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魔法帝の屋敷
セクアナたちは
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魔法騎士団試験が終わった日、トモヤは魔法帝に連れ去られた。
一日目
私たちはもう一度宿を手配し、そこで一夜を過ごした。
これからは全てが自腹となるので、できるだけ節約をしたい。
お金はすぐになくなってしまうからね。
今はサナをマネトさんと一緒に看病している。
「サナはまだ眠っているか」
「そうだね……昨日は……と、とっても頑張っていたから疲れも出るよ……」
「ねぇ」
「ん? どうしたのかな、マネトさん」
「なんでお金を盗られて絶望しているような顔になっているの?」
「フフフ、マネトさん、例えの癖が強いよ」
「そうかな?」
「そうだよ……」
「じゃあ、サナのベッドに死んだように寝そべるのはやめとく方がいいと思うな……」
「こうしないと落ち着かないの。
ここを離れたら……王城を燃やすかもしれないから」
「ひっ!」
私が軽い冗談を言うと、マネトさんは顔色を変えて後退りしながら背中を壁につける。
「セクアナ……怖い……」
マネトさんの泣きそうな顔をするので、私も悲しくなる。
思わず、溜まっていたものを吐き出していた。
「泣きそうなのはこっちだよ!
トモヤ、魔法帝に誘拐されたんだよ!
まだ、魔法帝は信じれるかもしれない!
でも、王城にはたくさん貴族が住んでいるよね! トモヤ、もしかしたら酷い目にあっているかもしれないからさ!
落ち着けないよぉぉぉぉぉ!」
駄々をこねる子どものように心配していることを喋ると、マネトさんは体をビクつきながらも、
「な、なんというか彼氏を待っている彼女みたいだね……」
「ふぇっ! か、彼女って……そんなわけないじゃん!」
シュッ!
顔が熱くなって無自覚に魔法を放出してしまう。
小さな水の弾はマネトさんの顔すれすれを横切った。
「え、えっと……ごめ……」
「ひっ! ギャアアアアアァァァァ!」
大きな悲鳴を上げながら部屋を出ていってしまった。
二日目
「ふぁ……よく眠れた」
サナが目覚めた。
酷い怪我なので、まだ安静にしないといけない。
でも、私は不安でいっぱいだったこともあり、サナの様態などお構い無しに抱きついていた。
「おお、セクアナ、おはよう」
「さ、サナぁぁぉぁ! どうしよう!」
「痛っ! ま、まあいい。トモヤのことだろう? わかっている」
自分勝手な私をサナは優しく抱きしめて、納得がいくまで相談に乗ってくれた。
マネトさんは昨日からあまり顔を合わせてくれないが、気にしなくても大丈夫だと思う。
「そうか、トモヤが心配だな。そうだ、ミーティアからの連絡はどうなんだ?
確か、テレパシーの魔法を使える者が王城にいると聞いたのだが。
それにパーティを組んだから、代表一人に連絡が来ている可能性もある」
「うん、サナのミーティアと私のも見たけど何も来ていなかった。マネトさんは私を避けているようで見せてもらっていないけど……大丈夫だよね!
