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任務
出会い、小金持ち
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初任務が終わった。
色々あっだけど無事、依頼達成。
僕たちは猪の牙や肉食獣の皮などのドロップアイテムを採取すると、この大森林から立ち去った。
セクアナがモンスターを一網打尽にしてくれたおかげで、たくさんアイテムをゲットできた。
任務の報酬に合わせて、ドロップアイテム。
ついでに山に詳しい、サナからの助言によって見つけた薬草など。
しばらくは懐に心配する必要はないと思う。
マネトがにこやかにしている後ろ姿を眺めながら町に戻った。
戻ると宿に入り、ベッドにダイブ。
疲れている体を休ませる。
みんなが賛成してくれるなら、どこかで食事をしてもう一度祝杯をあげる。
楽しくワイワイしながら特別な日が終わる。
僕はそんな妄想をしています。
フラグが立っているかもしれませんが叶いません。
町の入り口には商店街が広がっている。
服や食べ物、野菜に土器など様々なものが売られていた。
田舎の町でも賑やかだ。
宿に戻っても、やることはない。
だからしばらく、この商店街を回ることになった。
「え! お土産買ってもいいの! 俺、ならいっぱい食べ物買いたい!」
少しお金に余裕ができたので、セクアナが許すと、マネトは元気よく食べ物屋さんの方へ行ってしまった。
「む、あっちから美味しい匂いがするぞ!」
サナもすぐに匂いのする方へつられて行った。
残ったのは僕とセクアナの二人。
「なんというか、結局、こうなるんだね……」
「サナもマネトも大丈夫かな? 私、許してしまったけど、また借金して帰ってきたりとか……」
「安心はできないな……でも、せっかくの任務終わりだから、ハメを外してもいいんじゃない?」
「そうだね!」
セクアナは笑うと駆け出した。
「あ、見て! すごい珍しいよ、このお人形!」
セクアナは楽しそうに、さまざまなお店に顔を出した。
今回は王都の時とは違う。
試着や試食で終わるだけでない。
ちゃんと買いたいものを見つけて、買うことができる。
そのことに喜びを感じているのか、とてもセクアナは輝いていた。
「トモヤ、ちゃんとお金を払えるって素晴らしいことだと思うよ! やっと、私たちって貧乏生活から抜け出したのかな!」
いつも以上に顔を近づけながら、セクアナ喋ってくる。
「ああ、うん、結構貧乏生活が染み付いていたからね。ちょっと抜け出せたなら嬉しいことだよ」
「うん、頑張ったからね! 今度はみんなで住める家とか建てれたらいいな……私たちの家はもうないから」
夢を語りながらも、故郷を思い出したのかセクアナの声が暗くなる。
「こんな雷魔法の奴にそんな幸せが来るかな……」
「訪れるよ! トモヤの目の前にいるのは正真正銘の女神様だよ!
私が必ず、トモヤを幸せな道に導くからね!
だから一緒に歩いて行こ!」
手を差し出すセクアナ。
僕はその手をギュッと握りしめた。
「おーい、\$%#<☆○!」
「ハァハァ……可愛いぞ……」
途中からサナとマネトも合流する。
マネトは両手にたくさんの食べ物を持っていた。目を細めて、美味しそうに食べている。
サナは食事はもう済ませたようで、代わりに何かを持っていた。
「み、見てくれ……この綿毛ちゃんの人形を! この町の名物らしいぞ……可愛い!」
5、6個ほどの綿毛の人形を抱えていた。
触ると、もふもふしている。
あの時の感覚と同じだ。
よくこんなに精密に作っているものだ。
感動している自分がいた。
買い物が終わり、宿へ帰ろうとする。
そう、僕にとってはここからが本番だ。
ベッドで休み、賑やかな食事。
これはあの感覚と同じだ。
文化祭や体育祭が終わった後の打ち上げ。
命懸けで任務に参加し、依頼を達成した。
魔法騎士が終わった後の祝杯は格別に美味しかった。
対して、今回は命懸け。
余計に酒が美味しくなるのではないか。
もちろん、まだ酒を飲んだことはありませんが。
一応、成人しているわけだし、今日挑戦してみるのもいいのでは……
ニヒヒと笑みを向けていたが、町の人に肩をぶつけられ、妄想から解放される。
「お、おい、お前いけよ。こんなの一生、お目にかかれないぜ!」
「いや、そこまで言うならお前が話しかけろよ」
気づいた時、周りには人だかりがができていた。
「これって何かのイベント? なんかの勝負で勝ったら賞金もらえるとか!
