君と二人の自分

ともとも

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また新しいイベント

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学校終わり、たくさんの生徒がぞろぞろと帰る中、僕は近くの広場に来ていた。

パンを片手に持ちながら、誰か待っていないかな、と期待しながらベンチへと行く。

いつも座って本を読んでいる君はいなかった。

期待していた自分自身を恥ずかしく思う。
そして今日は一人でパンを食べながらハトにもパンを分け与える。

クルッポ、といつも通りハトは鳴く。
いつも通りパンも美味しかった。

だけど、僕の心はなぜか浮かない・・・・・

「あ、村上君」
ハトをぼっとつまらなさそうに見ていると誰かに声をかけられた。
「今日は一人でここに来てたんだ!」
清水さんが笑顔を向けて横に座った。

「今日は僕一人ですね・・・・」
いつもよりテンションが低い気がする。

「朝空さんも来るか誘ったけど、調子が悪い、て言って帰っちゃったんだ。一人いないだけでなんか寂しいね」
「あ、調子が悪いんだ。それならしょうがないね・・・・・」
「フフフ、なんか村上君いつもより暗いね!
何か悩んでいるの?」
僕はギョッとしてしまう。
この時、女の勘というのはとても恐ろしいと心から思った。

「ええ、ああ、うん。すごいね。どうして僕のことがわかったの?」
「いや、そんな悲しそうな目をしていたら誰でもわかるよ!」
「ああ、僕は今日、そんな悲しそうな目をしてたの?」
「うん、クマができてるわけではないけど悲しそうな目だね」
「アハハハハ」
清水さんに心を見抜かれて苦笑いをしてしまう。

「どうしたの、何かあった?」
くるりと僕の方に体を向ける。
清水さんが相談に乗ってくれそうだったので
ピアノコンクールのあとの話をした。

「帰り際に雪菜さんが言おうとしていたことをちゃんと聞き取れなかったから、それで最近、避けられているのかなって・・・・・」
話を終えると、彼女の笑い声が聞こえる。

「プフフ、アハハハハハ!」
笑われるとは思わずムスッとする。
「笑わないでよ。結構真剣に悩んでいるんだから」
「アハハハ。ごめんごめん、そっかそんなことで避けられているって思ってるの?」
「う、うん・・・・」
そんなことでは避けないのかな・・・・

「ねぇ村上君。雪菜ちゃんに避けられてるって思うなら、どこかへ誘ってみなよ」
「え?」
「避けているならたぶん断ると思うし!」
清水さんに提案されて僕は納得する。

そうだよ、その通りだ。避けられているなら断られるだけだし、逆にOKしてもらって一緒に遊ぶこともできる!

ポジティブに考えて相談したその夜にLINEを開いた。

「今度、もう大変な時期も終わったからみんなでどこかへ行こうと思うんだけど、一緒に行かない? どこか行きたいところがあったら言って!」

送ろうとすると「断られる」という言葉が頭に浮かぶ。
それでも勇気を出して送信した。

すぐに返事が返ってきてスマホを手に取る。

「私、遊園地に行きたいです!」

よかった、返信が返ってきた。

僕はほっと安心する。
ベッドで寝転んでLINEをみていた。
嬉しさのあまり、僕は足をバタバタしていた。

そのまま、僕は翔ちゃんと優を誘った。

僕、翔ちゃん、優、雪菜さん、そして清水さんの計五人で遊園地に行くことが決まった。


当日、みんなと待ち合わせの場所として駅に集合する。

企画したのは僕だから誰よりも早くきて待っていた。
僕の次に来たのは意外にも雪菜さんだった。

僕は久しぶりに見る君の姿にドキドキしていた。
ピアノコンクールの時とは違って雪菜さんは眼鏡をかけていた。
コンタクトの時も似合っていたがなんだかこっちの方が落ち着く。

