雷魔法が最弱の世界

ともとも

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魔法騎士団試験

最強の貴族

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試合が終わった。
始めの方は緊張で体が強張っていたからヒヤヒヤしたが、無事セクアナは一回戦を勝ち上がった。

しかも勝負を決めた技がウォーターボールだったので驚いた。
これは初級魔法で水の球を放出する単純な技だ。なのに一撃で倒せたのはあれだけ巨大だからだろうな。

なによりも勝ってくれてよかった。

たくさんの人から応援してもらったり、「魔力量が貴族並み!」とかの褒め言葉もあったので自信はついていると思う。
次からはさっきみたいな状態にならないことを願いたい。

しばらく歩いているとセクアナを見つけた。

いつも伸びている背中も猫背になっていて呼吸も荒くなっていた。
疲れてそうだ。
確かに始まる前はすごく緊張していたし、試合でもいきなりあんな巨大な魔法を放ったから当たり前か。
お疲れ様だね。

そんな姿で歩くセクアナを笑顔で迎えた。

するといきなり僕達に抱きついてきた。

セクアナ体を傾けて僕達に預ける。
サナがセクアナに助けを求めたように、力強かった。

サナは優しく頭を撫で、マネトは目を見開いて驚き、僕は顔が赤くなって照れしまった。

「三人とも色々ありがとう! 私、一回戦に勝てた!」

それを聞いて安心した。
サナは嬉しくなったのか、セクアナの頭をより強く撫でた。

「い、痛いよサナさん!」
「よかったな!」

セクアナの気持ちが落ち着いた時には髪がくしゃくしゃになっていた。

今は手櫛をして軽く整えている。

「サナさん! ちょっとは手加減してよ。力強いんだから」
「アハハ、悪かった。嬉しくてつい力が入ってしまった」
セクアナはムスッとしながらそっぽを向いた。

これで四人、全員が一回戦を突破した。
何度も試合を見てきたが、貴族と戦わなかったら余裕で魔法騎士になれると思う。

でも問題は貴族だ。
魔力も多くて一つの魔法の威力が半端ない。
人数は少ないけど一つのグループに一人は必ず配置されているからみんな一度は戦うと思う。

たぶん、サナとマネトは強いから大丈夫だと思うけどセクアナはまた緊張して強張りそうだ。

頑張ってほしい。

僕の課題はもちろん彼だ。
あのミノタウロスみたいになった彼を倒す方法を考えないといけない。
防御力もあって攻撃力もある。
あの大きすぎる矛なんかを振り回されたら僕の刀でも受けきれないと思う。
たぶん後ろに吹き飛ばされるだろう。
スピードはないと思うからその弱点を活かして勝たないとな・・・・

セクアナの試合は最後の方だったので今日で一回戦、すべての試合が終わると思う。

参加人数が多いぶん、やはり時間がかかった。
残りの一週間くらいですべての勝負を終えて
三十人の魔法騎士が誕生するんだな。

そう考えるとすごいことと感じる。

セクアナの試合が終わるとずっと中で四人、色々話しながら試合を見ていた。

そして時は流れて、気がつくと一回戦の最終試合まで来ていた。

「ふぅ、長かった一回戦もこれで終わか!」
背伸びをしてリラックスしていると冷たい視線を感じた。

僕以外の三人が立って見下ろしている。

「えっと・・・どうしたの三人とも僕を見下ろして・・・」

真顔だったのでなんか怖かった。

「あっ、そうか。トモヤは貴族にあまり興味がないから知らなかったね」
セクアナの言っていることがわからなかった。

「知らないのか、トモヤ! 最後に戦うのはこの魔法騎士の試験を受けている貴族の中でも最強と言われている男だぞ!」
「そうだよ。僕でもすこし興味があるのにまさかトモヤが知らないとは思わなかったよ」
「ええ!」

サナはわかるけど、マネトまでもが興味を持つ魔法使いがいるの!?

