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魔法騎士団試験
変身魔法
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砂ぼこりが風によって巻き上げられる中、マネトは闘技場の真ん中に立っていた。
今まで見てきた泣き虫、大食い、お金好き、というすこしかっこ悪い印象はなく、とても気高く立っていた。
太陽を見るように上を向いて立ち尽くす。
会場もその姿を見て大いに盛り上がっている。
マネトの魔法、身のこなし、難しい体制からの急所を狙える正確さ、そして何よりもとても速いスピード。
魔法騎士団試験が始まってからあまり見ない戦い方にたくさんの人が声援を送っていた。
それを見ていた六大天の人達もすこし反応していたほどだ。
素晴らしかった。
僕は目をキラキラさせながらマネトが帰っていくまで見届けていた。
「マネト、すごいな。見た? セクアナもサナも。うわぁ、すごい魔法というか技術だよね!」
「うん、そうだね。私もまさかここまで実力がある人だとは思わなかったよ。性格によらず、やっぱり強いんだね!」
僕とセクアナで感心しているとサナが首を傾げていた。
そりゃ、サナは知らない子だからな。
それでもあの戦闘の迫力は褒めていた。
「うん、まぁ私もあれを見習わないといけないな。私は攻撃力があってもあのスピードは出せないからな」
腕を組みながらうなずく。
ちょっと天然が抜けて歩ちゃんが仕事をしている時と同じ顔をしていて、思わず笑みがこぼれてしまう。
見るものも終わったところでコロシアムの中へ入った。
外とは違って湿気があり、中は薄暗い。
石造りでまるで洞窟にいるかのようなところだ。
外から中へ入るとそういう感触を深く感じる。
別に居心地が悪いというわけではないが、日光に当たっていない分すこし肌が気色くなる。
横に三人で並びながらサナの控室前まで付き添う。
「ふぅ、やっと私の出番か。ずっと待ちわびていたぞ。ずっと決闘を見ていると戦いたいっていう衝動に駆られるからな」
「分かるよ、その戦いたくなる気持ち!」
「ええ・・・・・・」
なぜかわからないけど僕は空間ウィンドウの映像を観ていると戦いたくなる。
サナは僕と同じ気持ちで「そうでしょそうでしょ」とすこし口調が明るくなった。
そんな僕達の会話にセクアナがすこし嫌そうに否定する。
セクアナは怖がりってのもあるけど、何よりも人を傷つけなくないって気持ちが人一倍あるからな。
「私もトモヤ達のようにすぐに倒せるといいのだがな」
試合前の準備体操なのか肩をぐるぐると回しながらサナは歩く。
準備はしているようだが、手には何も持っていない。それどころか手ぶらだ。
どうやって戦うのだろう・・・・
そんな疑問が頭をよぎりサナに質問していた。
「なあ、サナってどんな魔法を使うの?」
剣を使って戦うと噂で聞いたことはある。
正門から入ってきて大型モンスターをたくさん倒したというの聞いている。
でも実際に戦っているところは見たことがない。
その結果どんな魔法を使うかなどまだ聞いていなかった。
「えー、それを聞いちゃうかトモヤ。まだ見せていないから決闘の時にドキドキするんじゃないか!」
「あ、ああ。うん、そうだよね!」
納得はした。
それでも手ぶらなのはすこし気になってしまう。
「サナさん、それでも手ぶらで戦うのは大変じゃないの?」
疑問に思っていたことをセクアナが聴いてくれた。
思わず感謝したい。
「うーん」
