君と二人の自分

ともとも

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義人と君

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「なあ、義人。僕はどうして悲しい気持ちになってんのかな?」

ご飯やお風呂も終えて寝る前「自分ノート」
に相談していた。
帰ってから自分なりにこの気持ちやこれからどうしたらいいか考えていたが何も思いつかなかった。

「いや、別に嫉妬とかしているわけではないけどなんか苦しんだよ。いつもそばにいたからこそなんか僕の居場所がとられた感じで。
僕はどうしたらいいのかな?」

こんな相談をしていると、ふと義人の今までの行動を思い出した。

いろいろ、僕にアドバイスをくれるけどあまり朝空さんの前に姿を現さないよな。
僕を勇気付けるためにわざと現れないのかな・・・・・・
今までに姿をちゃんと現したのは自己紹介する時くらいだった。朝空さんと初めて会った時はなんか拒絶しているような感情だったしなんか不思議だ。

妙に深く推理していると、机の上に置いていたスマホが鳴った。

翔ちゃんからのLINEだった。
「俺様、一年生でレギュラー獲得!!」
たぶん三年生が部活をやめてしまう試合チームのことだろう。

ただの軽い言葉だったけど、へんな気持ちだった僕の心をすこし晴らしてくれた。

「おめでとう! 
絶対見にいくね!」
すぐに既読がついて
「おう、かっこいいところ見してやる!」
とメッセージが返ってきた。

早くあいつのアドバイスを聞きたいな。
いつの間にか僕は義人のことを信用するようになっていた。

たぶん朝起きると何か書いてくれていると思いすぐに寝た。


次の日、目を開けると予想通り机の上に座っていた。

さて、何が書いてあるかな・・・・
まだ気持ちの整理ができていなくて恐る恐るノートを開いた。

「うーーん、祐介も青春してるな。
おじさんも羨ましいぜ。」

いつも通り、軽く始まる冗談に微笑する。

「そうかそうか。ずっとそばにいたからこそ、そうなるのはあるよな。
もやもやした気持ちはまぁ、気分転換でもしたら治るんじゃねえ?」

おい、適当だな。

おっと、アドバイスが書いてあるんだった。早く続きを見ないと。

「じゃあ、次のステップで休みの日にデートでも誘ったらどうだ。私服であったことないんじゃねぇか?
私服はいいぞ。
それぞれの個性がでるし、距離も縮まる。」

またデートか・・・・
一応、誘ってみよっかな。
君とすこし距離が近づいたので、あまり躊躇する感情はなかった。

「もし、気分がモヤモヤするのが続いていたら唐揚げでも作ってやるよ。」

最後に軽い冗談が書いてあった。
あの時、食べた唐揚げが地味に美味しかったからの軽く笑ってしまう。

僕は心を入れ替え、アドバイスを通りデートに誘う。
モヤモヤしているからこそ、すぐに実行した。
LINEを開けて君の画面を開く。

「今週の日曜日、昼から遊べますか?」

送ってすぐには返ってこなかったが数分したら
「はい、わかりました」
という返事がきた。

こうして、今週の日曜日にデートへ行くことが決まった。


デート当日
「どうしてこうなった・・・・・」
俺は自然にそんな言葉を告げていた。

今日は祐介がデートするはずなのにこんな時に限って俺に人格が変わる。

昨日、祐介はいつも通り寝ていた。俺も朝起きたら「自分ノート」を開けてあいつの相談に乗ったり冗談を書いていた。

それが終わって目を瞑るといつも祐介と人格が交代する。
それなのに今日は何回やっても交代しない。

時間が経つ。
たぶん、何百回もやっただろう。だけど交代しなかった。
結局諦めて下へ降りて朝ごはんを食べた。

ばあちゃんが台所で簡単に朝食を作っていたので俺も手伝った。

「すまんね~、祐介。いつもお世話になってしまって」
「いんだよ、ばあちゃん。別にこれは俺が好きでやってるだけだから。それにばあちゃんも無理したらダメだぜ。たまにはゆっくり休めよ」
「あんたは言葉使いは悪いけど本当に優しい子じゃな」
「ハハハ、そうか?」

みそ汁、白ごはんなどの軽い和食を食べた。

パンを見れば交代できると思っていたが今日は和食で見れなかった。

まぁ、集合場所があのパン屋の近くだからいいか。
そう安心していた。

だが、家を早めに出てそこのパン屋へ行ったが、交代できない・・・・

パンの匂いを嗅いだ。あいつが好きそうなパンを買って食べた。そこまでやっても祐介と交代できなかった。

冷や汗が出てきた。
「おい、まさか俺が今日のデートをしないといけないのか・・・・・」

「ヤベェェェェ!?」
急に焦ってきた。

いつも祐介にアドバイスをしてきた義人だったが実際は入れ替わっている時、ほとんど女性との交流がなかったのでデートで何をするべきかわからない。

今、頭の中が真っ白になっている。

「ヤバイヤバイ。どうしたらいんだ。俺、女心なんて知らねえぞ。でも今日のデートで失敗したら祐介の頑張ってきた分が無駄になるし・・・ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
広場の隅の方で歩き回りながら頭をかき、半狂乱になっている。

「村上君・・・・・」
後ろを振り向くと、一人の女性が立っていた。
朝空雪菜。
その名前にふさわしい、まるで雪のように私服は白で覆われていた。
白いワンピースに麦わら帽子。肌も白いから服とよく似合っている。

「ああ、えっと・・・・  僕が村上祐介だ、です。今日はよろしくな、です」

うう、あいつの喋り方こんな感じか?
彼女を見ると困惑していた。

「えっと・・・・もう一人の祐介君だよね」
「なんでわかったんだ!? お前、天才か?」
「その話し方、明らかにへんですよ。フ、フフ」

会う前は緊張していたけど笑ってくれて少しほぐれた。
「ああ、そっすか。いつも通りの口調にしてもいいか? やっぱ難いわ」
「はっ、はい全然大丈夫です」
「あっ、それともう一人の祐介じゃなくて悪かったな。すまんね」
「い、いえ。私なんかといてくれるだけで十分です」
俺のことを受け入れてくれてよかった。

「あの、ちなみにどこへ行くのですか?」
「それは、ついてからのお楽しみだぜ。じゃあ行くぞ!」

朝空雪菜は祐介と話しているいつものように静かだった。
笑顔もうまく作れていない。
すこしでもこのデートでいい笑顔になってくれることを願った。






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