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第一章 奇妙な案件の発端
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しおりを挟む「――テヤン、とりあえず、適当に何かちょーだいよ」
モデル美女が頼む。
「けっ、何だよ? 何かちょーだいって――。お前ら、めんどくさいからチジミととトッポギと豆腐キムチでも食っとけや!」
と、テヤンがそう答えながら、ジンロと、お任せの品をさっさと出してやる。
「ちょっと? 私たち、客よ」
抗議しつつもさっそく箸を手にとる女と、
「そうだよ。めんどくさいって、酷い言いかただよな。――まあ、とりあえず、テヤン、ジンロ頼む!」
と、黄色とピンクの花柄スーツのキノコ頭の男が酒を頼んだ。
「あいよ! ――てか、お前? 車だろ? どうすんだ?」
「ああ、あの車は一週間後に取りにくる」
キノコ頭が、何も問題ないように即答する。
いちおう、駐車場に停めてはいるのだが、さっさ取りに行けというところであるが……
そうしていると、
「ほら! お前ら、めんどくせぇから、もう注文するなよ!」
と、テヤンがジンロを持ってきて、ドン! と、卓に置いた。
そうである――
……いや、何が、“そうである”のかというところだが、“そうである”――とまとめておく。
そう、彼ら四人組であるが、『SPY探偵団』なる――異能力者の兼業探偵グループを作って活動しているのである。
以下、メンバーをそれぞれ紹介していく――
まずは、SPY探偵団のリーダーを務めるは、丸サングラスの小太り男、カン・ロウンである。江北に秘密事務所を構えており、コードネームは“スタイル”である。
次に、紅一点というか、女性メンバーのパク・ソユン。
モデル体型の美女で、実際に『ソウ』の芸名でモデル活動をしており、そのあだ名であるが、猟奇映画やグロもの好きなことから、“ジグソウ・プリンセス”、“ジグソウ”と、某グロ映画のまんまである。
三人目は、黄色とピンクの組み合わせの奇妙なスーツを着た長身のキノコヘアの、高級車から現れた兼業実業家の青年のドン・ヨンフォ。
あだ名であるが、スーツの配色か、花柄からか、“フラワーマン”であるが、上方から“キノコ・マン”のほうがいいのでは――
とりあえず、高級車で来て、駐車場に一週間もズボラに停めたままにしておけるくらいであるから、いちおうは金持ちなのであろうが。
最後は、この屋台を営むオッサンのキム・テヤンである。
コードネームは“チジミ屋のオッサン”、“チジミ屋のオヤジ”と、まったくひねりがない。
――とりあえず、このような兼業探偵活動をしている彼らであるが、隠した異能力と、それぞれの分野で世に紛れることで調査、情報収集を行っているのである。
「――じゃあ、とりあえず、話を始めようぜ」
「ああ」
と、テヤンとロウンが交わしたのを合図に、話に入る。
――続く
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