手を顎に当ててサナは考えていた。
しばらく経つと何かを決めたようにまっすぐ僕達を見た。
「まぁ、いっか」
そう言うと片手を前に出した。
僕達は何をするのだろうとその手に吸い込まれるようにじっと見つめていた。
「私の魔法をすこしだけ見してあげるよ」
しょうがなく、「はぁ」とため息をつくとサナの手に魔力が集まる。
小さな白い光が集まってきてだんだん大きくなる。ゆっくりと手に集まり、バスケットボールくらいの光の球ができるとみるみる形を変えていく。
「は!」
サナの掛け声に合わせて光は剣の形になり、それが具現化されて剣が現れた。
「おお!」
マジックショーを見ているようで僕達は釘付けになった。
おもわず剣が現れた時、拍手をしてしまった。
「こんな感じで私は魔法剣みたいなのを作り出せるんだぞ! 大きく分けると変身魔法らしいな」
「へぇー、マジックだな」
「お、面白いね!」
深くうなずいて説明を聞いていた。
僕達の反応が嬉しかったのか、もうすぐ試合だというのに気にせず説明を続けた。
「そうだ。私の魔法は面白いんだぞ。ん? その、マ・ジ・ッ・クというのはわからないがそういうようなものだ。私のこの剣はな、別空間にある武器を魔法で呼び出している原理でできているんだぞ」
「は、はぁ」
別に魔法を詳しく聞きたいとは言っていないからこそ覇気のない返事をしてしまう。
そのなことよりも試合が始まるよ。
そう言いたいがとても嬉しそうに話していて僕には止められなかった。
「しかも別の空間にはこれ以外にもたくさんの武器があってな。どれもこれも最高に使いやすいのだ。しかも魔法属性に合う武器もあってな。例えば炎なら炎を吸収できる武器とか色々とあるんだぞ。そう思えばトモヤの雷の攻撃も効かない武器もあった気がするぞ。もし戦い・・・・・・」
それからもサナの魔法話は続いた。
「あの、サナ! そろそろ時間じゃないのかな? 早く控室に行かないと・・・・」
どうにか言えそうなタイミングを見つけてサナに向かって注意した。
「ああ、そうだったな。忘れるところだった」
一応、僕の声は届いたようだ。
「まぁ、まだすこし時間があるし!
聞いていたかトモヤとセクアナ。しかもこの武器には・・・」
「ああ、もう! 早くいけ!」
「うん、早く行って!」
話に聞き飽きた僕達二人は無理やりでも行かそうと背中を押してすぐそこにある控え室まで連れて行った。
「おい、まだ話は・・・・」
「えっと、サナさん後で聞かせてね。今はちゃんと試験を受けないと」
「ああ、まぁそうだな」
長い長い話がやっと終わり、僕達はサナの話を聞き疲れて大きなため息をついた。
「はぁー、まさかここまで魔法の話をするとはおもわなかった・・・」
まだサナが話の続きをしようと抵抗したから僕達の髪が少しぼさぼさになっている。
女性とはいえ、大型モンスターを何体も倒したと言われているから、力が強かった。
それもあり、意外に疲れた。
二人並んで肩を落としながらサナの試合を見るためにまた外へ出るのであった。
ちょうど外に出るとサナの前の試合が終わったところで大きな歓声が巻き起こっていた。
それに日差しが強い。
思わず目を手で覆ってしまった。
そして司会のアナウンスが始まる。
「さーて、いよいよ今日の目玉にもなっている決戦が始まろうとしています」
今までもコロシアム内は騒々しかった。
酒を片手に赤い顔で酔っ払いながら叫んでいるものや、手を叩いて応援しているもの、意味もなく大声を出しているもの。
そんな環境の中でも、司会の声でより大きくなる。
大体の予想はつく。
