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3・調教開始
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リオは、一瞬、アーネストが言ったことが理解できなかった。
しばらく硬直し、はっと我に返って叫んだ。
「わたしは男だぞ! そんな、に、に、妊娠なんて、できるわけがない!」
「男だからこそ、だ。あの残虐な王子どもに溺愛された末の弟が、身体を作り替えられ、男でありながら男に犯され子を産み続ける性奴隷となる。素晴らしいじゃないか。後宮で殺された哀れな娘たちも、これで浮かばれるだろう」
「身体を、作り替え……!?」
驚愕のままおうむ返しに言った途端、地下牢に異変が起こった。
部屋全体が淡く輝く。輝きの中に、幾何学模様やら古代文字やらが明滅しながら乱舞する。
その怪しげな光は、ほんの数秒で収まった。そして、リオの足元からどろりとした透明な液体のようなものが湧き出し、まるで意思を持っているかのようにリオの身体を這い上ってきた。
リオはとっさに立ち上がろうとしたが、足がもつれて転んでしまった。謎の液体は容赦なくリオの身体を這い回り、包み込み、騎士服の中に入り込む。ひんやりとした感触が肌を這い回り、リオは鳥肌を立てた。
「なっ……!?なんだ、これは。貴様の仕業か、アーネスト!」
「いかにも。お前を従順な雌に育てなおすために俺自ら創造した使い魔。そのうちの一匹だ」
リオはなんとかして液体から逃れようともがいた。その拍子に、騎士服が脆く破れた。否、溶かされた。まるで水に浸った砂糖菓子のように、空色の制服が溶け崩れていく。
リオの中に、取り返しのつかない絶望が広がる。
「あ、あ、あ、わたしの服が……!叙勲の証に賜った服が……!!」
騎士の称号と共に受け取った空色の制服は、リオの誇りそのものでもあった。今はまだ染み一つない新品状態だが、騎士として戦うようになればきっと多くの傷やら汚れやらがついて、それこそがリオの戦勲となるのだろう。そう思っていたのに。
「お前に服を着る資格はない。この地下牢で雌化調教を受ける間は、性具や拘束具以外のものを着用してはならない」
「……破廉恥な! よくぞこのような下品な真似を思いつく者だな、穢れた魔術師め!」
衣服を溶かされ、裸体が露わになっていく中で、リオは叫んだ。
アーネストの血色の瞳が剣呑な光を宿した。
「ではもう一つ教えてやろう。……俺は元々、後宮勤めの魔術師だった」
「魔術師が王宮に足を踏み入れていただと……?」
「そうだ。王子どもは魔力ある者を迫害しておきながら、『お楽しみ』の時だけ都合よく魔術を使ったのだ。これからお前が受ける破廉恥な淫術の数々は、もとはと言えばお前の兄たちが俺に命じて娘たちにやらせていたものだ。それをよーく心に刻み込んでおけ」
ついに完全に騎士服が溶かされ、リオは一糸まとわぬ全裸になった。
すると、肌を這いまわっていた粘度の高い液体が、今度はうぞうぞと蠢きだした。蠢くだけではなく、どんどんと質量を増していき、色と形状を変えていく。
透明な液体だったものは、生々しい肉色をした巨大なイソギンチャクのような形になった。リオが驚愕する間もなく、大小さまざまな触手が手足に絡みついてきた。
ぬるぬるした触手に抱き寄せられ、身体を持ち上げられる。その感触があまりにも気持ち悪くて、リオの喉奥で悲鳴が凍り付いた。
「ひっ……! い、嫌だ。やめろ……!」
抵抗の声も虚しく、リオは触手の塊に引きずり込まれていく。必死に手足をばたつかせるが、暴れれば暴れるほど絡みついてくる触手の本数が増え、幾重にも巻かれていき――最終的には、手足のほとんどが触手の塊に埋もれたような状態になって、リオの身体はアーネストの前に差し出された。
仰向け状態で、背中を弓なりに反らされる。足は限界まで開脚し、恥ずかしい部分が余すところなく黒衣の魔術師の眼前に晒されている。
リオの唇がわなわなと震えた。こんな恥ずかしい恰好をしたのは生まれて初めてだった。
拒絶や罵倒の言葉が喉元まで出てくるが、あまりの恥辱に声が出せない。
そんなリオを、厳密に言えばリオの恥部を、アーネストは物色するかのような目つきで眺めた。
「ほう……後ろは言うに及ばず、前も綺麗なものだな」
「見るな……見ないでくれ……!」
「色素がまるで沈着していない。形は大人なのに、色だけ子供みたいだな。お前、自慰はどれほどの頻度でしていた?」
リオの頬にかあっと朱が上った。これは恥辱というより屈辱だった。
「するわけがないだろう! そんな、不道徳なこと!」
「は?」
アーネストが眉根を寄せ、無造作にリオのペニスを掴んだ。
