家に帰ると推しがいます。

5.変化

7 ＊

　引きつけられるように、イオは立ち上がり、布団へと近づく。布団を引っ張り出して、雑に広げた。その上に寝転がり、シーツに包まれた布団に顔を埋める。

（総司さんの匂いがする……）

　匂いを嗅いだイオは、背筋がぞくぞくするのを感じた。数日前に握られた手は虚空を掴むが、イオの記憶には柔らかく温かい総司の手があった。特典会で何度も握手を交わし、腕や肩が触れ合う瞬間はあったのに、今ではずいぶん昔のことだ。

（触れられたい）

　本能が求めるものは、それだった。

（総司さんに、触れられたい）

　イオはシーツをかき寄せ、匂いを堪能する。総司に触れられている想像が止まらない。

（総司さんの手が、俺の身体を触って……。大きな手のひら、温かい体温、優しい手付き……）

　ただの想像なのに、イオは鼓動が速くなり、息が荒くなってくる。そして、性器にじわじわと熱が集まってくる。我慢しようと思ったが、身体は正直だ。

（こんなこと、ダメなのに……）

　イオは部屋着のズボンをずらすと、下着の中に手を入れた。勃ちあがった性器は、先走りを零している。イオもまた、しばらく自慰をしておらず、欲が溜まっていた。

「んっ……、あ……」

　ゆっくりと手を動かし、上下に扱くと、イオの口からは甘い声と吐息が零れる。背徳感と欲望がせめぎ合い、イオはどうしようもなく興奮していた。

（総司さん、ごめんなさい……）

　心の中で総司に謝るも、イオの手は止まらない。イオ自身はしっかり勃ち、先走りで性器は淫らに濡れていた。手の動きは早くなり、にちゃにちゃと水音が鳴る。

「っ、はぁ……、あっ……」

（気持ちいい……。先っぽぐりぐりしたり、裏筋撫でたりするの、もっと……）

　イオはシーツの匂いを嗅ぎながら、亀頭の先端を指の腹で扱き、裏筋を撫で上げる。想像の中では総司に触れられているため、いつもよりも気持ち良さが増幅されていた。募る射精感に、イオの腰は震える。

「っあ……、あっ、んんっ……」

　イオはひくんっと身体を跳ねさせ、達した。久しぶりの射精に、濃い精液がイオの手に吐き出される。イオは絶頂に浸りながらも、同時に後孔が疼き、腹の中がきゅううと寂しくなった。