探るのはいいことだと思うよ。でもそろそろ行かないと受付時間終了しちゃうよ」
「あぁ、ごめん。ちょっと興奮してつい明日が止まっちゃって・・・・・ 早くいこっか!」
受付に行こうとした時、後ろの方から、悲鳴や歓喜など、さまざまな声がした。
「おい、モンスター少女が来たぞ!」
「道を開けないと殺されるぞ」
「おい、すげえな。あの子」
うう、人がたくさんが集まっていてどんな人か見えない。
すこしでも姿を見るために近づくと大きな黒い影が見えた。それはもうとっても大きくて噂されていたようにモンスターのようだった。
「ひっ!?」
セクアナもこの影が一瞬見えて、すこしびびっていた。
受付をするためにだんだんこちらへ近づいてくる。
緊張感や恐怖心が高まってくる。
人が僕の前から逃げていき、とうとうその姿を見た。
「・・・・嘘だろ・・ 歩ちゃん・・・?」
自然に涙が出る。
一歩一歩足が前に出る。
初めはゆっくり進んでいたが次第に走っていた。
そして僕はいきなりハグをしてしまった。
その反動でフードがめくれてしまう。
「歩ちゃん、歩ちゃん歩ちゃん!!」
周りからは悲鳴が聞こえた。
野獣のような少女に抱きついたこと、雷魔法を操る悪魔が目の前にいることなどなど、いろいろ問題はあるが、近くにいた街の人は気付くと離れていた。
「って、いつまでこんなことしているんだ!?」
「ぐはぁ!」
僕は見事な背負い投げをされて地面に激突する。早すぎる動きに何をされたかわからなかった。
気付くと地面に転んでいる。時間差で背中に痛みが走った。
「痛って!」
「いっ・・・ 痛いじゃない!
いき、いきなりなんなのだあなたは」
ああ、歩ちゃんだ。人見知りだし顔も同じだ。緊張して言葉が詰まっている。
黒い大きな影は木でできたキャリーワゴンに荷物をいっぱい詰めていたからか・・・
誕生日にくれた無駄に沢山入ったプレゼントを思い出す。昔から出張には荷物を沢山持って行ってたからな。
やっぱり歩ちゃんだ。
「僕だよ僕。トモヤだよ。ほら覚えてない? 発電工場の息子のトモヤ。歩ちゃん社長だったじゃない!」
「さっ・・・さっきから歩ちゃんって誰のことを言っているんですか? 私、私の名前は、サナ・・・・です」
名前をいう時だけすこし声が小さくなる。
あぁ、こうやって照れてる姿も懐かしいな。久しぶりに知り合いと会えて落ち着く。
「なんの冗談言ってるの? そう言う嘘はもういいから、正直に言ってよ!」
「冗談なんて言っていない。さっきからずっとあなたのことは知らないって言っているでしょ!!」
「え・・・?」
これ本当に僕のこと知らないの?
性格や顔はほとんど同じだ。
そう思えばすこし若く見える。それに髪の毛が黄緑色だ。それでも髪の毛が長くて清楚な印象を与える。
あ! 耳だ。耳が普通の人間とは異なり、長く尖っているエルフだ。
でもほとんど同じ。
本当に歩ちゃんじゃないのかな・・・
最後にもう一度だけ確認した。
「本当に歩ちゃんじゃないの? 僕のことを覚えてない?」
「しっ、知りません。もういいか?」
「あ、すいません。迷惑をかけました。人違いだったようで・・・・ いきなりハグなんかして申し訳ございません・・・」
「あっ、それはどうも。こちらこそいきなり地面に叩きつけてしまいすいませんでした。そろそろ私はいきます・・・・」
キャリーワゴンをギリギリと音を立てながら静かに受付のところへ行かれた。
そして今僕はさまざまな人から非難を受けている。
「そう思えば、あいつも来ていたな。小さな村を潰そうとした悪魔」
「悪魔か。どうせ最弱なんだしすぐに負けるんだろうな」
「キャァ! 怖い。早く出て行って!」
悪口を言われているがそんな声など聞こえない。
せっかく知っている人に会えたけど人違いだったことに絶望している。
「あの・・・ トモヤ・・・いろいろあると思うけど、早く受付しよう・・・」
「うん、そうだね・・・」
元気のない声。
信じてくれている人がいるから、昔ほど絶望はしないけど今は悲しい。
応援に満ち溢れていたコロシアムに入る道は街の人の恐怖や怒りに包まれてさっきまでとは大違いだった。
その最悪の気分の中、試験の申請をしに行く。受付は優しそうな顔をしたお兄さんだった。
「名前をどうぞ」
「はい、私はセクアナです」
「そうですか……セクアナっと、ちなみにどこの村から来たんですか?」
「結構遠くにあるサフラ村です」
「はい、わかりました」
そういって何かカードのようなものを作っていた。魔道具によって出身地や名前を書き、本当さの数分で申請は完了した。
「ではこれをどうぞ」
「ありがとうございます」
「このカードは試験の時、必ず必要になるものなので大切に持っていてください。また、ちょっとしたサービスですが、宿代もこれによって安くなったりするので便利ですよ」
優しい笑顔を向けて丁寧に説明している。そして宿代が安くなると聞いてセクアナがとっても喜んでいる。
「本当ですか! ありがとうございます!」
頭を深く下げて横へ移動する。
「次の方どうぞ・・・・ふん!」
顔が変わった。優しそうな顔をしていたお兄さんはこちらを睨み、荒々しい声になる。
ここまで態度が変わるとは思わず、すこし怖くなる。
「はい、で、なんで悪魔がこんなところに来てるんだ。ここは何をする場所か分かっているのか?