なぜならサナが試合をするからだ。
正門から入ってきて、大型モンスターを狩る化け物のように言われている。
それが広まっているせいでサナは人気だ。
たくさんの人がどんな勝負をするのか楽しみに待っている。
「さてさて、熱い戦いが始まる前に恒例の選手紹介だ! まず出てきたのはこの男!」
門の中から獣人の男が出てきた。
黄色い毛や髪が生えていて猫耳がある。
それに鋭い目つきでサバイバル感が強い。
その印象があるので猫ではあるが、豹のようにも見える。
強そうだ。
「彼の名はミリンダー・ソウル。手から生えている爪でさまざまなものを切り裂くぞ。彼の爪の前には誰も手が出せない!」
そしてもう一つの門からサナが出てきた。
それと同時にに歓声が巻き起こる。
「よっ、モンスター少女! いい試合見せてくれよ」
「大型モンスターを何体も倒してきたやつだろ? 見ものだな」
サナはゆっくりと歩いて中央まで行く。
「とうとう登場しました、サナ! 森から来たエルフですが正門から入ってきて何体ものモンスターを倒した実力者! どんな戦いをしてくれるのか楽しみだ!」
どこの森でサナが育ったのか知らないが、その集落は苗字がないようで名前だけだそうだ。
「今回はお互いに変身魔法の対決だ! 珍しい対決だから目が離せないぞ! どちらが勝つかな」
ゆっくりと二人の距離が近づく。
そしていつも通りの握手が交わされた。
「チッ! 人気者はいいよな、たくさんの人から声援をもらえて」
「い、いや・・・! そ、それほどでも」
おもわず頭をかいてサナは照れる。
というか人見知りなのですこし声がテンパっている。
「モンスターを倒したとか、最強とか言われてるけど所詮は噂だ。森から来たのか知らねえが女が調子に乗ってんじゃねえよ」
威嚇をするように睨んでいた。
声援があるから嫉妬をしているのか、女性ってのが嫌なのかわからないけど侮辱していた。
すこし怖いことを言われていたがサナの心は落ち着いていた。
そして威嚇を返すように鋭い目つきで相手を見つめ返す。
「私、お前には負けないぞ!」
その目つきに相手はすこし怯えていた。
その姿はいつも天然でドジだった姿ではなく、仕事に真面目に取り組むとてもかっこいい歩ちゃんに似ていた。
「両者、準備ができたようですな!」
相手は仁王立ちに両手を広げて構え、サナは直立して深呼吸をしていた。
それは静かに川の水が流れるように冷静で、感覚を研ぎ澄ましていた。
「それでは第12回戦・・・・始め!」
号令と同時にお互いが攻撃すると思ったが、間があった。
お互いに様子を見て何もしない。
今までの対決は始まって速攻で攻撃していた。
だからこそ珍しくてたくさんの視線が会場に集まる。
すこしずつ相手が近づいて走り出すと同時に魔法を発動した。
「豹変!」
元々豹ぽかった体が毛深くなり、爪が伸びていく。牙もすこし出て少しだけ体が大きくなる。
「ハッハハハ! この姿になった俺をどうやって止めるかな」
笑いながらもどんどんスピードが加速して間合いを詰める。
攻撃が当たる二メートルくらいまで距離を積めると、ずっと深呼吸をして目を瞑っていたサナが手を前に出す。
「クレイモア」
静かに目を開いて魔法を唱えると同時に手元が光る。
僕達に見せた時はゆっくりだったが、一瞬で剣を具現化する。
剣の鍔に四葉の形がある剣だ。
「ふっ、遅いな!」
剣を持っているときにはもう相手は攻撃をしていた。
流石にここまで攻撃が近いと防ぎきれないところにもう爪がある。
「終わりだ!」
力強く相手は爪を振り下ろす。
カチン!
