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任務
依頼達成
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みなさん、お元気ですか?
今日の天気は晴れ。
こういう天気がいい日は、朝のスイッチも入り、気持ちよくなりますよね。
今、私は大きな大森林にいます。
小さくて可愛い動物に綺麗な花。
鳥のさえずりもよく響き、とても心地いい場所だと思います。
近くには透明度の高い泉がありました。
小さな魚や、綿毛のようなふわふわした生き物がいます。
緑もたくさんあり、素晴らしいですね。
しかし、勘違いしてはいけませんよ。
自然には危険がいっぱいなのです。
……え、どんな危険があるのか知りたい?
本当に大丈夫ですか?
酷いものですよ……
仕方ないですね……
危険とはこういうことを言うんですよ。
私とマネトさんは仲間とはぐれて……
「嫌あああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
大泣きしながら、巨大猪から逃げています。
こういう危機的状況のせいなのか分かりませんが、私とマネトさんの息はぴったりです。
なぜか同じ方向によく曲がります。
どちらかが囮になればもう一人は助かるのに……私が囮は嫌ですが。
それもあるせいか、私たちはなかなか離れられませんでした。
「マネトさん!! 男でしょ! なら、か弱い女の子を守ってくださいよ!
なんでもいいから魔法をぶつけて!」
「いやいやいや! そしたら、俺が標的になるじゃん! 無理だよぉぉぉ! 俺、今死にたくない!
ほら、セクアナは魔法騎士だよね!
か弱い市民を守らないと!」
「いやいや、マネトさんもれっきとした魔法騎士だよ! 男なんだから守って!」
「じ、じゃあ、レディーファーストだよ!
俺、お金いらないから、セクアナ倒しちゃっていいよ!」
「都合よく、そんな言葉使わないで!」
「グオォォォォォ!」
「助けてよぉぉぉぉぉぉ!!」
誰の助けも来ず、逃げ続ける私たち。
「な、ならもう、こうするしかないね……」
「マネトさん……どうして全身に光が集まっているの……もしかして一人が逃げようとか……考えてない?」
マネトさんはニコリと私に笑顔を向けると、
「………閃光!」
「あ! マネトさん、逃げるな! コラ!
マネト待て!!」
全力で叫んでも返事なし。
マネトは私の前からすぐに姿を消してしまった。
「グオォォォォォ!」
猛獣に追いかけられ、一人残された私……
いや、マネトの技を見てひらめいたよ。
もしかしたら、似ていることをできるかもしれない。
これでも、最近、みんなの力を借りて空を飛べたから……
全力で水を噴射したら距離を取れるかも。
「と、とにかく試さないと!」
走りながら足に魔力を溜め……私は一気に発射させた。
「発射! ……うわぁ!」
結果……私は予想以上に高く飛べることができた。
だけど、喜んでいたのも束の間。
喜びのあまり、噴射し続けることを忘れてしまい、真上に飛んだだけ……
その成り行きで、また地面に落下する。
もちろん着地は、水をもう一度噴射することでうまくできた。
だけど、
「………」
「グオォォォォォ……」
目の前には鼻息の荒い巨大な猪。
「えっと……猪もそれなりに可愛いと思うな………」
「グオォォォォォォォォォォォ!!」
私の誉め言葉も虚しく、猛獣は遠吠えを上げた。
「ですよね! 助けてぇぇぇ!」
ドッ!!
「やっと見つけた! ここまでくるの大変だったよ! そして、吹き飛べ!」
「私の大切な、綿毛ちゃんたちをよくも……
よくも怖がらせてくれたな!」
鈍い音がすると、トモヤ、サナが私の前に現れる。
全身に雷を浴びたトモヤは刀を抜き、渾身の一撃を猪にぶつける。
サナは、巨大な剣を両手で持ち、強力な力で猪を張り倒す。
この剣は初めて見た。
二人の攻撃が同時に合わさることでパワーが数十倍にも及んでいた。
そんな一撃を受けた猪は倒れないはずがない。
ドーーーン!