それにマネトさん、あんな性格だし!」
「ああ、性格はおかしな奴だが、仲間想いだ。だからトモヤについてメッセージが来たらすぐに言ってくれると思うぞ!」
「だね、マネトさんだもん!」
「ああ……さすがに魔法騎士になっているのだからミーティアを売るなんてことないな」
「うんうん、売るなんてね……」
なんかフラグが立っているような気が……
あとマネトさんの扱いも酷いね……
「まぁ、でも今日はまだ体が痛むから、ちゃんと行動するのは明日からでいいか、セクアナ」
「あ、ご、ごめんなさい……重傷なのに色々話に付き合わせてしまって……回復魔法かけるから休んで」
「すまない、セクアナがいてくれてよかったよ。怪我も早く治りそうだ」
「それはどうも!」
白い霧が光を浴びて部屋を包んだ。
それはとても心地よい空間だった。
--あるお店--
「いらっしゃい」
髭を生やしたおじさんを前に一人の金髪少年がいた。
「おじさんおじさん! これ、このミーティア売却に来たんだけどいくらになる!」
誰かが予想していた通り、マネトはミーティアを売りに来ていた。
「はぁ? 兄ちゃん、さすがにミーティアってそんな嘘通じるわけないだろ……って本物じゃねぇか!?」
髭を触りながら、少年の持ってきたミーティアが本物ということに驚く。
魔法騎士になるということはそれほど難しく、過酷なものである。
「こりゃ、たまげた。まさか魔法騎士様がこんなお店に来てくれるとは思わなかったぜ! なんだい? ミーティアの売却かい?」
「うん、もちろん!」
「え、でも大丈夫なのか? これは任務に大切なものだろう?」
「俺、ちゃんとパーティ組んでるし、仲間はとても頼りになるから!」
「そうか、君みたいな人でも仲間ねぇ……」
「何、疑ってんの?」
店主の発言にガンを飛ばしながら怒りをあらわにするマネト。
そんなマネトに向かって「まあまあ」と言いながら落ち着かせる。
すぐ近くにある金貨をマネトに見せると機嫌が戻った。
その姿に引き気味になる店主。
「話は戻るが、こいつは確かに貴族の子どもの遊び道具として高く売れるな。でも、これは魔法騎士の形見じゃねぇのか?」
「形見よりお金さ! お金お金、お金だよ!」
「なんというか、ひねくれているねぇ……」
「そうかな? お金って大切だと思うよ!」
「うっ、まあそうだが、そこまでか?」
「そうだよ! お金をたくさん貯めて
……姉ちゃん……
まぁ、目的があるんだ!」
一瞬、暗くなるマネトの顔を見たがそれでも店の店主は、
「そこまで言うなら、毎度ありだ!」
明るく応えて、ミーティアの価値に見合うお金を袋に詰めた。
ジャリ、と音をたてて机に置く。
「おお……お金!」
マネトは目をキラキラさせる。
「よかったな、兄ちゃん!」
「オホホホホ! お金たっくさんある!
おっちゃん、ありがとう!」
「ふっ、またのお越しを」
両手でに袋詰めにされたお金を大切に持ちながらマネトは帰っていく。
「変なお客さんもいるもんだな……」
店主が独り言を言うと、ミーティアが眩しく光りだした。
「お、早速任務のことか?」
軽い冗談でそのミーティアを見ると、魔法帝直属のメッセージが映し出されていた。
(トモヤ君を、うちでしばらく預かることになりました。詳しいことは、これから送らせていただきます。
私がトモヤ君を守るので安心してください。)
「なっ、魔法帝から直接だと!!
あ、あいつ何者だ……」
このミーティアが魔法帝から直接のメッセージを受け取ったことで特別になり、マネトが貰った二倍の価値に値段が上がったのは、また別の話である。
三日目
昨日、回復魔法をかけた甲斐もあり、サナはだいぶ元気になっていた。
まだ、走れるほどの体は完成していないけどサナなら可愛いものを見つけると、走り出しそうだな……
私がしっかり見張ってないと。
次にマネトさんは今日、なぜかわからないが上機嫌だった。
私がどうかしていたとはいえ、魔法を放ってしまったのは失態。
ちゃんと朝から会ってくれたので、しっかり謝れた。
私もビビリだけど、マネトさんは相当だから気をつけないとね。
まだ距離を感じるから積極的に話しかけようと思います。
マネトさんは臆病だから魔法騎士の任務をこなしてくれるか心配……
お金を見せたら真面目にやってくれるかな?
脅しに似た行為だけど……
まぁ、そこはトモヤが揃ってから話し合わないとね。
今日は一応、トモヤを連れ戻す算段を考えるために王城近くまで散歩をすることになった。
どうやって侵入するか考えないといけないからね。
早くトモヤを助けないと……
「うう、やっぱり王城は広いな……」
いざ目の前にしてみると、圧倒的な大きさに腰が引ける。
また、城壁も高い。
空を飛べない私たちが登れるわけがない。
もし中に入れても、これだけ大きなところから一人を探り当てないといけない。
住んでいる人たちは貴族や王族様。
戦闘でも勝てないからすぐに捕まると思います。
想像するだけで詰んでしまう。
「はぁー」
頭を抱えて、ため息をつく。
「ムシャムシャ……」
「クチャクチャ……うん、美味しい!」
「ねぇ! 二人ともずっと食べてないで何か考えてよ!?」
私の横では必死に食べ物に縋り付く二人がいた。
「ずっと眠ってたんだ。これくらいどうってことないだろ」
「腹が減っては戦はできぬだよ、セクアナ!