会場に金属音が響く。
「!?」
終わったと思った戦いはまだ続いていた。
絶対に防ぎきれないと思われていた攻撃はサナに受け流されていた。
相手は一人唖然としている。
そして渾身の一撃を当てることができなかったことで少し焦り出した。
「くそっ! 当たらなかった。あの寸前で受け止められた。ありえない・・・・・」
顔から汗が滲み出す。
「ま、まぐれだ。あれはまぐれだ」
サナの実力を認められないのかそう言い聞かせてまた攻撃に入る。
すこし変身の形状を変えて豹、そのものの姿になる。
これによって走るスピードが格段に上がった。そして四足歩行で突進する。
「ぐわぁぁぁぁ!」
大きく吠えながら、牙を出してサナを噛み砕きにいく。
サナはそんな変化にも冷静に対応した。
口が近づくと無駄のないサイドステップで攻撃を避けて、ついでにお腹に蹴りを入れた。
「ガハッ!」
魔法ですこし防御力は強化されていたけどこれには相手も唸り声を出してしまう。
そのまま、地面に倒れて元の人に戻ってしまう。
「く、くそっ、なんでこれでもダメなんだ。もうこれでやるしか」
お腹を痛めながらもゆっくり立つ。
モロに蹴りを喰らってすこし苦しそうだった。
それでも、爪をまた伸ばしてサナに向かう。
サナは落ち着いて呼吸をしている。
中段に構えて、敵のどこからの攻撃も防ぐようにさまざまな部位に目を向ける。
「オラ!」
相手の掛け声と同時に打ち合う。
キンキン、キン
金属音が会場の中心を包む。
相手はサナの攻撃が当たりそうなところをどんどん攻撃する。中段に肩、腕、足。
たまに回し蹴りを繰り出すも全てサナに受け流される。
「おりゃ、おりゃりゃりゃ。はっ!」
サナに反撃を許さないほどのスピードでどんどん打ち込んだ。
一回くらいは当たると信じながら打っているが当たらない。
体力がだんだんなくなってくる。
焦りが見え、相手は最後の隠し技を使う。
攻撃をすると見せかけて、尻尾でサナの両腕を拘束した。
「くっ!」
体の隅々まで警戒していたサナもこれには思わず驚いて声が出てしまう。
「よし、今だ!」
この隙を狙って、最後に相手は大きく腕を振り上げた。
これで勝負が決まる。
そう感じたのか、思わずにやけていた。
ドガ!
鈍い音とともに勝敗が決まった。
勝ったのはサナだった。
相手からの爪の攻撃、手を塞がれている中だったのに地面すれすれにしゃがんで避けたのだ。
勝機の希望から絶望に変わった時、一瞬の隙ができた。
そこへ強烈な後ろ回し蹴りを相手は受け、そのまま失神してしまった。
「決まったぁぁぁぁぁぁぁあ! 勝者、サナ! なんと、ほとんどを剣一本で勝負を決めた! まるで彼女の姿は勇者だ!」
「うわぁぁぁぁぁぁあ!」
今まで見てきた泣き虫、大食い、お金好き、というすこしかっこ悪い印象はなく、とても気高く立っていた。
太陽を見るように上を向いて立ち尽くす。
会場もその姿を見て大いに盛り上がっている。
マネトの魔法、身のこなし、難しい体制からの急所を狙える正確さ、そして何よりもとても速いスピード。
魔法騎士団試験が始まってからあまり見ない戦い方にたくさんの人が声援を送っていた。
それを見ていた六大天の人達もすこし反応していたほどだ。
素晴らしかった。
僕は目をキラキラさせながらマネトが帰っていくまで見届けていた。
「マネト、すごいな。見た? セクアナもサナも。うわぁ、すごい魔法というか技術だよね!」
「うん、そうだね。私もまさかここまで実力がある人だとは思わなかったよ。性格によらず、やっぱり強いんだね!」
僕とセクアナで感心しているとサナが首を傾げていた。
そりゃ、サナは知らない子だからな。
それでもあの戦闘の迫力は褒めていた。
「うん、まぁ私もあれを見習わないといけないな。私は攻撃力があってもあのスピードは出せないからな」
腕を組みながらうなずく。
ちょっと天然が抜けて歩ちゃんが仕事をしている時と同じ顔をしていて、思わず笑みがこぼれてしまう。
見るものも終わったところでコロシアムの中へ入った。
外とは違って湿気があり、中は薄暗い。
石造りでまるで洞窟にいるかのようなところだ。
外から中へ入るとそういう感触を深く感じる。
別に居心地が悪いというわけではないが、日光に当たっていない分すこし肌が気色くなる。
横に三人で並びながらサナの控室前まで付き添う。
「ふぅ、やっと私の出番か。ずっと待ちわびていたぞ。ずっと決闘を見ていると戦いたいっていう衝動に駆られるからな」
「分かるよ、その戦いたくなる気持ち!」
「ええ・・・・・・」
なぜかわからないけど僕は空間ウィンドウの映像を観ていると戦いたくなる。
サナは僕と同じ気持ちで「そうでしょそうでしょ」とすこし口調が明るくなった。
そんな僕達の会話にセクアナがすこし嫌そうに否定する。
セクアナは怖がりってのもあるけど、何よりも人を傷つけなくないって気持ちが人一倍あるからな。
「私もトモヤ達のようにすぐに倒せるといいのだがな」
試合前の準備体操なのか肩をぐるぐると回しながらサナは歩く。
準備はしているようだが、手には何も持っていない。それどころか手ぶらだ。
どうやって戦うのだろう・・・・
そんな疑問が頭をよぎりサナに質問していた。
「なあ、サナってどんな魔法を使うの?」
剣を使って戦うと噂で聞いたことはある。
正門から入ってきて大型モンスターをたくさん倒したというの聞いている。
でも実際に戦っているところは見たことがない。
その結果どんな魔法を使うかなどまだ聞いていなかった。
「えー、それを聞いちゃうかトモヤ。まだ見せていないから決闘の時にドキドキするんじゃないか!」
「あ、ああ。うん、そうだよね!」
納得はした。
それでも手ぶらなのはすこし気になってしまう。
「サナさん、それでも手ぶらで戦うのは大変じゃないの?」
疑問に思っていたことをセクアナが聴いてくれた。
思わず感謝したい。
「うーん」
手を顎に当ててサナは考えていた。
しばらく経つと何かを決めたようにまっすぐ僕達を見た。
「まぁ、いっか」
そう言うと片手を前に出した。
僕達は何をするのだろうとその手に吸い込まれるようにじっと見つめていた。
「私の魔法をすこしだけ見してあげるよ」
しょうがなく、「はぁ」とため息をつくとサナの手に魔力が集まる。
小さな白い光が集まってきてだんだん大きくなる。ゆっくりと手に集まり、バスケットボールくらいの光の球ができるとみるみる形を変えていく。
「は!」
サナの掛け声に合わせて光は剣の形になり、それが具現化されて剣が現れた。
「おお!」
マジックショーを見ているようで僕達は釘付けになった。
おもわず剣が現れた時、拍手をしてしまった。
「こんな感じで私は魔法剣みたいなのを作り出せるんだぞ! 大きく分けると変身魔法らしいな」
「へぇー、マジックだな」
「お、面白いね!」
深くうなずいて説明を聞いていた。
僕達の反応が嬉しかったのか、もうすぐ試合だというのに気にせず説明を続けた。
「そうだ。私の魔法は面白いんだぞ。ん? その、マ・ジ・ッ・クというのはわからないがそういうようなものだ。私のこの剣はな、別空間にある武器を魔法で呼び出している原理でできているんだぞ」
「は、はぁ」
別に魔法を詳しく聞きたいとは言っていないからこそ覇気のない返事をしてしまう。
そのなことよりも試合が始まるよ。
そう言いたいがとても嬉しそうに話していて僕には止められなかった。
「しかも別の空間にはこれ以外にもたくさんの武器があってな。どれもこれも最高に使いやすいのだ。しかも魔法属性に合う武器もあってな。例えば炎なら炎を吸収できる武器とか色々とあるんだぞ。そう思えばトモヤの雷の攻撃も効かない武器もあった気がするぞ。もし戦い・・・・・・」
それからもサナの魔法話は続いた。
「あの、サナ! そろそろ時間じゃないのかな? 早く控室に行かないと・・・・」
どうにか言えそうなタイミングを見つけてサナに向かって注意した。
「ああ、そうだったな。忘れるところだった」
一応、僕の声は届いたようだ。
「まぁ、まだすこし時間があるし!
聞いていたかトモヤとセクアナ。しかもこの武器には・・・」
「ああ、もう! 早くいけ!」
「うん、早く行って!」
話に聞き飽きた僕達二人は無理やりでも行かそうと背中を押してすぐそこにある控え室まで連れて行った。
「おい、まだ話は・・・・」
「えっと、サナさん後で聞かせてね。今はちゃんと試験を受けないと」
「ああ、まぁそうだな」
長い長い話がやっと終わり、僕達はサナの話を聞き疲れて大きなため息をついた。
「はぁー、まさかここまで魔法の話をするとはおもわなかった・・・」
まだサナが話の続きをしようと抵抗したから僕達の髪が少しぼさぼさになっている。
女性とはいえ、大型モンスターを何体も倒したと言われているから、力が強かった。
それもあり、意外に疲れた。
二人並んで肩を落としながらサナの試合を見るためにまた外へ出るのであった。
ちょうど外に出るとサナの前の試合が終わったところで大きな歓声が巻き起こっていた。
それに日差しが強い。
思わず目を手で覆ってしまった。
そして司会のアナウンスが始まる。
「さーて、いよいよ今日の目玉にもなっている決戦が始まろうとしています」
今までもコロシアム内は騒々しかった。
酒を片手に赤い顔で酔っ払いながら叫んでいるものや、手を叩いて応援しているもの、意味もなく大声を出しているもの。
そんな環境の中でも、司会の声でより大きくなる。
大体の予想はつく。
なぜならサナが試合をするからだ。
正門から入ってきて、大型モンスターを狩る化け物のように言われている。
それが広まっているせいでサナは人気だ。
たくさんの人がどんな勝負をするのか楽しみに待っている。
「さてさて、熱い戦いが始まる前に恒例の選手紹介だ! まず出てきたのはこの男!」
門の中から獣人の男が出てきた。
黄色い毛や髪が生えていて猫耳がある。
それに鋭い目つきでサバイバル感が強い。
その印象があるので猫ではあるが、豹のようにも見える。
強そうだ。
「彼の名はミリンダー・ソウル。手から生えている爪でさまざまなものを切り裂くぞ。彼の爪の前には誰も手が出せない!」
そしてもう一つの門からサナが出てきた。
それと同時にに歓声が巻き起こる。
「よっ、モンスター少女! いい試合見せてくれよ」
「大型モンスターを何体も倒してきたやつだろ? 見ものだな」
サナはゆっくりと歩いて中央まで行く。
「とうとう登場しました、サナ! 森から来たエルフですが正門から入ってきて何体ものモンスターを倒した実力者! どんな戦いをしてくれるのか楽しみだ!」
どこの森でサナが育ったのか知らないが、その集落は苗字がないようで名前だけだそうだ。
「今回はお互いに変身魔法の対決だ! 珍しい対決だから目が離せないぞ! どちらが勝つかな」
ゆっくりと二人の距離が近づく。
そしていつも通りの握手が交わされた。
「チッ! 人気者はいいよな、たくさんの人から声援をもらえて」
「い、いや・・・! そ、それほどでも」
おもわず頭をかいてサナは照れる。
というか人見知りなのですこし声がテンパっている。
「モンスターを倒したとか、最強とか言われてるけど所詮は噂だ。森から来たのか知らねえが女が調子に乗ってんじゃねえよ」
威嚇をするように睨んでいた。
声援があるから嫉妬をしているのか、女性ってのが嫌なのかわからないけど侮辱していた。
すこし怖いことを言われていたがサナの心は落ち着いていた。
そして威嚇を返すように鋭い目つきで相手を見つめ返す。
「私、お前には負けないぞ!」
その目つきに相手はすこし怯えていた。
その姿はいつも天然でドジだった姿ではなく、仕事に真面目に取り組むとてもかっこいい歩ちゃんに似ていた。
「両者、準備ができたようですな!」
相手は仁王立ちに両手を広げて構え、サナは直立して深呼吸をしていた。
それは静かに川の水が流れるように冷静で、感覚を研ぎ澄ましていた。
「それでは第12回戦・・・・始め!」
号令と同時にお互いが攻撃すると思ったが、間があった。
お互いに様子を見て何もしない。
今までの対決は始まって速攻で攻撃していた。
だからこそ珍しくてたくさんの視線が会場に集まる。
すこしずつ相手が近づいて走り出すと同時に魔法を発動した。
「豹変!」
元々豹ぽかった体が毛深くなり、爪が伸びていく。牙もすこし出て少しだけ体が大きくなる。
「ハッハハハ! この姿になった俺をどうやって止めるかな」
笑いながらもどんどんスピードが加速して間合いを詰める。
攻撃が当たる二メートルくらいまで距離を積めると、ずっと深呼吸をして目を瞑っていたサナが手を前に出す。
「クレイモア」
静かに目を開いて魔法を唱えると同時に手元が光る。
僕達に見せた時はゆっくりだったが、一瞬で剣を具現化する。
剣の鍔に四葉の形がある剣だ。
「ふっ、遅いな!」
剣を持っているときにはもう相手は攻撃をしていた。
流石にここまで攻撃が近いと防ぎきれないところにもう爪がある。
「終わりだ!」
力強く相手は爪を振り下ろす。
カチン!
会場に金属音が響く。
「!?」
終わったと思った戦いはまだ続いていた。
絶対に防ぎきれないと思われていた攻撃はサナに受け流されていた。
相手は一人唖然としている。
そして渾身の一撃を当てることができなかったことで少し焦り出した。
「くそっ! 当たらなかった。あの寸前で受け止められた。ありえない・・・・・」
顔から汗が滲み出す。
「ま、まぐれだ。あれはまぐれだ」
サナの実力を認められないのかそう言い聞かせてまた攻撃に入る。
すこし変身の形状を変えて豹、そのものの姿になる。
これによって走るスピードが格段に上がった。そして四足歩行で突進する。
「ぐわぁぁぁぁ!」
大きく吠えながら、牙を出してサナを噛み砕きにいく。
サナはそんな変化にも冷静に対応した。
口が近づくと無駄のないサイドステップで攻撃を避けて、ついでにお腹に蹴りを入れた。
「ガハッ!」
魔法ですこし防御力は強化されていたけどこれには相手も唸り声を出してしまう。
そのまま、地面に倒れて元の人に戻ってしまう。
「く、くそっ、なんでこれでもダメなんだ。もうこれでやるしか」
お腹を痛めながらもゆっくり立つ。
モロに蹴りを喰らってすこし苦しそうだった。
それでも、爪をまた伸ばしてサナに向かう。
サナは落ち着いて呼吸をしている。
中段に構えて、敵のどこからの攻撃も防ぐようにさまざまな部位に目を向ける。
「オラ!」
相手の掛け声と同時に打ち合う。
キンキン、キン
金属音が会場の中心を包む。
相手はサナの攻撃が当たりそうなところをどんどん攻撃する。中段に肩、腕、足。
たまに回し蹴りを繰り出すも全てサナに受け流される。
「おりゃ、おりゃりゃりゃ。はっ!」
サナに反撃を許さないほどのスピードでどんどん打ち込んだ。
一回くらいは当たると信じながら打っているが当たらない。
体力がだんだんなくなってくる。
焦りが見え、相手は最後の隠し技を使う。
攻撃をすると見せかけて、尻尾でサナの両腕を拘束した。
「くっ!」
体の隅々まで警戒していたサナもこれには思わず驚いて声が出てしまう。
「よし、今だ!」
この隙を狙って、最後に相手は大きく腕を振り上げた。
これで勝負が決まる。
そう感じたのか、思わずにやけていた。
ドガ!
鈍い音とともに勝敗が決まった。
勝ったのはサナだった。
相手からの爪の攻撃、手を塞がれている中だったのに地面すれすれにしゃがんで避けたのだ。
勝機の希望から絶望に変わった時、一瞬の隙ができた。
そこへ強烈な後ろ回し蹴りを相手は受け、そのまま失神してしまった。
「決まったぁぁぁぁぁぁぁあ! 勝者、サナ! なんと、ほとんどを剣一本で勝負を決めた! まるで彼女の姿は勇者だ!」
「うわぁぁぁぁぁぁあ!」
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正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
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