巨大な体躯は音を立てて何メートルも吹き飛ぶ。
木々は倒れ、大きく森は荒らされた。
「あ、ありがとおぉぉぉぉ! 二人とも!」
私は命を救われた。
涙目になりながら、二人の元へ寄る。
「ああ、当たり前だ! 弱いものを怯えさせるなんて、なんて卑劣な奴なんだ」
「アハハハハ! ごめんね、途中で迷子になっちゃって!」
「ムッ、本当だよ! 心臓が止まるかと思った!」
可愛いもの好きのサナはともかく、あのタイミングで方向音痴になるトモヤには、顔を膨らませた。
横からは、木の影からひょっこりとマネトが顔を出していた。
私が鬼の顔で睨むと、反省しているのか逃げずに頭を下げてくれた。
まだ、トモヤの後ろで体を震わせていますが。
「マネト……女性を見捨てるなんて最低!」
「わ、悪かったと思ってるよ!
で、でもさ……あんな巨大なやつ、怖いよ! というか怒りの矛先、俺じゃなくて、二人に向けてよ!」
弁解するも、結局怖気付いて責任転換する始末。
私、この出来事きっかけに、もうマネトとやっていけないかもしれない……
「そう思えば、セクアナ、やっとマネトのこと呼び捨てにしたんだね」
トモヤの指摘に、あっと口を開く。
「ほんの、ほんのちょっと最初は尊敬していたけど、もうそんな価値なくなったからね!」
「なんというか、すこしマネトが可哀想な気もするけど……」
「そんな哀れみ、マネトには必要ないよ!」
「俺、悲しいよ……」
「うっ」
小さな子どものように涙目になるマネトの顔を見て、私の心がゆらぐ。
だけど私の心はそんな、演技では通用しません。
たぶん、マネトは本気で悲しんでいると思う。
ドン!
色々と喋っていたから忘れていた。
巨大な猪。
トモヤとサナの攻撃をもろに命中していたから、終わったと思っていた。
「なっ、私の大剣の一撃を受けても、生きているだと!」
「ええ、今回、思っていた以上に難関じゃない? 『雷神』で攻撃したのにまだ立てるの!」
二人は驚きながらも、すこし声が明るかった。
どうして、そんな戦うことを楽しめるのだろうか。
私には理解できない。
猪は立っていても、ダメージを受けているようで、すぐには突進してこなかった。
しばらく、私たちに時間が与えられる。
そんな時に、
「あ、そうだ」
トモヤは何か案を思いついたのか、ニマニマしながらマネトの方を向いていた。
マネトはピクリと肩を震わせる。
「え、ええ? 何、何、俺……なんかしなくちゃいけないの?」
マネトが揺らす金髪を見て、私も察する。
サナもトモヤの考えがわかったのか、面白そうだと言わんばかりの笑みを向けていた。
「え、やっぱり、俺、あいつと戦わないといけないの? 嫌、絶対に嫌だよぉぉぉ!」
トモヤはマネトの肩に手を置いて、胡散臭い声で話す。
「マネト、あの、猪を見て何も思わないか?
あれを倒すと、お金がもらえるんだよ」
「ごくり」
マネトは唾を飲み込んだ。
「ほーら、ほーら、だんだんお金にお金に見えてくる……」
「……グヒィ」
マネトの目がゆっくりと光出す。
「グオォォォォォォォォオオオオ!」
猪はマネトを直視すると大きく雄叫びを上げ、突進を始めた。
マネトは物怖じせずに立つ。
「お金……いっぱい……グヒヒヒ……」
不気味な笑みを見せて。
「マネト、早く早く! 吹き飛ばされちゃよ!」
マネトは私の声など聞いていなかった。
流石の冗談で言っていたトモヤもヤバいと思ったのか、マネトの手を掴もうとすると……
「ライトニング!!!」
一筋の巨大な光が猪を包む。
ドサッ!
眩しい光に襲われ、次に目を開けた時、十メートル以上の巨大猪は地面に倒れていた。
まる焦げになって。
誰もが唖然とする中、一人高らかに笑う。
「やったあ! お金たくさんゲットしたよ!
