♯04【神楽坂ゴシック・フォックス探偵事務所のB級的調査譚】激痛茶館

る・美祢八

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第一章 奇妙な案件の発端

2─1

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   ■■ 2 ■■


 夜――

 韓国、ソウル市内の某所にて、


「――おっ、おっ、お、お、おっ……♪」


 と、コミカルかつ小刻みに、丸サングラスに高級スーツをキメた、やや小太りな男が躍る。

 また、続いて、


 ――ガチャッ……


 と、青色の高級オープンカーのドアが開き、スラッとした高身長の青年が――右半分が黄色に左半分がピンクの、花をモチーフにした奇抜な高級スーツを身にまとったキノコヘアーの青年が颯爽と降り、やってくる。

 青年は、トコトコと踊る中年男の傍へやってくるなり、


 ――ヒョイ、ヒョイ……♪


 と、次は自分の番だと言わんばかりにハンドサインをし、タッタカ――♪ と、カウボーイダンスのように軽快に――、まるでラップバトルでもするかのように、踊りはじめる。

 また、そこへ、


 ――カッツ……、カッツ……!


 と、奥のほうから、これまた軽快に歩くヒールの音が響いてきた。

 現れたのは、同じくスタイル抜群で、絵にかいたような韓国美女モデルのような女――

 白の大粒のパール・カチューシャで髪を後ろにまとめ、胸元を見せたヘソ出しスタイルに長袖を羽織った、エレガントとカントリーガール風の混ざったファッションの女も、ジャカジャカ――♪ と、フラメンコか何かのような情熱的なステップでこちらへやってきて、


 ――ズッキュン――!


 とのごとく……! 右手のひらを上に向けつつ、横向きで半身を強調した、ジョ〇ョ立ちもどきというべき奇妙な立ちポーズをキメていた。

 すると、


「おい、お前ら! 他の客が逃げるから、やめやがれってんだよ!」


 と、無精ひげを伸ばし、クシャッとっした髪の――日本でいえば醬油顔の、チジミ屋台のオッサンが三人に怒鳴った。

「――あら、ごめん、テヤン。つい、ポーズをとっちゃた」

 ポーズをキメつつ謝る女に、

「“つい”とってしまうポーズじゃねぇだろ? そいつは」

 と、テヤンと呼ばれた屋台のオヤジが、やれやれと呆れてみせる。



――続く
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