一緒に食べる? 美味しいよ!」
「マイペースか!」
私が怒ったのも虚しく、二人は食べ物に集中していた。
朝、一食。
十時頃、屋台で二品ほど。
昼に、何軒も周り、食べ物をかき集め、そして三時頃の今、美味しそうな匂いを漂わせ、両手に抱えながらたくさん食べている。
確かに、自分のお金から出しているから文句はないよ……
でも、このペースだとトモヤが帰ってくる前に、貰ったお金、全部使い果たすんじゃないのかな……
私ってケチなのかな?
心配しすぎ?
もしものことを想定するも他所に、二人はガッツリと食事をしていた。
「それより、トモヤ!
みんなも色々考えてよ!」
私の大きな声に、マネトさんは食べ終わったのか、呆れたように、
「なんか、王城を見ているから……トモヤって言う王子様を見ているようだね、セク……ぐはっ!」
ドガ!
私は思いっきり、マネトさんの顔面を殴っていた。
「いい加減にしてください、マネトさん……」
鬼の形相の私にマネトさんは涙目になっていた。
「うわぁぁぁぁぁぁあ!? もうセクアナ嫌いだよぉぉぉ! 怖いよぉぉぉ!
おでぇぇぇ、もう絶対近づかないよぉぉ!」
大泣きしながらマネトさんは全力で走り逃げる。
サナはやれやれと言いながら両肩を上げていた。
「あ……やってしまった……」
さっき、怒らないように意識していたけど、殴ったせいで余計に関係が悪くなってしまった。
お金あげると、元気になってくれるかな……
なんかマネトさんに対してすごく悪になっている気がする。
と思っていると、
「痛っ! 痛いよ、この野郎ぉぉぉぉ!
ぶつかったじゃないか!
俺、今、めっちゃ傷んんだよぉぉぉ!
怪我したから、お金ちょうだい!」
後ろの方から、聞いたことのある人が地味に脅迫をしている。
「まったく、マネトは何をやっているのだか……」
頭を掻きながらサナはマネトの元へ歩いて行った。
私も嘆息しながらマネトさんに謝りにいく。
もちろんうちの仲間が迷惑をかけている相手にも。
「って、君は臆病者だった子だよね!
また、会えて僕は嬉しいよ!」
マネトさんは意外な人物と話していた。
一日目
私たちはもう一度宿を手配し、そこで一夜を過ごした。
これからは全てが自腹となるので、できるだけ節約をしたい。
お金はすぐになくなってしまうからね。
今はサナをマネトさんと一緒に看病している。
「サナはまだ眠っているか」
「そうだね……昨日は……と、とっても頑張っていたから疲れも出るよ……」
「ねぇ」
「ん? どうしたのかな、マネトさん」
「なんでお金を盗られて絶望しているような顔になっているの?」
「フフフ、マネトさん、例えの癖が強いよ」
「そうかな?」
「そうだよ……」
「じゃあ、サナのベッドに死んだように寝そべるのはやめとく方がいいと思うな……」
「こうしないと落ち着かないの。
ここを離れたら……王城を燃やすかもしれないから」
「ひっ!」
私が軽い冗談を言うと、マネトさんは顔色を変えて後退りしながら背中を壁につける。
「セクアナ……怖い……」
マネトさんの泣きそうな顔をするので、私も悲しくなる。
思わず、溜まっていたものを吐き出していた。
「泣きそうなのはこっちだよ!
トモヤ、魔法帝に誘拐されたんだよ!
まだ、魔法帝は信じれるかもしれない!
でも、王城にはたくさん貴族が住んでいるよね! トモヤ、もしかしたら酷い目にあっているかもしれないからさ!
落ち着けないよぉぉぉぉぉ!」
駄々をこねる子どものように心配していることを喋ると、マネトさんは体をビクつきながらも、
「な、なんというか彼氏を待っている彼女みたいだね……」
「ふぇっ! か、彼女って……そんなわけないじゃん!」
シュッ!