俺、無理矢理でも参加するよ!」
マネトが目をキラキラさせているけど、そういうものではないと思う。
町の人たちの会話を聞く限り。
四人、誰もがその秘密を知りたかったので人が集まっている中心に向かった。
そこには……
「いやー、俺はこっちの方がいいな。シト、お前はどう思う?」
「セクロ様、早くお決めになってください。
このままでは鉢合わせてしまいます!」
青藍の髪に大柄な体。
喉からは図太い音が響く。
六大天のセクロ・ルーカスさんだった。
最年長ということもあり、貫禄のある声。
とは言っても見た目はまだ若く見える。
年齢は三十代くらいなのかな。
魔法にも全盛期というものがあり、歳をとるにつれて力が衰える。
だからセクロさんはすごいと思う。
その横では身長が高く、それでいてスリムな体型をしている男性が。
セクロさんの従者に見えるが、強そうな体格をしている。服装も執事のような格好ではなく、貴族のような綺麗な服。
何者かわからないので、近付き難い。
というか、また六大天様か……
なんというか、自分、偉大な方と出会う機会が多いな。
セイラ姉さんとか、魔法帝とか……今日はセクロさんだったり。
「珍しいね、セクアナ。六大天様がこんな町に来るなんて……あれ?」
横を見るとセクアナの姿がなかった。
その代わりに正面には、
「セクロ様、あ、ありがとうございました! 魔法騎士になるための試験で助けていただいて! あの時、助けてもらわなかったら私、ここにいられなかったかもしれません」
その声に、僕だけでなく、緊張で話しかけられなかった町人たちもギョッとする。
セクアナに対面しているセクロさんは、なぜか顔を赤くしていた。
そっぽを向いて鼻を擦る。
横にいる付き人の方は誰よりも青ざめた顔。
「あんなこと、どうってことないぞ。新しい新入りの命を守る、これは大先輩として当たり前のことだからな!」
「はい、誇らしいです!」
さらにセクロさんの顔が赤くなっていた。
セクアナの感謝している姿を見て、僕たちも前に来て、お礼を言う。
「セクアナを助けてくださり、あ、ありがとうございました!」
「おお、仲間と一緒か、いいな若い者は!
お前ら、俺にお礼なんてしなくてもいんだぜ!」
「いえいえ、そんな」
セクアナが申し訳なさそうにもう一度、頭を下げる。
「心配するな!」
セクロさんは元気よく笑いながらセクアナの頭を撫でようとすると……
「セクロ様……変態、セクハラ、女の敵です」
横にいた高身長の従者の方に手を止められていた。
「は? おい、お前にそこまで言われる筋合いはねえぞ!」
「いいえ、そんな馴れ馴れしく女性の頭を撫でようとするなんてクズです!」
「おいおい、シト! いくら俺の付き人だからってそんな酷い言葉投げかけるなんてありえないぞ! そろそろ潮時なのかもしれないな! 新しい付き人でも……」
「はぁー、別にいいですけど、私以外、ほとんどの方が一ヶ月もしないうちに、セクロ様の担当を拒否しています。
そう易々と次の付き人見つかりますかね?
専属の付き人がいないのであれば、洗濯、料理など、全て自分でやらないといけませんよ。
まずは子どもっぽい身勝手さを直してから言ってください。
今日のわがままも仕方なく受け入れているんですよ!」
「ああん?」
まるでどこかで見たような、口喧嘩が始まった。
そう思えば三人、元気なのかな……
「はっくしょん! 私も風邪にかかってしまったかな……」
「え、ユリス様、風邪ですか! 大変です……どうにか早く直してもらわないと。今日は野菜たっぷりの料理を作ります!」
「早く治してもらわないとね。ユリス様、じっとしていてください。私が魔法をかけますので」
「ミヨの魔法! それは極楽だ、早く治さないといけないね!」
今日もたくさんの仕事をこなす三人。
「えっと、終わりましたか……」
責任を感じているのか、セクアナが心苦しそうな顔をしている。
「いや、違うぞ! 全てはシトの説教が悪いのだ! いいかいお嬢ちゃん、この男はとっても怖いんだよ!」
「デタラメはやめてください……はっ!」
急に大きな声で発狂するセクロさんの従者。
「すいません、自己紹介をするのを忘れていました……私はシトベルク・ムーラン。
どうぞ『シト』とお呼びください。
また、セクロ様の付き人けん、魔法騎士です。どうぞお見知りおきください」
どういう風の吹き回しかわからないが、いきなりの自己紹介。
僕たちも頭を下げて、簡単に名前を教えた。
「で、終わったか?」
僕たちとシトさんが仲良くしているからなのか、はたまた、仲間外れにされていたせいなのかわからないが、セクロさんはジッと睨んでいた。
そんな寂しそうなセクロさんにセクアナは質問していた。
「でも、なぜ六大天という大魔法騎士様が、こんなところにおいでなさっているのですか?」
「ああ、なんだそれは簡単な理由だ。俺の大切な大切なか……」
ベシッ!