魔法騎士になるための試験だぞ。そんなところに来てんじゃねえ。さっさと出て行け!」
「あ、あの申請を・・・」
さっきまで本当に優しそうな人だったからなぜか強く言い返せなかった。
「はあぁぁ。わからないやつだな。出て行けって・・・」
ドン!
机を叩く大きな音が聞こえた。
「トモヤのことを知らないあなたが生意気に言わないでください・・・」
セクアナ鋭い目つきで受付の人を睨んだ。
「は・・・はい・・・・」
そのあと彼はただ怯えていた。その分何も言われず簡単に受付が終了した。
「セクアナ・・・なんかごめんね」
「フフフ、ありがとうって言ってよ。感謝された方がうれしんだから」
あれ? どこかで聞いたことがあるような・・・・
とにかく、嬉しかった。すこし歩ちゃんのことで落ち込んではいたけど気持ちも開き直っていた。
「ありがとうセクアナ」
「うん!」
僕達の受付も最後の方だったらしく、すぐに終わろうとしていた。
大きなマイクの音が聞こえた。また音魔法とかの魔道具でも使っているのかな・・・・
「以上をもち・・・」
「待ってぇぇぇぇ!?」
受付終了の放送をしようとする時、街の方から叫び声と一緒に一筋の光がこちらに飛んできた。
すごいスピードだった。
「はぁはぁはぁはぁ!」
すごい汗をかいていて、目を見開いている。顔も鼻水と涙でボロボロ。そんな変な青年が受付を訪れていた。
思わず僕達はその顔に吹き出してしまった。
「アッハハハハハハ!!」
やっと気分がいつものように晴れやかになり、やる気が出てきた。
「フフフ。私達も頑張らないとね!」
「そうだな」
お互いに勇気づけながらコロシアムの中へ入って行った。
あの青年は申請するのが大変そうだった。ぎりぎりにきていたからしばらく話して、無事受けれることになったらしい。
すこし笑い物にしていたが、彼のスピードはとても早かった。たぶん厄介になる・・・
改めてライバルが多いことを自覚した。
あっ! そう思えば彼の名前を聞くのを忘れたな・・・・・
また会うといいながら大事なことを聞き忘れていた。
「ああ、やってしまった。あの子、とっても喜んでいたのに・・・・」
僕と出会ったときのあの輝いていた顔を思い出すと、頭を抱えてしまう。
まぁ、もう一度どこかで会えるだろう・・・
服についているフードをもう一度深くかぶる。
「ここのコロシアムの反対側に入り口があるからもうちょっと歩かないといけないよ!」
「う、うん・・・ そうだな。頑張らないと!」
僕は気合いを入れるために顔の前に拳を上げて力強く握りしめる。
「・・・? 何やってるの・・・」
いきなり変なことをしたからセクアナが首を傾げている。
しばらく歩いていると装飾がしてある看板があり、その下には試験を受ける人だけが通れる道が作ってあった。道の横からは街の人達が頑張れよなどと声援を送っている。
そしてその奥には受験申請するための役員の人達がいて、そこへ受ける人は自己紹介をしている。
周りにもこの魔法騎士になるための若き少年少女達が集まっている。
この光景を見ると、本当に試験が始まるんだと自覚する。
「よし、合格するぞ!」
そう決意して僕も道を渡ろうとする。
するとある噂が聞こえた。
「ねぇ知ってる? 今年は実力者揃いらしいね。特に貴族様が例年と比べると多く参加しているらしいよ」
「あっ、知ってる。その貴族様の中に最強の人がいるらしいね」
「ああ、そうだぞ。性格は最悪だけど、子どもの頃からずっとモンスター狩りをしている貴族様だ。実践に慣れているから余裕で勝つと思うぞ。ハッハハハ!」
ふーん。貴族か・・・・
差別されていた記憶が蘇る。
「ふん、貴族を倒した時の他の奴らの顔を見てみたいぜ。どんな顔をするんだろな、ハッハハハ!」
不気味な笑みを浮かべて、すこし黒い感情が出てきた。プライドの高い貴族が僕みたいな最弱魔法にやられる。その顔を想像するだけでなんだかスカッとして笑みが溢れてしまう。
セクアナが僕の笑みに引いている。
「あ、あのあのトモヤさん。なんか怖いこと言っているけど早くいきましょう・・・」
「ああ、ごめんごめん。つい復讐したいと思いまして」
「いや本当怖いよ、今の発言!? まぁ勝てればいんだけど」
「そうだよね・・・」
また他の人の噂が聞こえた。
「いや、その貴族様もすごいけどやっぱあの猛獣みたいなエルフの少女だろ」
なに!? エルフ!