顔が熱くなって無自覚に魔法を放出してしまう。
小さな水の弾はマネトさんの顔すれすれを横切った。
「え、えっと……ごめ……」
「ひっ! ギャアアアアアァァァァ!」
大きな悲鳴を上げながら部屋を出ていってしまった。
二日目
「ふぁ……よく眠れた」
サナが目覚めた。
酷い怪我なので、まだ安静にしないといけない。
でも、私は不安でいっぱいだったこともあり、サナの様態などお構い無しに抱きついていた。
「おお、セクアナ、おはよう」
「さ、サナぁぁぉぁ! どうしよう!」
「痛っ! ま、まあいい。トモヤのことだろう? わかっている」
自分勝手な私をサナは優しく抱きしめて、納得がいくまで相談に乗ってくれた。
マネトさんは昨日からあまり顔を合わせてくれないが、気にしなくても大丈夫だと思う。
「そうか、トモヤが心配だな。そうだ、ミーティアからの連絡はどうなんだ?
確か、テレパシーの魔法を使える者が王城にいると聞いたのだが。
それにパーティを組んだから、代表一人に連絡が来ている可能性もある」
「うん、サナのミーティアと私のも見たけど何も来ていなかった。マネトさんは私を避けているようで見せてもらっていないけど……大丈夫だよね!
それにマネトさん、あんな性格だし!」
「ああ、性格はおかしな奴だが、仲間想いだ。だからトモヤについてメッセージが来たらすぐに言ってくれると思うぞ!」
「だね、マネトさんだもん!」
「ああ……さすがに魔法騎士になっているのだからミーティアを売るなんてことないな」
「うんうん、売るなんてね……」
なんかフラグが立っているような気が……
あとマネトさんの扱いも酷いね……
「まぁ、でも今日はまだ体が痛むから、ちゃんと行動するのは明日からでいいか、セクアナ」
「あ、ご、ごめんなさい……重傷なのに色々話に付き合わせてしまって……回復魔法かけるから休んで」
「すまない、セクアナがいてくれてよかったよ。怪我も早く治りそうだ」
「それはどうも!」
白い霧が光を浴びて部屋を包んだ。
それはとても心地よい空間だった。
--あるお店--
「いらっしゃい」
髭を生やしたおじさんを前に一人の金髪少年がいた。
「おじさんおじさん! これ、このミーティア売却に来たんだけどいくらになる!」
誰かが予想していた通り、マネトはミーティアを売りに来ていた。
「はぁ? 兄ちゃん、さすがにミーティアってそんな嘘通じるわけないだろ……って本物じゃねぇか!?」
髭を触りながら、少年の持ってきたミーティアが本物ということに驚く。
魔法騎士になるということはそれほど難しく、過酷なものである。
「こりゃ、たまげた。まさか魔法騎士様がこんなお店に来てくれるとは思わなかったぜ! なんだい? ミーティアの売却かい?」
「うん、もちろん!」
「え、でも大丈夫なのか? これは任務に大切なものだろう?」
「俺、ちゃんとパーティ組んでるし、仲間はとても頼りになるから!」
「そうか、君みたいな人でも仲間ねぇ……」
「何、疑ってんの?」
店主の発言にガンを飛ばしながら怒りをあらわにするマネト。
そんなマネトに向かって「まあまあ」と言いながら落ち着かせる。
すぐ近くにある金貨をマネトに見せると機嫌が戻った。
その姿に引き気味になる店主。
「話は戻るが、こいつは確かに貴族の子どもの遊び道具として高く売れるな。でも、これは魔法騎士の形見じゃねぇのか?」
「形見よりお金さ! お金お金、お金だよ!」
「なんというか、ひねくれているねぇ……」
「そうかな? お金って大切だと思うよ!」
「うっ、まあそうだが、そこまでか?」
「そうだよ! お金をたくさん貯めて
……姉ちゃん……
まぁ、目的があるんだ!」
一瞬、暗くなるマネトの顔を見たがそれでも店の店主は、
「そこまで言うなら、毎度ありだ!」
明るく応えて、ミーティアの価値に見合うお金を袋に詰めた。
ジャリ、と音をたてて机に置く。
「おお……お金!」
マネトは目をキラキラさせる。
「よかったな、兄ちゃん!」
「オホホホホ! お金たっくさんある!
おっちゃん、ありがとう!」
「ふっ、またのお越しを」
両手でに袋詰めにされたお金を大切に持ちながらマネトは帰っていく。
「変なお客さんもいるもんだな……」
店主が独り言を言うと、ミーティアが眩しく光りだした。
「お、早速任務のことか?」
軽い冗談でそのミーティアを見ると、魔法帝直属のメッセージが映し出されていた。
(トモヤ君を、うちでしばらく預かることになりました。詳しいことは、これから送らせていただきます。
私がトモヤ君を守るので安心してください。)
「なっ、魔法帝から直接だと!!