お金お金!」
手を叩いて、全身で喜びを表す少年。
「あのあの、サナさんや……僕たち二人の同時攻撃でも倒せなかったモンスターをなぜ、マネトさんが一人であっけなく倒しているのか、分かるかい?」
「うん、見当もつかない」
トモヤは少しビビっていた。
サナも真顔で考え込んでいる。
「もしかして、僕たちの中で一番強いのはマネトさんだったりするのかな……?」
トモヤは静かにさん付けしている。
「私思い違いしてたのかな。さっきのお返しで面白半分で乗っかったけど……マネト、最強なのかも……」
私の顔も引きつっていた。
三人に沈黙が訪れる。
すると、最強の戦士が、
「おーい、みんな……さっきの爆音のせいかわからないけど……なんか、大量のモンスターがこっちに向かって来てるんだけど……」
お金の洗脳期間が終わったのか、青ざめた顔で正面を指さす。
「え!?」
私たちは目を見開く。
そして足音や、鳴き声などが証拠となり、事実だと分かった。
「セ、セクアナ! 範囲攻撃!」
マネトは戦えない、私たちはマネトに衝撃を受けてうまく動けない。
私の中では絶望的な状況だった時、トモヤが呼びかけてくれた。
やはりパーティのことをしっかり分かってくれている。
「はっ! えっと……範囲攻撃?」
「そうだよ、僕らはそこまで上手くないから!」
正直怖い。
そんな私に、トモヤは的確な指示をしてくれた。
猪と比べると、そこまで強くない。ただ数が多いだけ。
弱い私でも簡単に倒せそうだ。
咄嗟の状況判断。
トモヤはやっぱりすごいな。
感謝を込めて、私は魔法に集中する。
「ボルテックス!」
私の杖が紺青色に染まり、巨大な水の渦が現れる。
「ハッ!」
渦巻く水柱は正面に進んで行く。
「ギャイイイイ!」
「ギュウウウウウウ!」
すこしすると、沢山のモンスターの悲鳴が聞こえて来た。
渦が収縮すると、地面には肉食の猛獣たちが地面にたくさん倒れている。
「おわ……終わったかな?」
恐る恐る、後ろを振り返る自分にトモヤは満面の笑みを浮かべて、
「うん、完璧だよ、セクアナ!
わざわざ強力な技を出してくれたおかげで、生き残りもいなかったし助かった!
ありがと!」
本当はトモヤの的確な指示だったからこそ、助けることができたのに、私が感謝されちゃったな……
頬を染めながらそっと横を向く。
気持ちが落ち着くと、私はみんなより一歩前に出た。
「みんな、今日はお疲れ様!
これで、初任務は終わりだよ! 依頼は無事達成できたね!」
「うん!」
「おう!」
「ああ!」
みんな笑顔になった。
今回の初任務で、もっとみんなの仲が深められたと思う。
ある少年の最強説とかも。
これからは問題を起こしながらも、私たちは楽しく旅をだろうね。
今日の天気は晴れ。
こういう天気がいい日は、朝のスイッチも入り、気持ちよくなりますよね。
今、私は大きな大森林にいます。
小さくて可愛い動物に綺麗な花。
鳥のさえずりもよく響き、とても心地いい場所だと思います。
近くには透明度の高い泉がありました。
小さな魚や、綿毛のようなふわふわした生き物がいます。
緑もたくさんあり、素晴らしいですね。
しかし、勘違いしてはいけませんよ。
自然には危険がいっぱいなのです。
……え、どんな危険があるのか知りたい?
本当に大丈夫ですか?
酷いものですよ……
仕方ないですね……
危険とはこういうことを言うんですよ。
私とマネトさんは仲間とはぐれて……
「嫌あああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
大泣きしながら、巨大猪から逃げています。
こういう危機的状況のせいなのか分かりませんが、私とマネトさんの息はぴったりです。
なぜか同じ方向によく曲がります。
どちらかが囮になればもう一人は助かるのに……私が囮は嫌ですが。
それもあるせいか、私たちはなかなか離れられませんでした。
「マネトさん!! 男でしょ! なら、か弱い女の子を守ってくださいよ!
なんでもいいから魔法をぶつけて!」
「いやいやいや! そしたら、俺が標的になるじゃん! 無理だよぉぉぉ! 俺、今死にたくない!
ほら、セクアナは魔法騎士だよね!
か弱い市民を守らないと!」
「いやいや、マネトさんもれっきとした魔法騎士だよ! 男なんだから守って!」
「じ、じゃあ、レディーファーストだよ!
俺、お金いらないから、セクアナ倒しちゃっていいよ!」
「都合よく、そんな言葉使わないで!」
「グオォォォォォ!」
「助けてよぉぉぉぉぉぉ!!」
誰の助けも来ず、逃げ続ける私たち。
「な、ならもう、こうするしかないね……」
「マネトさん……どうして全身に光が集まっているの……もしかして一人が逃げようとか……考えてない?」
マネトさんはニコリと私に笑顔を向けると、
「………閃光!」
「あ! マネトさん、逃げるな! コラ!
