雷魔法が最弱の世界

ともとも

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魔法騎士団試験

授賞式

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授賞式当日。

魔法騎士に合格して、たくさんの顔があった。
努力がやっと実り喜ぶもの。
嬉し泣きしているもの。
当然だと言わんばかりに堂々といる貴族もいた。それだけ自分の魔法に自信があるのだろう。
約三十人がちらほらと散らばっていた。

そんな中、一際目立つ者が数人。
「ふ~た~り~とも~?」

サナ、マネトが床に正座をさせられている。
その前には仁王立ちをして今までに見たこともないほど怖い目で睨みつけるセクアナの姿が。

「ひっ!」
「あの・・・その、あれだ。昨日は少し張り切ってしまったようでな・・・」
マネトが怖がりすぎて震え、サナはどうにか理由をつけて許してもらおうとしている。

「そこ! 言い訳をしない!」
「はい!」

セクアナの怒鳴り声で二人の肩がビクッと動く。

「まずは謝る! ちゃんと反省している姿を見せなさい!」
「す、すいませんでした!」
深く、深くふたりは見事な土下座をして謝った。
それでもまだ震えていて、ドバドバと汗が垂れていた。

「はぁー」

これだけすれば許すかなっと思っていたが、長い愚痴の嵐が始まった。

「まったく、二人がやったことわかってる? 
タダ飯をしたんだよ。まだお金を持っているならわかるけど、無一文で食べるなんて信用を失うよ。お金を持っていないなら先に伝えなさい。
しかも食べすぎだよ!
せめてお金を持っていないなら遠慮の心を持ちなさい!
昨日の食費でどれだけかかったか。本当にふたりは食べ過ぎ。今日もらえる賞金をみんな合わせて返せそうだけど・・・すこしはお金のことも考えて。
私たちは貧乏なんだよ!

まったく、魔法騎士になったからお祝いとか言って調子にのりすぎなんじゃないかな。
魔法騎士になる前にいろいろ問題起こしたら、その称号も剥奪されること、知ってるよね!
一応、借金してお金払っていたけど食い逃げとかしていたらせっかく頑張ってきた昨日までの努力が無駄になるんだよ!

分かった~?」

「はい! 申し訳ありませんでした!」

横で僕は見ていたが、セクアナが本気で怒ると真面目に怖いことがわかった。声を聞くだけで震えて、思わず大きな柱に隠れてしまう。

特に睨んだ時の顔・・・

でもセクアナが怒る理由もすこしわかる。

一応この数ヶ月の旅は貧乏で苦難だった。
そんな暮らしだが金を借りたことがなかった。
一生懸命セクアナが節約してくれて、耐えることができた。
その今まで頑張ってきたことが、二人によって崩されたのだ。頑張ってきた子にとっては許せないだろう。

それでもセクアナは一通り鬱憤を晴らすように全てを吐き出すと、笑顔になっていた。
もしかしたらそこまで怒っていないのかもしれない。
すこし懲らしめるくらいの気持ちはあっただろうが。

「うん、反省しているならいいよ」
「ごめん・・・」
「すまなかった・・・」

改めてふたりは腰を曲げて謝る。

「フフフ、ごめんね。私もすこし言いすぎたよ!」
二人に近づくと肩に手を置いた。

「あ、そうだ。私、言い忘れてたね」

すこし頬を赤面ながらも、
「魔法騎士団試験合格おめでとう! これからも頑張ってね!」

その言葉で怯えていた心がかき消され。
普段通りの明るい二人に戻っていた。


しばらく時間が経つと闘技場への招集がかかった。
その合図に合わせ、僕たちはコロシアムを出ようとしていた。

移動中、セクアナがツンツンと突いてきた。
「ん、どうしたの?」

首を傾げると、笑顔を向けてくれた。

「トモヤも魔法騎士団試験おめでとう! 
昨日、話す機会ありながらもいえてなかったからさ。遅れてごめんね?」
首を傾げて、謝ってくる姿に照れて思わず顔を伏せてしまった。

僕も顔を赤くしながら同じ言葉をお返しすると、無邪気に笑ってくれた。

「私の真似じゃん!」
「それ以外に言いようがないからさ」
「まぁ、そうだね。ていうかこれからだよ!
今日までの出来事はちょっとした試練なんだから、これくらいでへこたれてちゃダメだよ!」
「うん、その通りだ。次は任務だね」
「そう、その通り」

話していると正面に眩しい光が見え、祝福の場へと乗り出す。


門を出るなり一番に飛び込んできたのは大きな歓声だった。
正直、決闘さえ終わればほとんどの人が帰ると思っていたから満員の客席には驚いた。

それに続き、上からは様々な色の吹雪。
僕たちが歩くであろう地面には赤い絨毯が広げられていた。
昔憧れた王子様のような景色だ。
上からも綺麗な布がぶら下がれており、素晴らしい景色だった。
思わず立ち止まり、見惚れてしまった自分がいる。

