♯04【神楽坂ゴシック・フォックス探偵事務所のB級的調査譚】激痛茶館

る・美祢八

文字の大きさ
5 / 9
第一章 奇妙な案件の発端

2─4

しおりを挟む
「――そうすると、……この、強引に拉致して行われる御茶会には、何か、“痛み”に関したテーマや、“趣向”があるのかな? 少々、おぞましい感じがするけど――」

 パク・ソユンが、そう続けた。

「趣向、ねぇ……」

 ドン・ヨンファが、口にしながら顔を少し歪めてみる。

 またその横から、屋台のほうは暇なのか、キム・テヤンが、

「何か、ピンと来ねえか? ジグソウ・プリンセス」

「ん? 私?」

「ああ、お前さんなら分かるかな、と思ってな――」

「いや、だからさ……、私の何をアテにしてるのよ……」

 と、パク・ソユンはやれやれとしながらも、

「――まあ、そうね……、単純に考えると、“痛み”っていうのを――“痛覚”を趣向にした御茶会だとすると……、たぶんだけど、さしづめ、痛みを――、“多種多様な激痛を愉しむべくブレンドされた御茶”を、参加者にふるまっているんじゃないかしら? おそらく、無理やりにだろうけどね――」

「……」

「……」

 と、やや具体的になった答えに、ドン・ヨンファとキム・テヤンが引いた顔をしていた。



「――それは、劇物か、何かか?」

 また、今度はカン・ロウンがパク・ソユンに聞いてみた。

「そうね……? 酸だと、硫酸、フッ化水素酸……、それから、アルカリだと、水酸化ナトリウムとかが妥当かな? あとは、界面活性剤や農薬とか……、それから、たぶん手に入るか分かんないけど、ギンピギンピって植物、……聞いたことない?」

「あん? ギンピ……ギンピ、だと?」

 と、変わった名前の植物に、キム・テヤンが顔をしかめる。

「うん。オーストラリアに生えてる植物ね。あそこや、熱帯ってさ? けっこうヤバい植物あるじゃん?」

「まあ、ありそうっちゃ、ありそうなイメージがあるがな」

 と、そこは同意で頷くキム・テヤンの横、

「――ソウ、ギンピギンピとは、……あの、ヤバい植物だな?」

「ええ……。そうよ」

 と、カン・ロウンはこの植物のことを知っているのか、そうパク・ソユンと言葉を交わした。

「ヤバいって、どんな風にヤバいんだい?」

 ドン・ヨンファが聞いた。

「検索してみてよ、ドン」

「どれどれ……」

 と、“フラワーマン”ことドン・ヨンファはチジミに手をつけた箸を止め、検索してネット辞典を読んでみる。

「……」

 読み進めていくうちに、その内容は、ドン・ヨンファの顔を次第に硬直させるようなものだった。



――続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...