マネト待て!!」
全力で叫んでも返事なし。
マネトは私の前からすぐに姿を消してしまった。
「グオォォォォォ!」
猛獣に追いかけられ、一人残された私……
いや、マネトの技を見てひらめいたよ。
もしかしたら、似ていることをできるかもしれない。
これでも、最近、みんなの力を借りて空を飛べたから……
全力で水を噴射したら距離を取れるかも。
「と、とにかく試さないと!」
走りながら足に魔力を溜め……私は一気に発射させた。
「発射! ……うわぁ!」
結果……私は予想以上に高く飛べることができた。
だけど、喜んでいたのも束の間。
喜びのあまり、噴射し続けることを忘れてしまい、真上に飛んだだけ……
その成り行きで、また地面に落下する。
もちろん着地は、水をもう一度噴射することでうまくできた。
だけど、
「………」
「グオォォォォォ……」
目の前には鼻息の荒い巨大な猪。
「えっと……猪もそれなりに可愛いと思うな………」
「グオォォォォォォォォォォォ!!」
私の誉め言葉も虚しく、猛獣は遠吠えを上げた。
「ですよね! 助けてぇぇぇ!」
ドッ!!
「やっと見つけた! ここまでくるの大変だったよ! そして、吹き飛べ!」
「私の大切な、綿毛ちゃんたちをよくも……
よくも怖がらせてくれたな!」
鈍い音がすると、トモヤ、サナが私の前に現れる。
全身に雷を浴びたトモヤは刀を抜き、渾身の一撃を猪にぶつける。
サナは、巨大な剣を両手で持ち、強力な力で猪を張り倒す。
この剣は初めて見た。
二人の攻撃が同時に合わさることでパワーが数十倍にも及んでいた。
そんな一撃を受けた猪は倒れないはずがない。
ドーーーン!
巨大な体躯は音を立てて何メートルも吹き飛ぶ。
木々は倒れ、大きく森は荒らされた。
「あ、ありがとおぉぉぉぉ! 二人とも!」
私は命を救われた。
涙目になりながら、二人の元へ寄る。
「ああ、当たり前だ! 弱いものを怯えさせるなんて、なんて卑劣な奴なんだ」
「アハハハハ! ごめんね、途中で迷子になっちゃって!」
「ムッ、本当だよ! 心臓が止まるかと思った!」
可愛いもの好きのサナはともかく、あのタイミングで方向音痴になるトモヤには、顔を膨らませた。
横からは、木の影からひょっこりとマネトが顔を出していた。
私が鬼の顔で睨むと、反省しているのか逃げずに頭を下げてくれた。
まだ、トモヤの後ろで体を震わせていますが。
「マネト……女性を見捨てるなんて最低!」
「わ、悪かったと思ってるよ!
で、でもさ……あんな巨大なやつ、怖いよ! というか怒りの矛先、俺じゃなくて、二人に向けてよ!」
弁解するも、結局怖気付いて責任転換する始末。
私、この出来事きっかけに、もうマネトとやっていけないかもしれない……
「そう思えば、セクアナ、やっとマネトのこと呼び捨てにしたんだね」
トモヤの指摘に、あっと口を開く。
「ほんの、ほんのちょっと最初は尊敬していたけど、もうそんな価値なくなったからね!」
「なんというか、すこしマネトが可哀想な気もするけど……」
「そんな哀れみ、マネトには必要ないよ!」
「俺、悲しいよ……」
「うっ」
小さな子どものように涙目になるマネトの顔を見て、私の心がゆらぐ。
だけど私の心はそんな、演技では通用しません。
たぶん、マネトは本気で悲しんでいると思う。
ドン!
色々と喋っていたから忘れていた。
巨大な猪。
トモヤとサナの攻撃をもろに命中していたから、終わったと思っていた。
「なっ、私の大剣の一撃を受けても、生きているだと!」
「ええ、今回、思っていた以上に難関じゃない? 『雷神』で攻撃したのにまだ立てるの!」
二人は驚きながらも、すこし声が明るかった。
どうして、そんな戦うことを楽しめるのだろうか。
私には理解できない。
猪は立っていても、ダメージを受けているようで、すぐには突進してこなかった。
しばらく、私たちに時間が与えられる。
そんな時に、
「あ、そうだ」
トモヤは何か案を思いついたのか、ニマニマしながらマネトの方を向いていた。
マネトはピクリと肩を震わせる。
「え、ええ? 何、何、俺……なんかしなくちゃいけないの?」
マネトが揺らす金髪を見て、私も察する。
サナもトモヤの考えがわかったのか、面白そうだと言わんばかりの笑みを向けていた。
「え、やっぱり、俺、あいつと戦わないといけないの? 嫌、絶対に嫌だよぉぉぉ!」
トモヤはマネトの肩に手を置いて、胡散臭い声で話す。
「マネト、あの、猪を見て何も思わないか?