意外なことだったのは六大天が全員揃い、圧倒的存在感を示す綺麗な玉座に座られていたことだ。

任務で忙しい中おいでくださるのは嬉しい。

それでも不思議なことがあった。
それは最強と言われている六大天の席のすこし上の中央に、もっと綺麗な玉座が置かれていたことだ。

まるで王が来るのではというくらい、高そうな鉱石が使われていた。
また足を止めようとしたが後ろのセクアナに押された。

「今は人が多いから立ち止まらないで、それに大事な授賞式だから堂々としないと! 
ほら、背筋伸ばして」
「う、うん・・・」


それぞれの入場が終わると闘技場の中央で、三十人の新たな魔法騎士が一列に並んでいた。
ちょうど六大天と妙な玉座の前に対面する形だ。
すこし前には学校に置いてあるような表彰台が設けられていた。

名前を呼ばれたら受け取るシステムだろう・・・
何度も罵倒されるのには慣れているけど、めでたい時はやめてほしいな。という願望があるがたぶんうるさいな。

「はぁ・・・」
こういう時、自然にため息は出るものだ。
横にいる仲間に慰めながらも、憂鬱な気持ちで待った。

しばらくすると白い服を着た、聖職者のような人が表彰台に立った。

「素晴らしい決闘をありがとうございます。今日からあなたたちはこの国を守る騎士で、選ばれし者です。
どうか神に願いを示し、私たちの平等な国をお守りくだされ。これからの国をよろしくお願いします。
どうか神の御加護を」

深々と頭を下げた。
最後には両手を天に広げしゃべり始める。

「おお神よ。我らの国をお守りくだされ、そして魔法騎士殿がに最高の祝福をお与えくだされ!」

簡単な儀式が終わると、授賞式が開始された。
右から順番に配られている。

全ての人は報奨金、そして何やら綺麗に装飾されているミーティアという魔道具が配られていた。この道具の説明は後でされるということなのでよくわからない。それでもとにかく綺麗なことは証明できる。

重要なものだろうと思う。


「どうか良い御加護を」
サナ、マネトが渡され僕の順番が来た。

罵倒はもちろんされたが開会式よりはマシだった。これもちょっとした変化かな・・・
すこし安心していた。
しかし、差別というのは続くのである。
人間というのは残忍だ。

マネトに受賞品を渡すまではとても優しそうな笑顔をしていた聖職者が急に睨み出した。
「ふん!」
「えっと、渡してくださいませんか・・・」
苦しくなって声が震えてしまう。

「我が宗教を穢らわす悪魔が!
薄汚い顔をして清い人間様の手に触るな!
サタンと同じ魔法を扱いやがって、この大罪人が! 
存在しているのが罪なんだよ!」

だんだんヒートアップしだした。
そして手に持っている硬そうなミーティアを大きく振りかぶる。
それを僕に向けて彼は思いっきり投げたのだ。

ゴン!

鈍い音と共に頭に激痛が走った。
綺麗な装飾をしてあったからこそ、重みがありとても硬かった。
気づいた時、僕の右のおでこあたりから血が出ていた。

・・・何が平等だ! ぶざけるな!

また黒い感情が心に目覚める。

無意識のうちに僕は強く拳を握りしめていた。
そしてさっき投げつけられた硬いミーティアを利き手で持った。

別にすこしくらい痛い思いをしてもらってもいいよな!!

感情が何かに支配されていき、怒りに任せて投げようとする。だが、セクアナに両手で掴まれて投げることができなかった。

「な、何でだよ・・・」
「ご、ごめんね、ごめん・・・本当にごめん。でも、今は耐えて」

震えた声を聞いて力が抜けてしまった。
結局投げられず無惨に終わる。

その様子を見て、聖職者は笑っていた。
そして煽るように挑発してくる。
「ふん、悪魔が。女に止められて逃げるなんて腰抜けか?
やはり汚れている血を持っていると行動の意味がわからんな!
この弱虫、お前はたまたま魔法騎士に合格できた青二才だ!」

最後に何かほざいていたが、無視して歩き去った。

正気に戻った時、またセクアナに助けられたことに気づいて後悔する。
怒りに身を任せていたら魔法騎士を追放されていただろう。
やはり感謝しかない。

それでもあの震えた声だけは、ずっと心の中に響いていた。
僕のせいなのに悲しんでいるセクアナを見るのは気が引ける。

激痛の走る頭を押さえながら元の位置まで戻った。

周りからは辛い視線を向けられ、
「ざまぁみろ、調子に乗ってるからそんなことになるのだろ」
「ああ、もういっそのこと殺して仕舞えばいいのに」

ほとんどの人が小さな声でささやき、僕の見方をしてくれる人は存在しなかった。数人を除いては。

「酷い・・・大丈夫?」
「すまないトモヤ、苦しいかもしれないがもう少しだけ頑張ってくれ・・・」
横で待っていた二人は、強く拳を握りながら慰めてくれた。

ああ、もうこれだけで充分だ・・・

小さな光に心が照らされた。

 




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