「何バラそうとしているんですか!」
「……はっ!」
シトさんはセクロさんの首根っこを掴んで後ろに下がる。
輪の字になって何かを話しているようだ。
まとまると、シトさんが汗を流しながら、
「えっと、ボランティアみたいなものだよ。私たちもこの町にたまたま……たまたま用事があったので……」
やけにテンパっているけれど、深掘りしないでいよう。
余計に苦労させそうだ。
シトさんは何かに疲れたようで呼吸が荒かった。
そんなこと関係なしにセクロさんは明るい。
「あ、そうだ! セクアナちゃんだよな?
お前にこれを授けよう! さっき近くのお店で見つけたのだ」
セクロさんは、木の模様のついた綺麗なクシをセクアナに差し出す。
「え、でもこ、これって私のために買っていませんよね?」
「な、なぜか気が変わったのだ! お前たちを見ていると、昔が懐かしくなってな。
君たちは俺の昔を思い出させてくれたのだ。お礼だと思ってくれ!」
「あ、ありがとうございます……」
「おお! また会える日を楽しみにしてるぜ!」
満面の笑みを向けると、セクロさんは立ち去ろうとする。
「セクロ様、終わりましたか?」
大きなため息をついていたシトさんも顔をあげていた。
「すいません、皆様方。セクロ様がお騒がせしました」
シトさんの方が位は上なのに、丁寧な挨拶。
礼儀の正しい方だった。
「じゃあな、お前ら!」
手を挙げて僕たちの横を通って帰ろうとする。
横を通る時、偶然にもセクロさんの肩と僕の肩が当たってしまった。
「いっ……」
ボトッ!
セクロさんの内ポケットから何か落ちた。
和紙のような上品な紙だった。
「あ、すいません」
「待って!」
セクロさんの大声が聞こえる前に、僕がそれを拾う。
「………」
僕がセクロさんのシトさん、二人に対面した時、二人の顔は酷かった。
セクロさんはボロボロと大量の汗を流し、シトさんはこの世の終わりのような表情。
どうしたんだろう。
この紙が何か重大なことでもあるのだろうか……
不思議に思ってしまう。
だからこそ、この紙を開けると何が入っているのか気になるもので……
僕は開けた。
「ああ……」
二人の絶望の声が聞こえた気がする。
「……押し花?」
頭が混乱する。
なぜこんなドライフラワー、ひとつで怯えているのかわからないからだ。
それとも、これは王様に渡すものであって、それを見てしまった自分は国家反逆罪で死刑……なんてことないよね……
怖くなり、自分はすぐに閉じて返した。
「あの……えっと……靴でも舐めたら許してもらえ……」
「さようなら!!」
「じゃあな!!」
受け取るなり、二人は猛ダッシュでどこかへ行ってしまった。
「ど、どういうこと?」
「さ、さあ……?」
呆然と立ち尽くす四人であった。
宿の近く。
「なんというか……疲れた……」
そんな僕の言葉に、セクアナとマネトが、
「何言ってんの! ここからだよここから!
ドロップアイテムの換金だよ!
どれだけもらえるか楽しみじゃないの!」
「そうだよトモヤ! お金だお金! あんだけ死にそうな思いをしたんだよ! これで少なかったら俺、本気で怒るよ!」
二人の目がぎらついていた。
「あー、それ、僕パスで」
「なんで!!」
二人がやけに勢いよく問い詰めてくる。
「僕が言ったらどうせ、差別されるからね。もらえるお金も、減らされると思う。それに暴言吐かれるのも嫌だから……」
「それもそっか、役立たずがいても意味ないからね! マネト、行こ!」
「うんうん、疫病神が移るよ!
