雷魔法が最弱の世界

ともとも

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魔法騎士団試験

二日目

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朝、目覚める。
しっかり寝ることができてやっと疲れが取れた。

昨日はセクアナと同じベッドで寝たからひどい寝不足だった。
だから体力が回復してよかった。

思い返してみると、よくそんなコンディションで貴族に勝てたものだと少し自分の実力を自慢したくなる。

顔を洗い、服に着替え、コロシアムに行く準備を整える。
ていっても今日は試合がないから正直暇かも。
まぁ試合を観戦して、少しでも取り入れられることを見つけないとな。

身支度ができてドアを開ける。

これまたなんの運命なのか、隣とその隣のドアも開いた。

金髪、そして青髪が僕の目の前で揺れる。

「あ、あはよう!」
「う、うん。あはよう」
少し驚いてぎこちない挨拶になる。

目の前には髪を整え、杖を持っているセクアナがいた。
そしてその後ろには眠そうに目を擦りながら出てきたマネト。

「あ、おはよう! 昨日はお金、ありがとう!」
「マネトさん、おはようございます」
「おはよう」
セクアナが挨拶を返した。僕もそれに続いて挨拶する。

僕もすこし人見知りだからまだ仲良くなれないかもな・・・・

そのまま、朝食を食べるために階段を下りようとするとマネトは僕らの後ろについてきた。たぶん同じところに行くんだろう。

すこし偶然が重なるな。

たまたま、出会ったということで一緒に食べることになった。


「・・・・・・・・? どうしたの、食べないの?」
食事が出てくるとマネトはものすごいスピードで食べた。

それを見て僕らはすこし引く。

いや、行儀が悪いわけではないんだ。
でもリスのように口いっぱいに物を積み込んでほっぺが膨らんでいる。
しかもすぐ飲み込む。
食べるスピードが異常に彼は速いのだ。

久しぶりに異世界だと実感できる光景だ。
アニメでよくこんな一気に食事を食べるキャラがいたな・・・・・

「*#&#☆€○*/&@☆€?」
「え・・・・えっと、なんて?」
口の中に頬張りながら喋っているのでなんて言ってるかわからない。

「んーんん、#/&☆€○*○?」
また何を言っているか分からず戸惑う。

「えーと、こんなに美味しいのに食べないの? って言ってるよ」
「えっ! なんで聞き取れるの!?」
まさかのセクアナがマネトの言っている言葉を通訳してくれた。

どうしてだろう?
この二人何かで繋がっているのかな・・・・

そんなことを考えているとまた頬張りながら何か言ってきた。

「@#/○*€#@&€☆%○*☆€#&?」
「えっと・・・・・ 食べないならトモヤの分も食べるよ。って」
「だからなんで聞こえるの!?」

意外な特技に思わずツッコミを入れてしまう。

結局僕は今日、戦わないし、お腹もそこまで空いていなかったのですこし分けてあげた。

「ふーーー! 食った食った!」
食事が終わり、マネトは満足そうにお腹を抱えていた。
まぁ、幸せな顔で何より。

そろそろ出発しようと考えていると受付の犬の子がお礼を言ってくれた。
「あの、お二人とも昨日はありがとうございました!」
深く頭を下げて、お辞儀をされた。

「い、いえ。あれくらいの出費は簡単安いもんですよ。それにしてもどうして銀貨一枚くらいにあんな向きになってたんですか?」
セクアナが質問した。

今考えると、確かに思う。所詮銀貨一枚くらいにあそこまでムキにならなくてもいいと思うんだけどな・・・・

そんなことを思っていると答えはすぐに返ってきた。

「あ・・・その・・・あれはですね。格安で泊まれるっとか国の人は言ってますが本当は税金みたいなもので後からお金をもらうんです。それでカードには魔法が含まれていて、それが銀貨に付着して泊まられた人が何人いるかとかの証拠になって・・・・ 
だからちゃんともらわないと結構私達も損害が出るんですよね」

説明が結構長かったからちゃんと理解はできなかった。
合っているかわからないけど、銀貨にカードからの魔法が付着して、それを証拠として後から税金によってお金が入ってくるらしい。