「おはよう!」
「お、おはよ・・・・・」
「・・・・・」
どうにか会話を続けようと頑張る。

「アハハ、まだみんな遅いね・・・」
「う、うん。そうだね・・・・」
「・・・・・・ああ、今日はいい天気でよかったね・・・・」
「う、うん。そうだね・・・・」

はい、会話終了

どれだけ頑張ってもこれ以上続けられなかった。

久しぶりに会えたのはとても嬉しかった。でもだからこそ何を話せばいいのか分からない。

雪菜さんも軽く挨拶を交わしたあと目を全然合わしてくれなかったから余計に話ずらかった。

お互いに背中合わせをするように反対の方向を見る。
久しぶりに気まずいと思う。
それでも君が手の届く、すぐ近くにいることで悩んでいたことが吹っ切れた。

「おいおい、付き合いたてのカップルか!」
「ど、どうもおはよう・・・・」
「ち、違うよ!」

明るい冗談とすこし控えめな声で僕の親友である二人がやってきた。

「お前ら、本当お似合いだな!」
僕は顔が赤くなりながらも翔ちゃんの冗談を否定する。
「ウヒヒヒヒヒ」
翔ちゃんは面白がるように僕をからかう。

「あ、朝空さんおはようございます・・・  先日はピアノコンクールに来ていただいてありがとうございました・・・」
「あ、い、いえ。こちらこそとても良い曲を聞かせてもらい、楽しかったです。あ、大賞受賞おめでとうございます・・・」
「ど、どうも・・・・」

人見知り同士、お互いにぺこぺこと挨拶をしていた。
これもこれで面白い組み合わせだなと思い、
軽く笑う。

「なぁ、こうしてゆっくりできるのってなんか久しぶりって思わねぇか?」
二人を面白がりながら見ていると、翔ちゃんがポケットに手を入れながら言う。
「久しぶりだな・・・・」
同じ言葉を繰り返し言った。

「なぁ祐介、お前って朝空さんのことどう思ってるの?」
「雪菜さんか・・・・・僕は・・・ってあれ!? 何言わそうとしてんの?」
「アハハハ、バレた? 軽い質問から一番聞きたい質問したら素直に吐いてくれるかなって思ったから・・・・」
「危な・・・変なこと口走りよった・・・」
「くそっ、聞けなかったな。祐介の本心。
アハハハ」
翔ちゃんの落とし穴にハマらなくて安心した。

「でもさ、本気で友達のまま続くって思ってるの? いつか、覚悟を決めないといけない時が来るよ!」
「・・・・・」
真面目に話す翔ちゃんの言葉に僕は何も言い返せなかった。

と話していると後ろから空気を変えるかのごとく、清水さんがやって来た。
「あはよ~ ってあれ!? もうみんな来てたんだ。私遅れたかな・・・・」
「ああ、全然大丈夫だぜ」
翔ちゃんはすっかり笑顔に戻って話し出す。

「あ、清水さん!」
「雪菜ちゃん、久しぶり!」
二人は恋人つなぎをして喜び合う。

「元気だった?」
「うん、元気だったよ!」
「よかった。今日はいっぱい遊ぼうね!」
雪菜さんは清水さんに対して、もう普通に話せるようになっていた。
仲が良くてなにより・・・・

こうして五人全員が揃った。

「あ、えっと僕は石川優と言います・・・」
「私は清水陽子、よろしくね!」
初対面っというわけではないがあまり話していなかった優と清水さんが軽く紹介し合う。

「じゃあ、そろそろ行こっか!」
僕の声で歩き出す。
制服ではない、私服でいつもと違う雰囲気だ。この五人にでちゃんと揃うのは初めてだったと思う。
だからこそ、とても楽しい!

・・・僕が地味に仕切ってるけど大丈夫かな・・・・

切符をみんなで買い、電車に乗る。
席は僕が譲って、雪菜さん、清水さんが横に座り、向かい側に翔ちゃんと優が座る。

僕はその場で立って吊革を持って移動した。

それぞれ仲の良い同士が横だったのでそれなりに電車の中は楽しかった。

それぞれの仲介役としてたたないといけないとか心配していたけど大丈夫そうだ。

ガタンゴトンという音に沿って電車は遊園地へと向かった。
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