アハハハハハハ!」
「おい、ちょっと待て、そこの強欲の塊の二人! 今すぐ、あの世に送ってやろうか!」
僕が捕まえる前に逃げ足だけは一人前の二人は行ってしまった。
残されたのはサナと僕。
「はぁー、あいつら帰ったら締め倒す!
というかサナは行かなくてよかったの?」
「私はお金に興味がないし、人と話すのが苦手だからな。今日だって綿毛ちゃんを買うためにどれだけ苦労したことか……」
頬を赤ながら、何もされていないのに恥ずかしがっている。
なんというか、忙しい人たちだ。
夕暮れ時、二人は帰ってきた。
さあ、ここからは僕のターン。
さっきのお返しを……と思っていたが、二人のやつれている顔を見ると、やり返す気分がなくなった。
「で、僕に酷いことを言ったお二人さん。結果はどれだけ安く売れたんだい?」
「アハハハハ……何を言っているのトモヤさん」
「俺……なんだか怖いよ」
「ん? 言っている意味がわからないのだけど……セクアナ、いくら貰ってきたの?」
「300万……」
「300万………? えっ! 300万!?」
全身に鳥肌が立つ。
「怖い……俺怖いから寝るよ……」
「みんなお疲れ……私も疲れているみたい」
「お、おう、今日はお疲れ様でした……」
二人はとぼとぼと宿に入って行った。
また僕とサナの二人が残された。
しばらく沈黙が続く。
サナが冷静に現実を受け止めて、
「よし、トモヤ、一緒にやけ食いでもするか! こいうのは、一気に使う方が良いと言われているぞ!」
「アハハハハハ……300万……300万!」
僕の耳にサナの言葉は入ってこなかった。
まるで何かに取り憑かれたように何もかもが見えなくなる。
セクアナたちと同じように僕も宿の中に入ったのであった。
一人残されたサナ。
「300万か……あともう一個綿毛ちゃんの人形を買えるだろうか………」
(サナはあまり算数が得意じゃありません)
彼女はもう一個だけ、綿毛の人形を買った。
サナ以外の三人はこの日の夜、寝ることができなかった。
初任務、報酬は300万。
いきなり僕たちのパーティは小金持ちになったのである。
色々あっだけど無事、依頼達成。
僕たちは猪の牙や肉食獣の皮などのドロップアイテムを採取すると、この大森林から立ち去った。
セクアナがモンスターを一網打尽にしてくれたおかげで、たくさんアイテムをゲットできた。
任務の報酬に合わせて、ドロップアイテム。
ついでに山に詳しい、サナからの助言によって見つけた薬草など。
しばらくは懐に心配する必要はないと思う。
マネトがにこやかにしている後ろ姿を眺めながら町に戻った。
戻ると宿に入り、ベッドにダイブ。
疲れている体を休ませる。
みんなが賛成してくれるなら、どこかで食事をしてもう一度祝杯をあげる。
楽しくワイワイしながら特別な日が終わる。
僕はそんな妄想をしています。
フラグが立っているかもしれませんが叶いません。
町の入り口には商店街が広がっている。
服や食べ物、野菜に土器など様々なものが売られていた。
田舎の町でも賑やかだ。
宿に戻っても、やることはない。
だからしばらく、この商店街を回ることになった。
「え! お土産買ってもいいの! 俺、ならいっぱい食べ物買いたい!」
少しお金に余裕ができたので、セクアナが許すと、マネトは元気よく食べ物屋さんの方へ行ってしまった。
「む、あっちから美味しい匂いがするぞ!」
サナもすぐに匂いのする方へつられて行った。
残ったのは僕とセクアナの二人。
「なんというか、結局、こうなるんだね……」
「サナもマネトも大丈夫かな? 私、許してしまったけど、また借金して帰ってきたりとか……」
「安心はできないな……でも、せっかくの任務終わりだから、ハメを外してもいいんじゃない?」
「そうだね!」
セクアナは笑うと駆け出した。
「あ、見て! すごい珍しいよ、このお人形!」
セクアナは楽しそうに、さまざまなお店に顔を出した。
今回は王都の時とは違う。
試着や試食で終わるだけでない。
ちゃんと買いたいものを見つけて、買うことができる。
そのことに喜びを感じているのか、とてもセクアナは輝いていた。
「トモヤ、ちゃんとお金を払えるって素晴らしいことだと思うよ! やっと、私たちって貧乏生活から抜け出したのかな!」
いつも以上に顔を近づけながら、セクアナ喋ってくる。
「ああ、うん、結構貧乏生活が染み付いていたからね。ちょっと抜け出せたなら嬉しいことだよ」
「うん、頑張ったからね! 今度はみんなで住める家とか建てれたらいいな……私たちの家はもうないから」
夢を語りながらも、故郷を思い出したのかセクアナの声が暗くなる。
「こんな雷魔法の奴にそんな幸せが来るかな……」
「訪れるよ! トモヤの目の前にいるのは正真正銘の女神様だよ!