意外に税金とかそういうのを聞くと、この国も窮屈に感じた。
昔、会社とかでも税金で悩んでいたからな・・・・・

転生前の記憶がすこし蘇った。

「だから、ありがとうございました!」
また深くお辞儀をされた。
僕達は「いえいえ」と軽く受け流した。

別に銀貨一枚くらいだったからそこまで感謝されるほどのことではないけれどな。

「あの金髪の子が早く試験に落ちるのだったら別にそのくらい、いいんですけどね!」
マネトの性格がすこし嫌いなのか、怖い笑みを浮かべながら嫌味を言っていた。

うん、確かに僕もマネトとはすこし苦手かもしれない。

その後、準備ができてルーディニア・コロシアムに向かった。

まだマネトは満足そうにお腹を押さえていた。
「す・・・すっ、すごい食欲だね・・・・」
大食いファイターのようにマネトはたくさん食べていたため、唖然としてしまう。

本当に漫画で見るようにガツガツと食べていた。

たぶんこの子は食費がすごくかかりそうだな・・・・・
親が大変そうだ。
それにしてもそんな細い体型のどこにあんだけ入るのか。
見た目と比べて胃袋すごいな。

しばらく見つめていた。
ふっとこっちをマネトが見たのでプイッと反射的に違う方を向いてしまう。

いや、別に僕は嫌いっていうわけではないんだよ。でも、まだちゃんと面と向かって話せるほど仲が良くないからさ。

心の中で嫌うようにプイっと違う方向を向いたことを反省しているとマネトが話してきた。

「いやー、昨日はお金ありがとう!」
朝からお金お金って本当にこの子はお金が好きだな。
「うん・・・」
お金のことばかりで会話が続かない。

「今日、俺の試合なんだ! 見といてよ。絶対勝つから!」

おっ、お金以外の話題だ。
思わず感動によってか、彼と向き合えた。

「そうなんだ。頑張れ!」
「う、うん」

まだ、雷魔法を使うやつとバレているわけではないので、これくらいで会話を終わらせる。

僕は差別されてから人間不信になっていたから、久しぶりに同い年の男子と喋れて内心嬉しく思っていた。

すこしマネトを信じられるようになってきた。

軽く感心していると、いつのまにかコロシアムのある広場まで来ていた。

そこであることを思い出した。

「あっ! ちょっと僕はある人と会ってくる!」
そのままダッシュでどこかへ行こうとするとセクアナに手首を掴まれた。

「ちょっと待って!」
こちらを睨んで怖い顔をしていた。

「一人でどこへ行くつもり? また迷子になるつもりなの? トモヤは馬鹿なの?」
怒っているようではないがその柔らかい口調がすこし怖い。

「ええっと、ピアノの少年に会いに行こうかと・・・・」
すこし怖くて顔から汗が垂れる。

「はぁー、また勝手な行動して・・・・・
私がついていくから離れないようにしてね!」
「う、うん・・・」
拒否できないような怖い圧を感じて渋々受け入れた。

できれば男水入らずでピアノについて語りたかったな・・・なーんて。

こうしてみるとなんか母みたいだな。
僕ってそんな子どもみたいに迷子になるのかな・・・・

一人頭の中で考えて、自滅する。
思い返してみると昨日だけで三回迷子になっていた。
ここへ来てからセクアナによく心配されているよな。
この時は心の中から反省した。

結局、マネトとはその場で別れた。
「じゃあ、また宿でねー!」
「う、うん、頑張れ。絶対、今日の宿でも会うんだよ! 銀貨も払ったんだからー」
「おう!」
マネトは拳を振り上げ、僕達は手を振って別れた。

次はピアノ少年。どうしてるかな・・・・・

期待しながら昨日聴いたピアノのところまで行く。
今日は音が聴こえなかった。だからこそ、セクアナがいてくれてよかった。
たぶん僕なら今日中には辿り着けなかったかもしれない。
方向音痴だからね。

そのままセクアナの後ろをついて行った。

そして、とうとう着いたっと思っていたが少年はいなかった。

すこし待っていたがそれでも来ず、時間になってフードを外し、コロシアムの中へ入って行った。
顔をしっかり見せないとこの中には入れないから嫌々フードを脱がないといけない。

それにしても少年はどうしたのだろう・・・

異世界ということで不安になっていた。もしかしたら貴族に差別されて奴隷にされている・・・    それとも「汚い」とか言われて殺されたとか・・・

悪い考えしか浮かばなかった。

そんな心配をしていると僕を安心させてくれる声が聞こえた。

「お、トモヤ! おはよう」

ドテッ!

豪快にこけて僕の前に現れたのは歩ちゃん、いやサナだったな。

この天然なところがなんともいえない。

「だ、大丈夫? サナさん」
セクアナが手を取って、ついでに治癒魔法をかけた。
っていってもサナは丈夫なようですごく豪快にこけていたが傷はほとんどなかった。

僕ならがあのこけ方をしたなら泣きそうになるかも・・・

そのあといろいろと強敵になりそうな相手を話していると、今日の一回戦が始まった。

ほとんどが面白い魔法でやっぱり興味を持ってしまう。
こういうかっこいい映像を見ていると戦いたくなるのは僕だけかな。

オラ、ワ○ワクすっぞ・・・・なんて。

「あっ!」
いきなりサナが大きな声を出すから僕とセクアナはびくりと肩が動く。

「ど、どうしたのサナ? おトイレでも行くの?」
「い、いい行きません! あなたは乙女になんて事言うのだ!」
「あ、すいません・・・」
軽い冗談を言うと、セクアナは白い目で僕を見て、サナは顔を真っ赤にしながら怒ってきた。