他人に急所を触られて、リオの全身が硬直する。
「するわけがないって、本気で言っているのか、お前」
「ほ、本気も何も……自慰はするなと宮廷医師に言われていたんだ。しないのが、当然なんだろう……?」
リオが精通を迎えた日、王家お抱えの医師から大人の身体のしくみについての授業を受けた。その時に言われたのだ。自分で自分の性器を弄って快楽を貪るなど恥ずべきことである、と。だからリオは、自慰なんてまったくしたことがなかった。何かの気の迷いでそういうことをしたい欲望にかられたら、剣の鍛錬をして熱を発散していた。
アーネストが、心底呆れたように溜息をついた。
「やれやれ、箱入りだとは知っていたが、まさかここまでとは。こうやって、握り込んだことも? 上下に扱いたことも?」
アーネストの武骨な手が、リオのペニスを軽く握りしめたり、上下に擦ったりした。
むずむずとした変な感覚が下腹部から湧き上がる。リオは触手塊に半分埋もれるようになりながら、嫌悪感もあらわにかぶりを振った。
「ない……!」
「念のため聞くが、こちらを弄ったことは?」
アーネストの指がペニスを離れ、リオの尻の窄まりを軽くつつく。
ぞわっと鳥肌を立ててリオは叫んだ。
「ないと、言っているだろう!」
「だろうな。どこからどう見ても、正真正銘の初モノだ。……あぁ、これは、なんとも調教し甲斐がある」
アーネストの声には暗い喜悦が滲んでいる。
リオはあまりの屈辱に歯を食いしばった。
「……ッ、わたしを、殺せ」
裸にされて、足を開かされて、性器や肛門を無遠慮に触られて。
リオの中では羞恥と怒りがないまぜになって煮えたぎっているが、騎士としての誇りが彼をかろうじて冷静にさせていた。
空色の瞳に薄い涙の膜を張りながらも、リオはアーネストを真っ直ぐに見据えた。
「民衆の前でわたしを殺せ。わたしは父と兄について詫びながら死を受け入れよう。そうすれば民の怒りも和らぐはずだ」
「ほう。殊勝な心がけだ。……だがな」
アーネストがリオの顎を乱暴に掴み、ぐっと引いた。それに応じて触手がずるずると蠢くが、戒めが解かれることはない。
空色と血色。鼻先同士が触れ合いそうなほどの距離で、二人は睨み合った。
「残念ながら、それはお前の役割ではないのだよ、リオ。
お前の役割は『妊娠』だ。王子でもなく、騎士でもなく。知性も理性もなく、常に子種を欲し、自ら進んで犯されたがる淫らな雌になるんだ」
「このわたしが、そんなはしたない存在になるわけがない!」
「さて、その愚かな気丈さが、一体何日続くかな?……無駄なおしゃべりはここまでだ。そろそろ仕事を始めよう」
アーネストがリオから手を離し、嗤った。それが調教開始の合図だった。
しばらく硬直し、はっと我に返って叫んだ。
「わたしは男だぞ! そんな、に、に、妊娠なんて、できるわけがない!」
「男だからこそ、だ。あの残虐な王子どもに溺愛された末の弟が、身体を作り替えられ、男でありながら男に犯され子を産み続ける性奴隷となる。素晴らしいじゃないか。後宮で殺された哀れな娘たちも、これで浮かばれるだろう」
「身体を、作り替え……!?」
驚愕のままおうむ返しに言った途端、地下牢に異変が起こった。
部屋全体が淡く輝く。輝きの中に、幾何学模様やら古代文字やらが明滅しながら乱舞する。
その怪しげな光は、ほんの数秒で収まった。そして、リオの足元からどろりとした透明な液体のようなものが湧き出し、まるで意思を持っているかのようにリオの身体を這い上ってきた。
リオはとっさに立ち上がろうとしたが、足がもつれて転んでしまった。謎の液体は容赦なくリオの身体を這い回り、包み込み、騎士服の中に入り込む。ひんやりとした感触が肌を這い回り、リオは鳥肌を立てた。
「なっ……!?なんだ、これは。貴様の仕業か、アーネスト!」
「いかにも。お前を従順な雌に育てなおすために俺自ら創造した使い魔。そのうちの一匹だ」
リオはなんとかして液体から逃れようともがいた。その拍子に、騎士服が脆く破れた。否、溶かされた。まるで水に浸った砂糖菓子のように、空色の制服が溶け崩れていく。
リオの中に、取り返しのつかない絶望が広がる。
「あ、あ、あ、わたしの服が……!叙勲の証に賜った服が……!!」
騎士の称号と共に受け取った空色の制服は、リオの誇りそのものでもあった。今はまだ染み一つない新品状態だが、騎士として戦うようになればきっと多くの傷やら汚れやらがついて、それこそがリオの戦勲となるのだろう。そう思っていたのに。
「お前に服を着る資格はない。この地下牢で雌化調教を受ける間は、性具や拘束具以外のものを着用してはならない」
「……破廉恥な! よくぞこのような下品な真似を思いつく者だな、穢れた魔術師め!」