私が必ず、トモヤを幸せな道に導くからね!
だから一緒に歩いて行こ!」
手を差し出すセクアナ。
僕はその手をギュッと握りしめた。
「おーい、\$%#<☆○!」
「ハァハァ……可愛いぞ……」
途中からサナとマネトも合流する。
マネトは両手にたくさんの食べ物を持っていた。目を細めて、美味しそうに食べている。
サナは食事はもう済ませたようで、代わりに何かを持っていた。
「み、見てくれ……この綿毛ちゃんの人形を! この町の名物らしいぞ……可愛い!」
5、6個ほどの綿毛の人形を抱えていた。
触ると、もふもふしている。
あの時の感覚と同じだ。
よくこんなに精密に作っているものだ。
感動している自分がいた。
買い物が終わり、宿へ帰ろうとする。
そう、僕にとってはここからが本番だ。
ベッドで休み、賑やかな食事。
これはあの感覚と同じだ。
文化祭や体育祭が終わった後の打ち上げ。
命懸けで任務に参加し、依頼を達成した。
魔法騎士が終わった後の祝杯は格別に美味しかった。
対して、今回は命懸け。
余計に酒が美味しくなるのではないか。
もちろん、まだ酒を飲んだことはありませんが。
一応、成人しているわけだし、今日挑戦してみるのもいいのでは……
ニヒヒと笑みを向けていたが、町の人に肩をぶつけられ、妄想から解放される。
「お、おい、お前いけよ。こんなの一生、お目にかかれないぜ!」
「いや、そこまで言うならお前が話しかけろよ」
気づいた時、周りには人だかりがができていた。
「これって何かのイベント? なんかの勝負で勝ったら賞金もらえるとか!
俺、無理矢理でも参加するよ!」
マネトが目をキラキラさせているけど、そういうものではないと思う。
町の人たちの会話を聞く限り。
四人、誰もがその秘密を知りたかったので人が集まっている中心に向かった。
そこには……
「いやー、俺はこっちの方がいいな。シト、お前はどう思う?」
「セクロ様、早くお決めになってください。
このままでは鉢合わせてしまいます!」
青藍の髪に大柄な体。
喉からは図太い音が響く。
六大天のセクロ・ルーカスさんだった。
最年長ということもあり、貫禄のある声。
とは言っても見た目はまだ若く見える。
年齢は三十代くらいなのかな。
魔法にも全盛期というものがあり、歳をとるにつれて力が衰える。
だからセクロさんはすごいと思う。
その横では身長が高く、それでいてスリムな体型をしている男性が。
セクロさんの従者に見えるが、強そうな体格をしている。服装も執事のような格好ではなく、貴族のような綺麗な服。
何者かわからないので、近付き難い。
というか、また六大天様か……
なんというか、自分、偉大な方と出会う機会が多いな。
セイラ姉さんとか、魔法帝とか……今日はセクロさんだったり。
「珍しいね、セクアナ。六大天様がこんな町に来るなんて……あれ?」
横を見るとセクアナの姿がなかった。
その代わりに正面には、
「セクロ様、あ、ありがとうございました! 魔法騎士になるための試験で助けていただいて! あの時、助けてもらわなかったら私、ここにいられなかったかもしれません」
その声に、僕だけでなく、緊張で話しかけられなかった町人たちもギョッとする。
セクアナに対面しているセクロさんは、なぜか顔を赤くしていた。
そっぽを向いて鼻を擦る。
横にいる付き人の方は誰よりも青ざめた顔。
「あんなこと、どうってことないぞ。新しい新入りの命を守る、これは大先輩として当たり前のことだからな!」
「はい、誇らしいです!」
さらにセクロさんの顔が赤くなっていた。
セクアナの感謝している姿を見て、僕たちも前に来て、お礼を言う。
「セクアナを助けてくださり、あ、ありがとうございました!」
「おお、仲間と一緒か、いいな若い者は!
