君と二人の自分

ともとも

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次の目標

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家に帰り、自室に戻ったら今まで溜めていた疲れが溢れてきた。

いろいろ義人へ言いたいことはあるけどまずは気持ちを落ち着かせるために鞄に入れていたお茶を飲む。
緊張によってカサカサになっていた喉や唇がその水分によって潤ってきた。

そのまま、ベットの上にのり横になる。
「LINEか・・・・・」

初めての女子との連絡先交換というイベントが終了して、夢でないことを確認する。

「頑張ったな」
自分の中ではこんなことできる勇気がなかったので、自信を持って褒める。
まじまじと見ていたけれども、しばらくすると異性ということを再確認して一人で顔が赤くなる。

たぶんこういうところがあるから友達もあまり、できないんだろうな・・・

スマホを机の上へ置いた。
そして、気持ちを切り替えて「自分ノート」を開く。

さっきまでの青春っぽい感情とは打って変わって義人への不安を書いていた。

「義人、なんで僕が願った時に変わってくれないんだよ!」

怒りを込めて始めの文字を書いた。

「二重人格って、辛いって思ってる時に助けてくれるものでしょ!
そういうところしっかりしてよ。
せっかく、頼りにしてたのに今日のことで嫌いになったよ。まあ、元から嫌いだったかもしれないけど。
それよりも助けるどころかいきなり人格変化ってなんだよ。
あのタイミングはないだろ。
お前、いきなりあんな積極的に話して大きな声になったから、彼女に引かれてんじゃねえか。
しかもすぐ交代するし、せめてあのいたたまれない空気を治してから交代してよ!
僕は言ったぞ。言い返したいことがあったらなんでもどうぞ。」

「はぁはぁはぁ・・・・」

今日溜まっていた鬱憤を義人に向けて書いてすこしスッキリした。ていうかむしろ、最近義人へのメッセージは溜まっているストレスや鬱憤しか書いていない気がする。今考えると僕もひどいことをしているなと思う。

すこし反省していると、下の台所で晩ご飯を作っているおばあちゃんの声が聞こえた。

「ご飯できたよ、食べなさい」
まるで母のようにおばあちゃんは僕を育ててくれる。
あの時からだろうか。
母が病気で亡くなってからしっかり僕を面倒見てくれるようになった。
毎日家事をしてくれる。叱る時には叱り、落ち込んでいる時、にはいつも慰めてくれる。
優しい口調なので心が安心する。
そんなおばあちゃんが大好きだ。
本当に感謝している。

僕は「はーい」と返事をしながら下へ降りた。
今日のご飯はいつもと変わらずとても美味しかった。


朝、目を覚ます。そして最近の習慣のように朝も机へ座っている。
僕何時に起きたんだろう。寝不足じゃないよな・・・・

朝こうなるといつも何時に起きているかわからず心配になる。

それも気になるが今はメッセージだ。
「自分ノート」そう書いたノートを開けるといつも通り男らしい汚い字が書いてある。

「ガッハハハハハハハ!
いつも通り、お怒りのメッセージをありがとな。」

「チッ」
義人の冗談をうまく捉えられずいつものように舌打ちする。まぁ、これもいつもの恒例みたいなものか。

「いやぁぁぁぁ、でもまずはお前があそこまで仲良くなれるとは思わなかった。
俺の頼みを聞いてくれてありがとう!」

あいつの素直な気持ちが書いてあってすこし照れる。不覚にも、嫌いな奴からお礼を言われるて嬉しい気持ちになった。

「それにしても悪かったな。アシストするとか言いながらお前が辛そうな時に交代できなくて。すまんすまん。
ちょっとその時、用事があってな。
何してたか知りたいか? 別に教えてやらんこともないけどおもしろいことしてたんだぜ。」