あ、あいつ何者だ……」
このミーティアが魔法帝から直接のメッセージを受け取ったことで特別になり、マネトが貰った二倍の価値に値段が上がったのは、また別の話である。
三日目
昨日、回復魔法をかけた甲斐もあり、サナはだいぶ元気になっていた。
まだ、走れるほどの体は完成していないけどサナなら可愛いものを見つけると、走り出しそうだな……
私がしっかり見張ってないと。
次にマネトさんは今日、なぜかわからないが上機嫌だった。
私がどうかしていたとはいえ、魔法を放ってしまったのは失態。
ちゃんと朝から会ってくれたので、しっかり謝れた。
私もビビリだけど、マネトさんは相当だから気をつけないとね。
まだ距離を感じるから積極的に話しかけようと思います。
マネトさんは臆病だから魔法騎士の任務をこなしてくれるか心配……
お金を見せたら真面目にやってくれるかな?
脅しに似た行為だけど……
まぁ、そこはトモヤが揃ってから話し合わないとね。
今日は一応、トモヤを連れ戻す算段を考えるために王城近くまで散歩をすることになった。
どうやって侵入するか考えないといけないからね。
早くトモヤを助けないと……
「うう、やっぱり王城は広いな……」
いざ目の前にしてみると、圧倒的な大きさに腰が引ける。
また、城壁も高い。
空を飛べない私たちが登れるわけがない。
もし中に入れても、これだけ大きなところから一人を探り当てないといけない。
住んでいる人たちは貴族や王族様。
戦闘でも勝てないからすぐに捕まると思います。
想像するだけで詰んでしまう。
「はぁー」
頭を抱えて、ため息をつく。
「ムシャムシャ……」
「クチャクチャ……うん、美味しい!」
「ねぇ! 二人ともずっと食べてないで何か考えてよ!?」
私の横では必死に食べ物に縋り付く二人がいた。
「ずっと眠ってたんだ。これくらいどうってことないだろ」
「腹が減っては戦はできぬだよ、セクアナ!
一緒に食べる? 美味しいよ!」
「マイペースか!」
私が怒ったのも虚しく、二人は食べ物に集中していた。
朝、一食。
十時頃、屋台で二品ほど。
昼に、何軒も周り、食べ物をかき集め、そして三時頃の今、美味しそうな匂いを漂わせ、両手に抱えながらたくさん食べている。
確かに、自分のお金から出しているから文句はないよ……
でも、このペースだとトモヤが帰ってくる前に、貰ったお金、全部使い果たすんじゃないのかな……
私ってケチなのかな?
心配しすぎ?
もしものことを想定するも他所に、二人はガッツリと食事をしていた。
「それより、トモヤ!
みんなも色々考えてよ!」
私の大きな声に、マネトさんは食べ終わったのか、呆れたように、
「なんか、王城を見ているから……トモヤって言う王子様を見ているようだね、セク……ぐはっ!」
ドガ!
私は思いっきり、マネトさんの顔面を殴っていた。
「いい加減にしてください、マネトさん……」
鬼の形相の私にマネトさんは涙目になっていた。
「うわぁぁぁぁぁぁあ!? もうセクアナ嫌いだよぉぉぉ! 怖いよぉぉぉ!
おでぇぇぇ、もう絶対近づかないよぉぉ!」
大泣きしながらマネトさんは全力で走り逃げる。
サナはやれやれと言いながら両肩を上げていた。
「あ……やってしまった……」
さっき、怒らないように意識していたけど、殴ったせいで余計に関係が悪くなってしまった。
お金あげると、元気になってくれるかな……
なんかマネトさんに対してすごく悪になっている気がする。
と思っていると、
「痛っ! 痛いよ、この野郎ぉぉぉぉ!
ぶつかったじゃないか!
俺、今、めっちゃ傷んんだよぉぉぉ!
怪我したから、お金ちょうだい!」
後ろの方から、聞いたことのある人が地味に脅迫をしている。
「まったく、マネトは何をやっているのだか……」
頭を掻きながらサナはマネトの元へ歩いて行った。
私も嘆息しながらマネトさんに謝りにいく。
もちろんうちの仲間が迷惑をかけている相手にも。
「って、君は臆病者だった子だよね!
また、会えて僕は嬉しいよ!」
マネトさんは意外な人物と話していた。
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