お前ら、俺にお礼なんてしなくてもいんだぜ!」
「いえいえ、そんな」
セクアナが申し訳なさそうにもう一度、頭を下げる。
「心配するな!」
セクロさんは元気よく笑いながらセクアナの頭を撫でようとすると……
「セクロ様……変態、セクハラ、女の敵です」
横にいた高身長の従者の方に手を止められていた。
「は? おい、お前にそこまで言われる筋合いはねえぞ!」
「いいえ、そんな馴れ馴れしく女性の頭を撫でようとするなんてクズです!」
「おいおい、シト! いくら俺の付き人だからってそんな酷い言葉投げかけるなんてありえないぞ! そろそろ潮時なのかもしれないな! 新しい付き人でも……」
「はぁー、別にいいですけど、私以外、ほとんどの方が一ヶ月もしないうちに、セクロ様の担当を拒否しています。
そう易々と次の付き人見つかりますかね?
専属の付き人がいないのであれば、洗濯、料理など、全て自分でやらないといけませんよ。
まずは子どもっぽい身勝手さを直してから言ってください。
今日のわがままも仕方なく受け入れているんですよ!」
「ああん?」
まるでどこかで見たような、口喧嘩が始まった。
そう思えば三人、元気なのかな……
「はっくしょん! 私も風邪にかかってしまったかな……」
「え、ユリス様、風邪ですか! 大変です……どうにか早く直してもらわないと。今日は野菜たっぷりの料理を作ります!」
「早く治してもらわないとね。ユリス様、じっとしていてください。私が魔法をかけますので」
「ミヨの魔法! それは極楽だ、早く治さないといけないね!」
今日もたくさんの仕事をこなす三人。
「えっと、終わりましたか……」
責任を感じているのか、セクアナが心苦しそうな顔をしている。
「いや、違うぞ! 全てはシトの説教が悪いのだ! いいかいお嬢ちゃん、この男はとっても怖いんだよ!」
「デタラメはやめてください……はっ!」
急に大きな声で発狂するセクロさんの従者。
「すいません、自己紹介をするのを忘れていました……私はシトベルク・ムーラン。
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また、セクロ様の付き人けん、魔法騎士です。どうぞお見知りおきください」
どういう風の吹き回しかわからないが、いきなりの自己紹介。
僕たちも頭を下げて、簡単に名前を教えた。
「で、終わったか?」
僕たちとシトさんが仲良くしているからなのか、はたまた、仲間外れにされていたせいなのかわからないが、セクロさんはジッと睨んでいた。
そんな寂しそうなセクロさんにセクアナは質問していた。
「でも、なぜ六大天という大魔法騎士様が、こんなところにおいでなさっているのですか?」
「ああ、なんだそれは簡単な理由だ。俺の大切な大切なか……」
ベシッ!
「何バラそうとしているんですか!」
「……はっ!」
シトさんはセクロさんの首根っこを掴んで後ろに下がる。
輪の字になって何かを話しているようだ。
まとまると、シトさんが汗を流しながら、
「えっと、ボランティアみたいなものだよ。私たちもこの町にたまたま……たまたま用事があったので……」
やけにテンパっているけれど、深掘りしないでいよう。
余計に苦労させそうだ。
シトさんは何かに疲れたようで呼吸が荒かった。
そんなこと関係なしにセクロさんは明るい。
「あ、そうだ! セクアナちゃんだよな?
お前にこれを授けよう! さっき近くのお店で見つけたのだ」
セクロさんは、木の模様のついた綺麗なクシをセクアナに差し出す。
「え、でもこ、これって私のために買っていませんよね?」
「な、なぜか気が変わったのだ! お前たちを見ていると、昔が懐かしくなってな。
君たちは俺の昔を思い出させてくれたのだ。お礼だと思ってくれ!」
「あ、ありがとうございます……」
「おお! また会える日を楽しみにしてるぜ!」
満面の笑みを向けると、セクロさんは立ち去ろうとする。
「セクロ様、終わりましたか?」
大きなため息をついていたシトさんも顔をあげていた。
「すいません、皆様方。セクロ様がお騒がせしました」
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「じゃあな、お前ら!」
手を挙げて僕たちの横を通って帰ろうとする。
横を通る時、偶然にもセクロさんの肩と僕の肩が当たってしまった。
「いっ……」
ボトッ!