まだ見たこともないファンタジーの種族に期待が高まった。どんな人だろう。
「あぁ、確かにあの子もすごいよな。どこの森から来たのか知らないけど、なんたって王都の正門を通ってきたんだろ。何十メートルもあるモンスターを何十体も倒してきたんだろ」
「そうよね。いやもしかしたら百体くらい倒しているかもしれないよ」
「うわっ、まじか。それはヤバいな・・・」
「野獣じゃないそれ・・・・」
「あはは・・・・」
話している会話が途切れた。
女剣士かな、なんかかっこいい。でも話を聞いていると怖いな・・・・
まだ噂に耳を傾けて一歩も進んでなかった。
「他の人の情報を探るのはいいことだと思うよ。でもそろそろ行かないと受付時間終了しちゃうよ」
「あぁ、ごめん。ちょっと興奮してつい明日が止まっちゃって・・・・・ 早くいこっか!」
受付に行こうとした時、後ろの方から、悲鳴や歓喜など、さまざまな声がした。
「おい、モンスター少女が来たぞ!」
「道を開けないと殺されるぞ」
「おい、すげえな。あの子」
うう、人がたくさんが集まっていてどんな人か見えない。
すこしでも姿を見るために近づくと大きな黒い影が見えた。それはもうとっても大きくて噂されていたようにモンスターのようだった。
「ひっ!?」
セクアナもこの影が一瞬見えて、すこしびびっていた。
受付をするためにだんだんこちらへ近づいてくる。
緊張感や恐怖心が高まってくる。
人が僕の前から逃げていき、とうとうその姿を見た。
「・・・・嘘だろ・・ 歩ちゃん・・・?」
自然に涙が出る。
一歩一歩足が前に出る。
初めはゆっくり進んでいたが次第に走っていた。
そして僕はいきなりハグをしてしまった。
その反動でフードがめくれてしまう。
「歩ちゃん、歩ちゃん歩ちゃん!!」
周りからは悲鳴が聞こえた。
野獣のような少女に抱きついたこと、雷魔法を操る悪魔が目の前にいることなどなど、いろいろ問題はあるが、近くにいた街の人は気付くと離れていた。
「って、いつまでこんなことしているんだ!?」
「ぐはぁ!」
僕は見事な背負い投げをされて地面に激突する。早すぎる動きに何をされたかわからなかった。
気付くと地面に転んでいる。時間差で背中に痛みが走った。
「痛って!」
「いっ・・・ 痛いじゃない!
いき、いきなりなんなのだあなたは」
ああ、歩ちゃんだ。人見知りだし顔も同じだ。緊張して言葉が詰まっている。
黒い大きな影は木でできたキャリーワゴンに荷物をいっぱい詰めていたからか・・・
誕生日にくれた無駄に沢山入ったプレゼントを思い出す。昔から出張には荷物を沢山持って行ってたからな。
やっぱり歩ちゃんだ。
「僕だよ僕。トモヤだよ。ほら覚えてない? 発電工場の息子のトモヤ。歩ちゃん社長だったじゃない!」
「さっ・・・さっきから歩ちゃんって誰のことを言っているんですか? 私、私の名前は、サナ・・・・です」
名前をいう時だけすこし声が小さくなる。
あぁ、こうやって照れてる姿も懐かしいな。久しぶりに知り合いと会えて落ち着く。
「なんの冗談言ってるの? そう言う嘘はもういいから、正直に言ってよ!」
「冗談なんて言っていない。さっきからずっとあなたのことは知らないって言っているでしょ!!」
「え・・・?」
これ本当に僕のこと知らないの?