なんか軽いな。すまんで済ませるなよ。
ってそれよりも僕が辛い目に合っていた時、何やっていたんだ?
地味に煽られてるようでうざかったが、続きを読んだ。

「実に面白かったぜ、祐介の心に残っている恥ずかしかったエピソード!
入学式の日に間違えて三年生の教室に入って睨まれたこととか、おばあちゃんって叫んで後ろから抱きついたけどその人は全然知らないババアだったり・・・・」

「うわぁぁぁぁぁぁあ!?」
書いてある紙をビリビリに破ってゴミ箱に捨ててやりたかった。一応、紙をノートから引きちぎるところでちゃんと理性が戻ったので耐え切れた。

「ふざけるなよ!
確かに同じ感情を共有している奴だからそういうことを知られるけど・・・いや、そうじゃないだろ!」
本当こいつ、辛い思いしていたのに何やってんだ。
出会ったら絶対に殴り倒してやりたい。

あれ? こんなこと前にも合ったような・・・・・
まぁいい。

こいつに怒りをがこみ上げてくるのも疲れてきた。

「おっ、そろそろ俺への怒りが最高点に達したかな?」

何こいつ。なんで僕の心読んでるの。
二重人格だからか?
怒りというよりは怒りすぎてだんだん心が無になっていく。
メッセージ読むだけでどんだけ疲れてんだよ。
自分の体にツッコミを入れたい。

「こんな俺でも一つ反論したいことがある。
自己紹介の時、祐介と話している時より少しだけ声が明るくなっていたと思うぞ。ふっふーん!」

「はぁー」
あいつが仁王立ちをして僕をなめている姿が頭の中に浮かぶ。
僕は気まずいとは言っていたがよく考えると、彼女の声が明るくなっていたのはすこし納得できるかもしれない。初めて僕に声をかけてきた理由は義人が目的だったからな・・・・

なんか義人に負けた感があって心が傷つく。
なによりも、あのなんでも乱暴にする義人より下になっていることがプライド的に嫌だな。
僕の勇気のなさが問題なのだと思うけど。

「お前すこし落ち込んでるか?」

「だからなんで心が読めるんだよ!」
少しずつ、義人に心が読まれるのが怖くなってきた。

「落ち込むなって! お前が変わるためにも俺がいるんだから。
っていことで、前触れはこれくらいにしとこう。」

って前触れ長!
こいつの前触れのせいでどれだけ僕が疲れたことか・・・・

「はぁー」
大きなため息がまた出た。
こいつの荒々しさにもう呆れてきた。
「っで、本題は?」

もうノートは前触れで全て埋め尽くされてあったので次のページをめくった。

「次の目標だ! とか言いながら俺からの頼みなんだけどな。お願いだからお前に頼みたい。」

本題に入るとチャラチャラした感じはなく、
素直に書いてあって少し読む元気も出てきた。

「次の目標はデートだ!」

「・・・・・・はっ!?」
すっとんきょうな声を出してしまう。
いやいやいやいや。さすがににこれは話しかける以上にハードすぎるでしょ!?
ていうか付き合わないのになんでそんなことしないといけないんだ?

「いや、その、前ほどすぐにできなくてもいんだがやってほしい。
あとできればあの女に友達も作ってやりてえな。」

前からずっと思っていなけど、どうして彼女を構おうとするのかな・・・・・
また今度聞いてみるか!

ノートに「了解!」とだけ書いておいた。
本心では自信がないけどたぶんこれは書かなくてもわかるだろう。

「それにしてもあいつのメッセージは多いな・・・・」
ノートを読み返し、今更気づく。
意外に僕のことを思ってくれているのかな・・・・

すこし義人のことを褒めたが、あることを思い出してすぐに違うところへ意識を向ける。

「あっ!?」
時計を見るともう8時になっていた。
ここから学校までは約20分。
ギリギリ間に合うかどうかの時間だ。

すぐに制服に着替えてダッシュで学校へと向かった。

「ああ、もうこんな長いメッセージを書きやがって!?」
褒めていたメッセージをすぐに貶した。

今思うと本当に僕はひどいと思う。
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