セクロさんの内ポケットから何か落ちた。
和紙のような上品な紙だった。
「あ、すいません」
「待って!」
セクロさんの大声が聞こえる前に、僕がそれを拾う。
「………」
僕がセクロさんのシトさん、二人に対面した時、二人の顔は酷かった。
セクロさんはボロボロと大量の汗を流し、シトさんはこの世の終わりのような表情。
どうしたんだろう。
この紙が何か重大なことでもあるのだろうか……
不思議に思ってしまう。
だからこそ、この紙を開けると何が入っているのか気になるもので……
僕は開けた。
「ああ……」
二人の絶望の声が聞こえた気がする。
「……押し花?」
頭が混乱する。
なぜこんなドライフラワー、ひとつで怯えているのかわからないからだ。
それとも、これは王様に渡すものであって、それを見てしまった自分は国家反逆罪で死刑……なんてことないよね……
怖くなり、自分はすぐに閉じて返した。
「あの……えっと……靴でも舐めたら許してもらえ……」
「さようなら!!」
「じゃあな!!」
受け取るなり、二人は猛ダッシュでどこかへ行ってしまった。
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呆然と立ち尽くす四人であった。
宿の近く。
「なんというか……疲れた……」
そんな僕の言葉に、セクアナとマネトが、
「何言ってんの! ここからだよここから!
ドロップアイテムの換金だよ!
どれだけもらえるか楽しみじゃないの!」
「そうだよトモヤ! お金だお金! あんだけ死にそうな思いをしたんだよ! これで少なかったら俺、本気で怒るよ!」
二人の目がぎらついていた。
「あー、それ、僕パスで」
「なんで!!」
二人がやけに勢いよく問い詰めてくる。
「僕が言ったらどうせ、差別されるからね。もらえるお金も、減らされると思う。それに暴言吐かれるのも嫌だから……」
「それもそっか、役立たずがいても意味ないからね! マネト、行こ!」
「うんうん、疫病神が移るよ!
アハハハハハハ!」
「おい、ちょっと待て、そこの強欲の塊の二人! 今すぐ、あの世に送ってやろうか!」
僕が捕まえる前に逃げ足だけは一人前の二人は行ってしまった。
残されたのはサナと僕。
「はぁー、あいつら帰ったら締め倒す!
というかサナは行かなくてよかったの?」
「私はお金に興味がないし、人と話すのが苦手だからな。今日だって綿毛ちゃんを買うためにどれだけ苦労したことか……」
頬を赤ながら、何もされていないのに恥ずかしがっている。
なんというか、忙しい人たちだ。
夕暮れ時、二人は帰ってきた。
さあ、ここからは僕のターン。
さっきのお返しを……と思っていたが、二人のやつれている顔を見ると、やり返す気分がなくなった。
「で、僕に酷いことを言ったお二人さん。結果はどれだけ安く売れたんだい?」
「アハハハハ……何を言っているのトモヤさん」
「俺……なんだか怖いよ」
「ん? 言っている意味がわからないのだけど……セクアナ、いくら貰ってきたの?」
「300万……」
「300万………? えっ! 300万!?」
全身に鳥肌が立つ。
「怖い……俺怖いから寝るよ……」
「みんなお疲れ……私も疲れているみたい」
「お、おう、今日はお疲れ様でした……」
二人はとぼとぼと宿に入って行った。
また僕とサナの二人が残された。
しばらく沈黙が続く。
サナが冷静に現実を受け止めて、
「よし、トモヤ、一緒にやけ食いでもするか! こいうのは、一気に使う方が良いと言われているぞ!」
「アハハハハハ……300万……300万!」
僕の耳にサナの言葉は入ってこなかった。
まるで何かに取り憑かれたように何もかもが見えなくなる。
セクアナたちと同じように僕も宿の中に入ったのであった。
一人残されたサナ。
「300万か……あともう一個綿毛ちゃんの人形を買えるだろうか………」
(サナはあまり算数が得意じゃありません)
彼女はもう一個だけ、綿毛の人形を買った。
サナ以外の三人はこの日の夜、寝ることができなかった。
初任務、報酬は300万。
いきなり僕たちのパーティは小金持ちになったのである。
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沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
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加藤あいは高校2年生。
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皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
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転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
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ゆっくり投稿です。
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