あれを倒すと、お金がもらえるんだよ」
「ごくり」
マネトは唾を飲み込んだ。
「ほーら、ほーら、だんだんお金にお金に見えてくる……」
「……グヒィ」
マネトの目がゆっくりと光出す。
「グオォォォォォォォォオオオオ!」
猪はマネトを直視すると大きく雄叫びを上げ、突進を始めた。
マネトは物怖じせずに立つ。
「お金……いっぱい……グヒヒヒ……」
不気味な笑みを見せて。
「マネト、早く早く! 吹き飛ばされちゃよ!」
マネトは私の声など聞いていなかった。
流石の冗談で言っていたトモヤもヤバいと思ったのか、マネトの手を掴もうとすると……
「ライトニング!!!」
一筋の巨大な光が猪を包む。
ドサッ!
眩しい光に襲われ、次に目を開けた時、十メートル以上の巨大猪は地面に倒れていた。
まる焦げになって。
誰もが唖然とする中、一人高らかに笑う。
「やったあ! お金たくさんゲットしたよ!
お金お金!」
手を叩いて、全身で喜びを表す少年。
「あのあの、サナさんや……僕たち二人の同時攻撃でも倒せなかったモンスターをなぜ、マネトさんが一人であっけなく倒しているのか、分かるかい?」
「うん、見当もつかない」
トモヤは少しビビっていた。
サナも真顔で考え込んでいる。
「もしかして、僕たちの中で一番強いのはマネトさんだったりするのかな……?」
トモヤは静かにさん付けしている。
「私思い違いしてたのかな。さっきのお返しで面白半分で乗っかったけど……マネト、最強なのかも……」
私の顔も引きつっていた。
三人に沈黙が訪れる。
すると、最強の戦士が、
「おーい、みんな……さっきの爆音のせいかわからないけど……なんか、大量のモンスターがこっちに向かって来てるんだけど……」
お金の洗脳期間が終わったのか、青ざめた顔で正面を指さす。
「え!?」
私たちは目を見開く。
そして足音や、鳴き声などが証拠となり、事実だと分かった。
「セ、セクアナ! 範囲攻撃!」
マネトは戦えない、私たちはマネトに衝撃を受けてうまく動けない。
私の中では絶望的な状況だった時、トモヤが呼びかけてくれた。
やはりパーティのことをしっかり分かってくれている。
「はっ! えっと……範囲攻撃?」
「そうだよ、僕らはそこまで上手くないから!」
正直怖い。
そんな私に、トモヤは的確な指示をしてくれた。
猪と比べると、そこまで強くない。ただ数が多いだけ。
弱い私でも簡単に倒せそうだ。
咄嗟の状況判断。
トモヤはやっぱりすごいな。
感謝を込めて、私は魔法に集中する。
「ボルテックス!」
私の杖が紺青色に染まり、巨大な水の渦が現れる。
「ハッ!」
渦巻く水柱は正面に進んで行く。
「ギャイイイイ!」
「ギュウウウウウウ!」
すこしすると、沢山のモンスターの悲鳴が聞こえて来た。
渦が収縮すると、地面には肉食の猛獣たちが地面にたくさん倒れている。
「おわ……終わったかな?」
恐る恐る、後ろを振り返る自分にトモヤは満面の笑みを浮かべて、
「うん、完璧だよ、セクアナ!
わざわざ強力な技を出してくれたおかげで、生き残りもいなかったし助かった!
ありがと!」
本当はトモヤの的確な指示だったからこそ、助けることができたのに、私が感謝されちゃったな……
頬を染めながらそっと横を向く。
気持ちが落ち着くと、私はみんなより一歩前に出た。
「みんな、今日はお疲れ様!
これで、初任務は終わりだよ! 依頼は無事達成できたね!」
「うん!」
「おう!」
「ああ!」
みんな笑顔になった。
今回の初任務で、もっとみんなの仲が深められたと思う。
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