衝撃だった。

「へぇー、マネトも興味がある貴族がいるんだ」
「俺だって興味は持つよ。だってすごいんだもん、貴族の魔法が。魔力量はもちろんだけど、親が小さい頃から狩りとかに出していたから技術もすごいんだよ。そのぶん性格曲がっているらしいけど。自分が一番だと思っているから見下したりとか・・・」

マネトの話では性格は悪いけど、強いらしい。

性格が悪いということに関してはちょっと嫌だったけど、最強という言葉に反応してしまう。

「さぁ、早く行こ! もう少しで始まるよ!」

セクアナの声に合わして移動した。

外へ出て闘技場を見る。
選手はまだ登場していないようだ。

でも会場は大いに盛り上がっている。
たくさんの人が「最強」と話していた。

「やっぱ、人気だな。みんな貴族の話をしている」
「そうだな、みんな楽しみにしているからな。それにこれが今日の最後の試合ってのも関係しているのかもしないな」


「さーて、今日の最後の試合。戦うのは最強と言われている男。
クリフ・エストル!」

サナと話しているとアナウンスが始まって選手が入場してきた。

「大樹魔法で一瞬で勝負をつけると言われている! この勝負もすぐに決まってしまうのか!」

登場する門から歩いてきた。
貴族なので装飾のしてある綺麗な服を着ていた。
また、最強と言わしめるような鋭い目にどこかイライラしているような顔にも見える。

身長は平均的な170センチメートルくらい。
武器は持っていないがどしどしと足を踏み締めて歩いている。

ここに立って戦うのがめんどくさそうだ。

まるで余裕で勝てるから早く魔法騎士にならせろと言っているようだ。


「この最強の男と対戦する相手はタウロ・ベニシャ。属性的には有利な炎魔法だ。
不利な相手に最強の男はどうやって勝つのか! はたまたそれを破って下克上を果たすか!」

貴族に対してそれと戦う相手は属性的には有利だけど、自信なさげに怯えていた。

それだけあの貴族は強いのだろうか。

今、その勝負が始まろうとしている。

「それでは一回戦、最終試合・・・・始め!」

「ほ、炎魔法、ファイアーフィスト!」

相手は拳に炎を纏い、突っ込んでいった。
大体、始め遠距離攻撃から始めるが彼は攻めに行った。

たぶん、魔力ですこしは身体能力を向上させているのだろう。

勢いよく走って突っ込んでいく。

「はぁー、そんなものか・・・弱者が」
攻撃をするために相手が突っ込んでいるにもかかわらず余裕で、ため息をついていた。

「舐めるな!」

その一言で雰囲気が変わった。

「まあいい。大樹魔法・・・タ・プローム!」

彼の魔力が膨れ上がり、地面から木の根が出現した。
それが相手の足に絡み、勢いをつけて走っていた足が止まる。

それだけに終わらず。
その根は身体中に絡んで、身動きが取れないようになった。

「うぐ・・・・・ぐわぁ!」

まだ木が成長する速度は止まらず、相手の体全体を包み込む。

最終的にはセクアナが出した巨大な水の球と同じように、20メートルほどの大樹になった。

その光景に誰もが唖然とする。
この時は、誰もが唾を飲み込んで静かになる。

が、徐々に声歓声の声が聞こえ始める。

「決まったぁぁぁぁ! やはり勝者はクリフ・エストル! 一瞬だぁぁぁぁ!」
司会者の声に合わして、観戦していた人々の溜めていた感情が吹き出る。

「うぉぉぉぉ! 決まった!」
「やっぱり、あの貴族様は最強だ!」

そんな中、勝って当然のように堂々と立っていた。
しかも勝っているのになぜかイライラしているように見える。

「貴族様に立て付くんじゃねぇよ! 弱者が!」

怖い顔をして帰っていった。

性格はちょっとアレだけど彼は強かった。
今まで見た中で確かに一番強かったように見える。
勝負は一瞬だったし、始めに立った場所から移動もしていない。

なによりも圧倒的魔力だ。
セクアナのように巨大な魔法を使っているのに、汗一つかいていない。
清々しい顔で20メートルもある大樹を創り出した。数秒で。

魔力量も技術も最高だ。

貴族という魔力量がたくさんあることプラス、小さい頃から魔法の特訓を親にさせられていたとなると、最強になるかもしれない。

試合は巨大な大樹を創って相手を拘束するだけで終わったけど、あの図太い根っこを振り回されたら僕でもどうにもならないだろう。
一本ではなく、何十本もあるからな。

同じグループじゃなかっただけでも運が良かったと思う。

こうやって改めて強い人の戦いを見るとすごいと思った。

あの貴族のように強くなりたいと思った。

まぁ、「雷神」をずっと持続できるようになったらいんだけど、それが難しんだよね。


この時の僕は近いうち、彼と決闘をすることになるとは、まだ知らない。





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