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1話
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しおりを挟む『どうやって触りたい?教えて?』
上下に扱いて、先をぐりぐりとしたい。いつも自分がしているオナニーを思い出して、それだけで性器が疼く。
『言ってくれないとわからないよ。気持ちよくなりたいなら、どうやって触るか教えて』
俺の言葉を待つように、無言が続く。俺はごくりと唾を飲みこみ、覚悟を決めた。それを見越したように、低い声が 耳朶を打つ。
『ほら、教えて』
「っ、ちんこ扱いて、……先、ぐりぐりってしたいっ……」
言葉にすると単純で卑猥で、羞恥で一気に顔が熱くなる。それだけでなく、解放感すら感じて、気分が昂る。
『もう一回、言って』
「ちんこ触って、扱いて、先ぐりぐりしたい……っ……」
二度目は羞恥は消えて、高揚感だけが残った。言葉にするだけで、気持ちよくなることが不思議だったが、冷静に考える余裕は俺にはなかった。
『ふふっ、よく言えたね。偉いね』
甘く蕩けるような声で褒められ、俺は嬉しくなる。ようやく触らせてもらえると、俺は次の言葉を待った。
『でも、まだだめ、触らせてあげない』
「っ、触りたい……」
『欲しがってる顔してる。可愛い』
耳に声を吹き込まれ、ぴくりと肩が揺れる。俺の頭の中は熱く霞み、触って射精したいことしか考えられなかった。
「ちんこ触りたい、お願い」
既存の音声に懇願しても意味がないことはわかっているが、言葉は止められなかった。俺の右手は言うことを聞かず、もの悲し気に空を掴む。
『我慢できない?』
俺は首を縦に振る。目の前に餌をぶら下げられ馬のように、飼い主の待てが解除されるのを待つ犬のように、彼の次の言葉を待った。
『仕方ないな。触っていいよ』
ため息混じりの低音に、俺は思わず熱い息を吐いてしまった。右手は先ほどとは違い、スムーズに動く。熱い性器に手を伸ばし、ひたりと手を添える。熱い皮膚同士が触れるだけで、俺は小さく喘いだ。
「っあ……はっ……」
上下に手を動かし、夢中で性器を扱く。いつもと同じ行為のはずなのに、焦らされたせいで、より気持ちよく感じた。性器はすぐに硬度を増し、先走りが溢れる。
『気持ちいい?』
「うん、きもち、……いいっ……」
竿を扱き、亀頭を指の腹で撫でると、びくびくと腰が揺れた。俺の呼吸は荒くなり、手の動きは速くなる。先走りが絡み、手を動かすたびににちゅにちゅと水音が鳴った。完勃ちした性器は、いつ射精してもおかしくない。
「あっ……んっ……イくっ……」
俺は感覚で絶頂が近いことを悟る。もうすぐ、と手の動きに集中していると、急に低い声が吹き込まれた。
『勝手にイくな』
命令口調に、俺は「ひんっ」と情けない声を漏らしてしまった。手の動きが思わず止まり、高まっていた射精感が堰き止められ苦しい。どっどっと鼓動が速さだけが残る。
『誰が勝手にイっていいって言った?』
「ごめん、なさい」
思わず俺は謝っていた。彼に怒られることも、彼に見捨てられることも、嫌だった。たった短時間なのに、すでに彼に掌握されていることが怖く、しかし同時に悦びを感じていた。
『十からカウントダウンするから、ゼロになったら、君はイく。わかった?』
「うん」
自慰の再開が嬉しく、カウントの後訪れるであろう解放感に、俺の胸は高鳴る。
『じゃあ、数えるよ。……十……』
カウントが始まり、俺は右手をゆっくりと動かし始める。一瞬引いた快感の波が、再び押し寄せた。
『九……、ふふっ、エッチな顔してる……』
左耳に吐息混じりで言葉を流しこまれ、俺は今の自分の表情を想像する。はふはふと呼吸を繰り返している口は開きっぱなしで、頬は赤く上気し、目はぎゅっと瞑ったまま、額や首にはじんわりと汗をかいている。それがエッチなのかは判断できなかった。
『八……、気持ちいいね……ゆっくり、ね……、七……』
カウントダウンはゆっくりで、焦らされて苦しい。無視して射精すればいいのに、先ほどと同じように彼の言葉にコントロールされて、射精できない。扱くのに合わせて先走りがこぷりと溢れるだけだ。
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