衣服を溶かされ、裸体が露わになっていく中で、リオは叫んだ。
アーネストの血色の瞳が剣呑な光を宿した。
「ではもう一つ教えてやろう。……俺は元々、後宮勤めの魔術師だった」
「魔術師が王宮に足を踏み入れていただと……?」
「そうだ。王子どもは魔力ある者を迫害しておきながら、『お楽しみ』の時だけ都合よく魔術を使ったのだ。これからお前が受ける破廉恥な淫術の数々は、もとはと言えばお前の兄たちが俺に命じて娘たちにやらせていたものだ。それをよーく心に刻み込んでおけ」
ついに完全に騎士服が溶かされ、リオは一糸まとわぬ全裸になった。
すると、肌を這いまわっていた粘度の高い液体が、今度はうぞうぞと蠢きだした。蠢くだけではなく、どんどんと質量を増していき、色と形状を変えていく。
透明な液体だったものは、生々しい肉色をした巨大なイソギンチャクのような形になった。リオが驚愕する間もなく、大小さまざまな触手が手足に絡みついてきた。
ぬるぬるした触手に抱き寄せられ、身体を持ち上げられる。その感触があまりにも気持ち悪くて、リオの喉奥で悲鳴が凍り付いた。
「ひっ……! い、嫌だ。やめろ……!」
抵抗の声も虚しく、リオは触手の塊に引きずり込まれていく。必死に手足をばたつかせるが、暴れれば暴れるほど絡みついてくる触手の本数が増え、幾重にも巻かれていき――最終的には、手足のほとんどが触手の塊に埋もれたような状態になって、リオの身体はアーネストの前に差し出された。
仰向け状態で、背中を弓なりに反らされる。足は限界まで開脚し、恥ずかしい部分が余すところなく黒衣の魔術師の眼前に晒されている。
リオの唇がわなわなと震えた。こんな恥ずかしい恰好をしたのは生まれて初めてだった。
拒絶や罵倒の言葉が喉元まで出てくるが、あまりの恥辱に声が出せない。
そんなリオを、厳密に言えばリオの恥部を、アーネストは物色するかのような目つきで眺めた。
「ほう……後ろは言うに及ばず、前も綺麗なものだな」
「見るな……見ないでくれ……!」
「色素がまるで沈着していない。形は大人なのに、色だけ子供みたいだな。お前、自慰はどれほどの頻度でしていた?」
リオの頬にかあっと朱が上った。これは恥辱というより屈辱だった。
「するわけがないだろう! そんな、不道徳なこと!」
「は?」
アーネストが眉根を寄せ、無造作にリオのペニスを掴んだ。
他人に急所を触られて、リオの全身が硬直する。
「するわけがないって、本気で言っているのか、お前」
「ほ、本気も何も……自慰はするなと宮廷医師に言われていたんだ。しないのが、当然なんだろう……?」
リオが精通を迎えた日、王家お抱えの医師から大人の身体のしくみについての授業を受けた。その時に言われたのだ。自分で自分の性器を弄って快楽を貪るなど恥ずべきことである、と。だからリオは、自慰なんてまったくしたことがなかった。何かの気の迷いでそういうことをしたい欲望にかられたら、剣の鍛錬をして熱を発散していた。
アーネストが、心底呆れたように溜息をついた。
「やれやれ、箱入りだとは知っていたが、まさかここまでとは。こうやって、握り込んだことも? 上下に扱いたことも?」
アーネストの武骨な手が、リオのペニスを軽く握りしめたり、上下に擦ったりした。
むずむずとした変な感覚が下腹部から湧き上がる。リオは触手塊に半分埋もれるようになりながら、嫌悪感もあらわにかぶりを振った。
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アーネストの声には暗い喜悦が滲んでいる。
リオはあまりの屈辱に歯を食いしばった。
「……ッ、わたしを、殺せ」
裸にされて、足を開かされて、性器や肛門を無遠慮に触られて。
リオの中では羞恥と怒りがないまぜになって煮えたぎっているが、騎士としての誇りが彼をかろうじて冷静にさせていた。
空色の瞳に薄い涙の膜を張りながらも、リオはアーネストを真っ直ぐに見据えた。
「民衆の前でわたしを殺せ。わたしは父と兄について詫びながら死を受け入れよう。そうすれば民の怒りも和らぐはずだ」
「ほう。殊勝な心がけだ。……だがな」
アーネストがリオの顎を乱暴に掴み、ぐっと引いた。それに応じて触手がずるずると蠢くが、戒めが解かれることはない。
空色と血色。鼻先同士が触れ合いそうなほどの距離で、二人は睨み合った。
「残念ながら、それはお前の役割ではないのだよ、リオ。
お前の役割は『妊娠』だ。王子でもなく、騎士でもなく。知性も理性もなく、常に子種を欲し、自ら進んで犯されたがる淫らな雌になるんだ」
「このわたしが、そんなはしたない存在になるわけがない!」
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