深く頭をぺこりと下げた。

「で、どうしたの?」
「そうだよ。いきなり大きな声を出してまで、もしかしてとんでもないミスでもしたんですか?」
「うん、まあ、今日は私が戦わないといけないことを忘れていたんだよ。危なかった」
「えっ! 今日、サナも戦うの?」
「そうだぞ」
「が、頑張ってください!」
「頑張れ!」
僕達は全力でサナを応援しようとした。

今日はマネトにサナか。
豪華メンバーだな。
どっちも負けて欲しくない。

そう話していると、マネトが空間ウィンドウに映った。

「お!」
知っている人が出ていることもあり、僕とセクアナが反応した、

「ん? どうしたんだ? あの子を知っているのか?」
サナだけ首を傾げてどんなやつなのだろうとマネトを観察していた。

「ねぇ! せっかくだしマネトの試合、外でみようよ!」

僕は興奮してしまって、すこしはしゃいでいた。

お金、大食い、泣き虫。
マネトはそれくらいのイメージしかないけどそれでも魔法は凄かった。
ぎりぎり目に見えるくらいの超スピードを一度だけ見たことがある。
あの姿は今と比べ物にならないくらいかっこいい。だからこそマネトの戦いがとても興味があった。
僕と同じスピード系の魔法を使うからこそ、どういう動きをするのか研究したい。

小走りで会場の外へ出た。人はぎゅうぎゅうでとても通るのはしんどかったができるだけ前の方に行った。
一応二人は僕の方向音痴のことを知っているからか、全力で僕に追いついてくれた。
ありがたいことだ。

そうこうしているとマネトが入場してきて、アナウンスが流れた。

「まだまだバトルは続くぞ! 次は第5回戦だ」
「ウェーイ」

会場が歓声に満ち溢れる。たくさんの人がこの戦いに熱狂している。

「まずは選手紹介! 始めに出てきたのはマネト・グリームだぁぁ!
彼は元魔法騎士の弟のようだ。光魔法を操りどんな攻撃も電光石火で避け、カウンターをお見舞いするんだぞ! 恐ろしいな!」

一人の紹介が終わるとまた歓声が湧き起こる。
僕の時とはえらい違いだな。

「次に出てきたのは、炎魔法を操る男。
ファクト・ノースルドルフだ。王都近くの村で育ったことから魔物討伐の経験もあり、彼の間合いに入るとすべてのものが焼き尽くされると言われるぞ!」

闘技場にいる二人は徐々に近づいていく。
そしてこの国の作法に基づいて握手を交わした。

思い出すな。あの嫌な思い出。握手と同時に暴言の嵐。簡単に勝てたからスッキリしたけど毎回ああいうのされると精神的に疲れそうだな。

簡単に握手をするとすぐに軽く間合いをとった。マネトはリラックスするためか手をぶらぶらさせて構えていた。

僕から見ると隙があるように見える。
武器も何も持っていなくてもせめて手を前に出して構えないのかな・・・・・

僕が上から目線にダメ出ししていたが、今思うと構えなんてどうでもよかった。
なぜなら彼はそれを無意味にするほど強かったからだ。

「両者準備ができたようじゃ! ではそろそろ始まるぞ!」

大きな声が響き、静寂が訪れる。
始まる前はみんな戦いに集中してすこし静かになるようだ。

「それでは、第5回戦・・・・・・始め!」

二人、同時に魔法を発動した。

「閃光!」
「フレイムアタック!」

昔、決闘したゲンブが使っていた技を相手は出した。
バスケットボールくらいの大きさの炎の球を放出した。

大きさは同じくらいだった。
そりゃ、同じ魔法だからな。

でも、ゲンブと比べると何かに衝突した時の衝撃と爆発力はとても低かった。
まだまだ威力は弱い。

マネトはどう動くか。
期待していたが気づいた時、そこにマネトはいなかった。

彼はものすごいスピードで壁や地面を蹴って移動していた。

光の線を残して実際にどこにいるかがわからない。

構えを必要としない圧倒的スピードだった。

僕の「雷神」よりスピードは速く、それは光の速度そのものだった。

「くそっ! どこだ・・・全然当たらねえ」

何十発、何百発も炎の球を放出しているが、マネトを捕らえられずかすりもしない。

そこからの勝負はすぐだった。

「くそっ、くそおぉぉぁ」
だんだん相手のストレスが溜まり、炎の球がヤケクソに放出するだけになった。

その瞬間をマネトは逃さなかった。

心が乱れているということは隙があるということだ。

超スピードで相手の間合いまで入った。

そして拳を強く握りしめ、ドゴっという鈍い音が響く。

マネトは相手の腹に強力なパンチをくらわした。

急所に入ったのか一撃で相手は倒れ、勝負に決着がついた。

「決まったぁぁぁぁぁぁあ! この勝負は初戦と同じように一瞬で決まった! なんというスピード。なんという綺麗な足捌きだ!
勝者は・・・・マネト・グリーム!」
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