性格や顔はほとんど同じだ。
そう思えばすこし若く見える。それに髪の毛が黄緑色だ。それでも髪の毛が長くて清楚な印象を与える。
あ! 耳だ。耳が普通の人間とは異なり、長く尖っているエルフだ。
でもほとんど同じ。
本当に歩ちゃんじゃないのかな・・・
最後にもう一度だけ確認した。
「本当に歩ちゃんじゃないの? 僕のことを覚えてない?」
「しっ、知りません。もういいか?」
「あ、すいません。迷惑をかけました。人違いだったようで・・・・ いきなりハグなんかして申し訳ございません・・・」
「あっ、それはどうも。こちらこそいきなり地面に叩きつけてしまいすいませんでした。そろそろ私はいきます・・・・」
キャリーワゴンをギリギリと音を立てながら静かに受付のところへ行かれた。
そして今僕はさまざまな人から非難を受けている。
「そう思えば、あいつも来ていたな。小さな村を潰そうとした悪魔」
「悪魔か。どうせ最弱なんだしすぐに負けるんだろうな」
「キャァ! 怖い。早く出て行って!」
悪口を言われているがそんな声など聞こえない。
せっかく知っている人に会えたけど人違いだったことに絶望している。
「あの・・・ トモヤ・・・いろいろあると思うけど、早く受付しよう・・・」
「うん、そうだね・・・」
元気のない声。
信じてくれている人がいるから、昔ほど絶望はしないけど今は悲しい。
応援に満ち溢れていたコロシアムに入る道は街の人の恐怖や怒りに包まれてさっきまでとは大違いだった。
その最悪の気分の中、試験の申請をしに行く。受付は優しそうな顔をしたお兄さんだった。
「名前をどうぞ」
「はい、私はセクアナです」
「そうですか……セクアナっと、ちなみにどこの村から来たんですか?」
「結構遠くにあるサフラ村です」
「はい、わかりました」
そういって何かカードのようなものを作っていた。魔道具によって出身地や名前を書き、本当さの数分で申請は完了した。
「ではこれをどうぞ」
「ありがとうございます」
「このカードは試験の時、必ず必要になるものなので大切に持っていてください。また、ちょっとしたサービスですが、宿代もこれによって安くなったりするので便利ですよ」
優しい笑顔を向けて丁寧に説明している。そして宿代が安くなると聞いてセクアナがとっても喜んでいる。
「本当ですか! ありがとうございます!」
頭を深く下げて横へ移動する。
「次の方どうぞ・・・・ふん!」
顔が変わった。優しそうな顔をしていたお兄さんはこちらを睨み、荒々しい声になる。
ここまで態度が変わるとは思わず、すこし怖くなる。
「はい、で、なんで悪魔がこんなところに来てるんだ。ここは何をする場所か分かっているのか?
魔法騎士になるための試験だぞ。そんなところに来てんじゃねえ。さっさと出て行け!」
「あ、あの申請を・・・」
さっきまで本当に優しそうな人だったからなぜか強く言い返せなかった。
「はあぁぁ。わからないやつだな。出て行けって・・・」
ドン!
机を叩く大きな音が聞こえた。
「トモヤのことを知らないあなたが生意気に言わないでください・・・」
セクアナ鋭い目つきで受付の人を睨んだ。
「は・・・はい・・・・」
そのあと彼はただ怯えていた。その分何も言われず簡単に受付が終了した。
「セクアナ・・・なんかごめんね」
「フフフ、ありがとうって言ってよ。感謝された方がうれしんだから」
あれ? どこかで聞いたことがあるような・・・・
とにかく、嬉しかった。すこし歩ちゃんのことで落ち込んではいたけど気持ちも開き直っていた。
「ありがとうセクアナ」
「うん!」
僕達の受付も最後の方だったらしく、すぐに終わろうとしていた。
大きなマイクの音が聞こえた。また音魔法とかの魔道具でも使っているのかな・・・・
「以上をもち・・・」
「待ってぇぇぇぇ!?」
受付終了の放送をしようとする時、街の方から叫び声と一緒に一筋の光がこちらに飛んできた。
すごいスピードだった。
「はぁはぁはぁはぁ!」
すごい汗をかいていて、目を見開いている。顔も鼻水と涙でボロボロ。そんな変な青年が受付を訪れていた。
思わず僕達はその顔に吹き出してしまった。
「アッハハハハハハ!!」
やっと気分がいつものように晴れやかになり、やる気が出てきた。
「フフフ。私達も頑張らないとね!」
「そうだな」
お互いに勇気づけながらコロシアムの中へ入って行った。
あの青年は申請するのが大変そうだった。ぎりぎりにきていたからしばらく話して、無事受けれることになったらしい。
すこし笑い物にしていたが、彼のスピードはとても早かった。たぶん厄介になる・・・
改めてライバルが多いことを自覚した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる