雷魔法が最弱の世界

ともとも

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魔法騎士団試験

他のライバル

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ルーディニア・コロシアムに入ったのがギリギリだったせいか入るとすぐに試合が始まった。

最近は闘いたくてうずうずしている。
初戦で自分の魔法がしっかり操れていたこととか、勝った時の今まで頑張ってきた達成感など様々な楽しい気持ちを感じれる。

今、僕にとっての魔法騎士団試験は、体育でスポーツをしているような気分だ。

勝ったらたくさんの人に罵倒されるが、それでもあの時の気分は最高だった。

すごい人数の志願者がいるから一回戦だけでも一週間くらいかかるといわれている。

あと四日か・・・・・

次の決闘まで時間があるのですこし悲しくなる。
あの最高の気分を早くもう一度味わいたいな!

空間ウィンドウが出てきた。
試合が始まったようだ。

それを見ながらみんなで闘いたい方を研究したり、軽い雑談をした。
今まで別々にいたけど四人揃うことで、話は今までより盛り上がった。

「そう思えば、セクアナはまだ一回戦をやっていなかったな。いつやるのだ?」
「うーん、そうだね・・・・あと二日後か三日後くらいかな。たまに長引いたりして時間がずれちゃうからね!」

この会話で思い出したけど、セクアナはまだ一回戦が終わっていなかったな。
立て続けに、マネト達が試合をしていたから、もう終わっていると勘違いしていたのかもしれない。

ずっと一緒にいたけど忘れているなんて、ダメだな。
自分のことしか考えていなかった。
それにしてもあと数日か・・・・

セクアナが努力している姿を僕はずっと見てきた。

魔法の応用で身体能力を上げるのに成功していないようだったが、それでも技術は凄い。
まぁセクアナなら余裕で勝てると思う。
けど緊張して体が固まってしまったら負けてしまうかも・・・・・

セクアナはビビリだからな。

できれば巨大な人じゃなかったらいんだけど。

「相手とかってどんな人か決まっているの?」
マネトが首を傾げながらセクアナに聞く。

「うん、少しだけ調べたよ! 貴族とかではないからそこまで強くないと思うよ。確か風魔法を操る人だったかな? 勝てるといいけど・・・・・・」
「セクアナにら絶対勝てるよ! ずっと一緒に頑張ってきたからね、もっと自信を持って!」
珍しく僕はいつも言わないような言葉が口から出ていた。

そして少し恥ずかしくなる。
思わず「あっ」と素っ頓狂な声を出してまった。
顔も赤くなっていて隠すように下を向いた。

静かにみんなクスクスと笑っていた。
その状況もあり、余計に恥ずかしくなる。

「フフフ。トモヤ、ありがとう!」
セクアナが笑顔を向けてくれた。
曇りがなくて思わずドキッとなるような美しい笑顔だった。

「まぁ・・・・・・うん。頑張れ!」
僕が最後に応援するのに合わせてみんなもエールをセクアナに送った。

「そうだな。セクアナも勝ってよ! そしてみんなで魔法騎士になろう!」
「うん、一回戦ならセクアナでも勝てると思うよ。頑張れ」

サナ、続いてマネトがエールを送った。

少し頭をかいてセクアナは照れていた。
「ありがとう、一回戦くらいちょちょいと倒してやるよ! よし、私は絶対魔法騎士になるよ! おーう」
ぐうの手を上に掲げて自分に声援を送っているようだった。

それにしてもセクアナは褒められて興奮しているようだ。
いつも見せないような高いテンションになっている。

「うおぉぉぉぉぉぉ!」

セクアナのテンションと同じように会場からも大きな声が響いた。

ちょうど今日の始めの試合が終わったようだ。

そして次の試合の選手紹介がされる。
それを見てマネトが反応した。

「ねぇ、あの試合ってトモヤのグループだよね? 確か一回戦の最終試合。貴族が出るらしいから、一応外に出てみたら?」
「ん? あっ本当だ!」

空間ウィンドウの端に僕と同じグループのマークが書いてあった。
しかも最終試合。
もしかしたらここで勝った人が決勝で当たるかもしれない。

貴族vs平民。
たぶん貴族が勝つだろう。

一回戦は相手が貴族だったけど楽勝だった。
たぶん「雷神」さえ操れば勝てると思う。
身体能力は上がるし、常人には見えないほどのスピードを出せる。
でも結構、魔力を使うからあまり持続できない。
時間稼ぎをされたら魔力切れで負けてしまう。

これが僕の弱点だ。
もう「雷神」は見せてしまったからこの弱点を他の人にバレたくない。

そのためにもこれから戦いそうな相手の観察は大切だ。

「見に行かないとね!」

ゆっくり立ち上がると、マネトはもう立って駆け出していた。

「早く早く!」

マネトに急かされながら駆け足で外へ出る。

「ていうか速!」
思わず声を出していた。
魔法も使っていないのにビュンともう外まで行っている。

ここから200メートルくらいあるのにそれを十秒台で走っていた。

オリンピックの陸上があったなら優勝だな。

まぁ魔法を使えば僕でも優勝できるけど。

自分勝手に動く男達に女性方はため息をつきながらもついてきてくれた。

「おーい、もう始まるよ!」
スピードが速いせいなのか、行動も早い。あと食べるスピードも早かったな。

仕切りのところで一人騒いでいた。

マネトも少しビビリだけどこういう戦いを見るのは好きなのかな?
まぁ男なら誰でも興奮するか。

僕が観戦するところに着いた時にちょうど選手が入場していた。

いや、片方しかまだ揃っていない。
先に来ているのがたぶん貴族だろう。
装飾されている武具や高そうな服から予想できる。

もし僕がそんな服を着ていたら怒られているだろうな。
「ドロドロになるのに、なんて格好ているのよ!」って。

本当、平民を見習え!
僕なんて一ヶ月以上服を洗ってないんだぞ!

これもこれで汚すぎるかも・・・・
ちょっと話の逸れたことを一人で考えていたら、もう一人が登場した。

「え・・・」

と、登場した・・・・・・

「おっと、下克上を果たそうと頑張る平民が登場する・・・・・・」

僕だけでなく、ほとんどの人が固まった。
司会者でさえ登場した人を見て驚く。

「え、ええっと・・・コ、コーウト・ドルトム!」
戸惑いながらも頑張って司会を続けた。

誰だって驚く。だって・・・・

「よ、よいしょ! よいしょ」
出てきた子、とっても小さいんだもん!

身長が110センチくらいの男の子だ。
何か重いものを引っ張るように見える。
会場からは応援というよりも、小さい子をあやすような赤ちゃん言葉がちらほらと聞こえる。

特に重いものを必死に引っ張って頑張っていたから貴族よりも男の子の方に応援が集まった。
こんなこともあるんだな。

まだ僕は驚きを隠せずにいた。
「え、三歳児!?」
「えっと・・・・一応、同い年だよ」
「や、やっぱりそうなんだ・・・・」
僕の驚きながらの質問にマネトは冷静に答える。

「知ってるの?」
「うーん、微妙かな・・・・まぁ、小人族だから同じ歳でも身長が小ちゃいんだよね」
「へぇー」
マネトの説明に納得がいき、大きく頷いていた。

そんな話をしていた隣では、女性のお二方が小さい子を見て目をキラキラさせていた。

「か、可愛い・・・・」
「ああ、抱っこしてあげたい!」
サナはメロメロになってゆっくりと闘技場の中に入りそうになる。
もちろん腕を引っ張って止めた。

セクアナもすこし赤ちゃん言葉になって応援していた。
「よちよち、頑張れー!」

これが母性本能というやつか。

可愛いと思っていたけど、また会場の空気が変わる。

男の子が持ってきていたのは、見た目に合わない大きすぎる矛を引きずっていたからだ。

シーンと静かになる。
大半の人の体が震えた。

真ん中まで持ってくるとバタンと落とした。

「さ・・・・さあ! そ、そろそろ試合が始まります」
すこし司会の声も震えていた。

男の子は持ち上げれないが矛を両手でもって構えた。

それに対し、貴族は魔法を出す準備をする。

「それでは、11回戦・・・・・始め!」

始まった途端、男の子は急に大きくなった。

皮膚からは黒い毛が生え、頭からはツノ、魔法の発動が終わった時、牛と人間が混ざったようになっていた。
身長も二メートル以上ある。
モンスターでいうミノタウロスのようだ。
でも人間っぽさがすこし残っているので顔はミノタウロスと比べると怖くない。
彼の魔法は変身魔法で、その中でも牛になれるのだろう。

でもいきなりそんな変身をされると流石に驚く。
あのちっちゃい子からここまで変わるので怯えている人もいた。
その大体が始めの方に可愛がっていた女性。

隣で見ていたセクアナ達は石のように固まっている。

そして対戦相手である貴族は始め、舐めているような態度をとっていたからこそ怯えている。

やろうとしていた速攻の攻撃も固まって放ててなかった。

「随分とみんなに舐められていたけど、これが本当の俺だ! さあ、本当の勝負をやろうか!」
声も低くなって、威嚇をしているように見える。

「お、おう。当たり前だ。俺様は貴族だ! 
薄汚れた平民なんかと一緒にするな」

震えながらも貴族は魔法を詠唱する。
「ウォーターショット!」
野球ボールくらいの水弾が何発も現れて、
彼の方へ向かう。

バババン!

水しぶきがたって観客席の方にも跳ね返った水が飛び散ってきた。

直撃したが、平然と立っていた。

彼は軽い魔法だったのか気にせず歩いて距離を詰める。

魔法を使っていなかった時は必死に引っ張っていた矛は変身した今、片手で軽々と持ち運んでいる。

今の彼はもう、凶暴なモンスターそのものだ。

ゆっくりと近づいてくる姿に、恐怖を感じて貴族は後ずさりしながら魔法を放っていた。

「い、いけぇ! なんで倒れない。ほら、倒れろ、倒れろ!」
放出していく水の玉もだんだん大きくなる。

最終的には直径二メートルくらいの水弾を放出した。

「これで終わりだ!」

ドガーン

また大きな水しぶきが発生する。

とても高威力な攻撃だった。
それでも彼の前進は止められなかった。

涼しげな顔をしながらまた一歩一歩と近づく。

矛が触れる射程距離まで十メートル。

距離を積められるのを防ぐために水弾以外にも応用魔法を貴族は使う。

渦巻を作ってそれをあてる。

ギシギシギシっと木が削れるような音がしたけど彼の全身は止まらない。

残り八メートル。

ここで貴族は「はぁー」とため息をついた。

「これで決めてやる!」
さっきまで恐怖に支配されていたような顔をしていたが、真面目になった。
というか、すこし笑みを浮かべている。

一撃で倒せるほどの大技を出すのだろう。

深呼吸をして目を瞑り、集中する。

青い光のようなものが現れる。

大ダメージを与えるためなのか現れた光の大きさは小さい。
拳一つ分くらいだ。

「はっ!」
貴族の掛け声に合わせて一直線に放出された。
スピードも早く、青いビームが出た。

これにはさすがに致命傷を受けると感じたのか矛で彼は受け止めた。

放出され続けるが、彼は矛で受け止めてながら前進していた。

あと五メートル。

その頃になると、魔力を使いすぎたのかだんだん貴族は疲れ始めた。

青いビームはそれでも勢いを衰えず放出され続けた。
しかし、人間とは限界があるもの。

最終的にビームはだんだん細くなってゆっくりと消えていった。

「はぁ・・・はぁ・・・・」
貴族は座り込んで、荒い息をする。

もう彼は矛の射程範囲に入っていた。
ゲームオーバーである。

彼は仁王立ちで貴族を見下ろしていた。

貴族は屈辱を受けて彼を睨んでいた。
「この化物が・・・・・・」 
「ふん、終わりだ」

そう言い放った瞬間、彼は右手で持っている矛を振り下ろした。

「試合終了ぉぉぉぉ! なんと下克上!
勝者はコーウト・ドルトム!」

終わったと同時に魔法をといて小さい男の子、に戻った。

なんかギャップがすごいな。

「よいしょ、よいしょ!」
始めと同じように頑張って引っ張っている。

この時、直感で彼と決勝をやり合うなと感じた。













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